カントー出身の俺氏、南国で教師をする。   作:静かなるモアイ

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筆が乗ったので…連投。


43時限目

エロ仙人……ごほん!!失礼、初代イッシュチャンピオンであるアデクの敗北は瞬く間に世界中に広まった。アデクは50年以上もの間、イッシュチャンピオンの座を防衛してきた。

そのアデクが敗北したのだ……それも、嘗てアデクを唯一倒した少年 ブラックと同じくイッシュ地方の伝説に伝わる『真実と理想を持つ英雄』を待つと言われるドラゴンを連れたタクトという青年の手でだ。

 

キュレムは元と言えばレシラム及びゼクロムと1つだった。大昔、イッシュを救った双子の英雄と共に戦ったドラゴンポケモンだった。その後、歴史通りだと双子は決裂し、ゼクロムとレシラムに別れた。男としての精神は理想を求めるゼクロムに、女としての精神は真実を求めるレシラムと成った。そして…残された脱け殻としての肉体はキュレムと成ったと伝えられる。

 

「てか…あのタクトって人、手持ちからグラードンが居なくなってたわね」

 

数日後…リンドウの料理を手伝いながら、ブルーはそう言った。確かにブルーがタクトとレッドの試合を見た時はタクトはグラードンを加えていたのだ。しかし、アデクと戦った時にはグラードンは居なくなっていたのだ。

 

「預けたんじゃないのか?それか…言うことを聞かなくなり、外せざるをえなかったかだな。

ブルー、どうしてトレーナーとしての資格がカントーでは10歳からなのか考えたら分かるだろ?」

「ししょー!それがどう関係なんですか?」

 

テレビを見ていたアセロラが手を上げて問う。アローラでは誰でもポケモンをパートナーに出来るが、カントーを始めとした他の地方では年齢制限が有るのだ。

そのカントー等では特別許可書という書類が有れば、特例として規定年齢に満たなくてもポケモンを保有できる。しかし、それの審査に通るには相応の理由が必要なのだ。

 

「アローラ育ちのアセロラは知らなくても無理は無いかもな。

昔はカントーでも誰でもポケモンを持てたそうだ。オーキド博士がアセロラと変わらない年頃の話だがな。だがな、その時代…特に決まり事は無かった。だから強引な乱獲や、捕まえたのは良いが世話をせずにポケモンを餓死させる子供が大勢いた。いや、彼等だけじゃない。危険地帯のポケモンを捕まえたのは良いが、手懐けれず、殺されるという事件も起きた。

手懐けれず、殺される事件は今でも起きている。カントーにはシロガネ山と呼ばれる危険地帯が有ってな…」

 

シロガネ山。カントーとジョウトの境目に聳える山であり、レッドのキャンプ場……ではなくカントー最大の危険地帯と呼ばれる所だ。

出現するポケモンの強さは何れもが強い。勿論、中にはヨーギラスやヒメグマ等の可愛らしいポケモンも居るのは居るのだが、正に弱肉強食と呼ばれる危険地帯であり、毎年のように行方不明者が出てはカントーリーグの四天王とジョウトリーグの四天王が捜索を行っている。救助隊ではなく、四天王を派遣する訳だが…余りにも危険すぎて救助隊が野生ポケモンに殺されてしまう為である。

 

「シロガネ山で捕まえたポケモンの大半は何れもが強大だ。手持ちに加えれば、間違いなく手持ちをパワーアップ出来るだろう。

だが、言うことを聞くかと言えば別だ。ボールから出して手懐けようとした結果…殺された事件も過去に起きた。

伝説のポケモンは神話や伝承に名前を残すほど、強い力を持っている。あのレッドですら…パートナーに出来たのはフリーザー位だからな」

 

シロガネ山然り伝説のポケモン然り…捕まえるのとパートナーに出来るのは別だ。あのレッドですら、有効な関係を築けたのはほんの僅かであり、心から信頼出来るように成ったパートナーはフリーザーだけ。ミュウツーとサンダー、ファイアーは謀反を起こしまくるアンチ・圧政者に成ってしまった。

 

「俺やブルーでも、野生のバンギラスやアローラで言えばジャラランガを捕まえて直ぐにパートナーに出来る?と問われれば無理だな。そう言う事だ」

「なるほど!……所で、ブラック君…大丈夫かな?」

 

アセロラに言われ…リンドウとブルーは縁側の方を見る。其処では縁側に腰掛け…遠くを見るブラックを見る。

 

「さぁな…」

 

――なんじゃ?お前さん、一度負けたからとくよくよしよって!

 

――良いか?ポケモンもトレーナーを見る。ポケモンとトレーナー…2つの心が合わされば真の実力が発揮できるんじゃ。

 

――ポケモンの種類に強いも弱いも有るか!確かにな…ブラック、Nが復活させたゼクロムは強いの。だがな、ワシのドラゴンポケモンはクリムガン!ぶっちゃけ…オノノクスよりも世間的には弱いと言われとる。だがな?コイツは何度もチャレンジャーのオノノクスやサザンドラを倒してきたのだ!

 

――行くぞ!イッシュチャンピオン!!アデク!!挑戦者であるブラック、レシラム、ダイケンキ、ジバコイル、ランクルス、ウルガモス、ウォーグルを全力で迎え撃つぞ!!

 

思い出すアデクに励まされ続けたイッシュの道中。ブラックは溜め息を吐き出して星空を眺めた。

 

 

すると、ブラックのスマホが着信音を出して鳴り響く。画面には『エロ仙人』と書かれており、間違いなくアデクだろう。

 

「エロ仙人?」

『おおー!!元気そうだの!ブラック!!所で…タクジロー?タクタロー?まっ良いわ!アヤツと戦う前に、ワシの所によれ!

お前さんに渡す物が有るんじゃ!本当なら…ワシが引退し、お前さんがチャンピオンに成るときに渡したかったが……お前さんの衣装を渡す!チャンピオン決定戦の時はそれを着るのじゃ!』

「衣装?」

 

そう…アデクはブラックの為に衣装を用意してたのだ。

 

『うむ…だがの…ワシがしくじまっての…未だ羽織しかサイズを仕立て直せてないのだ。それに…ワシを越えるイッシュチャンピオンはお前しか居ない。頑張れよ』

 

アデクはそう言うと、通話を切った。

 

「ありがとう、エロ仙人」

「おーい。ブラック…飯できたぞ?」

 

リンドウが自分を呼ぶ声が聞こえ、ブラックはリビングに向かう。

 

「今行きますよ!」

 

 

 

当日。イッシュリーグ本部 特製スタジアム。

 

そこの観客席は当たり前のように満席。報道陣もスタンバイしており、バトルステージの対極の位置にはマントを靡かせるタクト、そして背中に青色の炎が裾と袖に描かれた黒い羽織を羽織ったブラックはお互いを見る。

既に両者の手にはボールが握られており、合図の音と共に両者はボールを投げた。

 

「いけ!ダークライ!!」

「行ってこい!ランクルス!!」

 

タクトが繰り出したのはダークライ。対しブラックが繰り出したのはランクルスだ。

 

「ダークライ!ダークホールだ!!」

 

タクトはダークライに指示を飛ばす。ダークホールはダークライだけに許された技であり、相手を眠らせる技だ。

ダークライに眠らされたポケモンはダークライの特性により、悪夢を見てしまう。その上、眠らされると動けず一方的に倒される。事実、タクトは今まで挑戦してきたジム……トキワジム以外のジムをダークライ1体で突破してきたのだ。

 

「ランクルス!神秘の守り!!」

 

だが、ブラックは神秘の守りをランクルスに指示し…ランクルスはダークホールの影響を受けない。

 

「ならばあくのはど「遅い!草結び!!」なっ!?」

 

タクトの指示が届く前にブラックはランクルスに草結びを指示し…地面から生えてきた蔓はダークライに絡み付く。

本来…草結びは相手の足元に蔓を生み出し、その蔓で相手を転ばしてダメージを与えるものだ。しかし、あろうことかランクルスはそれを応用し…ダークライの拘束に使ったのだ。

 

「ダークライ!振りほどけ!!」

「させるか!!ランクルス!電磁波!!」

 

電磁波…相手を麻痺させる技だ。ダメージを与えることが出来ず、相手を麻痺させるだけ。だが、様々と応用の効く技であり、上手いこと使えば機転を作ることも出来るのだ。

 

ランクルスから放たれた微弱な電気はダークライを麻痺させ、ダークライの動きを鈍らせる。

 

「ダークライ!?」

「ランクルス!!きあいだま!!」

 

ランクルスは両手を前に向け…莫大な熱量を誇るエネルギーの大きな塊を放った。

きあいだまは格闘タイプの特殊技であり、大きな威力が特徴だ。しかし、弾速が遅く普通に撃っては間違いなく避けられてしまう。

 

だが、今のダークライは麻痺しており…草結びを応用した蔓の縛りを未だ解けていない。

 

そして…ゆっくりと迫るきあいだまを避けられず、直撃を受けたダークライは一撃で倒れてしまった。

 

「バカな…効果抜群とは言え…ダークライが一撃で」

 

自分の信頼するパートナーのダークライが一撃で倒された為か、タクトは驚く。当然である…ブラックのランクルスは持ち物として命の玉を持っているのだ。

命の玉はポケモンが持つと、体力を徐々に削られる。その代償に技の威力が上昇するのだ。だが、ブラックのランクルスは特性 マジックガードの恩恵で命の玉のデメリットを無効にしてメリットだけを貰っているのだ。

 

その為に…ブラックのランクルスはとんでもない破壊力を持っているのだ。

 

『ダークライ!戦闘不能!!やはり…ブラック選手は今までの相手とは違った!!』

 

「ラティオス!頼んだぞ!!」

 

続いてタクトが繰り出したのはラティオス。シンオウ、カントー、そしてイッシュで活躍したポケモンだ。

 

「ラティオス!!流星群!!」

 

流星群…ドラゴンタイプ最強の威力を誇る技であり、空から隕石を降らせる技だ。

 

迫り来る隕石の雨。しかし、ブラックは冷静に指示を出していく。

 

「ランクルス!トリックルーム!!」

 

すると…バトルステージ全体に不思議な空間が広がっていく。

トリックルームは嘗て、ギエピーが用いた技であり…移動速度が遅いポケモンが早いポケモンよりも早く移動できる空間を産み出す技だ。

 

その上…ランクルスの移動速度は本来…物凄く遅い。その為か、トリックルームを使ったランクルスは消えたように高速移動した。

 

「なっ!?」

 

誰もが呆気に取られるが、ランクルスはラティオスの真上に移動していた。

 

「ラティオス後ろだ!!」

 

だが、ラティオスはトリックルームの影響で上手く動けない。

 

「ランクルス!!ピヨピヨパンチ!!」

 

ランクルスは右の拳を握り、ラティオスを殴る。

 

「クー!!」

「ぐぅおぉ!?」

 

ピヨピヨパンチはノーマルタイプの技だが、相手を混乱させる力が有り…その力でラティオスは混乱する。

 

「くるくる?」

「ラティオス!?」

 

混乱し、タクトの指示が届かないラティオス。

 

「ランクルス!!冷凍パンチ!!」

 

ランクルスは左の拳に冷気を集め、ラティオスの顔面を殴る。効果は抜群だ。

 

「グルっぽ!?」

「ランクルス!シャドーボール!!」

「クーーーー!!」

 

放たれたシャドーボール…勿論、命の玉で威力が上昇しており…一撃でラティオスを倒してしまった。

 

『ラティオス戦闘不能!!』

 

タクトはラティオスをボールに戻した。

 

「驚いたよ…たった1匹のポケモンで、僕のラティオスとダークライを倒すなんて。

だけど…次はどうかな?行け!レックウザ!!」

 

タクトはボールを投げ…緑色の大きな龍のようなポケモン…レックウザを繰り出した。

 

「ギュゥゥゥゥオオオオ!!」

 

――ほう、驚いた。レックウザは複数居たのだな。私が過去、ホウエンで出会った個体とは別だ。

 

なんという事でしょう。レシラム曰く、レックウザは複数個体が存在したのだ。ミュウツーが3体居るのだから、別に不自然では無いだろう。

 

「神速!!」

 

神速を用いて、レックウザはその場から消える。気が付けば…ランクルスはレックウザに噛み付かれて居たのだ。

 

「ランクルス!?」

「そのまま噛み砕け!!」

 

レックウザは技 噛み砕くを用いて、何度もランクルスを噛み砕くように顎で挟む。

 

ランクルスの悲鳴が響き…ランクルスは力なく倒れ…地面に落とされた。

 

『ランクルス戦闘不能!!』

 

ブラックはボールにランクルスを戻す。

 

――ブラック…次は私が行く。

 

「頼んだぞ!レシラム!!」

 

ブラックはボールを投げ…レシラムを繰り出す。そして、自分のメガバングルに触れて…レシラムをブラックレシラムにメガシンカさせた。

 

『なんだ!?なんなんだ!?この姿は!?レシラムがメガシンカした!?』

 

勿論、メガストーンの代わりに遺伝子の楔を使っている為に初回と異なり思考の共有は出来ない。その分、肉体の負担は大分軽いだろう。

 

「レックウザ!『遅い…私が1つだった頃戦ったレックウザはお前よりも強かったぞ?レックウザ』なっ!?」

 

ブラックレシラムはレックウザの眼前に移動しており、ブラックレシラムはドラゴンクローでレックウザを弾き飛ばす。

 

恐らくだが、レシラムのテレパシーを用いてブラックが指示を出したのだろう。

 

その上…レシラムは挑発するようにレックウザを煽る。

 

『どうした?見せてみろ……ブラックを鍛えた男と女が知っているレックウザはグラードンとカイオーガを同時に…それも単騎で倒せるぞ?見せてみるが良い……大空の守護者の力をな!!』

 

レシラムの言葉に刺激を受けたのか…レックウザは上空に上がり、大きな口を開ける。狙いは勿論、バトルステージに立つブラックレシラムだ。

 

「レックウザ!?」

 

タクトの指示を待たず…レックウザは大技である破壊光線を撃とうとする。だが…待ってましたと言わんばかりに…

 

「レシラム!!コールドフレア!!」

 

ブラックが叫び、ブラックレシラムが大きくスタンスを開いて上空を見上げ…口から全てを凍らせる爆炎を解き放つ。爆炎は亜光速の熱線となり…直撃を受けたレックウザは戦闘不能に成り、バトルステージに落下した。

 

「バカな…レックウザまでも」

「良し!レシラム!交代だ!」

 

しかし、ブラックはブラックレシラムを下げる。ブラックレシラムがブラックの後ろに控えると、ブラックは次にウォーグルを繰り出した。

 

「あぁ…やっぱり、君と戦えて良かった」

 

タクトはボールにレックウザを戻し、次に繰り出したのは……

 

「行け!イベルタル!!」

 

赤い飛行タイプのポケモンであった。

 

 

 

 

 

 

 

カランッボチャッ

 

「「ふぁ!?」」

「ピカピ!?」

 

テレビでブラックの応援をしていたサトシとセレナは余りの衝撃で、コップを落としてしまった。




次回!イベルタルVSウォーグル…タクトのリベンジが始まる。

そして…イッシュチャンピオンが決まる。

ほしぐもちゃんの進路アンケート

  • ルナアーラに成って飛ぼう!
  • ソルガレオに成って駆け抜けよう!
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