「居たぞ!そこだ!」
――人間なんぞ…やっぱり大っ嫌いだ!!
「毒に犯せ!!全員でかかれば勝てる!!」
――俺を道具のように操り、
「最後の一撃を与えた奴が捕まえることな!」
――ふざけるな…俺が…俺が何をしたって言うんだ
「伝説のポケモンを使えば…チャンピオンにも勝てるかも知れないしな!」
「そうだよな!タクトって人が伝説のポケモンで手持ちを固めて、あのアデクさんを倒して…新イッシュチャンピオンのブラックを追い込んだしな!」
――何が…海を広げろだ…雨は降らせても、俺にはそんな力は無い。それはこの世界の俺だろ…
「ドククラゲ!どくどくだ!」
――毒か!?力が…入らない……やめろ…そんな風に俺を好奇の目で見るな…来るな…来るな!!
嘗て、もう2度と帰る事が出来ない平行世界が有る。そこに彼は暮らしていた。彼は過去、その力で大雨を降らした事が有るし、天候を変える力を持っている。
だから…その力を虹アオギリ率いる平行世界のアクア団に狙われた。平行世界のアクア団は考えた、カイオーガの力で無限に雨を降らせれば陸地が増えると。だが、それは殆んど不可能だ。海を広げた等は、古代の人々の妄想なのだ。
彼の名前はカイオーガ。嘗て、住んでいた平行世界でアオギリにマスターボールの力で捕らえられ、アオギリがレインボーロケット団の首魁 虹サカキの手でこの世界にやって来た際も…道具のように使われた。
大きさもサトシのギラティナよりも小さく、4・5メートル程しかない。レシラムより少し大きい位なのだ。
レッドの手で入れ物であるマスターボールを破壊され、自由の身に成ったカイオーガ。だが、ここは彼が暮らしていた世界では無いし、ホウエンにはこの世界のカイオーガが未だ眠りに着いている。
「クュュュアアアア!!」
カイオーガの力で雨が降り続けるが、その影響で相手のライボルトが放った雷がカイオーガに直撃する。雨が降ると、ポケモンの技である雷は必中するのだ。
それに、相手のドククラゲの放ったどくどくの影響でカイオーガは猛毒を浴びている。猛毒状態は時間が経つ毎に、毒で受けるダメージが倍で増えていくのだ。
「良し!」
そんなカイオーガだが、ポケモンハンターや伝説のポケモンの力を欲しがるトレーナーからすれば格好の的だった。
誰も守ってくれないし、守る場所も居場所も無い伝説のポケモン。自由の代償故に様々な邪な思いを持つ人間からすれば捕まえても問題が無い伝説のポケモンなのだ。
だが、普通のトレーナー…1つのリーグのバッジを全部集めるのに3年以上かかるような普通のトレーナーは仲間と組んで、レイドバトルとしてカイオーガに挑む。そうすれば、勝てる確率が上がるし、どさくさに紛れて捕獲も出来るからだ。
「これで…俺もチャンピオンに!!」
しかし、伝説のポケモンを捕まえたからとチャンピオンに成れるか?それは否だ。特に、彼等のように伝説のポケモンを伝説のポケモンとしか見ずに、パートナーに成れない物は成れない。
確かに伝説のポケモンの力は強大だ。それはタクトがアデクを倒した事で世界中に証明された。パートナーに出来るとすれば…話は別であり、事実タクトのレックウザもタクトの言うことを聞かない時は有った。
「カイオォォォォオ!!」
カイオーガは渾身の力を振り絞り、口の中に莫大なエネルギーを圧縮する。そして…口から破壊光線を凪ぎ払うように放って、自分にレイドバトルを仕掛けてきたトレーナー達とそのポケモンを一掃する。
「ばっ…化物かよ……」
自分達のポケモンを倒され、そのトレーナー達は唖然とする。
――失せろ…そして、二度と俺の前に現れるな。
カイオーガはそう言うと…海の中に消えていった。空を飛んで逃げても良いが、空を飛べば別のハンターやトレーナーに追いかけられる。しかし、海中に潜れば追い掛ける物は少なく…逃げやすい。
――意識が朦朧としてきた……だが、逃げないと……もし、俺を……僕を…僕の事を唯のポケモンとして見てくれる人間と出会えていれば…それは叶わぬ夢か。
カイオーガはそう、囁き…意識を手放した。
アーカラ島での校外学習を終えて3日後。
「もうすぐ…カントー合宿か」
海辺の家に暮らす少女であり、リンドウの教え子であるスイレンは家を出た。今日は休日、だが…もう直ぐカントーに飛行機で向かってアローラリーグに備えるカントー合宿が始まるのだ。
「やっぱり、アシマリ…私、新しいポケモン捕まえた方が良いかな?」
「パウ!」
スイレンは自分の足元に寄り添う、アシマリに言う。スイレンはライドポケモンとしてラプラスを持っているが、ラプラスはライド用のポケモンであり…しかも家族共有のポケモンだ。
その為に、スイレン個人のポケモンとしてのパートナーは未だアシマリだけである。
「カキとマーマネも新しいパートナーと出会ったしね。その内見付かるよね!」
「パウパウ!」
現在…リンドウの教え子でパートナーを一匹しか持ってないのはスイレン、マオの2人だけだ。
チャンピオンであるブラックや他の地方を冒険してきたサトシは6匹以上。アセロラも複数所持しており、セレナも3匹所有している。カキとマーマネも先日にガラガラとデンヂムシを捕まえ、パートナーが2体に成ったのだ。リーリエもコスモッグを捕まえ、2体である。
「アローラリーグも有るし…今後の為にも仲間は必要だね!良し!」
新しい仲間と過ごす未来を思い、スイレンはガッツポーズを行う。出来ればパーティーは水タイプ、或いは水に関わるポケモンで6匹を固めたい。
カントーやホウエンにも沢山、水タイプは生息しており…合宿でも新しい仲間を見付ける事に期待を膨らませるスイレンとアシマリ。
「えっ?…アレって…」
しかし…スイレンとアシマリの思いはとある物を見てしまった瞬間に、思考が停止する。何故なら、家の直ぐ側に…完全にグロッキー状態のカイオーガが座礁していたのだ。
スイレンはアーカラ島でカイオーガが飛んだり、陸でも問題ない事をこの目で見て知ってるし、理解もした。しかも…
「あのカイオーガ…あの時、ボディービルダーで海の漢 アオギリさんの名前を驕った自称アオギリに捕らわれていたカイオーガだ!」
そう…スイレンがサトシ達と共に目撃した、自称アオギリが道具のように使っていたカイオーガが自宅の直ぐ側に座礁していたのだ。
御存知、カイオーガは飛べるので陸でも問題ない。それなのに座礁したと言うことは……飛べる元気がなく、危ない状態なのだ。
虹アオギリの名前を出した為か、カイオーガも目を開いてスイレンとアシマリを見る。その状態は誰が見てもしんどそうであり、ポケモンスクールに通うスイレンはカイオーガの状態を直ぐに理解する。
「毒?それも猛毒を浴びてるの!?ちょっと待ってて!」
スイレンは家の中に入り、直ぐに出てきた。スイレンの手には沢山の木の実が乗ったザルと…擂り鉢と棒が有り、スイレンはアシマリと共にカイオーガに駆け寄る。
「グルル…」
しかし、カイオーガはスイレンに威嚇する。
――お前も同じなんだろ?アオギリや、あの集団で襲ってきた人間のように。
当然だ。カイオーガは今まで、人間に散々に道具にされて、この世界では人間に力を求められて狙われ続けた。傷つけられた、追いかけ回された、ただ…強い伝説のポケモンという理由で。
「もしかして…人間に何かされたの?」
スイレンは良く海に向かい、ポケモンと触れ合う。だから知ってしまっている。珍しいという理由で、人間に酷い目に逢わされたポケモンの事を。
「パウ…」
アシマリは人間の事を嫌いには成らなかったが、人間に酷い苛めを受けたのだ。
そんなスイレンとアシマリだからこそ、カイオーガが人間に酷い事をされたと理解してしまった。
それに…リーリエがコスモッグを捕まえた時、スイレンはリンドウから珍しいポケモンや伝説のポケモンがハンターや力を求めるトレーナーから狙われている事を聞いた。
「もしかして………」
カイオーガ程の力が有れば、使いこなせばリーグ優勝も楽チンかも知れない。少なくとも予選で負けることは無いだろう。
「ギャァァグ…ぐゅっ!?」
しかし、カイオーガの毒は深刻だ。どくどくを受けてからかなりの時間が経過しており、毒で最悪は命を落とすかも知れない。
「大変!直ぐにこれを食べて!モモンの実を食べれば…毒は消えるから!」
モモンの実を食べれば毒は消える。それはトレーナーでは当たり前の知識だ。
スイレンはカイオーガにモモンの実を差し出すが、カイオーガは視線を背ける。それほどに、人間が信用出来なくなったのだろう。
「もう!これを食べないと本当に死んじゃうよ!仕方がない!」
スイレンは擂り鉢の中にモモンを1つ入れ、モモンをすりおろしてスープ状にする。そのスープを…カイオーガの口の中に流し込んだ。
「良し!」
「オーガ!?」
液体だから、瞬時に喉を通る。すると、カイオーガの毒はきれいさっぱり無くなったのだ。
だが、未だスイレンにはやることが有る。それはカイオーガの回復だ。
未だカイオーガの体力は癒えていない。毒と戦闘で弱った体力を回復させねば、ハンターや悪いトレーナーに返り討ちに遇うかも知れないためだ。
「次はこれを食べて。毒じゃない事はさっきので分かったでしょ?」
「パウ!」
次にスイレンが取り出したのはオボンの実だ。アローラは温暖で、木の実が沢山とれる。だから、他の地方では高めなオボンの実も安く鮮度の良い物が買えるのだ。場合によるが、唯で沢山貰える時も有るのだ。
スイレンからオボンの実を分けてもらい、カイオーガは何個か食べる。虹アオギリのポケモンに成ってから、満足に食べてなかったが…これは体に良い意味でカイオーガの体に染みてくる。
「良かった!」
――なんで…俺にこんな事をする?さっきは捕まえるチャンスだっただろ?
カイオーガは人間に対して偏見を抱いていたが、スイレンに対しては変わろうとしていたのだ。
――まぁ良いさ。どうせ、お前も…俺を…僕を…伝説という肩書きでしか見ないんだろ?
でも、本格的に変わるのは時間がかかりそうだ。
だが、そんなカイオーガの思いは良い意味で変わった。
「それでさ…今日は学校でこんな事が有ったんだ!」
「この子がスイ、こっちがホウ。私の妹だよ!」
「「うわ!おっきい!ギョギョギョ!!」」
スイレンとその家族はカイオーガを伝説のカイオーガではなく、カイオーガ個人として接してくれたのだ。
――悪くない。でも…何で…僕はあの世界で君達のような人に出会えなかったんだ。
カイオーガはこのスイレン達との奇妙な共同生活が気に入ってしまっていた。
「「私達も学校に行きたい!カイオーガ遊んで!」」
ある日のこと、カイオーガはスイレンの家の海辺で昼寝をしていた。
カイオーガの頭の上でホウとスイがジャンプして遊んでる。
だが……
「「「居たぞ!!」」」
聞きたくないトレーナー達の声が聞こえ、同時に雷撃や火炎が飛んでくる。
カイオーガは瞬時に目を開き、守るで周囲にバリアーを展開してホウとスイ、そして自分を守った。
「「カイオーガ……」」
背中のヒレに震えながら捕まるホウとスイ。カイオーガと双子の視線の先には…パートナーであるポケモンを出したトレーナー達が居たのだ。そう、レイドバトルと称してカイオーガを集団で襲ったポケモントレーナー達である。
彼らはヘルガー、ライボルト、ドククラゲを出しており…戦う気は満々だ。
「こんな所に隠れてなのかよ!」
「どうやら、ゲットされてないぜ!」
笑みを浮かべ、ポケモンに指示を出そうとするトレーナー達。彼等は側に民家が有ろうが、関係無いようだ。
側にホウとスイが居り、隣にスイレンの家がある。破壊光線は使えない。
「ちょっと!貴方達!私の家族に何をするき!」
「「お姉ちゃん!!」」
だが、そこにスイレンとアシマリが学校から帰ってきた。
「なに…俺達はあのカイオーガに用が有るだけさ!」
「そうだそうだ!!」
「カイオーガは私のポケモンじゃないけど…この子はもう、私達の大事な家族なの!!」
家族と…スイレンは自分の事を呼んでくれた。
だが…
「そうかよ…だったら、先ずは嬢ちゃんが俺達の相手をしてくれや!!ヘルガー!火炎放射!!」
火炎放射は御存知、炎タイプの技だ。しかし、レベル差が有るのか…本来は今一つの火炎放射でもアシマリに大ダメージを与えてしまった。
「ぱう!?」
「アシマリ!!」
――やめろ…やめろ……もう…僕の居場所を…孤独だった僕を家族と呼んでくれたスイレン達を傷付けるな!!
「グゥゥオオオオオオオ!!」
カイオーガが叫び…雷雲が轟く。晴れていた空は瞬時に曇り、大雨が降りだした。
そして…カイオーガの口の周囲に光る水の球が数個発生し…カイオーガはその水を数発の閃光として解き放った。
放たれた閃光は亜高速で飛び、水の閃光というよりも、大出力ビーム×数発に近いイメージと破壊力でヘルガー、ライボルト、ドククラゲを一撃で粉砕した。
この技は根源の波動。本来はメガシンカの有る世界のカイオーガしか覚えないが、カイオーガは怒りで覚えてしまったようだ。
――失せろ…次は人間、お前達を狙う。
次発の根源の波動を準備し、カイオーガはトレーナー達を睨む。
「「「ひっひぃぃぃぃい!!」」」
トレーナー達は自分達のポケモンを連れて、帰っていった。持っているポケモンからして、観光客かカイオーガの噂を聞き付けてやって来た人達だろう。
戦いが終わった為か、天気は元の晴れに戻った。
そのトレーナー達が消え、スイレンはアシマリを抱っこしてカイオーガに近付く。
「ありがとう。カイオーガ」
――スイレン…どうせ、誰かのポケモンに成るなら、君のポケモンに成りたい。
「えっ?カイオーガ…私のポケモンに成りたいの!?」
カイオーガは頷き、スイレンはダイブボールを取り出してカイオーガをボールの中に入れた。
この日、異世界からやって来た海神は運命に出会った。
翌日…
「先生!私も2匹目のパートナーを捕まえたよ!」
「カイオォォォォガ!」
「最強ヒロイン、爆誕しちゃったーー!!」
……あれ?アローラリーグ大丈夫?サトシのギラティナとリーリエのソルガレオorルナアーラも居るんだよ?
ほしぐもちゃんの進路アンケート
-
ルナアーラに成って飛ぼう!
-
ソルガレオに成って駆け抜けよう!