ミシロタウン。此処はホウエンのポケモン博士、オダマキ博士の研究所が有り、昔のマサラタウンよりは賑やかだ。
そんなミシロタウンの端っこに…リンドウの別荘が有るのだが…
「でけぇぇえぇ!?」
誰の声なのか、サトシなのかカキなのか…それとも、マーマネなのか…分からない。もしかしたら、3人纏めてかも知れない。
叫んでも当然だろう。リンドウの別荘はミシロタウンに有る住居では一番大きく、ぶっちゃけ言えば豪邸だった。と言うのも、リンドウがこんな立派な豪邸を買えた訳だが…チャンピオン時代の報酬を、高専の学費と食費とその他雑費以外使ってなかったのが原因であり、物凄く貯蓄が貯まっていた為だ。
そんなリンドウの別荘の前にやって来た、ポケモンスクールのリンドウクラスとククイ博士とバーネット博士。
「話には聞いていたが…随分と立派だな」
これにはククイ博士も驚きだ。そもそも、ポケモンのチャンピオンは防衛戦のファイトマネーや招待試合のファイトマネーで凄く報酬が有る。現実世界で言えば、K-1等の世界王者が一試合のファイトマネーでがっぽり稼ぐのと同じような物だ。
だが、リンドウは必要最低限以外を貯蓄していた。仕送りもしたが、両親に「自分で使え」と言われた為に…ホウエンでの活動拠点としてこの豪邸を購入したのである。
「チャンピオン時代の報酬を極力使わずに貯めてたら、こうなった。
長期休暇の時はホウエンでの仕事も有るしな。活動の拠点は必要だったんだよ」
リンドウはホウエンでは超有名人であり、ポケモンスクールが長期休暇の時はホウエンでの仕事も有る。その場合に、この豪邸を活動拠点として使うのだ。
だが…サトシ達には1つの疑問があった。こんな豪邸ならば、管理も大変な筈である。その上、リンドウは普段はアローラに居るのだ。
ホウエンに来る度に掃除や庭の手入れを行わなければ成らないが、見た感じでは庭も手入れがされており…豪邸も綺麗だ。
「リンドウ先生…掃除とかは」
「言い忘れた。普段はこの豪邸、人が住んでるから」
人が住んでる。確かにリンドウはそう言った。疑問に思うサトシ達だったが、問答無用にリンドウはインターホンを押す。
「ただいま。生徒達を連れてきたら、表に出てきてくれ。アセロラも居んぞ」
リンドウがそう言うと、豪邸の中から何やら足音が聞こえる。足音は複数であり、何人か既に居るようだ。
「妙だな…普段はヒガナとそのポケモンしか住んでいない筈なんだが」
「住んでいる人って…ヒガナさんですか!?」
そう、この豪邸はリンドウが不在の時はヒガナとそのポケモン達が暮らしており…家賃は勿論、タダである。
「おう…ヒガナとゴニョニョ、そんでボーマンダ、ジュカイン、チルタリス…とかだな。
基本的に俺が留守の時はヒガナが管理をしてるな。今日はヒガナも試合とか無いから、友達を誘ったんだろう…ルチア辺りを」
リンドウがそんな事を言ってると、豪邸の扉が開くと中から明らかに私服姿のヒガナ…そして。
「アローラ!カントー以来だな!ポケモンスクール御一行の皆様!」
何故かタケシと…1体のルカリオだった。
「久し振りだな…サトシにピカチュウ」
そのルカリオはサトシとピカチュウに向けてそう言った。確かにルカリオというポケモンは賢く訓練すれば人の言葉を話せるようにも成る。
だが、このルカリオはギエピーやニャースのように流暢に話したのだ。
「「「えっ知り合い!?」」」
リンドウを含め、ポケモンスクールのメンバーがサトシとピカチュウの方を向いて2人に問う。
それと同時に…リンドウは心の中で…
――えっ!?波動の勇者様!?なんで生きてるの!?生きてるの嬉しいけど!!
前世で見た映画の知識の為か、目の前のルカリオが何者か瞬時に理解してしまった。間違いない、この声と言いサトシとピカチュウを知っている事から間違いないだろう。
このルカリオは映画 波導の勇者ルカリオに出てきた、件のルカリオなのだから。
しかし、彼は映画の終盤で…力を使い果たし、消滅してしまった筈だ。だが、どうして彼が生きているのだろうか?
「…取り合えず、家の中で話をしないか?」
何時までも豪邸の前で話すわけにもいかない。彼等はリンドウの言葉に従い、豪邸の居間で話すことにしたのだった。
リンドウの豪邸のリビング。ぶっちゃけ、ククイ博士の自宅のリビングよりも遥かに大きく、そこそこの人数であるスクール組+ヒガナとタケシそしてルカリオが寛げる程は有り、全員が椅子やソファー、クッションに座って寛ぐ。
「サトシ…このルカリオはお前の友人…という事で良いのか?」
「あぁ!でも…あの時、コイツは…」
カキの質問に肯定するように言うサトシだったが、その表情は何処か悲しそうだ。それもその筈、このルカリオは始まりの樹を救うために…力を使い果たしてサトシの目の前で消滅した筈なのだから。
「そうだな…タケシには既に話したが、私はあの時…波導を使い果たして消滅した」
「待ってくれ!それだと…君は死んだって事だろ?だが、君は生きてるじゃないか」
ククイ博士の言うとおり、ルカリオは生きている。しかし、ルカリオは自分は死んだと言ったのだ。
「そうだ。事実、私は生きている。あの後、サトシ達がロータを去って暫くした時だったな」
ルカリオは自分の身に起きた事を話し出した。
「私は……とある鳥ポケモンの力で復活した。初めて見るポケモンだった…金色と言うべきなのか、虹色と言うべきなのか分からないが…鮮やかだった」
「「「「復活!?」」」」
死んだ筈のルカリオがご覧の通り甦っているのだから、復活は可笑しくは無い。だが、ルカリオは鳥ポケモンの力で復活したと言った。
鳥、ポケモン、復活、金色、虹色…そのキーワードから連想される伝説のポケモンをリンドウとブルーは知っている。様々な伝説のポケモンの中で、限りなく幻想に近いポケモンであり……唯一、正面に対面出来たトレーナーはレッドだけ。
「ねぇ、リンドウ。そのポケモンってまさか…」
「間違いなく、ホウオウだろうな。文献と伝承、そしてレッドが撮影した写真でしか存在を認知されていない…伝承のポケモン」
ホウオウ…聞いたことも無い名前を告げられて、サトシ達は勿論、ククイ博士も首を傾げる。
「ルカリオ…お前が見た鳥ポケモンはこのポケモンか?」
リンドウはスマホの図鑑アプリを起動させ、1体のポケモンを見せる。そのポケモンは幻獣 朱雀を想起させる鮮やかなポケモンであり…サトシにとっては忘れられないポケモンなのだ。
「ホウオウ!?コイツ…ホウオウって言うんですか!?俺とピカチュウは旅立ったその日に、ホウオウを見たんです!」
「「はぁー!?このポケモンを生で見たのは…レッドだけだぞ!?」」
そう、サトシはこのホウオウを旅立った時に見たことが有るのだ。という事は…レッドの他にもサトシもホウオウを見たことが有るという事だ。
「えっ!?レッドさんが!?」
「このホウオウの写真も…レッドが撮影した物だ。それより、ルカリオ…どうだ?」
「私が見たのは間違いない。このポケモンだ」
どうやら、ルカリオはホウオウの力で甦ったようだ。普通ならば有り得ないが、ホウオウの力が有ればそれが出来る。事実、ホウオウは火災で亡くなった3匹のポケモンを蘇生させ…傷まで治した程の力を持っているのだから。
「しかし…ルカリオこれからどうするんだ?」
「その事だが、サトシ…私を捕まえろ」
捕まえろ…つまり、サトシのポケモンに成るという事なのだ。
「えっ!?俺で良いのか?」
「そうだ。それと…サトシの恩師よ、頼みが有る」
「で?ルカリオ同士の対決って訳ね」
場所は変わってリンドウ別荘の庭。そこにはポケモンバトルを行う事が出来るバトルコートが有り、そこでサトシのルカリオとリンドウのルカリオ(ややこしいので、以後 ニックネームのルカ)が向かい合っていた。
「師匠、どっちが勝つと思う?指示無しの対決でしょ?」
「ルカもサトシのルカリオも人のように考え、動けるからな」
ヒガナとリンドウはそう言い、サトシ達もルカリオ同士の対決を見守る。
先ず、最初に動いたのはリンドウのルカだった。
『波動弾!!』
ものの数コンマで波動弾を生成したルカはルカリオ目掛けて波動弾を放つ。波動弾は必中の格闘タイプの特殊技…避けることは不可能だ。
しかし…ルカリオは右手を前に出して波導を放出する。やがて、波動弾はルカリオの右手に直撃する瞬間に…四散してしまった。
『成るほど…拙者の波動弾を波動のコントロールを応用し、四散させましたか』
「格上の波導使い波動弾は通用しない。だが、今ので種を見破るか…話に聞いただけだが、凄腕の戦士だと理解した」
ルカの言うとおり、ルカリオは波導のコントロールを応用してルカの波動弾を四散させたのだ。
すると…今度はルカリオの手に波導が集まっていく。
「ならば…今度は此方からいくぞ!波動弾!!」
ルカリオはルカよりも少し時間がかかったが、ルカよりも高密度な波動弾を生成し…ルカに目掛けて解き放つ。高速で迫り来る波動弾だったが、ルカは嘗てスイクンのハイドロポンプを受け流した…回天式のジャイロボールで波動弾を反らして防いでしまった。
「まさか…波導とジャイロボールを組み合わせるとはな」
『これでは…不毛ですな…では…此方から行きますぞ!』
ルカは神速を用いて駆け出し、ルカリオにインファイトを仕掛ける。だが、ルカリオはポケモンが殺し合いをしていた時期を経験してる戦士。波導の使い方は勿論、近接戦も心得ており、ルカの動きに対応してて応戦する。だが、そんな攻防が数秒続いた時……ルカの掌底がルカリオの腹部に当たると、ルカリオは腹部を抑えて片膝を着いてしまった。
『お主の敗けです、ルカリオ殿』
「ああ…私の負けだな」
ルカリオの敗因は発勁。ルカの発勁で内臓にダメージを受け、慣れてない内臓の負荷と内臓が高速で揺さぶられた事へのダメージだ。
「しかし…発勁にそのような使い道が有るとはな。参考に成る」
『他にもボーンラッシュの骨を槍のように使ったり、それで跳躍したりと…様々な方法が有りますぞ。
ですが、お主の波導は実に素晴らしい』
ここに…ルカリオ同士の友情が芽生えたのであった。
「お前達、そろそろオダマキ博士の所に行くから」
荷物を置いたら、次はオダマキ研究所の見学である。
「うん。この子達も順調だな」
「そうですね…博士」
オダマキ研究所では太っちょの博士 オダマキ博士とその助手が、新人用のポケモン…所謂ホウエン御三家のキモリ、アチャモ、ミズゴロウの面倒を見ていた。
キモリ、アチャモ、ミズゴロウはポケモンフーズを良く食べており、体調もバッチリである。
「チャモ!」
「ミジュ!?ミジュ!!」
しかし…アチャモがミズゴロウのフーズを奪った事で、事件は起きようとしていたのだった。
次回!脱走したホウエン御三家を探せ!?
もし、番外編を書くとしたら?
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