あたしは、信之介さんが作ってくれた麻婆豆腐を食べている時に新しい依頼人が来た。信之介さんは別件の仕事で昨日から事務所から出ていてここにいるのはあたししかいなかった。あたしが出てみたら1人の女性がいた。
「えっ?」
女性はあたしを見て驚いていて外の看板をもう一回見てそして戻ってきた。
「ねぇ。ここって野原探偵事務所でいいんだよね?」
「は、はい。そうですけど・・・・・」
「っかしいな。信之介が結婚してるなんて聞いてないし子供までいるなんて聞いてないよ」
女性はそう言った。あたしは気になって声をかけてみた。
「あの信之介さんに依頼ですか?」
あたしがそう言うと女性はこっちを見た。
「ん?あぁ。まぁ依頼って言ったら依頼なんだけど・・・・・」
女性はバツが悪そうな顔をそう言うと。
「とりあえず中に入ってください。コーヒーを出しますから」
あたしは、そう言って女性を中に入れた。あたしは、女性にコーヒーを置くと。
「ねぇ。聞きたいんだけど君って信之介の子供?」
と、聞いてきた。
「あたしはこの事務所で信之介さんの手伝いをしてるんだ。ノイズのせいであたしには行く場所がなかったんだけど信之介さんが引き取ってくれたんだ」
「ほぉ。ってことは義娘ってことか。信之介がねぇ」
女性はそう言ってコーヒーを飲んだ。すると。
「ただいま」
信之介さんが帰ってきた。信之介さんは、壁についている帽子掛にめがけて帽子を投げてかけると女性を見て驚いていた。
「むさえちゃん」
「信之介!久しぶり!!大きくなったねぇ!!」
「むさえちゃんも久しぶり!!こんな所に何しに来たんだ?」
女性は信之介さんの肩を叩いており信之介さんも笑顔を浮かべていた。
「それじゃぁ改めて。オラは、野原探偵事務所所長兼私立探偵の野原 信之介。そしてオラの助手兼愛娘の天羽 奏だぞ。奏ちゃん。彼女は、小山 むさえ(こやま むさえ)。御袋の妹でオラの叔母にあたる人だ」
信之介さんはあたしにそう言うとあたしは挨拶をした。
「天羽 奏です」
「あたしは小山 むさえ。フリーだけどプロのカメラマンだよ」
むさえさんは、そう言ってあたしに握手をした。
「ところでむさえちゃん。今日は何しに来たんだ?」
信之介さんがそう聞くと少し暗い顔をした。
「信之介。あたしを守ってくれない?」
「?守る?どういうこと?」
信之介さんは、首を傾げた。あたしも首を傾げた。一体何から守ってほしいんだろう?
「実はこれ見てほしいんだ」
むさえさんは、そう言って折りたたまれた紙を渡した。あたしと信之介さんは、それを見た時驚愕した。それは脅迫の手紙だった。
『今すぐにお前が撮った写真を全て燃やせ。さもなくばお前を殺す』
ありきたりな脅迫の手紙だった。しかしその手紙を見てむさえさんは不安そうな顔をしていた。
「・・・・・最初はただのイタズラだと思ったんだ。だけど最近仕事で外出したらなんだか見られているような気がしたんだ。一応警察に相談したんだけど証拠みたいなものなんかないから全然まともに相手してくれないし」
「?脅迫の手紙を見せなかったのか?あれだけでも十分に脅迫罪として見られるし警察も動くはずなんだけど」
「もちろん見せたよ。だけどこんなイタズラは今の時代どこでもあるって言われて相手にしてくれなかったんだ。もう頼れるところはここしかなくて・・・・・・・お願いだ信之介。助けて」
信之介さんは立ち上がると白い帽子を被った。
「50代のおばさんにそんな涙目で頼られても嬉しくないけど・・・・・・・・・・・女性を泣かすようなクズを野放しにするわけにはいかない。何よりむさえちゃんの依頼だ。喜んで引き受けるぞ」
信之介さんがそう言うとすぐに動き出した。
次の日、信之介さんはむさえさんの仕事道具のカメラを持って事務所に来た。
「今日から事件解決までむさえちゃんをこの事務所に泊まらせることにした。仲良くしてくれよ奏ちゃん」
「勿論だ信之介さん」
むさえさんは、しばらくの間この事務所に居候させることになった。その間、信之介さんはむさえさんの仕事や出かけるときにさりげなく一緒に出かけたり後ろから見守りながら歩いていた。それが1週間続いた。だけど信之介さんは、怪しい人物も尾行しているような人物もいなかったと言っていた。
「やっぱりイタズラじゃないのか?」
信之介さんはむさえさんにそう言うと。
「そんなことない!でも確かに最近そんな感じはしなくなったけど・・・・」
「・・・・・・奏ちゃんの方はどうだった?」
信之介さんがあたしに聞いてきた。
「・・・・・・写真をずっと見ていたけど特に怪しそうな人は写ってなかった。あたしも信之介さんと同じでやっぱりイタズラだと思ってるんだけど」
あたしがそう言うと信之介さんは少し考えた。
「・・・・・まさか。少し出かけてくる」
信之介さんが事務所から出て行った後あたしとむさえさんで色々話した。信之介さんの子供時代の話やむさえさんが信之介さんの家に居候していた話をした。あたしも信之介さんに救われた話や信之介さんとの思い出も話した。すると信之介さんが帰ってきた。右手にはトランシーバーのような機械があった。
「知り合いから借りたんだ。まさかとは思うが・・・・・・・」
信之介さんは、むさえさんのカメラにその機械を当ててみると。
ヴィー!!ヴィー!!ヴィー!!
音がなった。あたしとむさえさんは、どう言うことか分からず機械の音に驚いていると。
「・・・・やっぱりか。通りで犯人はやめたわけだぞ」
信之介さんがそう言うとあたし達を別の部屋に連れて行ってそこで話した。
「今回犯人が現れなかったのは至極簡単だった。むさえちゃんは盗聴されてたんだ」
「えっ?盗聴?」
むさえさんは驚いていた。まさかカメラに盗聴器が仕掛けられているなんて思っていなかったんだ。
「おそらく犯人はむさえちゃんの撮った写真の中にいる。それかいつも写真の取引をしている会社の誰か」
信之介さんは、考え込むようにイスに座った。
「でも何のために盗聴なんか」
あたしがそう言うと。
「あっ」
むさえさんが何か思い出したような声を出した。
「?何か心当たりがあるのか?」
「いや心当たりじゃないけど・・・・・・・実はある高校の修学旅行のカメラマンとして仕事に行った時なんだけど・・・・・その時にもう1人男のカメラマンがいたんだ。もしかしてその人が・・・・・」
「!?その人の名前は!?特徴は!?」
「えっと・・・・・確か・・・・・・・セプレンヌ・C・数馬って名前だった。金髪の短髪とドクロのイヤリングをしてた20代後半ぐらいの男だった」