ポニの大渓谷。時刻は既に深夜を回っており、放射冷却と呼ばれる自然現象で随分と気温は下がっている。
だが、未知の土地で夜遅くに動き回るのは危険な為に…リンドウ達はポニの大渓谷の中にある、横穴の中でキャンプを行っていた。
見張り番として、ブルーとバーネットとレシラム、ククイ博士とリンドウのペアが交互で二時間交代で見張りを行っており…彼等は夜が開けて明るく成るまで仮眠と見張りを繰り返すのだ。
「所でブルー。貴方、リンドウ君の事はどう思うの?」
現在はブルーとバーネットそしてレシラムが見張りを行っており、リンドウとククイ博士は仮眠をしているが…爆睡している。特にククイ博士とリンドウは道中の危険なポケモン達…ジャラランガやクワガノン、バンバドロ等の危険なポケモンから生徒達を守るために戦ってた為か…物凄く熟睡している。
「どうって…どういう事で?」
「勿論異性としてよ!」
バーネットの言葉を聞いた瞬間、ブルーはうっかり飲んでいた珈琲を吹き出しかけてしまった。
「ゲホゲホ!?異性として!?」
「あー…バレバレよ。貴方。先に言っとくけど、私はリンドウ君の事を異性として意識してないわ。でもね、彼…物凄く人気よ?バトルの腕前は勿論、アローラでも人気の人だし、スカル団の更正から色々と活躍して彼を狙ってる人は多いわ。
本場のホウエンじゃ…もっと多いかも知れないわよ」
ブルーはバーネットの言葉を聞いて、顔を背ける。と言うのも、彼女はリンドウの事が好きなのだ。
子供…それも小さい頃からリンドウの事を知っているブルーだったが、何時からだろうか?何時から彼を意識し出したのか分からないが、間違いなくオーキド博士とグリーンにはバレている。
ブルーが特別講師としてアローラのメレメレ島にやって来たのも、実はと言うと…オーキド博士が気を利かしてくれたのも有るのだ。
だが、ブルーの思いとは裏腹に…中々彼女の恋は進展しない。事実、同居人に止まってるのが良い証拠だろう。
「いや……その…」
「あのね…幾ら幼馴染みとは言え、女性を唯で同居させる事は無いわよ」
「えっ…でもブラックとアセロラは…」
「ブラックはサトシとククイ君のような感じでしょうね。アセロラは両親がもう亡くなってるから、リンドウ君が親代わりというのも有るんでしょうけど」
確かにブラックはククイ博士で言えば、サトシとククイ博士のような関係だろう。アセロラに至っては余り知られていないが、既に両親が亡くなってる。だから、リンドウが親代わりな所も有るのだろう。
「それじゃあ…バーネット博士。ククイ博士の事はどう思うのよ?」
「うっ…それはね……」
今度はブルーから指摘を受けたバーネットが視線を逸らす。どうやら、彼女はククイ博士の事を意識しているようだ。
なには兎も角…この2人には狙っている男が居るのは確かのようである。
日が開けて、リンドウ達は行動を開始した。
長い道を抜けると、渓谷を抜けた先の大きな所に出る。そこはとても大きな祭壇と成っており、前方には太陽を模したオブジェクトが有り、床には太陽と月を模したレリーフが一対刻まれていたのだ。
「えーと…ここが日輪の祭壇で有ってるよな?」
「あぁ。間違いないな」
リンドウや他の者が思っていた疑問に答えるように、ククイ博士がそう言う。
ここは日輪の祭壇。嘗て、ソルガレオが降臨した場所と伝えられており、ソルガレオがカプ神と共に異世界からの訪問者と共に戦った所だと伝えられている。
ここはソルガレオを祭る神殿でも有り、アローラを救ったソルガレオとルナアーラはアローラの王族に星の子を託したとも伝えられているのだ。
「でも…ここでどうやってほしぐもを助けるんですか?」
「文献によれば、太陽が昇っている時間帯で笛を吹けば良いらしいが…」
チラッとリンドウは太陽と月のレリーフが描かれた床を見る。
「物は試しだ。あの床の上で、笛を吹いてみるか」
――ゲームと同じなら…それで不思議なパワーでソルガレオに進化できる筈だ。
リンドウは流石に今回ばかりは前世でやっていたゲームの知識に感謝した。ポケモンの進化方法等はカイリキーやフーディンのように、交換で進化させる必要が無くてもこの世界では進化できる。
だから…もしもの事を考えたが、笛が有るなら恐らくは大丈夫だとリンドウは思う。何故なら…レシラムの休眠状態であるライトストーンが、ゲームと同じく博物館の中に有ったのだから。
「俺が太陽のレリーフの上で太陽の笛を吹くんで、ククイ博士は月のレリーフの上で月の笛をお願いします」
「分かった」
リンドウはハラから託された太陽の笛を持ち、ククイ博士は骨董市で売られていた月の笛を持って…2人は各々のレリーフの上に立つ。
そして…縦笛を吹くリンドウとククイ博士。サトシ達は固唾を飲んで見守る。これが成功しないと、ほしぐもは助からない。
すると、ゴゴゴと大地が揺れる音が響き…2人の乗っていたレリーフが輝く。
「ふぁ!?」
――あっ…やっぱり、一緒か。でも助かった。
レリーフの輝きは掘られた溝に沿って広がっていき、目の前の太陽のオブジェクトまで伝わっていく。オブジェクトに描かれた大きな日輪の紋様が激しく光ると…そこから高密度のエネルギーが照射される。
「なっなに!?」
「何が起きてるんだ!?えっ!?」
まさかの出来事に、当然…サトシ達も驚く。すると、リーリエのボールから勝手にほしぐもは飛び出した。そして、ほしぐもはまるで引き寄せられるように、その高密度のエネルギーに飛んでいく。
「ほしぐもちゃん!?」
今まで…虹サカキの手で過剰にストレスを与えられて動かなくなっていたほしぐも。しかし、日輪の祭壇が産み出したエネルギーを見ると、動き出して…ほしぐもは自分からエネルギーに当たり…そのエネルギーをどんどん取り込んでいく。
「これは…進化か!?」
ほしぐもはそのエネルギーを全て経験値として取り込み…進化を行う。進化してる最中でも、祭壇から放たれるエネルギーを進化のエネルギーに利用して取り込んでいるのだ。
やがて…神殿からのエネルギーの放出が終わると、そこには…
「グゥオオオオ!!」
太陽を想起させる、白いライオンのようなポケモン ソルガレオに進化を果たしたほしぐもの姿が有ったのだ。
無事にソルガレオに進化し、死の危険が無くなったほしぐも。しかし…リンドウ達には新たな問題が出てきたのだ。
「リンドウ先生…こっからどうするんですか?」
「気合いと根性で帰るしか無いだろ」
再び、過酷なポニの大渓谷を抜けてメレメレ島に戻らないといけないのである。
数日後…
「本当に大変な1週間だったわね!」
「マジでそれな」
夕日が沈もうとしてる頃。リンドウとブルーは2人で、メレメレ島の海辺を歩いていた。
虹ロケがアローラに宣戦布告するし、ほしぐも…今はソルガレオを救うためウラウラ島やポニ島を冒険するし、日輪の祭壇でソルガレオへの進化をこの目で見ることに成るし、とても内容の濃かった1週間だったのだ。
だが…ブルーには未だ重要な任務が残されているのだ。それは…リンドウへの告白である。未だ若いから良いやと言っておけば、気が付けばリンドウは誰かの旦那さんに成っているかも知れないのだ。
シンオウのダメナさん、ライチさん、そしてポケモンスクールの女性教員の皆様とライバルは多い。だからこそ、此処でケリを着ける必要が有るのだ。
「ねぇ…リンドウ、私の事…どう思う?」
「むっ?そうだな…」
リンドウはそう言うと、夕日を見ながらズボンのポケットに手を入れる。
そして……
「ずっと昔から、お前の事が好きだった。結婚を前提に付き合ってくれ」
突如としてケースに入れられた指輪をブルーに見せ、告白したリンドウであった。
「えぇぇぇぇぇぇーーーー!!貴方も!?」
一方その頃、ククイ博士一家はと言うと…
「「結婚!?」」
「おう!」
ククイ博士とバーネットは結婚する事になり、一番に2人が報告したのはサトシとセレナであった。
すると…突如としてククイのスマホに連絡が入る。何事かと思い、ククイ博士は画面を見ると……
「なにーーー!?」
驚き、その画面をサトシとセレナ、バーネットにも見せる。そこには……
『私達、この度…結婚します。式の日程は改めて御連絡します』
との文章と…ブルーをお姫様抱っこするリンドウの姿であった。
次回!…ホウエン合宿の準備!?だが…ククイ博士は結婚式を挙げるつもりはない!?
もし、番外編を書くとしたら?
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過去リンドウ
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ミヅキちゃんと未来のジムリーダー
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レッド様
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ホワイトくん