突き抜けなくて何が悪い   作:鈴漉

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とある選手の御披露目日

 

 突然ですが、あなたは何チキ派?

 

 「断然ななチキだろ!」

 「・・・ファミチキ」

 「アイテムっぽいからLチキ」

 

 因みに某は竜田派です。

 悪しからず。

 

 部活帰りと言うのは酷く誘惑が多くて困る。

 自販機にはホイホイ寄付しようとしてしまうし、コンビニのレジ横にある揚げ物たちは只管我々の胃袋を攻めて来るのだ。じゅるり。

 

 高校入学からもうすぐ一月が経つ。

 早いものだ。スポドリずずず。

 

 飢えた猫どもの「チキチキ!!一番美味しいと思うコンビニのフライドチキンは何だろか?」が思いの外盛り上がりつつある今日この頃、某は悩んでいる。

 

 「竜田はなしだろ!」

 「・・・フライドチキンではある」

 「どーでもいいよ」

 「もっと熱くなれよ、弧爪ェェェ!!」

 「暑苦しい」

 

 同級生たちが冷たいし、まとまりないです。

 誰か助けて・・・

 あ、夜久パイセンに黒尾パイセンに海大先生だ!

 

 「おめーら仲いいね」

 

 黒尾パイセン、正気ですか?

 この熱血漢(とらさん)と冷血漢(けんま)の不毛な言い争いが見えないと!?夜久パイセン!

 

 「好きにさせとけよ。いつものことだろ?」

 

 そうなんです。そうなんですけども!

 こうなったら海さん、オナシャス!

 

 「弧爪も山本も校外ではほどほどにな。地域の人たちから苦情来たら皆に迷惑が掛かるんだから」

 

 「ウィッス」

 「・・・大きい声出してたの山本、クンだし」

 

 水と油な二人を優しく諭す。

 おお、これぞ仏ぱうあーよ。

 ああ、ありがたやありがたや。

 

 「ちょくちょく千賀は変だよな」

 「害はないし、問題なーし!」

 「手を合わせられる方の気持ちも考えてくれよ」

 

 残念ですが、拙が海大僧正を敬うのは決まり切った事なので・・・

 にしても、パイセン方、仲が良いようで何よりです。

 去年の練習試合見る限り黒尾パイセンと夜久パイセンは犬猿の仲って思ってたけれども、仲悪い訳じゃないらしい。

 まぁ、部活ギスは誰も幸せにならないから全然オッケーです。

 

 

 ◇

 

 

 ゴールデンなウィークが到来しましたが、果たしてこれは誰にとってゴールデンなのでしょうか。

 甚だ疑問に思う今日この頃です。

 

 「レフトォーッ!!」

 「ストレート〆ろーッ!」

 

 今日は楽しい楽しい合同練習並びに練習試合、と行きたかったのですが。

 その相手が問題でして。。

 

 

 ジーッ

 

 

 「はぁ、やり辛い」

 「向こうの監督さんめっちゃお前のこと見てねえか?」

 虎さんの陰に隠れよっと。

 

 

 ジー

 

 

 「熱視線」

 「福永ッチヘルプミー」

 グッ

 

 

 知ってるかい?

 グッドラックって、「俺には関係ねぇ」って意味もあるんだって(大嘘)

 

 

 「ちょっと、俺盾にしないでよ」

 「ゲームボーイ、敵が逃げる呪文教えてクレメンス」

 「・・・諦めてリスボン行ったら?」

 

 それが出来たら苦労しないんですよ!

 どの面下げて、「お誘い断って、音駒入りました!」って言えるんでしょうか!

 否、言える筈も無し!

 

 

 「千賀、ちょっと来なさい」

 

 

 などと、悩んでいると先生からお呼びが。

 行きたくない。とても足が重い。あと、腹が痛い。

 

 「千賀君、千寿学園バレー部顧問の尾野田です」

 

 はい、お噂はかねがね。

 っつか、ムッキムキバディぱねえっす。

 ワンパンでキルですって、これは。

 

 「僕らは同じチームとしては縁がなかったのかもしれない。でも、こうやって違う縁は出来た。折角だからそれを大事にしようじゃないか!」

 

 イテッ

 バンバン叩かないで。

 パンパンの腕で叩かないで~

 

 「向こうさんも快くこう言ってくれてるんだ。シャンとしたプレーをしなさい」

 

 イエスボス!

 では、練習戻ります!

 すたこらさっさ~

 

 

 「ったく、アイツは~」

 

 音駒のコーチ直井は呼んだ時と段違いの速さで逃げていく教え子に頭を抱えた。

 頭の回転も速く、練習態度にも特に問題はない優等生だと最初ばかりは思っていたが、どうにもあの生徒は一癖ある輩だと最近分かって来ていた。

 

 「すみません、尾野田先生」

 

 「ハッハッハ!!元気があって結構じゃないですか!」

 

 大声で笑う相手校の監督はさして気にした様子もなく、それどころか嬉しそうですらあった。

 ますます、直井の脳内では疑問符が生まれることになる。

 

 「指導者やってますと、色々なもん見ることになるでしょう?その中でも辛いのは何かって言うと、目を付けていた選手が怪我やスランプでユニフォームを脱いでいく時なんですよ。あれほど、脱力させられるこたぁないんですよね」

 

 そう言って笑う尾野田自身も学生時代、怪我に泣かされた過去を持っていた。

 それを知る、猫又の表情は必然固い。

 

 「なんで、ぼかぁ、彼が元気にプレーしてくれてりゃそれで良いんですよ。まあ、ウチに来なかったことを死ぬほど後悔させてやろうとは思いますけどね」

 

 ニヤリと不敵に笑い、尾野田は戻って行く。

 そんな若い指導者を見つめながら、ふと猫又は呟いた。

 

 「ったく、ああいうのを見せられると、いつまでも俺みたいな年寄りがここ(監督)に居座っちゃいけねえ、って痛感させられるよ」

 「そんな、先生はまだまだこれからですよ!」

 「そこで、『俺が引き継ぎますんで、引っ込んでてください』ぐらい言って欲しいものだ」

 「えぇ~、そりゃきついですって、先生」

 

 教え子とのやりとりの中、猫又はとある好敵手を思い出していた。

 再戦を約束した男のことを。何故か無性に懐かしかった。何時以来だっただろう。

 もう何年も会っていない。“小さな巨人”と呼ばれたエースと共に全国大会に出場したのを最後に噂は聞かなくなった。情報自体、調べられないこともなかった。

 けれど、いざ調べようとすると、途端にその気が失せて行くのだ。

 何処となく、奴について探ろうとする自分が無粋に思えたのかもしれない。

 

 

 「何時までやれるもんかねえ」

 

 

 己の年齢。在りし日の約束。若葉の芽生え。

 こうやって考えに耽る間にも時間は流れて行く。

 それでも、変わらない、変えられないものもある。

 

 

 「目の前のボールを拾わにゃ何も始まるまいて。触りゃあ試合は続くだろうよ」

 

 

 猫又はゆっくりと歩く。

 その瞳は爛爛と輝いていた。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 はてさて、練習試合ですが、なんと!

 ユニフォーム貰えたの巻!

 背番号13!ワクテカ!

 

 「猫又センセはユニフォーム与えたからには一年だろうが容赦なく使って来るからな。お前らチビんなよ」

 

 口が悪いですキャップ。

 まぁ。仰る通りなんで何も言いませんけども。

 

 「練習試合だからね。失敗しても良いから、しっかりとプレーしなよ」

 

 ああ~

 海様~

 こころがぴょんぴょんするんじゃ~

 この仏っぷりよ、マジで。

 

 「うっしゃ!やってやんぞゴラァァ!!」

 「(上級生と試合はヤダなぁ)」

 「デビューでView・・・イマイチ」

 

 

 「あの子たち大丈夫ソウネ」

 「一年、頼もしいじゃねえか」

 「若干一名拝んでるのは大丈夫なの?」

 

 音駒二年ズは後輩のフリーダム加減に戦慄を覚えたり、頼もしさを覚えたり、困惑していた。

 

 パンパンと手拍子が響く。

 

 「今日はベンチメンバー全員使うつもりで行くから皆そのつもりで」

 

 『シャス!』

 

 「うんうん。それじゃあ今日のスタートはこれでいくから」

 

 前衛レフト側から時計回りに

 

 ➀黒尾 二年 ㎆

 ➁海 二年 WS  

 ➂三家谷C 三年 WS 

 ➃千賀 一年 MB(夜久 二年 Li)

 ➄白城 三年 S

 ➅芥川 三年 WS

 

 ま さ か の ス タ メ ン。

 らっきー。試合は大好物です。ヌハハ。

 

 「チッ、千賀が一年一番乗りか」

 

 すまんな虎さん。

 デビューしちゃうぜ。ぐへへ。

 

 「ガンバ(グッ)」

 

 おうよ。任せろ福永ッチ。

 

 「・・・・・・」

 

 なんか言ってくれても罰は当たらんのよ、ゲームボーイ?

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 「千賀、ストレート〆るぞ!」

 

 ミケキャプテンはドSです。

 ドSFスキーとこっそり名付けませう。

 

 「せーのっ!」ボグッ!

 

 うひゃあ、、威力半端ないっす。

 なんとか向こうのコートに返しはしたけども、正直、もう受けたくない今日のこの頃です。

 

 「やっぱり多少コースキツくても強引に来るなぁ」

 「かと言って枚数減らすと厄介だしな」

 「基本は二枚で当たりますか?」

 「そだな、千賀にはキツイだろうから、コイツは自由にさせるか?」

 「りょ、若いもんのフォローは年寄りが頑張りますかぁ」

 「爺くせぇw」

 

 先輩方の優しさがありがたや~。

 千寿学園のパワープレーに戦々恐々しておりますが、先輩方のこの頼もしさよ。

 

 「という訳なので、君は自由にやんなさいや」

 

 サーイエッサー!

 

 

 試合は進む。

 されど終わらず。

 いやはや、シンドイ。

 

 そんでも、自由に伸び伸びとやらせていただけて感謝感激ですわい。

 強烈サーブ&スパイクなガンガン押せ押せは大変だけれども、読みにくさがないのが救いです。

 

 

 Aパス上がりましたぁ

 夜久パイセンマジゴッド。

 キャプテンにセンター通すのも良いだろうし、海様に託すのも悪くない。

 でも、だからこそ

 拙への枚数が減った今こそ、

 

 

 「レフトォォォ!」

 

 

 某が決めるのも良き哉?

 

 

 より鋭角(アングル)に。

 より内角(インナー)に。

 中学時代エースくんが言っていたことを思い出す。

 

 「ここぞって時に打ち切れたら、『あ、俺キテるかも』って思えんだよね。それで決め切ったら」

 

 ボールは誰も触ることなく、コートに落ちて行き、地に着いた。

 フラッグが降りる。

 

 

 “俺はまだ進化できるって、これで終わんねえぞって、自信出て来るんだわ”

 

 

 拝啓、親友よ。

 某、お前ほど強くないし、お前ほど熱意ないけども、

 ちょっとはやって行けそうです。

 

 

 音駒(25-22、26-24)千寿

 

 RESULT

 

 千賀 拾

 

 総得点 15点

 内訳  サービスエース 1点

     スパイク    11点

     ブロック    3点

 

 

 




ダラダラ進みますがよろしゅうに

追

誤字報告ありがとうございます。
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