「『自衛隊、特異災害対策機動部による避難誘導は完了しており、被害は最小限に抑えられた』だって」
入学式の翌日、学園の食堂で昼食を取っていた響はリディアンでできた友達の弓美が携帯端末を見ながら言う昨夜起こったニュースを聞いていた。話を聞く最中も響は箸を止めず食べ続けていた。
「ここからそう離れていないね」
「うん」
口に含んだご飯を咀嚼しながら弓美の言葉に頷く。すると。
「ねぇここいいかな?」
と、響達に話しかける2人の女の子が現れた。
「え?別にいいけど」
響は再び箸を動かしておりそれを見た弓美は響の代わりに答えた。2人の女の子が弓美と響の隣に座ると。
「いやーごめんね?座る席がほとんどなくて困ってたのよ」
そう言って身長の高い女の子が弓美にそう言った。
「別にいいわよ。ここは私と響しか使ってないし」
弓美がそう言うと響の隣に座っている金髪の女の子が響に話しかけた。
「たくさん食べるんですね」
「うん。だってお腹空いてるんだもん」
響がそう言うと金髪の女の子はクスクスと笑った。
「私は寺島 詩織と言います。あなたは?」
詩織という女の子が響にそう聞くと響は口に入れたものを飲み込んでから自己紹介した。
「私は立花 響15歳!誕生日は9月13日で血液型はO型。趣味は人助けで好きなものはごはん&ごはん。あとは彼氏いない歴は年齢と同じだよ」
「なんかえらく独特な自己紹介ね」
身長の高い女の子がそう言うと。
「でも面白い子でしょ?あ、私は板場 弓美。趣味はアニメ鑑賞よ」
「私は、安藤 創世。趣味、特技はバスケで部活もバスケ部に入るつもりよ」
4人は自己紹介をしていると。
「ねぇ、『風鳴翼』よ!」
「芸能人オーラ出まくりで近寄りがたくない?」
「孤高の歌姫と言ったところね!」
と、ヒソヒソとした声が届く。
「っ!」
その会話の中に出た名前に咄嗟にその人物を探そうと立ち上がった響は
「っ!?」
自身の隣を歩く人物にぶつかりそうになった。その人物は今まさに噂されていた『風鳴翼』だった。風鳴翼、日本を代表するアーティストであり、ツインボーカルユニット『ツヴァイウィング』の一人でもあった人物。『二年前のとある事件』以降はソロでの活動を行い、絶大な人気を誇っている。
超有名トップアーティストであるその人が突如目の前に現れたことで響の思考は真っ白になった。
「あ、あぁ・・・・あの・・・・・・」
響は、ずっと出会ったときに言おうとしていた言葉が緊張で出てこずお茶碗と箸を持ったまま立ち上がっておりカチャカチャと音を立てている。
しかし翼は、無表情で響を見つめていると人差し指で自分の口元を指差した。
「へ?」
その動作に響はつられて自分の口元に手を当てる。すると、その指先に何かの感触を感じる。見るとそれは、先ほど自分がかき込んでいたご飯粒だった。
公園のベンチ。そこでは黒いスーツを着たオレンジ色の髪の女の子がだるそうな顔で座っており黒い帽子をウチワのように仰いでいた。
「あーだるい。いつもいつもペット探しばっかりじゃあたしだってモチベーション上がらねーよ。なんかこうもっとハードボイルドに解決するような事件があたしの依頼に来ねーかなぁ?」
女の子はそう言って両隣にあるペットケースを見た。そに中には2匹の黒猫が入っていた。女の子は背伸びをして首の骨を鳴らすとペットケースを持ち上げると2匹の黒猫の飼い主である依頼人の家に向かった。
「はぁ・・・翼さんに完璧変な子だって思われた」
響はへこむように寮のテーブルにうなだれた。
「間違ってないからいいんじゃない?」
「そんなぁ~」
そう言って弓美はポテチを食べながらアニメを見ていた。そして弓美は思い出すように響に聞いた。
「そういえば今日は翼さんのCD発売だったわよね?大丈夫なの?」
「ん〜?・・・・・・・・・・ハッ!!?忘れてた!!!!」
弓美にそう言われて思い出したようにガバッと顔を上げた響は大慌てで立ち上がり準備をすると弓美に「行ってきます」と言って全力で走り最寄りのモノレールに向かった。
「フッ!フッ!CD!!フッ!フッ!特典!!フッ!フッ!CD!!フッ!フッ!特典!!」
期待に胸を膨らませひた走る響。その顔には先ほどまで憧れの人物に変人認定されたと落ち込んでいた人物とは思えない幸福感に満ちた顔で走っていた。
「フッ!フッ!CD!!フッ!フッ!特てってうわぁ!!」
「うおっ!!」
横の道から出て来た人物にぶつかり響は尻もちをついた。
「いてて・・・・・すいません」
響は謝って行こうとしたが。
「待てやゴラァ!!」
いかにもチンピラですっていう雰囲気を纏ったおっさんが響の肩を掴んだ。
「な、なんですか!?私急いでるんですけど・・・・」
「テメェどこに目ぇつけてんだゴラァ!見ろよ肩の骨折れちまったじゃねーか!!慰謝料と治療費払えやゴラァ!!」
頭の悪い会話をするおっさんに絡まれた響は急いで風鳴 翼のCDを買いに行きたいのに買いに行かないという状況になり無意識に握り拳を作っていた。すると。
「おいおい。なにいい年したおっさんが女子高生脅してんだよ?」
と、声が聞こえた。おっさんと響は、声が聞こえた方を見るとそこには黒いスーツと黒い帽子を被ったオレンジ色の髪をした女性がいた。そしてその女性を見た響は1発で気づいた。
「昨日の」
「テメェ誰だゴラァ!!部外者は黙ってろや!!」
おっさんはそう言って威嚇するが。
「そうもいかねぇな。あたしがこの街にいる以上悪党を見逃す理由なんてない」
女性がそう言うとさらに言う。
「まだ夕方なのにそんな風になるまで酒飲みやがって・・・・・程々にしたかねぇと警察に捕まるぞ?」
と、言った。
「女風情が俺に指図するんじゃねーよ!!」
おっさんは酒の勢いと頭に血が上っている状態なのかキレやすく女性の言葉にキレて殴りかかった。しかし女性は頭を少しそらすだけでおっさんのパンチをかわした。
「なっ!!テメェよけんな!!」
おっさんはそう言って殴りかかるが女性は退屈そうな顔でさらにアクビをするとおっさんはさらに怒り顔が真っ赤になっていた。しかしどれだけ殴りかかっても女性は簡単に避けてしまうので結果的に1発も当たらなかった。それどころか周りにギャラリーが集まりおっさんに「1発ぐらい当ててみろや」とか「女相手に情けないわよ」とかおっさんをバカにするような声があった。そして女性は少し調子にのってるのか被っていた帽子を脱ぎ放り投げると同時におっさんのパンチを避けると放り投げた帽子をキャッチしてカッコよく被りそして
「どうした、その程度か?ピエロ」
そう言って決めポーズをとった。それを見たギャラリーは女性に声援が送られた。「痛いけどカッコいいぞ」や「素敵抱いて」とかちょっとふざけた声援も混ざっているが全員女性を賞賛していた。それを見たおっさんは舌打ちをすると。
「お、覚えてやがれ!!」
と、捨てゼリフを吐いて逃げていった。
「大丈夫か?ケガは?」
「あ、はい!大丈夫です!」
ギャラリーが解散すると女性は響に近づいて響の安否を確認すると響は大丈夫ですと笑顔で答えた。
「助けてくれてありがとうございます、奏さん!!」
「いいっていいって・・・・・うん?なんであたしの名前知ってるんだ?レディ」
「昨日木から落ちたところを助けてくれました!」
響がそう言うと奏という女性は思い出したように手を叩いた。
「あ、昨日のレディか。こんな所でなにしてるんだ」
奏が響にそう聞くと。
「欲しいCDを買おうと思って急いで来たんですけど・・・・・」
響がそう言うと時間的にもう間に合わないと思い少し落ち込み始めていた。
「CDって、もしかして今日発売の風鳴翼のCDか?」
「っ!もしかして奏さんも翼さんのファンなんですか!?」
興奮して聞く響に奏は苦笑いを浮かべながら答えた。
「いや、あたしはファンじゃないよ。ただここら辺で仕事をしてて今はその帰りさ」
奏がそう言うと奏は止めていた黒と緑のバイクに乗った。
「うわー変わったバイク」
響がそう言うと。
「・・・・・・・・・もう遅いと思うけど行ってみるか?CDショップ。あたしが送ってくぜレディ」
奏は、カッコよくそう言うと。
「本当ですか!?ありがとうございます!!後、私は立花 響って言います!!」
「響か。じゃーあたしも改めて、あたしは天羽 奏。どんな難事件もハードボイルドに解決する探偵さ」
「新作CD~」
響は、奏のバイクに乗せてもらいCDショップに向かっていた。もしかしたら売り切れてるかもしれないからなのか響は奏の背中に抱きつきながらションボリしていたすると突然奏はバイクを止めた。
「うわっ!・・・・・・奏さん?」
「奴らだ」
奏がそう言うと響も気づいた。すぐ隣のコンビニに目を向ければ、そこには人の姿はおらず、ひしゃげた商品棚や潰れた商品とともに真っ黒な炭素の山ができている。
コンビニの他にも周辺には人の気配はなく、目の前には人の形を作る炭素の山たち。風に乗って炭素が目の前を舞う。さっきまで命だったものが辺り一面に転がる惨状に絶句した響はぽつりとつぶやく様に
「ノイズ!」
その惨状の原因となった存在の名前を口にする。
「・・・・・・響。新作CDは諦めろ。まずはここから離れるぞ」
奏がそう言った時だった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴が聞こえた。
「まだ人がいたのか!?」
奏がそう言うと響がバイクから降りて悲鳴が聞こえた方向に走り出した。
「おい、響!!ったくなにやってるんだよ!!」
奏もバイクから降りるとすぐに響の後を追った。
奏は親とはぐれた女の子をオブリながら響と一緒に走っていた。
「クソどんどんシェルターから離れて行きやがる」
奏はそう言ってノイズから逃げていた。すると。
「奏さん!!前!!」
奏は前を見ると前からもノイズがゆっくりと歩いていた。それを見た奏は響の手を掴むと川に飛び込んだ。
「プハッ!!」
「響!!こっちだ!!」
奏は泳いで向かい側にある工場に向かった。そこからノイズから逃げようとするが目の前に大量のノイズが現れた。
「ここにも!!」
響がそう言うと。
「お姉ちゃん。私たち死んじゃうの?」
女の子は不安そうな顔でそう言うとそれを聞いた奏はゆっくりと女の子を降ろすと響の手を握らせた。
「大丈夫だ。ハードボイルドな探偵のお姉さんにまかせろ」
奏がそう言うと。
「響。そしてお嬢ちゃん。2人とも今から見るものは絶対に内緒にしていてくれよ?」
奏がそう言うと胸ポケットから何かを取り出した。そしてそれを腰に装着するとベルトの形になった。
「行くぜ相棒」
奏がそう言ってUSBメモリのようなものを取り出した。
『JOKER』
そして奏の頭の中である音声が響いた。
『CYCLONE』
と。
そして。
「『変身』」
奏がそう言った瞬間だった。右側に突然緑のUSBメモリが出現しそれを指し込むと今度は左側に黒のUSBメモリをセットしそしてWのかたちで開いた。
『CYCLONE』/『JOKER』
すると奏の周りに疾風のような風が吹き荒れると奏は姿を変えた。
「か、奏さん?」
響の前にはオレンジ色の髪から黒と緑の髪に変わりそして服も半分黒、半分緑の鎧のようなライダースーツに変わったのだ。
「『ノイズ共。さぁ、お前達の罪を数えろ』」
奏がそう言った時だった。
『Balwisyall nescell gungnir tron』
歌が聞こえた。そして奏は後ろを見るとそこには『風鳴 翼』と、よく似たものを纏った響がいた。