ニャビーがサトシの手持ちに加わり、涙の門出を迎えた翌日。
「シロデースナー!!」
怒りが頂点に達し、周囲の砂をかき集めて巨大な砂の城へと変貌したポケモン…シロデスナ。地面・ゴーストの複合タイプであり、特性の力で水タイプの攻撃が効かない強力なポケモンだ。
そのシロデスナだが、本来は頭の天辺にレーダーの役割をするスコップが付いているのだが…そのスコップの代わりに最近出番が殆ど無いロトムが逆さまで突き刺さっており…シロデスナの中には…
「助けてくれっピ!!」
ギエピーの姿が有ったのだ。
絶体絶命のギエピーとロトム。しかし、そんなギエピーを見上げ、囚われたギエピーには一切の同情を見せないリンドウ達。いや、寧ろ…自業自得であり、ギエピーの悪戯が無かったらこんな事には成らなかったのだ。
「「「自業自得だ」」」
事の発端は一時間前に遡る。
一時間前。
サトシは手持ちのポケモン達、ククイ博士とセレナ、そしてレッドとバグチュウ…問題児のギエピーと共にご近所の砂浜に来ていた。
「なんだか…久し振りだな、レッドさんと出掛けるの」
レッドは今までアローラリーグ開催の手伝いをしており、中々サトシ達に会う時間が無かった。しかし、今日は何とか自由な時間が取れて…こうしてサトシ達と共に出掛けたのだ。
砂浜にレジャーシートを広げ、海パン姿と成ったレッドとククイ博士は海で遊ぶサトシ達を見守る。マスコット(バグチュウ、ピカチュウ)、美少女(セレナ、人モードのラティアス)と戯れるサトシ……ぶっちゃけ、羨ましい光景だが気にしてはいけないだろう。
「しかし…サトシのラティアスはどうやって人に変身してるんだ?俺もトレーナーが使うラティアスは見たことが有るが、ああやって人に変身出来る個体は初めて見るぞ?」
サトシのラティアスは他のラティアスとは違う。人の姿に化けたり出来ており、明らかに普通の個体とは違うのだ。
「俺も…ラティアスとラティオスを持ってますが…彼等は人には成れませんよ」
「これはポケモンマスターも分からないか」
レッドもラティオスとラティアスを過去に捕まえて、今はオーキド研究所に預けている。しかし、レッドのラティアスとラティオスは人には成れないのだ。
ふと、レッドはギエピーの方を見る。ギエピーは何やら、スコップが上に付いた動く砂山をロトムと共に見ていた。この砂山には目と口が付いており、何処から見てもポケモンだ。
このポケモンはスナバア。地面・ゴーストタイプであり、シロデスナの進化前なのだ。
「バア?」
「変なスコップだっピ」
しかし、あろうことか…ギエピーは缶けりのように、スナバアの天辺に有るスコップを海に蹴り飛ばしてしまったのだ。このスコップはスナバアの感覚器官であり、人間で言えば鼻や耳と同じ役目をしている。
「すな!?すな!?バア!?」
スコップを失ってしまったのか、スナバアは慌てる。
「スナバアはスコップを感覚器官にして、周囲を探るロトム。スコップを失ったスナバアは、虫で言えば触覚を失ったも同然ロト」
ロトムの説明を受けて、ギエピーは考える。このままでは不味い、確かにスナバアの感覚器官であるスコップを海に蹴り飛ばしてしまったのはギエピーだ。
「代わりの物がいるっピ」
ギエピーは考える……スコップの代わりに成りそうで、尚且つスナバアの脳天に突き刺さり、感覚器官の代わりに成りそうな物を。
ふと、ギエピーはロトムを見る。ロトムの先端は尖っており、スコップの代わりにスナバアの脳天に間違いなく刺さるだろう。成らば、後は簡単だ。
ギエピーはロトムを掴む。
「良し!」
「なにするロト!?」
あろうことか…ギエピーはロトムを逆さまにして、スナバアの脳天に突き刺した。
「これでスコップの代わりに成るっピ!それじゃあ、僕はスコップを探して来るっピ!」
ギエピーは海に向けて歩き出す。ロトムがスナバアのスコップの役目を果たし、その間にスコップを探そうとしたのだろう。
しかし、スナバアの顔はどんどん怒りに染まっていく。
――この…変な物が妾のスコップの代わりだと!?ふざけてるのか!!
――実に嘗められた物だ!!妾の怒りを思い知れ!!
「ピ?」
スナバアの怒りは頂点に達した。すると…スナバアは眩い光を出しながら、形を急激に変えていく。これは進化の兆しだ。やがて、進化の光は収まり…スナバアは砂の城のポケモン…シロデスナへと変貌を遂げたのだった。
「シロデスナ!!」
「げぇぇぇ!?進化したっピ!?」
ギエピーはどさくさに紛れ、逃げ出そうとする。サトシ達の所に戻ればゲッコウガやバグチュウが助けてくれる。そう思って戦略的逃走を選択したのだ。
しかし、ギエピーは前に進めない。いや、寧ろ…どんどんシロデスナの方へと吸い寄せられていく。
「なんでだっピ!?」
確かにギエピーは前へ…前へと走っている。恐怖で冷や汗をかいたギエピーは足元を見る。ギエピーの周囲の砂はギエピーと共にシロデスナに吸い寄せられていたのだ。
恐る恐るシロデスナの方を振り向いたギエピー。シロデスナは周囲の砂を吸収しながら、どんどん体を大きくしており…現在の段階で3メートル程は有ったのだ。
「ぎぇぇぇええ!?どんどん大きくなっていくっピ!」
シロデスナの吸引力は身体が大きくなると、比例するように強くなり…周囲の砂とギエピーを一気に取り込んだ。
ギエピーを取り込んだシロデスナであったが、その大きさは10メートルを越える巨大な物に成っており…取り込まれたギエピーはシロデスナの体内から窓を見て…現状を知るのだった。
「なんだ?ありゃ?」
そして…買い物帰りのリンドウが遠くから、シロデスナの姿を確認する。リンドウはこのアローラで暮らしてから、スナバアやシロデスナの事も知っており…ここまでシロデスナが大きくなることは何かが有ったと理解した。
リンドウがシロデスナの所に到着すると、シロデスナの近くには…シロデスナと捕らわれたギエピー、そしてシロデスナの脳天に刺さったロトムを見上げるサトシ達が居たのだ。
「これは…何事?」
「ピッピがやらかした」
レッドの言葉を受けて、大体の事を理解したリンドウ。
「つまり…ギエピーがシロデスナのスコップをどっかにやって、代わりにロトムを突き刺した。その結果、シロデスナの逆鱗に触れて取り込まれたと」
「「その通り!!」」
「シロデスナ!!」
――スコップを探せ、さもなくば…このピッピの命は無い。
リンドウ達の脳裏にそんな言葉が聞こえたが…
「大丈夫。ソイツ、殺しても死なないから」
「俺のピッピはギャグ補正で甦るから安心しろ」
リンドウとレッドはシロデスナに向けてそう言った。
「と言うか…ギエピーの自業自得じゃないか」
「「「激しく同意!!!」」」
――えっ?仲間じゃないの!?そんな雑な扱いで良いの!?
「大丈夫。ピッピじゃなくてギエピーだから」
リンドウの言葉に同意するようにサトシとセレナが頷いた。
「だが…スコップは探してやらないとな」
その後…スコップは無事にリンドウ達の手で発見され、シロデスナに返却。ロトムとギエピーは無事に解放された。
「とりま……お前は反省文だ」
「ひどいっピ!」
ギエピー、反省文を書かされる。監督役のレッドの後ろにはバグチュウ、フリーザー、フシギバナ、そして四天王が仁王立ちしていた。
次回!保護者参観!?色んな人がやって来ます。
ほしぐもちゃんの進路アンケート
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