カントー出身の俺氏、南国で教師をする。   作:静かなるモアイ

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さあ…サプライズを始めよう。


4時限目

放課後から約3時間後。多くの生徒達が放課後のお楽しみタイムを終えて、家々に帰っている頃。

 

リンドウは職員室で黙々と作業をしていた。研究者としてポケモンの資料の纏めるのは勿論のこと、今日残業してるのは別の理由も有る。サトシの事である。

サトシも今日から改めてポケモンスクールの生徒に成ったのだ。そのサトシの為にも、彼のデータを纏めるのは担任として…彼が一人前の優れたトレーナーに成るためにも必然的に行う必要が有る。

 

「流石に…様々な地方を冒険し、ジムバッジを集めただけは有るな。こりゃ、少し鍛えて型を仕込めばリーグ制覇も出来るんじゃないのか?」

 

纏めた今のサトシの資料と、自分が担当する他の生徒の資料を見比べる。

 

「Z技に頼らず、機転に優れる。ふむ…それに比べて、カキは同世代の中では強いが…Z技に頼りすぎる所が有るからな」

 

自分の担当する生徒には強くなってもらわねば困る。少なくとも、リンドウが更正(物理と指導)させた元チンピラ集団 スカル団のボスで今はカントーやジョウトを巡ってる虫使いのトレーナーの修行前程まで強くなって貰わないと困るのだ。

少なくとも、再来年…いや、来年までにだ。今年中に課題点に到達すれば万々歳だろう。

 

「リーリエは兎も角、アイツ等にはアローラリーグが開催し、本格的に()()()が始まる頃までにはジムリーダーを務めて貰わないとな」

 

サトシ達のデータをファイルに仕舞い、リンドウは1枚の資料を引き出しから取り出した。

 

その資料にはアローラリーグ本格開催の草案が書かれていたのだ。今年度には第一回を開催し、第一回は記念すべき大会なので各自エントリー制。そこから暫くした年からは通過儀礼である《島巡り》を達成した者かアローラリーグ公認のジムに挑み、8つのバッジを手に入れたトレーナーで予選を行い、残ったトレーナーで本選、本選を勝ち抜いた一人が…ジムリーダーと島キングを含めたトーナメントで戦い、最後に勝ち残った者がチャンピオンと戦う流れである。

 

とは言え、正式にジムリーダーが決まるまでは暫くの時間を有するのは間違いない。候補は既に絞られているが、未だ育つには時間がかかるのだ。

 

現在、リンドウを含め…ククイ博士を筆頭とした人物はアローラリーグを開催する為の準備を行っており、その中でもリンドウは未来を担うジムリーダーの選抜を任されているのだ。

 

「遅いと思えば何を見てるのよ」

 

その声が聞こえると、何者かがリンドウの持つアローラリーグの資料を奪い取る。何事かと思い、リンドウが後ろを振り向くと…ポケモンスクールのカフェテリアで待っていた筈のブルーだった。

 

「ブルー…カフェで待ってろと言っただろ?」

「遅いから来たのよ。もう、カフェは閉まっちゃったわ。

あら?何々?アローラリーグ開催の草案?アローラでポケモンリーグを開くの!?」

 

リンドウは仕事が遅くなると思い、ブルーにカフェテリアで待つように伝えていた。ふと、左手首に付けている腕時計を見るリンドウ。確かに時間は午後7時であり、カフェテリアは見事にラストオーダーを終えて閉店を迎えていた。

 

「こりゃ…確かに遅すぎたな。ブルーの歓迎会もしないといけないし、今晩は俺の奢りで食べに行くか。ポケモンも一緒に行ける、旨い店が有る」

「それは良いわね!ご馳走になるわ。あれ…これ、四天王は無いの?」

 

そう…アローラリーグは将来的にジムリーダーの就任は決まっているが、四天王の事は一切書かれていないのだ。四天王はジムリーダーよりも強く、チャンピオンの所に辿り着く前の最後の関門だ。カントーやホウエンは四天王を採用しており、リンドウがチャンピオンだった時代でも四天王達がリンドウに挑む程のチャレンジャーか確かめていた程だ。

 

「流石に…四天王を探し、選ぶには時間がかかり過ぎる。それに、今は四天王が居ない地方も多いしな…ガラル等が正にそれだ。

唯でさえ、ジムリーダーを選ぶのにも優秀な子供を鍛えないといけないのに…四天王なんざ、探せる訳が無い」

 

アローラの人口はカントー等と比べると遥かに少なく、その分優秀なトレーナーの数も限られる。そんな中で、四天王を任命しようとすればジムリーダーさえもマトモに探せないだろう。

 

「成る程ね…」

「既にノーマルと虫のジムリーダー候補は決まってる。後、6人だ…だが、4人の候補は既に見付けてある」

 

そう…4人の候補は決まってる。タイプもある程度は拘りが有り、その上素質も高い。打ってつけの候補が4人も居るのだ。

 

「まあ…他の地方と同じくジム制兼島巡り制に成るのは早くて2年位だけど」

「でしょうね…」

 

炎、水、草、電気。その4つのタイプを使うジムリーダー候補なら既にリンドウが教室で鍛えているのだ。

 

「そのアローラリーグのこと、カキ達には言うなよ?完全なサプライズだからな」

「勿論よ!」

 

リンドウはブルーからアローラリーグの草案を返して貰い、大事そうに引き出しの中に仕舞った。

 

「ところで、何処に食べに行くの?」

「マオの実家であるアイナ食堂だ。味は物凄く旨いぞ」

 

 

 

アイナ食堂。そこはマオの実家であり、メレメレ島に存在する。木の実や自然本来の食材を用いた美味しそうな料理は大変人気であり、マオの父親が店長、マオが看板娘として切り盛りしてるのだ。

 

そのアイナ食堂は大勢の客が入れる屋内は勿論、雨天は使えないが大型のポケモンとも共に食事を楽しめるテラス席も有るのだ。

 

そのアイナ食堂の屋内ゾーンの一角には、看板娘のマオ、マオのパートナーであるアマカジ、スイレンとアシマリ、マーマネとトゲデマル、カキ、リーリエが座ってジュースを飲みながら会議を行っていた。

 

「それじゃあ…作戦会議!サトシとブルーお姉さんの歓迎会の企画を話し合うよ!」

 

マオがジュースが入ったコップを掲げ、リーリエ達が頷く。そう…彼女達は新たにクラスの仲間に入ったサトシとピカチュウ、そして臨時講師(ぶっちゃけ副担任?)のブルーの為に歓迎会を企画している所なのだ。

 

「ここは…皆で1つ、サプライズを用意してブルーさんとサトシを楽しませるのは?」

 

そう言ったのはリーリエだ。

 

「確かにそうだね…サトシはポケモン勝負が好きと言ってたけど」

「様々なレクリエーションを含めた勝負は?駆けっこ+水泳対決や、風船割りごっことか」

「サプライズとしてのポケモン勝負はククイ博士と先生にしてもらおうか…流石にチャンピオンだった先生と普通に戦えるブルーお姉さんの相手は厳しいよ」

 

マオが考え込むように言うが、誰も返事をしてくれない。

 

「おっおい…マオ、後ろ…」

「あっ…終わった」

 

カキとスイレンがマオの後ろを指差す。何事かと思い、マオが後ろを振り向くと…なんとリンドウとブルーが居たのでした。

 

「あっ…ブルーお姉さんと先生」

「マオ…俺達は聞かなかった事にしとく。安心しろ」

「うん、安心して。明日のお姉さんのサプライズが丸聞こえでも、お姉さんは初見を演じるからね」

 

サプライズ…見事に露見してしまった。

 

見事にその場は沈黙してしまう。しかし、ブルーはパンパンと手を叩いて、笑みを浮かべた。

 

「はい!仕切り直し!仕切り直し!笑顔よ!笑顔!そんなんじゃ、運勢が逃げていくの!

今日はリンドウの奢りでパーと楽しみましょう!!」

 

確かにリンドウは貯蓄が沢山有る。リーグ優勝、準優勝、入賞の賞金は勿論の事、ホウエンチャンピオン時代の給与や現在の教師としての蓄えも沢山有る。

 

「「「ゴチになりまーす!」」」

 

――オーマイガー…まぁ、良いか。

 

そしてブルーの言葉により、リンドウはブルーと生徒達に晩飯をご馳走する事に成ったのだった。

 

場所をテラス席に移したリンドウとブルー、そして生徒達。今日は満点の星空が輝いており、彼等は外に有る席に座り、大型で店内で寛ぐのが難しいポケモン達もボールから飛び出して楽しそうに寛いでいた。

 

「ご注文は何にしますか?」

 

嘗て、リンドウの手で更正(物理)された元スカル団(チンピラ)だった女性店員が注文を聞きに来る。

 

「取り敢えず、本日のオススメ盛り合わせをパーティーサイズ、俺は飲み物でビールのグラスを」

「そんじゃ!私は生!」

「生?ですか?」

 

ブルーは生…生ビールを頼もうとしたが、それで生ビールと通じるのはカントーやホウエン、シンオウだけなのだ。

アローラで頼む際は生と言っても伝わらないのである。

 

「ビールの事だ」

「はい!所で、このお姉さんは兄貴の嫁さんですか?」

 

因みに元チンピラ集団の皆様は何故か、リンドウの事を兄貴呼ばわりしており、更正されてから非常に慕っている。

 

「いや、幼馴染みだ。所で、お前達は何か頼むか?」

 

注文を終えたリンドウとブルー。しかし、マオ達は未だ自分の飲み物は残っている。

 

「私達は飲み物が残ってるので…アローラサラダ盛り合わせ!!」

「じゃあ、私はアローラのZ魚尽くし!」

「俺はZステーキの大盛りを!」

「僕はZメガ進化パフェ!」

 

マオ、スイレン、カキ、マーマネが頼んだ品…それはこのアイナ食堂でも、中々にお高い料理であった。

 

「それじゃあ…あの、私はミックスジュースのおかわりを。ご飯は皆さんのを頂きます」

 

しかし、リーリエがリンドウに気を使い、リンドウの財布の負担は抑えられた。

 

 

 

そして、宴が終わる頃には…

 

「それじゃあ…お前達。気を付けて帰れよ」

 

見事に酔ってグロッキーに成ったブルーを背負い、レウスの背中の鞍に跨がったリンドウが生徒達を見下ろしていた。

そう…ブルーは物凄く酒が弱いのだ。

 

「うぐ!?はきしょう…」

「吐くなよ!?此処で吐くなよ!?普通にビール3杯…いや、ビールと飲みやすいカクテルだけで辞めとけよ!!

マジでゲロインに成るなよ!?数十秒の辛抱だからな?それじゃあ、また明日!」

 

リンドウがそう言うと、レウスは空高く飛び立ち…リンドウの社宅まで最短距離で帰っていった。

 

 

 

翌朝…7時半。

 

「お前達、準備は良いか?」

「「「「はい!」」」」

 

ポケモンスクールの正門の影に隠れサトシが来るのを待っているリンドウとその教え子、そしてブルー。

 

「あー…頭がズキズキする」

「ブルー…当分禁酒な?俺も呑まないから守れよ?あの後、お前の看病で俺は大変だったからな?」

 

二日酔いに成ったブルー。そして、その看病で殆んど寝ていないリンドウ。そんなリンドウの事を思ってか、後ろに控える彼のポケモンとブルーのポケモンは「うんうん」と頷いていた。

 

「ははは…ごめんね」

 

すると、ひそひそするようにマオがスイレンの耳に小声で話し掛けた。

 

「ねぇ…先生って絶対に良いお父さんに成れるよね」

「うん、成りそう。そしてブルーお姉さんが嫁さんに成りそう」

 

しかし、彼等が朝早くやって来た訳は単純だ。全てはサトシのサプライズの為である。サトシがやって来て、校門を潜る瞬間にアシマリのバルーンでサプライズを行い、それに続くように全員で出てくるのだ。

 

「今思ったんだが、サトシは何時位に家を出てるんだ?」

「ククイ博士の家で暮らしてるし、朝は早いんじゃないかな?」

 

カキとマーマネがそう言う。確かにサトシがいつ頃やって来るか分からない。

 

「8時半を過ぎるぐらいかもな。今日は起こさずに俺が先に出てきたから」

 

その声が聞こえると、リンドウ達の後ろからサトシの保護者であるククイ博士がイワンコをだっこして現れた。

 

「えっ?」

「起きれない事は無いんだが…年相応だな」

 

なんと言う事でしょう、サトシ君はお寝坊の可能性が出てきたのだ。

 

「とは言え、此処で待っていたら来るだろう」

 

だが、待てばサトシが必ずやって来る。

 

「レウスは大きいから目立つな…モスラ、空で待機して、サトシが来たら合図してくれ」

「ウル!」

 

ウルガモスはリンドウの指示に従い、空高く飛び上がる。そして、空中で停まった。

 

すると、暫くしてウルガモスが大きく旋回しだした。どうやら、サトシが近くに来ているようだ。その証拠に…

 

『親方様!!サトシ殿が300メートル範囲に入りましたぞ!!』

 

波動を用いた探索を行えるルカリオが告げる。

 

「サトシがもうすぐ来るぞ!」

「アシマリ!バルーン!」

「パウ!」

 

アシマリもバルーンを準備し、サトシとピカチュウを迎える準備は万端だ。

 

何やら「遅刻だー!なんで、博士は起こしてくれなかったんだ!?いや、走れば間に合う!行くぞピカチュウ!」とサトシの声が聞こえる。それから数秒後、サトシが校門を潜ろうとした。

 

しかし、アシマリのバルーンが炸裂してサトシは尻餅を着いてしまった。

 

「なんだ?」

「ピカピ?」

 

突然の事で何だか分からないサトシとピカチュウ。すると、サトシとピカチュウの前にリンドウ達が出てきた。

 

「「「「アローラサプライズ!!」」」」

「サプライズ?」

「そっサプライズだ。今日の授業はサトシとピカチュウの歓迎会だ。

サプライズはマーマネ、スイレン、カキ、マオ、リーリエの順番で行き…最後は俺達だ!」

 

此処に、サトシ君とピカチュウのサプライズが始まったのだった。

 

「あっ、私も戦うから」

「ブルーさんとも戦えるのか!?燃えてきたぞ!ピカチュウ!」

「ピカピ!!」

 

さあ…歓迎会を始めよう。




スカル団…リンドウの手で更正されていた(笑)

次回!サトシとピカチュウ…アローラサプライズを受ける。

サトシの昔のポケモンを合流させるか否か。もしかすれば、2つ以上採用するかも

  • 合流無しで、アニメ通りに
  • 良し!ゲッコウガ呼ぼう!
  • 良し!リザードンを呼ぼう!
  • いや、此処はジュカインだ!
  • 違う!マグマラシを呼んで、何時かバグフーンに!!
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