1段、1段、また1段とサトシは階段を昇る。この階段を昇りきったら、アローラリーグ本部の屋上バトルステージ……アローラで最も天に近いと言われるラナキラマウンテンの天辺に到達する。
「ピカピ!」
「分かってるよ、ピカチュウ」
アローラの天辺で行われるのは文字通り、アローラ同士の天辺対決。いや、アローラだけでは収まらない。ニホンが誇る天才十代同士の世界最強の子供同士で行われる究極のポケモンバトルだ。
カントー地方マサラタウン出身ポケモンマスターレッドの従兄弟であり、ホウエンチャンピオンリンドウの教え子 サトシ。カントー→ジョウト→ホウエン→シンオウから海外に渡りイッシュ→カロス→アローラへとやって来たサトシのアローラでの集大成が此処で発揮されるのだ。
「よっ…」
階段をどれほど昇ったのだろうか?最後の階段の先にある扉、その扉の前ではサトシの恩師でありアローラでポケモンバトルのノウハウは勿論のこと、様々なポケモンの知識やポケモンと人々の関係や接し方等を教えてくれた恩師が待っていた。
「リンドウ先生」
リンドウは階段の上からサトシとピカチュウを見下ろし、サトシとピカチュウとの出会いから今までを思い出す。
リンドウにとって前世ではサトシとピカチュウはアニメでのヒーローだった。前世リンドウの幼い頃からアニメ ポケットモンスターは放送されており、当時からサトシとピカチュウは子供達に多くの夢を与えてきた。そしてリンドウがこの世界に産まれ落ちてからも、サトシとピカチュウという名コンビが与えてきた事はリンドウの中から消えない。
(お前が居てくれたからこそ前世からポケモンを好きになれた)
アローラに来てから沢山の事を勉強してくれた。強くなることは勿論のこと、強くなることよりも絶対に大事なポケモンとの接し方や過ごし方もサトシは他の子供達と楽しく学んでくれた。
サトシがトレーナーに成ってから早2年。サトシはもう新米トレーナーではなく、サトシの後からも旅立ってきた多くのトレーナーの先輩の1人となった。事実、サトシは同じクラスの友達に意見交換としてバトルに関しては積極的に意見を出したり、他のクラスの子供達にもアドバイスを送ってきた。
(強くなったなサトシ)
「サトシ……そしてピカチュウ達。お前達が今から戦うのは唯の天才じゃない。才能だけならレッドを越えているいっちゃ悪いがイレギュラーだ、ドミナントだ」
サトシがこれから戦うのは再来月からサトシのクラスメートとなり、同時にサトシの後輩となるポケモントレーナーだ。
その素質ははっきりいってドミナント、イレギュラー、才禍の怪物、最も才能に愛された天才児と……次々と言葉が出てくる程のトレーナーだ。旅に出てから半年と経っておらず、それなのにジョウト地方のバッジ全てを手に入れ、コンテストのマスターランクまで登り詰め、シンオウ地方の殿堂入りを成し遂げ、そしてパルデア地方を完全制圧して5秒だけパルデアトップチャンピオンと成っていた男だ。
「だけどな……ポケモンに素質は関係無い。可愛いポケモン、カッコ良いポケモン、強いポケモン、バトルが苦手なポケモン、沢山のポケモンがいる。だが、これだけは言える。世の中、千匹以上……いやリージョンフォームとか未発見のポケモンも含めると数え切れない程のポケモンが居るが、本当に強いトレーナーは自分の好きなポケモンを使って強くなっている」
「さあ、行け。そして自分達の全てをぶつけてこい。立場上……俺は片方だけに肩を貸すことは出来ない。
さあ、1人は入学前だがアローラ頂上決戦!!そしてメレメレ島ポケモンスクール最強決定戦!!リンドウクラス最強決定戦を決めてこい!!」
「はい!!」
「ピカ!!」
リンドウの隣を通りすぎ、サトシとピカチュウは扉を潜り抜ける。
少し薄暗い階段を昇りきり、太陽が真上に輝くバトルフィールド。バトルフィールドを四方から囲う観客席には満席で、大勢の人々がアローラ……いやサトシと縁のある人も含めれば世界中から集っていたのだ。
「サトシ!!負けたら承知しないわよ!!」
「そうだぞ!!サトシ!!」
「頑張れよ、サトシ!!」
カスミ、タケシ、ケンジ
「サトシ!サトシなら勝てるかも!!」
「サトシ!絶対にチャンピオンに成ってね!!来年、僕絶対に挑戦するから!!」
ハルカ、マサト
「ホワイトとサトシ……どっち応援したら良いの!!」
ヒカリ
「サトシ!!私、四天王候補に選ばれたから!!サトシもチャンピオンになりなさい!!」
「サトシ!!ホワイトは強いけど、君なら勝てるよ!」
アイリス、デント
「サトシなら行けるよ!!ホワイトがどんなに強くたって!」
「サトシ」
「サトシ!!」
セレナ、シトロン、ユーリカ
「サトシ!!此処まで来たなら優勝だぞ!!」
「そうだよ!!打ち上げの準備は任せて!!」
「サトシ、僕達の分まで!!」
「サトシ!!私達の分まで!!」
「勝ってください!!」
「サトシ~アセロラちゃんの仇をとって!!」
カキ、マオ、マーマネ、スイレン、リーリエ、アセロラ
サトシと共に旅をしたり、学んできた仲間達がサトシを応援する。
「ああ……そして来たか」
唯でさえ此処は雲より高い山頂に作られたバトルフィールド兼リーグ本部。その頂より高く、紅い彗星が空を横切った。その彗星はギュゥン!!と方向を急転換させて此方……バトルフィールドに向けて高速で堕ちてくる。そしてその彗星は逆噴射を決めて、周囲に被害を出すこと無く降り立った。
「やあ、お兄ちゃん」
それはパルデアでの冒険を終えて常時完全体と成っているキュレム・オリジン。そしてキュレムに育てられている、今……もっとも強いトレーナーの1人 古代イッシュ出身(厳密には並行世界)、イッシュ育ち本籍はシンオウ地方カンナギタウンのホワイトである。
ホワイトはキュレムから降りる。ホワイトの腰にはライドポケモンを含めて、腰に7つのモンスターボールがセットされている。1つはキュレムの物であり、後はバトルで使うものだろう。
『さあ、此処でお待ちかねの選手が揃ったな!!決勝はフルバトル……なんだが!!なんと普段はバトルで使えない伝説のポケモンを含めた7対7の特別フルバトルで行うぞ!!
とは言え、リーグ公認試合と成るから伝説のポケモン同士のバトルは勝敗に関係無い。だけど、盛り上がること間違いなしだ!!』
決勝は本人同士の意向によりフルバトルで行われる。だが、折角の決勝だ。どうせなら完全体キュレムも見てみたいと思った人達も多い。そこでククイ博士ことリーグ委員長は考えた。特別に枠を1つ増やし、その枠で完全体キュレムVS伝説のポケモンとすることにしたのだ。
リーグ公認試合なので、特別枠のキュレム・オリジンVS伝説のポケモンはエキシビション扱いと成ってしまうが別に良いだろう。
「じゃあ、キュレム?レッツショータイム!!」
『良かろう』
翼を広げ、発動機が起動してキュレム・オリジンがバトルフィールドに降り立った。
「良し……出番だぞ!!ミュウツー!!」
サトシは考えた。キュレム・オリジンと互角に戦うことが出来る伝説のポケモンを、ギラティナはタイプ相性が悪い。アルセウスを呼ぶと頂上決戦でアローラが大変なことに成る。そこでサトシはレッドと相談した、その結果……とあるミュウツーをレッドから譲り受けたのだ。
『おおぅ圧政者よ、汝を包容せん』
ミュウツー・マサラの姿が再びアローラに顕現された。
「「「おまえかーーーーい!!」」」
そしてミュウツー・マサラの姿を知る人々から一斉に、ツッコミが響いた!!
アローラリーグ決勝戦……スタート!!
次回、ツッコミククイ博士、解説リンドウによるミュウツー・マサラの姿VSキュレム・オリジン
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