リンドウとの電話を終えたサトシ。
彼はラティアス(人モード)と共にテレビの前に座り、サトシは膝の上にピカチュウを乗せて、ラティアスはモクローを膝の上に乗せてテレビを見ていた。2人ないし2匹の視線はテレビに釘付けと成っており、他の事には興味を一切示さない。
「ククイ博士、サトシが見てるのってもしかして」
「リンドウのチャンピオン時代の戦闘記録だ。今もチャンピオンだけど」
セレナがククイ博士に問い、ククイ博士が教えたようにサトシ達が見てるのはリンドウがチャンピオン時代(ダイゴさんの引退でチャンピオンに戻ったが)…高専在籍中のチャンピオンだった頃の防衛戦の映像だ。
ダイゴさんとミクリ君がアローラに来たとき、ダイゴさんからサトシ達の後学の為に渡された映像記録であり…ネットを探せば見れない事も無いが…やはり、手元に有るのならそれを見るに越した事は無いだろう。
「「…………」」
「ピカチュ…」
『リーフィア!マジカルリーフで翻弄しろ!』
画面に映るリンドウは若い。歳は十代半ば程だろう。彼のパートナーであるリーフィアはマジカルリーフを用いて、無数の葉っぱを生み出し…それを自在に操る。
やがて、葉っぱは相手のポケモンであるトドセルガを覆い、リーフィアはその場から消える。
『何処に…何処に行った!?』
相手のトレーナーは焦る。あろうことか、リーフィアはマジカルリーフの葉っぱを足場にして、立体的に電光石火で移動しているのだ。
その上、移動しながら剣劇の音が聞こえる。リーフィアの攻撃を強める剣の舞いと呼ばれる変化技(一部の廃人は積み技と呼ぶ)だ。
『トドセルガ!後ろだ!!』
チャレンジャーが叫び、トドセルガは後ろを振り向く。しかし、時は遅い。リーフィアはリーフブレードの一撃でトドセルガを倒してしまった。
『リーフィア、バトンタッチ。行け…ボス』
リンドウはリーフィアをバトンタッチで戻し、次にボスゴドラを繰り出した。
『諸刃の頭突き!諸刃の頭突き!諸刃の頭突き!!そして諸刃の頭突きだ!!』
その後はチャレンジャーのトラウマであった。リーフィアの何度も積まれた剣の舞いで攻撃力が跳ね上がり、その力をバトンタッチで引き継いだボスゴドラの諸刃の頭突き。最早、オーバーキルと言える代物であり、その上ボスゴドラは特性 いしあたまの影響で諸刃の頭突きの反動を一切受けない。
その結果…見事にチャレンジャーは他のポケモンをボスゴドラの手で粉砕されて、見事に敗北した。
「凄いな…」
だが、参考に出来る部分は多い。モクローの木の葉はリーフィアのマジカルリーフと同じく、弾幕と目眩ましに使えるかも知れない。それで時間を稼ぎ、ラティアスには瞑想で能力を上げて戦う戦法だ。
ククイ博士から聞いた事だが、ぬしポケモンと戦う際はダブルバトルに成るそうで…それならば、木の葉の目眩ましからのラティアスの積み等が充分に可能だ。
色々と学ぶ所は多い。サトシはリンドウのビデオを後、二種類ほど見てから明日に備えて眠るのだった。因みにそのビデオには、けーねことケイネ先生が若リンドウに倒される動画も有った。
当時のけーね先生の手持ちはギャロップ、ラムパルド、ズガイドス、バッフロン、ハガネール、ヘラクロスであった。
翌日。
サトシはハラに連れられて、ぬしポケモンが住まう神聖な洞窟の前にやって来ていた。
勿論、サトシの肩にはピカチュウが乗っており、隣には人モードのラティアスが立っていて、リュックにはモクローが入っている。
「サトシ君。この洞窟にはデカグースとヤングースが住んでいます。そして、住まうデカグースの一匹はぬしポケモンと呼ばれていて…カプ神から力を授けられておりますぞ。
ぬしポケモンは島巡りの試練にも昔から協力し、君達がぬしポケモンであるデカグースを倒せば無事に試練は達成です」
「ハラさん。ぬしポケモンを倒しても…彼等は力を貸してくれるんですか?」
例え、ぬしポケモンであるデカグースを倒しても…彼等がメレメレ島で悪さをするラッタ達を退治するのに協力してくれるかは分からない。
あのラッタ達を追い出さないと、農業の人や、商業の人達、そして野菜や木の実をスーパーや露店で購入するククイ博士やリンドウが迷惑するのだ。
「大丈夫ですぞ、ぬしポケモンは力を認めた相手には必ず力を貸してくれます。では行きますぞ」
ハラはそう言い、サトシ達は洞窟の奥に進む。すると、ポケモン勝負を行える充分に広い開けた場所にやって来た。
「ぬしポケモンデカグース!島巡りの試練を行う為に、チャレンジャーが来たぞ!
試練の相手をしてやってくれ!!」
ハラが告げると、何処からかヤングースとデカグースが出てきた。
「ハラさん、あれがぬしポケモン?」
「いいえ違いますぞ。彼等はぬしポケモンの仲間です。ですが、戦う必要は有ります」
言わばぬしポケモンの前座のような役割、カントーやホウエンのポケモンジムで例えればジムリーダーの前に戦うジムトレーナーのような役割だろう。
「彼等はリンドウ君曰く、カントーのジムトレーナーのような役割ですな。ぬしポケモンに挑む資格が有るのかをバトルで確かめますぞ」
「良し!ラティアス!君に決めた!」
サトシがそう言うと、ラティアスは頷いて人の姿からポケモンの姿に変わる。
話には聞いていたが、ラティアスが人からポケモンに変わった為か、ハラは驚いて目を開く。
「そしてモクロー!君に決めた!!……アレ?」
サトシは続いてモクローを繰り出そうとした。しかし、モクローは鞄から出てこない。不審に思ったサトシは鞄を覗くと…モクローはグースカ、グースカと眠っていた。
「モクロー!?」
「ピカピーカー!!」
モクロー、気持ち良さそうに眠っているが…サトシに叩かれて起きる。
「くる?ぽっ!」
目を覚ましたモクローは鞄から飛び出して、ラティアスの横に並び立つ。これで、戦う準備はバッチリだ。
「では…これより、島巡りでの試練を始める!!試合始め!!」
ハラの声と共にデカグースとヤングースは走り出した。それと同時に砂を巻き上げるように投げる。砂かけを用いた撹乱だろう。
砂が巻き上げられ、上手くヤングースとデカグースの姿が見えない。突然の事で驚くモクローとラティアスだったが、考える暇を与えさせてくれるほど敵は優しくない。
刹那、モクローとラティアスに強い衝撃が襲い掛かる。ヤングースとデカグースの体当たりだ。
「くる!?」
「クーン!?」
死角からの体当たり。その上、モクローとラティアスは戦い出してから日が浅く、ピカチュウは兎も角…ゲッコウガやリザードンというサトシの切札と比べるとレベルも未だ低い。
中々の痛手を受けたが、直ぐにラティアスとモクローは敵の方を見る。デカグースとヤングースは大きく口を開けている。噛み付く攻撃だろう。悪タイプの技であり、直撃を受ければ効果抜群でラティアスはひとたまりも無いはずだ。
「ラティアス!モクロー!飛ぶんだ!!」
ラティアスとモクローは空を飛べる。それに対してデカグースとヤングースは飛べない。空からの攻撃が有利だろう。
飛び上がり、噛み付く攻撃を回避したモクローとラティアス。サトシは続いて指示を出すのだ。
「モクロー!あの時、テレビで見た時のように木の葉で撹乱だ!!
ラティアスは木の葉の影に隠れながら、瞑想だ!」
モクローは木の葉で弾幕を作り、敵を撹乱する。その間にラティアスは瞑想を続けて行う。瞑想は特攻と特防を上げる技であり、ラティアスは今の内にそれを何度も続けて行う。
「デカ!!」
「ヤン!!」
しかし、木葉の撹乱も時間稼ぎ程しか行えない。ヤングースはデカグースが砂を投げて、木の葉が消えた隙からラティアスを見付ける。
「モクロー!体当たりだ!!」
「くるっぽぉぉぉおお!!」
モクローは音もなく消えることが出来る。モクローはそれを利用し、既にヤングースの真後ろに回り込んでいたのだ。
不意打ち同然のモクローの攻撃を受けたヤングースは一撃で倒れる。
「デカ!?」
その事に気付いたデカグース、だが遅い。
「ラティアス!アシストパワー!!」
アシストパワーは瞑想等で自分の能力が1段階上がると威力が20づつ上がる技だ。今の間にラティアスは瞑想を三回行っており、アシストパワーの威力は140…タイプ補正と上がったラティアスの特攻も考えればとんでもない爆発力を誇る。
「デカグースゥゥゥ!?」
強力な衝撃波がデカグースを襲い、デカグースは一撃で倒れてしまった。恐るべし、アシストパワー。
「良し!」
「ピカピカ!」
「クー!」
「クルッポ!」
先ずは前座の2匹を倒し、ぬしポケモンへの道を切り開いたサトシ達。だが、ずしんと音が響いて前を見ると…先程のデカグースの3倍以上の大きさを持つデカグース…ぬしポケモンが現れたのだ。
正にぬしグースと呼べる程の体躯を誇り、雄叫びを挙げただけで衝撃波が周囲に響く。
「デカグゥゥゥゥス!!」
「でかすぎだろぉぉおおおおお!!」
「彼こそがぬしポケモン!!サトシ君、今こそ力を証明するのです!!」
そう、このぬしポケモンことぬしグースを倒さねば、試練は達成できない。
ぬしグースは砂を手に一杯持ち、それを投げるために大きく振りかぶった。
「ラティアス!リフレクターだ!斜めに張ってくれ!」
嫌な予感がしたサトシはラティアスに指示を出し、リフレクターを斜めに展開させる。斜めにリフレクターを張ることで、衝撃を斜めに受け流し…より攻撃を防ぐ事が出来るのだ。此方はグリーンの教えである。
「デカ!!」
デカグースは全力で砂を投げ付ける。投げられた砂は散弾銃の弾丸のように飛んで行き、凄まじいパワーを誇る。
最早、砂が凶器…それほどの力をこのデカグースは持っているのだろう。
その証拠にリフレクターは一撃で大きな亀裂が入ってしまった。
「デカ!!」
ぬしグースが手にしたのは…大きな石だ。その石を投げつけ、リフレクターを破壊してラティアスを倒すつもりだろう。
「モクロー!さっきと同じく木の葉だ!ラティアスは高速移動でその場から逃げろ!!」
モクローが木の葉で弾幕と目眩ましを行い、ラティアスは高速移動で素早さを上げてその場から消える。
ぬしグースに投げられた石はリフレクターを一撃で粉砕し、大きな衝撃を与えた。
「一撃でも食らったら不味い!!ラティアス!アシストパワーだ!!」
「クーン!!」
高速移動でパワーアップしたアシストパワー。その威力は破壊光線を上回る180…その衝撃波は凄まじく、ぬしグースを一撃で壁に叩き付けた。
「デカグ!?」
「モクロー!体当たりだ!!」
「くるっぽぉぉぉおお!!」
モクロー渾身の体当たりはダメ押しのようにぬしグースにダメージを与え、ぬしグースはその場に崩れ落ちた。
「この試練!挑戦者サトシの勝利!!」
サトシ、無事に試練を突破する。だが、サトシ達はぬしグースが心配なのか…ぬしグースに近付く。
「デカグース…」
「デカグ…」
大丈夫だと言うかのように立ち上がるぬしポケモン。すると、ぬしグースはサトシに1つの何かを手渡した。それは…なんと、ノーマルのZクリスタルだったのだ。
「良いのか?」
「デカグース!」
(まさか…ぬしポケモンがZクリスタルを手渡すとは…サトシ君、君はやはり…不思議な子だ。カプ・コケコが気に入るのも当然だ)
サトシ、ノーマルZを手に入れる。しかし、未だ終わりではない。
「デカグース…町からラッタを追い出すのを手伝ってくれないか?」
「デカグース!!」
ぬしポケモンは力を認めたトレーナーには進んで力を貸し出す。それが島の為なら当然だ。アローララッタ終了のお知らせである。
翌日、ぬしグースとデカグース、ヤングースにボコボコにされて、メレメレ島で悪さをしていたラッタ達はメレメレ島を後にしたらしい。
「サトシ君。君は面白い子だ。私の身勝手ですが…大試練の際…私の本気のパートナーを2人、加えても宜しいですかな?」
「えぇ!!俺達もです!!ハラさんの本気のパートナーとも戦いたいです!!」
サトシ。モクロー、ラティアス、ピカチュウ、リザードン、ゲッコウガ。
ハラ。???、???、???、ハリテヤマ。
ハラは島巡りを初めて行うチャレンジャー向けの2匹、そして本気のパートナー2匹を連れてサトシの大試練を行う。
「大試練は明後日。最高の勝負を行いますぞ!」
次回…大試練の前に日常パートを2から3挟みます。
次回!モスラのお陰で早まったシロンの孵化!?
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