ふぃー、勢いで出て来ちゃったけども良かったのでしょうか。
ちょっと後ろめたい気持ちがなくもない某です。
いやはや、メイド喫茶ヤバス。
なんなのお帰りなさいませって。
いやね、正直舐めてましたよ。
大したことないだろって。
いやはや、そんな数分前の自分を坊主頭の仇が如く全力で殴ってやりたい。
あ、ドリンクはちゃんとジュースですからね。
未成年飲酒ダメゼッタイ!
「ご主人様はどうしてここに来たんです~?」
あざとい!
自らの容姿の使い方を完全に理解しているこのあざとさよ!
しかし、許しちゃう。だって可愛いんだもの。
でれでれしながら時間は過ぎていく。
国語の時間に習った時は分からなかったが、今なら分かる。
これこそが桃源郷!
ピピピッとタイマー音が夢の終わりを告げる。
楽しい時間とは儚いものだな。
よし、もう1セット!
と行きたいのは山々だが、某中坊でして
くぅぅ、悔しいがここは涙を呑んで撤退するべきか。
さらば黒猫喫茶ベリーズよ!
私はまた帰って来る!
きっと、きっとだ!
「いってらっしゃいませご主人様~」
いやぁ、メイド喫茶思いついた人はマジで男の業を分かってるわ。
これは気を抜くと貢ぎコースまっしぐらですね。にっこり。
あれ、どうして財布からお金を抜いて、足が出て来た扉の方を向いて。
へ、ヘルプミィィィー!
・・・
千賀家の次男が煩悩に押されつつある中、彼の家族はというと
「なぁなぁ、てつにー。しゅうにーはとうきょういったんだよねー」
「ああ、そうだぞー。無限に人が湧き出る大都会東京にな!」
「おおー。とうきょうかっけー」
長男が小学生の三男にあるようでないようなことを吹き込んでいた。
因みに長男は彼女、三男はガールフレンド持ちである。
父母は仲良しなので必然的に次男だけがひとりやもめということになる。
またの名を負け組とも言う。
「哲、いい加減なこと
「えー、俺嘘言ってねーじゃん」
「まー、東京に人が溢れるほどいるのは事実だしなぁ」
そんな愚兄を母が軽く叱り、父が間に入る何気ない日常があった。
「もう、お父さんも哲の肩持たないの!」
「ごめんごめん。それで、拾から連絡はあったかい?」
「『東京に着いたどー!』って来てからその後は一切ナシよ。ホントにあの子は」
「着いたどー!」
「ついたどー!」
腰に手を当てて、高らかに叫ぶ兄弟。
仲良きことは美しき哉。
そんな息子たちを微笑ましく見守りながら、父はふと思う。
「拾のことだから、見学を早く切り上げて東京を散策しているかもしれないね」
大正解である。
親は偉大である。
「あ、ずりぃーな。よし、お土産リスト送っとこ」
「ぼくもー。てつにー、ぼくのもおくってー」
それを聞いた兄は次男の
弟も手を上げてアピールを怠ることはない。
「任せとけ!母さんたちも遠慮なく言っていいぜ。払うの拾の奴だし」
「そうね、それじゃあ有名なバナナのお菓子でも頼んどいて」
この母子、容赦がない所がやはり親子であった。
南無。
「僕はどうしようかな。ちょっと考えるよ。って、あれ、本部長から電話だ。どうしたんだろう」
ワイのワイのと賑やかな千賀家であった。
そして話題の次男と言えば、大量のお土産リストが送られて来ることを予想だにせず、一人気ままに東京の街を楽しむのであった。
☆三
危うく
そんな某、電車に乗りテキトーに降りた街で意味もなく散策している。
うむ、流石は首都東京。人も歩けば
「ヘイヘイへェ―イ!!」
『へいへいへ~い』
なんだろう、このすごく面白そうだけど巻き込まれるとすごく面倒臭そうな感じ。
見よっかなぁ。いやいやいや、流石にね、全く縁もゆかりもない学校に無断で入る訳には。
「見よ!俺のスーパーストレェートォォォォ!!」
凄く見たいんですが。
ものごっつ見学させていただきたい。
面白そうな匂いプンプンですわ。
「よっしゃー!」
どうやらすーぱーなすとれーとは決まったらしい。
すーぱーなクロスはあるんだろうか。
気になる。
てくてくと歩き回り、学校名を確認する。
“梟谷学園”
びみょーに聞き覚えがある気がする。
ということは強豪校なのかもしれない。が、さしてそこら辺に興味はない。
今は、声の主のプレーが見たくて仕方ないのだ!
突入か?突入するのか?
しかし、よく見ると
「関係者以外立ち入り禁止です」と書かれた看板が。
うむ、優しく書かれているけれど、これは入った瞬間、屈強な体育教師に取り押さえられると、職員室に連行されて、「カツ丼食うか?」と訊かれる流れですな。
いくら拙が考え無しのあほうでもこれはまずいのが分かる。
オトンやオカンに迷惑掛けたらアカンもんな。
よし、自重自重。
それに、もうそろそろ、駅に行っとかないと予約してた特急に乗れないし。
「時は残酷だ。いつも私を「ママー、あのお兄ちゃんなんか言ってるよー」
少年よ、君も何時か分かる時が来るさ。
でも、某みたくなっちゃだめだぜ?
兄ちゃんとの約束だ。
それじゃ、あばよ!
通報される前に退散退散っと。
職質される前にドロンして、又してもふらついていると、今度はジャージ集団とすれ違った。
背中には「い、かどやま?」なんか書かれてたけれども読めなかった。
常用漢字よろしくぅ。
ただ、この集団もバレー部っぽかった。
バレー人口高いな、東京。
流石首都。
あ、お土産買う時間あるかな。
その後、お土産に平和の象徴クッキーしか買って帰っらなかった少年は親兄弟から大層扱下ろされたそうな。
その土産をを父だけは満足そうに食べていたとか。
☆三
東京ぶらりした翌平日。
気怠さを覚えながら某は学び舎へと足を向けた。
だるだるす。
よっこいしょ、と自分の席に着くと元エースが寄って来た。
「よっ、東京土産は何処だ?」
朝の開口一番に土産の在処を尋ねるだけとは、コイツとは友達の縁お切るべきかもしれない。
平和の象徴クッキー(個別)を手渡す。
「お、これ、地味に美味いよなぁ」
そう言って早速封を開けて口に放り込むアホ。
朝っぱらから周囲を焼き菓子特有の甘い香りが包み込む。
勘弁してつかーさい。
「そんで、見学はどうだったべ?」
バリボリ音を立てながら訊いてくるコイツにデリカシーなど皆無だろう。
というか、周囲の「此奴菓子を持ってやがる」というハイエナばりの欲に満ちた視線が辛いけどスルー。
「んだな、やっぱり強豪だけあってレベル高かったわ。パワーもダンチだし」
正直、高校に上がってすぐでもそれなりにやれる自信はあったんだけれども、あの試合を観た限りそんな楽観は捨てた方が賢明だろう。
「へー、確か千寿だったか。相手はどこよ?」
「ネコマ、ってとこ。めっちゃ拾うチーム。あの守りはヤバかった、マジで」
「音駒か~、古豪じゃん。確か全国行ったことあるトコだろ」
「知るか。俺はオマエみたく高校バレーオタクじゃねぇんだよ」
やはり知っていたか。
コイツの高校バレー雑学は軽く偏差値70を超えるとんでもなさだ。
あ、ちょっと訊いてみよ。
「あとな、梟谷学園ってとこの近く通ったんだけどさ、知ってます?」
「東京でもよく上位に食い込んで来るとこだな」
もう、君の名前はバレペディアとかで良いんじゃないだろうか?
感心通り越して、もうね、アレですよね。
「あとな、いかどやまってとこ知ってる?」
「・・・・・それもしかして井闥山?」
「わかんねぇけど、こんなカンジだった」
達筆で書いてやると、なんかプルプル震え出した。
トイレか?はよいけや。
「名門じゃねえか!チクショーいいなぁ。ナマ井闥山見たかったぁ~」
はぁ、と大きな感嘆。
スター選手を見た訳でもなく、ましてやプロ選手に出会った訳でもなく、単に高校のバレー部を見掛けたと言っただけでこれである。
コイツのオタクっ振りには流石の某もドン引きである。
「ヨカッタネー」
今日も晴天である。
何処となく、お天道さんの日差しも生温かいような、そんな気がした。
☆三
その日の夜、家族で食卓を囲んでいると、神妙な顔をしてパピーが切り出した。
「皆に聞いてもらいたい事がある」
「なにー」
「どしたん?」
「もぐもぐもぐ」
「・・・・・・」
おかんがだんまりということは、この話は既に聴いているということだろう。
そんなことを考えながら、唐揚げを口に入れる動きを止めることはない。
常在戦場である。
「父さんな、転勤することになった」
「え、まじ?」
「てんきんってなにー?」
「もぐもぐもぐ」
「アンタは一旦箸を置きなさいな」
くっ、俺の唐揚げぇぇ。
仕方ない、食い気より母の機嫌が優先である。
「9月から東京だ」
「おぉー」
「とうきょう・・・」
「じー(唐揚げ)」
そうなんだ。
大変だけど、頑張ってね。
話し終わったんだったら、もう食べて良い?
「で、だ。これから三人にお願いしたいことがある」
溜めなくて良いから。
唐揚げ、今にも冷めていってるから。
「誰か一人お父さんと一緒に東京行ってくれないかなぁ、って」
単身赴任はダメなのだろうか。
兄も同じようなことを思ったのだろう、おとんを見つめている。
「訳があってね」
イケメンが苦笑いしている。
言葉を濁す辺り我々には言い難いことのようだ。
しかし、まさかの道連れを御所望とは。
なんとも反応に困る。
そしてからあ(ry
「弟よ、これはかなり熾烈な争いになるぞ」
そう言って指をポキポキ鳴らす愚兄。
力勝負に持ち込む気か、長兄のくせに卑劣の極みだな。
しかも、この愚兄、唐揚げの存在を忘れている。バカめが!
かくいう弟は可愛い感じに頭を捻っている。
この子はホンマ癒しだわ。
そのままの君でいてくれよ。
さて、
「こういう時の
「なんのなんの。次男は長男の
「・・・・・・」
「・・・・・・」
コイツとは一度決着をつけた方が良いのかもしれない。
ゴゴゴゴ←両雄激突的な雰囲気
「ぼく、おとうさんと、とうきょういくよ!」
純真さ100%スマイル。
なっ、ここで天使降臨だと!?
くっ、我が家の最終兵器は一味違うな。
「裕は良い子だね~。でも、大丈夫。もう決まっているからね」
おっと、お袋殿。
それは聞き捨てならんのですがね。
つまり、生贄は既に選ばれていたと。
そういうことですか?
「俺はヤだぞ。折角、今の
ふっ、愚兄よ。
諦めるが良い。
この世は長兄に厳しいんだよ。
ハッハッハ。
「当然よ、てことで、拾。アンタ行きなさいな」
っは?
パードゥンミー?
ちょっと何言ってるか分からないですねぇ。
「悪いとは思うけど、我が家の為よ。気張りなさい」
有無を言わさず?
選択の自由はナシですか?
「学校側には今週中に伝えておくとして、友達に何時伝えるかはアンタに任せるからね」
え、まじ?
お父様を見つめるも、気まずそうに微笑むだけ。
アンタ、最初からそのつもりだったんか!
つーか、こればっかりは流石に許容量越えてるんですけれど。
え、転校ってマジ?
「よし、面倒臭い話は一先ずお終い!さぁ、食った食った!」
プチパニックな某をスルーして、夕食再開されてますけれども。
あ、唐揚げ!
「戦場で気を抜く奴が悪いのよ」
そう言って狙っていた大きめの奴を掻っ攫う
これは戦争待ったなしですわ。即開戦ですわ。
「あんたら落ち着いて食べることもできないの?」
マザーよ。
男にはどうしても退けぬ所があるのだよ。
愚かだと笑うべからず、そしてすきありぃぃぃ!
「あ!俺のポテサラ!」
鍋から最後の一杯を分捕ることに成功。
最後の一掬い、貴様がチラチラと横目で確認していたのは筒抜けだったのよ!
グハハハハハ!!!あー飯が美味い!!!
「貴様ぁぁぁ、ヌッコロす!」
「ふん、唐揚げにはポテサラを、だ」
「しゅうにーげんきになってよかったね」
「はぁ、馬鹿ばっかだね本当にうちの阿呆どもは」
「まぁまぁ、うちらしくて良いじゃないか。僕は好きだよ?」
その後も、愚兄と愚弟の醜い争いが続いたとか、続かなかったとか。
☆三
それから季節が一つ、二つと進み、
「おー、ちょっと感動かも」
桜舞う季節となり、某高校生になり申した。
いやはや、早いものですな~。
学ランはちょっと大きめのを買ってもらいました。
これで、体デカくならなかったら悲惨かもしれない。
まぁ、そんなこたぁ未来の自分に責任ポイして、今が楽しけりゃケセラセラってな。
今日、この時より、千賀拾の伝説が始まるのである。
などと、悦に入っていると小さい影が横を通り過ぎて行った。
猫背気味で長髪の後ろ姿。
ちらりと見えた横顔もなんか見覚えのあるような・・・
「いかん思い出せん、誰だっけ?」
まぁ、何時か思い出すだろ。
明日は明日の風が吹くってな。
「では、これより三年間よろしくです」
校舎に向かって軽く一礼してから歩き始める。
何のご縁か来ちゃった
「
題通り、駆足で無理矢理進めたので、ゴメソ菜菜