突き抜けなくて何が悪い   作:鈴漉

5 / 9
なんとなく原作さんは風呂敷を畳んで行っているなと感じる今日この頃。
寂しさを感じたり感じなかったり。


とある選手の入学日

 高校生になって何か大人になった気がします。

 根拠はないんだけれども、ちょっと優越感。

 

 「うーん(小声)」

 

 伸びをすると制服の肩辺りがまだ硬い。

 これもいずれは気にならなくなるんだろうな、とふと考える。

 そっと見渡すとクラスの雰囲気はガチガチのカチコチに固まっている。

 まー、しゃーないかね、こればっかりは。

 と、余裕ぶりながらも、ドキのムネムネが止まらない某でした。

 

 

 で、担任の先生来るまで暇なので、ボーっと激動のここ数ヶ月をプレイバックしてみることに。

 それでは、張り切ってどうぞ!

 

 

 

 ☆三

 

 

 

 

 パパんの転勤と某の道連れ召喚が確定した日から数日後に両親が学校に報告。

 担任と顧問先生から呼び出し喰らうの巻。

 目敏いクラスメイツ、何があったんだ、と興味津々。

 

 ま、いっかと軽い気持ちで九月から転校するんだよ、HAHAHAとカミングアウト。

 そしたら何故か大騒ぎに。

 エースくん鬼の形相だし、マジかよと騒ぐアホはいるし、何故か泣いてる子いるし。

 

 収拾がつかなくなりそうだったけれども、ガチムチ学年主任の「散れ」の一言で皆の混乱が一気に治まったのははかなりツボッた。貴様ら絶対狙ってやってるだろ。

 あと、主任にはしこたま説教されました。

 あれ、悪いの拙?

 拙、なのかなぁ?

 

 

 

  

 それからというもの、担任や顧問先生と進路について相談を重ねた。

 と言っても、都内の学校のことなど分からないので、あくまでも方向性を定めようといった感じのやつだった。

 

 担任の先生からは、千寿学園を物凄くプッシュされた。

 まぁ、スポ薦で行けば、学力はほぼほぼ関係ナッシングですし。

 転校して数か月後にゃ慣れない環境で入試ってのがどうにも心配されたっぽい。

 フツーこの時期に転校すること自体、レアケースな訳だから先生もだいぶ苦慮しているっぽかった。

 

 でもねー、バレーで入学するってことは、当然結果を求められる訳でして。

 そのプレッシャーを常に感じながらバレーに邁進できるかと訊かれると、「多分無理」と即答できるくらいにはダメ男な某でして。

 

 

 そんな煮え切らないまま、時間だけが過ぎて行きましたこわさ。うまいよね。

 その間にクラスメイツや部活仲間たちと結構遊びました。

 思い出作りって柄ではないんですけどね。

 

 その時、エースくんとはとある約束をしてようやくオコを解除していただきました。

 ふぅ、大変でしたぜ。

 

 

 んで、態々東京に移る前日に寄せ書きまで頂いちゃって、恐悦至極なりけり。

 泣いてる奴に「最後に眼鏡取ってくれ」と言われて従ったら鼻血出して倒れやがった。

 一体コイツは何がしたかったんだろう。甚だ疑問である。

 

 

 グッバイふれんず。

 またなー。

 

 目から鼻水が出て来やがったぜ。

 あーつれぇ。

 ずずず

 

 

 

 

 

 そして、拙は九月一日より東京の学校に転校したのです。

 こっちの人って結構クールなんだな、と転校初日に思ってたら、あっという間にお受験でした。

 転校先の担任せんせーは凄くこちらを気遣ってくれて、ウチの家庭事情や某のまとまらない進路希望を辛抱強く擦り合わせてくれて感謝感激でござる。 

 

 

 学力:ほどほどに、部活:そこそこに、通学距離:東京迷宮イージーモード、などを加味した結果、

 音駒がいんでねーか?となりました。

 

 何か覚えがあるなと思いながら受験勉強をせっせかやりまして

 いざ受験しに行けばああ、ここだったのね、と思い出し候。

 

 試験の出来自体は問題なく出来たので良かったですぅ

 因みにお私立も滑り止めしなきゃ!と受けはしましたが、元々行く気はないのでやる気ゼロ。

 解らない問いは神頼みが基本でした。だって六択とか絞り切れんでしょーが。

 あ、でもあの問題はパーペキです。

 

 Q:鎌倉幕府が始まったのは

 

 A:1192年

 

 良い国つくろう鎌倉幕府でしょ?

 敬愛するおとんが言ってたから間違いない筈!

 さてさて、答え合わせ、っと・・・・・

 えっ、ちがっ、あああああああああああああああああああああ

 

 

 

 などという悲劇を演じながらも、なんとかネコちゃんに受験番号があったので事なきを得ましたぇぇ。

 あの時はショックデカすぎて灰になってました。

 あの時、声を掛けてくれた美人な外人のお姉さんありがとうございました。

 ハンカチ借りてそのままなんだけども如何しようか。

 

 

 ・・・

 

 

 そんな某、結局転校先では友達出来ずじまいでした。

 悲しくなんかないんだからね!

 

 

 つらたん。

 

 

 

 そのまま寂しく卒業式を迎え、式後はクラスメイトと駄弁ることもなく、早々と父上と共に帰宅したのでした。

 また、おとん目当ての保護者マダムたちの奇襲攻撃を避けるのに必死で気が気ではありませんでした。

 

 

 おとんの「僕のせいでごめんね」という悲しそうな声に「だ、大丈夫やで!」としか返せなかったのはちょっと気不味かったです。

 

 

 

 ☆三

 

 

 

 そんな涙で枕を濡らすような、苦い肝を嘗めるような日々を乗り越え、拙者は今ここに居ます。

 ああ、今こそ始まるのです、薔薇色の高校生活。

 そして眠い。

 

 昨日は目が冴えて全然眠れなかったからふぁあぁあ。

 むにゃむにゃむにゃ

 

 

 

 あ、

 っという間に放課後です。

 早速、バレー部に入部しようと体育館に行こうと思うのですが、どうも前方のヤンキーが同じ方向に歩いて行くみたいでして。

 バスケ部希望だよね?スラムなシュートを決める不良さんですよね、と淡い希望を抱いている時が私にもありました。

 

 「中等部出身山本(やまもと)猛虎(たけとら)っす!ポジションはスパイカーなんでよろしくお願いシャッス!」

 

 そう、彼は赤髪リーゼントじゃないんだないんだないんだ(エコー

 でも、不貞腐れ系じゃないだけマシだと思うことにしようか。

 あ、某の番

 

 

 「内島中学から来ました、千賀拾です。ポジションはブロッカーメインでやってました。よろしくお願いします。」

 

 

 我が母校は内島(こっち)だからこういう自己紹介でよかろう。

 在学してたってのは嘘じゃないし。

 

 

 で、後気になったのが

 

 福永(ふくなが)招平(しょうへい)という如何にも不思議ボーイな奴。

 そして、弧爪(こづめ)研磨(けんま)。そう、かのゲームボーイだった。

 

 

 

 「や、ゲームボーイ、おひさ」

 

 「その呼び方、やめて」

 

 

 自己紹介タイムが終わったのでちょいと話し掛けてみたら、向こうさんも覚えてたっぽい。

 

 

 「これからよろしくどうぞ」

 

 「よろしく」

 

 シェイクハンドは歴とした挨拶なんですぜ。

 無視いくない。

 あ

 

 「よろしく福永っち」

 

 ぺこり

 

 「よろしく千賀っち」

 

 ぺこり

 

 

 福永っちはふれんどりーでした。

 乗りも良さそうだし、べりぐー。

 続いては

 

 

 「トラさんもよろしく~」

 

 「あぁ? おう、よろしくな!」

 

 

 トラさんもフツーに良い人でした。

 見た目で判断するの良くない。

 数分前の某に熱いカウンターですわ、これ。

 

 

 「ウチジマなんてとこ初めて聞いたぜ?」

 

 トラさんが喰い付いて来た。

 仕掛けた話題(エサ)に乗ってくれると某、とても助かります。

 

 「そりゃ、東京都にはないですからね、そんな学校」

 

 グーグル大先生に聞いたけど東京に同名の中学校はありませんでした。

 他の県にはあったけども。

 

 「ってことはバレー留学か!?」

 

 「いや、家庭の事情により止む無く」

 

 「シリアス?」

 

 「いんや、至ってフツーの家族です」

 

 福永ッチにVサインで大丈夫よ、と伝えておく。

 ここで要らぬ誤解を与えたくもないし。

 そしてここでチャンスを逃したくもない、俺のターン!

 

 

 「それよりさ、後で連絡先交換しよーよ」

 

 

 これで断られたら、拙、明日から学校に行けなくなるかも。

 

 

 

 ☆三

 

 

 

 「なぁなぁ、お前らから見て一年たちどうだったよ?」

 

 

 練習後、部室にて一際小柄な夜久(やく)衛輔(もりすけ)が同級生たちに尋ねた。

 彼は二年生ながらも既に“守りの音駒”のリベロ(守護神)の座に着く守備のスペシャリストである。

 因みに身長の話になると暗黒のオーラを撒き散らすことで一部有名である。

 

 

 「粒ぞろいで楽しみだったね。黒尾はどう?」

 

 

 にこやかな笑みを浮かべ答えたのは(かい)信行(のぶゆき)

 その落ち着きと笑みを絶やさぬ姿から、一部で仏様と呼ばれつつある逸材である。

 高校入学から今まで一度として怒った所を誰も見たことがないらしい。

 

 

 「うぇい?そーだな、個性豊かで結構じゃないの?」

 

 

 そう言って笑うのは黒髪のトサカヘアーが特徴的な黒尾鉄朗。

 彼は現音駒高校バレー部監督猫又(ねこまた)育文(やすふみ)に強い影響を受け、バレーを始めた過去を持っている。

 チャラいように見えて締める所はキッチリできるエリートぱるふぉむ漂う男である。

 

 

 各々、新二年生ながらきっちりとレギュラーの座を掴んでいる。

 そんな三人は衝突しながらも(主にチビとデカ)強い信頼関係を築いていた。

 

 

 「黒尾の幼馴染、弧爪だったよな!飄々としてたな、凄く」

 「あぁ、あの子はあーゆー子なので悪しからず」

 「あと、山本は気合入ってたな!」

 「そうだね。それと、福永くんも面白そうな子だったね」

 「確かに!でも一番気になったのは、やっぱりアイツだよな。千賀」

 「千寿と練習試合した時の子だよね」

 「やっぱり、君たちも覚えてんのね」

 

 頷く二人を見て、黒尾はふと思い浮かべる。

 去年の夏、千寿学園との練習試合で見せた話題の後輩のレシーブ。

 戻って来たボールが先輩セッターの真上に落ちて来た時、正直、自分より上手いのではないかと小さくない衝撃を受けたのは今も頭の片隅に残っている。

 

 

 「アイツら話してんの聞えたけど、他県からきたらしいぜ」

 

 夜久が“バレー留学じゃん!”と目を輝かせる。

 

 「わざわざウチに、って感じでもなかっただろ。それに音駒(ウチ)はしがない都立校です」

 「でも、なんとなく縁を感じるよね」

 

 黒尾の否定をやんわりと海がフォローする。

 海様、仏様である。

 なむなむ。

 

 しかし、時として人は自ずと戦いの火蓋を開ける業の深い生物である。

 

 

 「ポジションはブロッカーだから黒尾君はアブねえかもよ?」

 

 ニヤケながら音駒の小さな守護神が煽る。

 

 「はぁ~~?若造にすぐポジション取られるほど俺は耄碌してねえよ。てか、アイツレシーブ上手いんだから、リベロにコンバートしたらすぐ、夜久君なんか用済みじゃないデスカァァァ?」

 

 そして、攻撃を受けて黙っているほど平和ボケした存在も稀である。

 そのまま二人は互いに罵り合い、それを「あらら」と眺める菩薩様がいたとかいなかったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 




ダラダラ妄想駄文続きますが、何卒。
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