ぬしグースとヤングース、デカグースの手で野生のラッタ達が追放されてから三日後。
約束通りにサトシの大試練の日がやって来た。大試練、それは通過儀礼(参加自由)の島巡りの節目として行われる試練であり、島巡りの試練を終えた挑戦者が島キング又は島クイーンに挑み力を示す行事だ。
島キングは島の守り神であるカプ・コケコ等のカプに定められた人達であり、人格及び実力も高い。普通に戦えば子供達は先ず勝てない。
その為か、島キングや島クイーンは挑戦者の実力に合わせて相応しいポケモンを使う。初めて島巡りに挑んだ子供達が戦う大試練では…そこまでレベルが高くないポケモンであり、発展途上のポケモンしか島キングは使わない。それに対し、経験を踏んで他の島の大試練を終えた挑戦者にはそれ相応の力を持ったポケモンを繰り出してくるのだ。
しかし、相手は島キング。実力は高く、弱いポケモンを使ってるとは言え…生半可な実力では勝つことは不可能だ。
「レッド…サトシの奴、大丈夫だっピ?」
「………」
大試練を行うのはメレメレ島に有るハラの自宅。その前に有るバトルコートであり、ハラとサトシはバトルコートの対極の場所に立っており、お互いにボールを投げる準備をしている。
審判を務めるのは学年主任であるククイ博士であり、ギャラリーとしてレッドとピカ様そしてギエピーが来ている。だが、サトシのクラスメートやリンドウ達は来ていない。当たり前だが、リンドウ達は授業が有り…サトシは公欠という形で大試練を行うのだ。
「……ピッピ。サトシは俺を越えると言った。ならば…出来るさ」
サトシの夢はポケモンマスター。最強のポケモントレーナーに成ることであり、現ポケモンマスターでありカントーチャンピオンのレッドを越えることだ。
ならば…従兄としてはサトシの夢を応援し、何れは挑戦者として挑みに来るサトシを応援するだけである。
「ハラさんの本気は四天王に匹敵する。そのハラさんの本気のパートナーを2匹と、島巡りの最初に行う大試練用のポケモンを相手にするんだ。
大試練のポケモンは兎も角、本気のパートナーは強いだろうし…仕込みはしている。だが、サトシのリザードンとゲッコウガも四天王クラスのパートナーには匹敵する」
レッドはゲッコウガ以外のサトシのパートナーの事を良く知っている。ゲッコウガもカルネから貰ったカロスリーグの映像越しだが、普通のゲッコウガでは無いことは知っている。
その彼の経験からして、レッドが最後の仕上げを行ったサトシのリザードン、前代未聞の力を秘めたゲッコウガがサトシと力を合わせれば本気のハラのパートナーを倒すことは充分に可能だ。しかし、ハラは現役何十年というベテラン。その経験を用いて、サトシの不動のエースであるリザードン、切札であるゲッコウガを倒すことも出来るだろう。
「ピカチュウ…ピカピカ」
「そうだな…俺達は見守るしか出来ない。だから、サトシ…必ず這い上がってこい。頂にて、お前を待つ」
レッドはそう言い、ピカ様と共にサトシを見る。サトシの肩にはピカチュウが乗っており、隣には人モードのラティアスが立っている。だとすると、サトシが持っているボールは間違いなくモクローが入ったボールだろう。
審判を務めるククイ博士がハラとサトシを交互に見る。そして彼は大試練の開始を告げた。
「これより、メレメレ島の大試練を開始する!
島キングのハラさんに挑むのは挑戦者のサトシ!ハラさんの使用する手持ちは4匹、サトシの使用するポケモンは5匹とする!では始め!」
「行きなさい!マケンカニ!!」
ハラはボールを投げて、カニのようなポケモンを繰り出した。
「マケケン!!」
このポケモンはマケンカニ。格闘タイプのポケモンであり、アローラ地方に生息するポケモンだ。ボクシンググローブのようなハサミで殴ったり、挟んだりして戦うポケモンである。
「さてと…サトシ君。最初は誰で来ますかな?モクロー君?それともラティアスさん、又はピカチュウ君ですかな?」
「最初はコイツって決めてます!!行け!モクロー!」
サトシはボールを投げて、モクローを繰り出した。
「くるっぽ!!」
モクロー、今日は大試練の日だった為か、珍しく起きていてやる気はばっちしだ。当然だ、彼もこの大試練の為に島巡りの試練を受けて、ラティアスと共にぬしグース達と戦ったのだ。
先鋒として、既にやる気MAXであり、眠気の心配も無いだろう。
「モクロー!つつく!」
マケンカニは格闘タイプだ。その為に草・飛行であるモクローの方が断然有利であり、つつくは効果抜群だ。
「マケンカニ!グロウパンチで迎え撃ちなさい!!」
マケンカニの拳が光る。格闘タイプの技であり、攻撃と同時に攻撃力を上げるグロウパンチだ。つつくとグロウパンチが激突し、辺りに衝撃波が巻き起こる。モクローは嘴を用いて攻撃しているが、マケンカニはまだ片腕が空いている。
マケンカニは空いた片腕で、モクローの足を挟むように掴んだ。
「くる!?」
「ぶんまわし!!」
マケンカニはまるで、円を描くようにモクローをブンブンと振り回す。このことにより、モクローの体は前後左右にシェイクされ…脳が揺さぶられて意識が飛びそうに成る。
「モクロー!!」
「そして当て身投げ!!」
「マケケン!!」
マケンカニは渾身の力で地面に向けてモクローを投げ付ける。モクローは物凄い音と共にワンバウンドして、地面に倒れるが何とか立ち上がる。
「モクロー…大丈夫か!?」
「くる!」
「よし、モクロー!試練の時と同じく木の葉で目眩ましだ!!」
モクローはサトシの指示に従い、木の葉で弾幕を放って姿を眩ます。
すると、モクローはマケンカニの真後ろに音も立てずに移動していたのだ。
「モクロー!つつくだ!」
「くる!!」
不意打ち同然のつつく。それは急所に当たり、マケンカニは一撃で倒れてしまった。
「マケンカニ戦闘不能……えっ?」
審判を務めてるククイ博士はマケンカニの戦闘不能を確認した。しかし、それと同時に…………モクローの睡眠も確認したのだ。
モクロー、疲れはてて眠る!!
「きっと、疲れてて眠ってしまったのでしょう」
ハラはマケンカニをボールに戻し、次のポケモンが入ったボールを取り出す。
「そうか…ありがとうモクロー。良し!次はピカチュウ!頼むぞ!」
「ピカピ!!」
サトシはボールにモクローを戻し、代わりにピカチュウを繰り出した。ラティアスでも大丈夫だったが、ラティアスは試練で活躍した…しかし、ピカチュウはモクローとラティアスの活躍で試練での出番は無かった。だから、今はピカチュウの出番なのだ。
「ほう!ピカチュウ君ですか。では行きなさい!マクノシタ!」
「マク!」
ハラはマクノシタを繰り出した。マクノシタはハラの切札でもあるハリテヤマの進化前であり、最初の大試練を行う挑戦者の最初の関門として立ちはだかるポケモンだ。
「ピカチュウ!電光石火だ!」
「マクノシタ!ビルドアップ!!」
ピカチュウは電光石火で加速し、マクノシタはビルドアップで全身の筋肉を肥大させる。
「ピカ!?」
「マクノシタは初めて大試練を受ける子供達の関門。簡単には突破出来ませんぞ!ピカチュウ君!!」
されど、進化したマクノシタの筋肉の前にはピカチュウの物理攻撃は無意味。ピカチュウの電光石火はマクノシタの分厚い胸板で防がれてしまった。
「マクノシタ!つっぱり!!」
「ピカピーー!!」
そしてパワーアップした腕力を用いて、マクノシタはピカチュウを突っ張で吹き飛ばす。
大ダメージを受けたピカチュウだが、彼はサトシと共に多くの冒険を経験した。この程度では倒れない。
「ピカチュウ!もう一度電光石火だ!!」
「さあ!来なさい!!サトシ君!ピカチュウ君!!」
ピカチュウは電光石火で加速し、あろうことかマクノシタの足元にしがみつく。
「今だ!!ほっぺすりすり!!」
ほっぺすりすり。可愛らしい技だが、効果は凶悪だ。相手を麻痺状態にして、尚且つダメージを与えるのだ。
麻痺状態に成ったマクノシタは上手く動けない。
「そして!!レッドさんのピカチュウ直伝のじゃれつく!!」
「ピカピ!!」
じゃれつく。フェアリータイプの物理技であり、格闘タイプに効果抜群だ。じゃれつくを用いたピカチュウは…可愛らしいエフェクトと共にマクノシタをじゃれつくようにボコボコにする。そして、アッパーと共にマクノシタを倒した。
「ピカ!!」
「マクノシタ戦闘不能!」
マクノシタ…戦闘不能。ピカチュウとサトシ、本来なら大試練は達成だが、今回はハラの希望で特別ルールでハラの手持ちが増えている。
「流石ですな…ではサトシ君!!此方も本気で行きますぞ!!」
ハラは倒れたマクノシタをボールに戻し、新たなポケモンを繰り出した。それはより拳が発達し、白い体が特徴のマケンカニの進化系 ケケンカニである。
「ケケーン!!」
「さあ!サトシ君、次は誰で来ますかな?」
「ピカチュウ!戻ってくれ!次はコイツだ!」
ピカチュウはサトシの側に戻り、サトシは新たなポケモンを繰り出した。
それは自身のエースとも言えるポケモン リザードンであった。
「ぐぉぉおおお!!」
「頼むぞ!リザードン!!」
正に本気のバトルが始まろうとしていた。
「リザードン!火炎放射!!」
リザードンは大きく口を広げ、口から火炎放射を放つ。火炎放射は真っ直ぐにケケンカニに向かっていき、直撃を受ければケケンカニはひとたまりも無いだろう。
「ケケンカニ!ストーンエッジで壁を作り、火炎放射を防ぎなさい!!」
「ケケーン!!」
ケケンカニは地面を叩き、ストーンエッジを使う。ストーンエッジを応用し、岩棘の壁を作り出して火炎放射を防いだ。
「なっ!?」
「グロウパンチ!!」
更にケケンカニはグロウパンチで拳を固くして、岩壁を殴る。そして、砕けた岩壁を掴み…
「リザードンに向けて投げつけなさい!!」
リザードンに投げつける。アップした腕力から投げられた岩片はマッハで飛んでいくが、リザードンは冷静に回避する。
――遅い…俺が修行したオーキド研究所にはお前ほど強い奴は沢山居た。
だが、ハラとケケンカニは知らない。リザードンが修行したオーキド研究所というシロガネ山真っ青な魔境の存在を。
ファイヤー、サンダー、ミュウツーが謀反を行い…レッドとグリーンとリンドウとブルーが嘗て鍛え上げたポケモン達、レッドが捕獲した伝説のポケモン達が居る魔境を。
そんな魔境で修行し、その上でレッドの手で直接鍛えられたリザードン…どちらが勝つのかは誰にも分かるだろう。
「リザードン!竜の舞いで加速し、フレアドライブだ!!」
竜の舞いで加速したリザードン。そしてそのままフレアドライブで、全身に火炎を纏ったリザードンはケケンカニに突撃し…ケケンカニを一撃で倒してしまった。
――悪いが、ケケンカニ。俺は越える壁が二つ有る。1つは最強のじしん?を使うリザードン、もう1つは…
リザードンはサトシの元に戻り、レッドのピカチュウを見る。
――いつか、必ずそこに俺達は這い上がる。
「ケケンカニ戦闘不能!!」
「サトシ君、リザードン君…お見事ですぞ!いきなさい!!ハリテヤマ!!」
遂にハラは切札であるハリテヤマを繰り出した。
「リザードン…次はコイツを使って良いか?」
サトシの意思を尊重し、リザードンは頷く。そして、サトシはボールを投げて切札を出した。
「行け!!ゲッコウガ!!」
「コウガァァ!!」
サトシが誇る絶対切札が…アローラに来てから遂に戦う時がやって来た。
「ハリテヤマ!!腹だいこ!!」
腹だいこ。それは自分のお腹を太鼓のように叩き、闘争心を全開にして攻撃力を限界まで引き上げる技だ。
「そして…つっぱり!!」
ハリテヤマは地面を蹴り、瞬時にゲッコウガの眼前に移動する。サトシとゲッコウガは僅かな一瞬で理解した、先程までハリテヤマが立っていた所は…大きく抉れており、ハリテヤマは跳ね上がった攻撃力を用いて地面を蹴り瞬時に移動したのだ。
「ゲッコウガ!身代わりだ!!」
「コウガ!!」
ゲッコウガは瞬時に身代わりを用いて、ハリテヤマのつっぱりを瞬時に回避する。直撃を受ければ、間違いなく倒される。
「おみごと」
「ゲッコウガ!つばめがえし!!」
ゲッコウガは水の忍者刀を産み出し、ハリテヤマに斬りかかる…だが、限界まで腕力が上昇したハリテヤマの豪腕はダメージを受けない。
「えっ!?」
「あてみなげ!!」
ハリテヤマはゲッコウガの腕を掴み、地面に投げつけた。
「ゲッコウガ!!」
「ピカピ!!」
効果は抜群だ。だが、何とかゲッコウガは立ち上がる。
「キズナ変化を使うべき…待てよ…ノーマルZが有ったよな?
ゲッコウガ!!Z技を使うぞ!!」
「コウガ!!」
サトシはノーマルZとZリングが有る。ならば、Z技を解き放てる筈だ。
その上、ゲッコウガはノーマルタイプの技も覚えているし、使える。
サトシはZリングにノーマルZをセットし、ゲッコウガと心を1つにしてZ技のポーズを決めていく。
ゲッコウガと心が1つになり、サトシのZ技は解き放たれた。
「これが…俺達の全力だ!!」
「コウガァァ!!」
「ウルトラダッシュアタック!!」
目にも見えない程の速度、そして凄まじい程のオーラを纏ったゲッコウガは一筋の光に成ってハリテヤマに突進する。
ここで1つ。サトシとゲッコウガは…前代未聞と言える程のキズナ現象を起こしている。キズナ現象には絆や信頼関係が必須だ、それは心を1つにしなければ使えない。Z技も同じであり…キズナ現象を使えるサトシとゲッコウガがZ技を使うと…
「やまぁぁぁ!?」
腹だいこで超パワーアップしたハリテヤマの筋肉にも衝撃が通り、ハリテヤマは一撃で倒れてしまった。
「ハリテヤマ戦闘不能!!この勝負!挑戦者サトシの勝ち!!」
サトシ、無事に大試練を突破する。
「サトシ君、大試練を突破した君にこれを…なっ!?」
――すまんなハラ。この子には格闘Zより、此方の方が良い
ハラはサトシに格闘Zを渡そうとしたが、何者かの手で電気Zにすり替えられていた。
「ピカチュウ…見えたな」
「ピカピ」
そして、その何かの正体にレッドとピカ様だけが目にして、誰なのか理解できていた。
とは言えサトシは無事に大試練を突破し、電気Zを手に入れたのだった。
次回…卒業生の帰還。
イリマ、自称現人神、裸族、チルノ兄、他の地方の偵察から帰還する。戻ってきた訳?パンケーキです
剣盾リストラ勢で、サトシの手持ち(新規)に欲しいアンケートを取ります。場合によっては全部採用するかも
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準伝説のラティアスたん(アルトマーレ)
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600属の卵をグリーンから貰う
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吸血強化の元凶 マッシブーン!!
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あの赤ちゃんロコン貰えば?