「信之介さん!!」
あたしは事務所に帰って来た。だけど信之介さんはいなかった。部屋を見回した時いつも壁にかけていた白い帽子が無かった。信之介さんは仕事に行ったんだと思ったあたしは信之介さんが帰って来た時に謝ろうと思った。その時だった。事務所に電話がきた。あたしは電話に出ると。
「天羽 奏ちゃんね?所長は?」
相手は女だった。
「誰だよあんた?」
「・・・・・・依頼人よ」
「へ?・・・・・・あ、えと、信之介さんは今いません」
あたしがそう言うと。
「そう」
相手はそれだけを言った。そして続けざまに聞いてきた。
「ねぇ。ソファーの下にトランクケースがないかしら?」
「?トランクケース?」
あたしは受話器を置いてソファーの下を覗きに行った。見てみると何かがあった。あたしはそれを取り出すとたしかにトランクケースがあった。あたしは受話器を取って答えた。
「ありましたけど信之介さんの忘れ物ですか?必要ならそちらに届けに行きますけど?」
「・・・・・やっぱり。相変わらずあの子はそれが嫌いなのね」
「?どういうことだよ?」
あたしは依頼主の言葉に首を傾げた。
「・・・・・・それは地獄から抜け出すための切り札になるはずだったのだけど・・・・・・・信之介らしいと言えばらしいわね」
「!?どういうことだよ!?あんた一体何を言ってるんだよ!!?」
あたしはそう言うと依頼主は電話を切ってしまった。
「・・・・・・地獄ってどう言うことだよ?信之介さんは一体どんな事件に関わったんだよ」
あたしはそう言ってトランクケースを見た。あたしはほっとくことができなかった。
「信之介さんの助手はあたしだけなんだ。あたしが持ってかなきゃ」
あたしはそう言って事務所を飛び出した。
これが悲劇の始まりだと知らず。
あたしは信之介さんの居場所を突き止めた。ある港から船に潜り込んでいたらしい。あたしがその港に着いた時にはすでに夜だったけどその港はかなり様子がおかしかった。中型の船に数台のトラックが入ろうとしていてその周りには黒服の男がかなりいた。どう見てもロクな人間じゃなかった。あたしはスキをついてトラックの下に潜り込みしがみつくとなんとか船内に潜入できた。するとすぐに船は出航した。
あたしはこっそりと船内を歩いているとこの船の目的地のような島が見えた。でもその島はおかしかった。その島はかなり小さい島であんなところに大量の物資を持ち込んでも意味がないような島だった。その時だった。
バチ!!バチバチバチバチバチバチ!!!!!バチチ!!
「うわっ!?」
突然妙な音が鳴り響いた。あたしは驚いて思わず声をあげた。幸いそこには誰もいなかったからなんとかなった。そしてあたしは目を疑った。
その島にはさっきまでなかったはずだった。そこにはでっかいビルが建っていたんだ。
「な、なんだよこれ?」
あたしがそう言って下がるとパイプを蹴ってしまった。そして近くにいたのか1人の黒服があたしに気がついた。
「誰かいるのか!?」
「やっべ」
あたしがそう思った時だった。突然誰かがあたしの口を手で覆った。そして狭い通路に引きずられると同時に誰かがあたしの前に出ると。
パシュッ。
誰かが黒服の男を銃で撃った。
「!!」
あたしは思わず悲鳴を上げようとしたら。
「しー。静かに」
そう言ってあたしの口から手をゆっくり離した。あたしは後ろを見てみると。
「信之介さん!」
そこには白いスーツと白い帽子を被った信之介さんと右腕が義手の男がいた。そしてその後ろには武装した10人の男がいた。
「・・・・・・なんでここにいるんだ奏ちゃん」
信之介さんにそう言われてあたしは言葉を詰まらせた。すると義手の男が信之介さんに話しかけた。
「信之介。どういうことだ?なんでお前の娘がこんな危険なところにいるんだよ!?」
男がそう言うと信之介さんはあたしが持ってるトランクケースを見た。
「・・・・・・・・それを持ってきたのか?」
信之介さんがそう言うとあたしは素直に答えた。
「い、依頼人の女の人から連絡があって・・・・・・・それで、もしかしたら信之介さんがヤバイって思ってそれで・・・・・」
「・・・・オラの足取りを追って持ってきたと」
あたしは頷いた。
「・・・・・・・信之介。その依頼人ってもしかして」
「あぁ。間違いないよ風間君。あの女だ」
信之介さんがそう言うと手をあげた。あたしは叩かれると思って目を瞑るが信之介さんはあたしの頭を撫でてくれた。
「信之介さん?」
「・・・・・・これはきっと運命だ」
「えっ?」
信之介さんがそう言うとあたしの両肩に手を置いてあたしに話した。
「いいか、奏ちゃん。本来だったら奏ちゃんを巻き込むつもりはなかった。だけどこうなってしまった以上オラも、風間君達も、そして奏ちゃんも、誰も引き返すことはできない。だからよく聞くんだ」
信之介さんはそう言ってあたしの手を掴んでこっそりとビルを見た。そしてその隣には風間という男も一緒だった。
「いいか、奏ちゃん。あのビルは地獄だ」
「?地獄?どういうことだよ信之介さん?」
あたしはそう聞くと。
「黙って聞け奏ちゃん」
と、言われた。
「あの中に1人の少女が捕まっている。今回の依頼はヤクザ、風間組と探偵のオラで彼女を救出する事だ」
この時の信之介さんは、まるで覚悟を決めたような目をしていた。
プシュゥゥゥゥゥ!!
ある機械から1人の少女が起き上がった。その少女は病院服のようなものを着ており長いピンク色の猫耳のような髪をしていた。その少女が起き上がると。
「目を覚ましたかな?」
誰かが彼女に通信をしてきた。
「・・・・・・あなたは・・・・・・・誰?」
「ワシのことなど気にしなくてよい。さっそく研究を始めるんだ。貴様は地球の全てを学ぶためだけに生まれてきたのだからな」
「・・・・全てを・・・・・・学ぶ。そうだ。それが私の使命でありたった一つの生きる価値だったわ」
彼女がそう言うと相手は笑った。
「ハッハッハッハッハッハッハッ!!!!その通りだ!!貴様が何者かなど考える必要はない!!ここは貴様のために作られた施設、いわば楽園だ!!存分に楽しむがいい!!」
男がそう言うと同時に彼女は立ち上がった。
「さぁ!用意はいいな?」
「・・・・・・・問題ないわ」