転生者を騙す転生者の物語   作:立井須 カンナ

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展開を進めようと詰め込み過ぎてごちゃごちゃしてしまった感が否めないです。分割した方が良かったかも……


勝ち目の薄い闘い

「はやてー! 早く来いよー! ピクニックだぞ、ピクニック!」

「ヴィータ……? ここは、家の玄関?」

 

最初に目に映ったのは玄関から飛び出し、私を急かすヴィータの姿。

周りを見回して把握した感じだと、どうやら私は家の玄関の段差に腰かけているところのようだ。

 

「はやてちゃん? どうかしたんですか?」

「シャマル……私、何でここに……」

「もしかしてまだ目が覚めていないのでしょうか……?

 昨日は楽しみであまり寝付けない様子でしたし、仕方ないのかも知れませんね。」

 

シャマルが言うには、今日は前々から予定を組んでいたピクニックの日……らしい。

そんな予定を組んだ覚えは無いけど、そう言う事になっているようだ。

 

「早く行きましょう、はやて……さぁ、手を。」

「え、シグナム……うん。」

 

差し出されたシグナムの手を掴み、()()()()()。まるで何てことの無い当たり前の動作であるかのようにそれはスムーズで、私は驚く暇も無く呆然としてしまった。

 

「はやてちゃんの足が治って、本当に良かったです! 一時はどうしようかと……」

 

シャマルの喜ぶ様子をしり目に、私は自分の足を見下ろす。

……しっかりと地面を踏みしめ、両足で立つ感覚。初めての感覚だから()()()()()()()()()()()()()()、それでも涙がこぼれた。

 

「はやて、どうかしたのか?」

「ザフィーラ……ううん、何でもない。」

 

これは拙い……これが()()()()()か。

 

……この世界が夢だって事は分かってる。原作のアニメで見たのだ。現実と取り違えるなんて事はあり得ない。

だけど、これほど現実味があるなんて思わなかった。知らない感覚まで……ずっと、知りたかった感覚まで完全に再現されるなんて……

 

この世界に長居するのは拙い。長居すれば間違いなく依存してしまう。

頭の中では抜け出さないといけないって分かっていても、心の深い部分がこの世界にどうしようもないほど魅力を感じてしまっている。

 

「なぁ、シグナム……この夢はどうすれば覚めるんや……?」

 

涙をぬぐいながらシグナムに問いかける。すると少し驚いたような表情の後、シグナムは答えた。

 

「夢ではありませんよ、はやて。私達は自由を手に入れたのです。」

 

その言葉が嘘だって言うのは分かってる。だって、私が最後に見たシグナム達は、人形のような顔をしていたから。あの時に感じた悲しみは、今も深く心に食い込んでいるから。

 

でも……それでも『夢ではない』と言われた瞬間、心につい湧き上がってしまった喜びに、私は勝てないんじゃないかと思ってしまった。

 

 

 


 

 

 

「はぁっ!」

「くっ、この剣の冴え……あの時とは……!」

 

障壁で受け流してはいるものの、この剣技……平常時のシグナムの物と寸分違わぬ鋭さだ……!

闇の書の浸食で弱体化したと言う判断そのものが間違いだったのか? いや……実際に二つの剣技を体感したからこそわかるが、あの時のシグナムからは剣技は間違いなく失われていた。ならば何故……

 

「はっ!!」

「っ! しまっ……!」

 

思考にリソースを割きすぎたか!?

僅かに障壁の角度調整をミスり、斬撃の重さが体を竦ませる。

 

「レヴァンティン。」

 

シグナムがレヴァンティンを構えなおし、言葉を紡ぐ。カートリッジをロードする際によく見た動作……! 今の状態で受けるのだけは拙い!

 

拒否します。(Ablehnen.)

「なっ……!?」

 

耳を疑った。レヴァンティン(デバイス)シグナム()の命令を拒否するなんて、予想もしなかった。

 

貴女は私の主ではありません。(Du bist nicht mein Herr.)

「……そうか。」

 

主じゃない……どういうことだ? 今のシグナムはシグナムじゃない?

だがあの剣技は間違いなく……いや、疑問は後だ!

 

「ハァッ!」

「むっ……!」

 

S2Uの穂先に込めた魔力を一瞬だけ高密度の刃として展開する『フラッシュザンバー』……展開時間の短さこそ短所だが、その分高出力の刃が展開できる為、全力で振るえば大抵の障壁では受け流す事も出来ない。

今のシグナムにもそれが分かるらしく、大きく距離を取らせる事に成功する。

 

「さて、どうするか……」

 

先程のレヴァンティンの言葉を信じるのなら、今のヴォルケンリッター……少なくともシグナムはカートリッジロードを始めとして、『デバイスを介した魔法が使えない』事になる。

勿論、素の剣技の鋭さや『紫電一閃』は使える可能性もある為あまり気は抜けないが……シグナムは連結刃への切り替えが出来ず、更に魔力の補正をかける事も出来ない。

 

「スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!」

 

ならば当然、戦い方をアウトレンジに切り替えるべきだ。接近を許さず、剣の間合いの外からこちらの攻撃だけを届かせる。

 

「っ!」

 

シグナムの足元に魔法陣が展開される。

以前なのはとフェイトが話していた、感知と迎撃に特化した魔法陣だろう。戦闘の映像等からあの魔法陣の展開中は、移動そのものを封じられる可能性が高い。

鵜呑みにして油断する事こそ無いが、それでももしそれが正しい推測であったならばシグナムの足止めは出来た事になる。

戦略上、敵の暫定最高戦力を封じ込めるという事の意味は大きい。警戒は解かず、この状況の維持に専念しよう。

 

 

 


 

 

 

≪Accel shooter.≫

「シュート!」

 

生成した20発の光弾がそれぞれ別の軌道でヴィータに向けて放たれる。一方のヴィータは手元に生成した4つの鉄球を打ち出して来る。その軌道は迎撃を狙う物ではなく、明らかに俺本体を狙った物だった。

 

「それなら……!」

 

アクセルシューターの内の4つを鉄球の迎撃に回し、それぞれを撃ち落とす事に成功する。

そして残りの16発で……

 

「“バスター”!」

 

ヴィータの上下左右前後の6方向からの十字砲火! 続けて……

 

「“バインド”!」

 

爆炎の中にさっきの砲撃で使わなかった残りのシューター4つを突っ込ませ、術式を変換。拘束の術式を起動する。

……まだ爆炎は消えていないが、拘束が成功したという手応え。弱体化しているとはいえ、あまりにも呆気ない結末に逆に不安が高まる。

 

「……レイジングハート!」

≪All right. Restrict Lock!≫

 

念の為に俺の使える中で最も強度の高いバインドを重ね、煙が晴れるのを待つ。

 

「ぐ……」

「……」

 

そこにはやはりバインドによって完全に無力化されたヴィータがいた。

 

……本当にこれで終わりなのか?

 

そんな疑問が胸中を占める。

 

「決着……だね。」

 

でも、こうなったら俺の勝利は決定的と言っても良い。

 

≪Divine Buster Extension!≫

 

レイジングハートがカートリッジをロードし、増幅された魔力が穂先に眩い光となって現れる。

 

「……シュート!!」

 

そして決着をつけるべく放たれると同時に……

 

「オオオオォォォォォオオォオオオオッッ!!」

 

凄まじい雄叫びと共に、白い光が戦場を包んだ。

 

 

 


 

 

 

「オオオオォォォォォオオォオオオオッッ!!」

「なっ……!?」

 

突然ザフィーラの雄叫びと光が一帯を包み込む。勿論、魔法を無効化する魔法の光だ。

バルディッシュの光刃が消え、飛翔魔法の速度が若干減り、動きが鈍る。だけど、ザフィーラが齎した影響はそれだけじゃない。

 

「くっ、厄介な……!」

 

クロノのスティンガーブレイド・エクスキューションシフトがかき消され、シグナムが再び距離を詰めた。

 

「これは……ちょっと拙いかもねぇ……!」

 

アルフの体を包んでいた蒼い雷は掻き消え、シャマルに流れていたアルフの魔力も消されてしまった。

 

「レイジングハート!」

≪Protection powered!≫

 

なのはの砲撃と拘束魔法の両方が無効化され、ヴィータが攻勢に出た。

 

「はあぁっ!」

「くっ!」

≪Defensor Plus.≫

 

そして動揺した私の隙を突いて叩き込まれる拳。やはり現状一番厄介なのはザフィーラだ。ザフィーラを倒さない限り、こちらがどれだけ優位に立っても状況をリセットされてしまう。

更に言えば、そのザフィーラは常に魔法を無力化して来るのだ。

最優先で倒さなくてはならない相手に攻撃が通らない……これほど厄介な事は無いだろう。

 

<どうする……姉さん?>

<んー……一応さっきので無力化のカラクリは見えてきたけど、だからといってどうにかなるものでも無さそうなんだよね……>

<聞かせてくれる?>

<うん。>

 

アリシアの言うには、さっきの光の影響を受けたのはこちらの魔法だけではなかったらしい。シグナムの魔法陣も同時にかき消されていたと言うのだ。そしてそこから導き出された結論は……

 

<ザフィーラが今使っている魔法以外を無効化する……?>

<多分、そう言う事なんだと思う。自分でそういう風に対象を決めているのか、勝手にそうなるのか分からないけど……>

 

……本当にそうだとすれば、要するにザフィーラに勝つには直接的な近接戦闘しかないって事だ。

補正無しの飛翔魔法でも速度には自信がある。だけどバルディッシュの光刃は使えない……簡単に言えば、ザフィーラに届く『武器が無い』のだ。

 

<……バルディッシュを直接武器として使うしかないのかな。>

<魔力で補強も出来ないのに? フェイトの速度を乗せたら負荷が大きいんじゃない?>

 

魔法ではない攻撃か……一つだけ心当たりはあるけど、アルフからもリニスからも母さんからも姉さんからも『使っちゃダメ!』って言われてるからなぁ……

 

<言っておくけど……駄目だからね。>

 

やっぱり釘を刺されてしまった。

 

<でもディフェンサープラスがあれば負荷だってきっと……>

<もし途中でディフェンサープラスがかき消されちゃったら?>

<……そうだね、ちょっと焦ってた。ごめん、姉さん。>

 

同時にソニックムーブもかき消されるだろうけど、一度ついてしまった慣性はそう簡単には消えない。

制御が効かず結界の壁面に叩きつけられるだけならまだ幸運、最悪の場合は……考えるまでもない。

 

でもそうなると本当に手が無い。一刻も早く闇の書を止めないといけないのに、短時間でザフィーラを突破する方法が見つからない。

 

そして、どうするか思案に暮れていたそんな時……最も懸念していた最悪の事態が起こってしまった。

 

 

 


 

 

 

「ここがはやての家か。」

 

聖地に来たみたいでテンション上がるなぁ~……じゃなくて。

 

「リーゼさーん、いますか……って、大丈夫っすか!?」

 

到着して早々目に入ったのは血塗れで倒れ伏すリーゼロッテと、その傍で倒れているリーゼアリアの姿。慌てて近寄り、声をかけるが……

 

「……」

「……」

 

ダメか、完全に気を失ってる……

 

「……い、生きてる……? よな?」

「た、多分な……」

 

ダニーの声に自信なさげに返す。前世でも今生でもこんな出血なんて見た事無いんだから分からない。

取りあえず俺よりも回復魔法が得意なダニーにリーゼロッテの応急手当を任せ、一見無傷そうなリーゼアリアの手を取って脈を測ってみると……

 

「……リーゼアリアの方は生きてる。気を失ってるだけだ。

 リーゼロッテの方は……」

 

そこで言葉を区切り、目をリーゼロッテの方に向けるが……

 

「こっちも問題無さそうだ。服こそ血塗れだが、体の方に傷は無い。

 気絶する前にリーゼアリアが応急処置を済ませていたんだろう。」

「そうか……。」

 

取りあえずは安心してもよさそうだ。

……さて、俺達の目的はリーゼ姉妹の説得とデュランダルの回収だが……

 

「リーゼ達は治療の事も含めてアースラに回収して貰うとして……だ。」

「問題はデュランダルの方だよな……気絶してる女性をまさぐる訳にも行かんし……」

「……アリアには悪いが、起こすか。そっちでアースラに通信を繋いでおいてくれ。」

「あいよ。」

 

アリアの肩を掴んで軽く揺さぶるダニーをしり目に、手元の端末で通信を繋ぐ。

 

「あ、リンディさん。リーゼさん達を見つけたんですが、リーゼロッテさんが負傷してまして……」

『状況に関してはエイミィから聞いているわ。アリアさんだけでも話が出来る状況だと嬉しいんだけど……』

「それに関しては今ダニーの方が……」

 

会話しながらダニーの方を見ると、丁度リーゼアリアが目を覚ますところだった。やっぱりリーゼロッテ程の怪我は負ってなかったらしい。

 

「ぅ……私、一体……」

「リーゼアリアさん、目を覚ましたようで何よりです。」

「……? アンタは……」

「あいにく今は緊急事態ですので、私の事よりも先ずはこちらを。」

 

そう言って端末を向けると、あちら側もグレアム提督が出た。

 

「と、父さま!?」

『アリア、先ずは無事で何よりだ。』

「それよりも何故アースラに……?」

『うむ……どうやら私達の計画はクロノに見破られていたらしい。』

 

そして今までの出来事を語るグレアム提督の言葉を聞く内に、リーゼアリアの表情は悔しそうな物へと変化していった。

 

『……そう言う訳だ。もうデュランダルは私達の手にあっても意味を成さない。

 だが彼等の手にあれば、事件解決の一助となれる可能性は残されるのだ。』

「分かり……ました……」

『グレッグ君だったかな、デュランダルはクロノに渡してあげてくれ。

 一般的な物と比べると多少癖のあるデバイスだが、彼ならば十全に使いこなせるだろう。』

「分かりました。」

 

グレアム提督の話を聞き終えたリーゼアリアが、懐から取り出した一枚のカード状のデバイスを差し出してくれた。

間違いない。アニメでも見た氷結の杖『デュランダル』だ。

 

『……済まない。私の計画に付き合わせてしまって。』

「父さま……いえ、私達は確かに父さまの使い魔ですが、私達が父さまの計画に従ったのはあくまで私達の意思です。

 たとえどんな結末を迎えようとも、最後までお供させてください。」

『アリア……』

 

……うん、話も一段落したようだ。目で合図して、端末の画面を自分に向ける。

 

「……ではリンディさん、リーゼ姉妹の回収をお願いします。」

『ええ、そちらは引き続きデュランダルをクロノに届けてあげてくれるかしら?』

「了解しました。転送をお願いします。」

『……ちょっと待ってくれるかしら? 何があったの?

「え、リンディさん……?」

 

急に画面からリンディさんの姿が消える。どうやら何かを確認しているようだが……嫌な予感がするな。

通信は繋がっている様なのでかすかに声が聞こえるが、その声のトーンからして異常事態なのは明らかだ。

 

『……お待たせしたわね。予想は付いていると思うけれど、非常事態よ。』

「予想はしてました。私達はどうすれば良いでしょうか?」

『そうね……まず、リーゼさん達はこちらに転送するわ。リーゼロッテさんの容体も確認しないといけないし。

 そして貴方達に関してだけれど……()()()()()。』

「……備える?」

 

一瞬言葉の意味を考えたが、俺が意味を理解するよりも先に回答が示された。

 

「おい、グレッグ……これって!?」

()()!?」

 

現在の闇の書の位置は海鳴臨海公園……こことはちょっと距離があり、今居るココは当然結界の範囲外だった。

当然こんなところまで結界に納める理由は管理局側には無い。つまり……

 

『闇の書に管理局の結界の制御を奪われたわ……そして結界の範囲が拡大、海鳴市全体がすっぽりと覆われたのが現状よ。

 更に最悪な事に……』

 

リンディさんが話している途中、八神邸の敷地外から声が響いた。

 

「なんだこの空は!?」

「おい、テレビが付かないぞ!!」

「何が起きてるんだ!?」

 

嫌な予感……なんてもんじゃないな。これって、もしかしなくても……

 

「リンディさん……まさか……」

『……ええ、一般市民が結界内に取り込まれているわ。多分、全員ね。』

 

……最悪だ。

 

 

 


 

 

 

「ダメです! 結界の制御、取られます!」

 

アースラに繋ぎっぱなしの通信に向けて、現状を報告しながら作業を進める。

拮抗していた制御権の奪い合いは既に敗色濃厚。対処する術式の数が多く、手が足りなかったのが敗因だ。

だけど、こうなる事態は想定してある。

 

『エイミィさん、予定通りに!』

「了解! 多層結界、展開!」

 

干渉への抵抗術式を放棄、新たに準備していた多層式の強壮結界を展開する。

 

「術式安定、結界の構築……完了です!」

『こちらからも結界の展開を確認しました。引き続き警戒をお願いします。』

「了解。」

 

いやぁ……分かってはいたけど、ヤバい相手だなぁ。

結界の制御を奪う為にあんな数の術式を使うなんて前代未聞だよ……いくつか参考になる術式もあったし、間違いなく今の攻防だけでかなりスキルアップしたね。

 

「結界への干渉は……今のところ無さそう……かな?」

 

しばらく様子を見ても、干渉の術式が新しく張った結界に侵入する兆候は無い。先程のやり取りが嘘のような静寂だ。

……諦めてくれたのかな?

 

「……うん、出力も術式も大丈夫。これで内側の結界が破壊されても、街まで被害は……あれ?」

 

……妙だ。最初に張られていた結界は既に制御権を完全に奪われている。なのに、なんで……

 

「結界を破ろうとしていない……?」

 

闇の書に支配された結界は、依然安定したままだ。じゃあさっきの攻防は何の為に……?

 

「……えっ!? ちょ、何、何、何!?」

 

突然モニター全体を埋め尽くす真っ赤な『ERROR』の表示と警告音。

急いで状況を確認しようとパネルを叩くも、こちらの操作を受け付けない。

 

「ま、まさか……さっきの攻防の時に……!?」

 

こっちの端末に侵入された!? 私に気付かれない内に!?

 

急いで本局とアースラへのネットワークを切断し、接続が不可能なように端末の自壊機能を作動する。

……まさか自爆スイッチの必要性を身をもって理解する日が来るとは思わなかった。

 

『エイミィ! 何が起こってるの!?』

 

接続が断たれた事で異常を理解したのだろう。手元の通信用端末に艦長から通信が入った。

 

「か、艦長! やられました! 結界の術式を介してこっちの端末に……!」

『何てこと……!』

 

幸いセキュリティ強化のおかげで各方面への通信はそれぞれ独立したネットワークを使っている上にネットワークも物理的に断った為、アースラや本局まで影響が伸びる事は無いだろうけど……ここはもう駄目だ!

 

『ッ! 直ぐにその拠点を放棄、こちらに転送させます! 結界は……諦めましょう。』

「すみません、艦長……!」

 

術式に抵抗出来ていると思っていたけど、それは違った。相手はこちらの術式を利用する為に、敢えて直ぐに制御を奪わなかったんだと理解した。

 

「はぁ……負けた……」

 

展開された転送の術式に包まれながらも、頭の中はずっとさっきの事を考えていた。

元々戦闘要員として戦線に立つ事の無い私だ。戦って敗けるなんて経験、そうそう体験しないと思ってたけど……

 

「……悔しいなぁ……」

 

完全敗北って、こんなに悔しい物なんだ……

胸中を埋め尽くす敗北感と罪悪感から思わず零れたつぶやきを最後に、私はこの拠点から姿を消した。

 




内容がごちゃごちゃしてしまった為、補足です。

・ヴィータが呆気ない理由
シグナムと同様でデバイスが主と認めないからです。
デバイスが主と認めない理由ですが、多分本文中には書けないので次回か次々回くらいに後書きで明かします。(可能であれば本文中に書きますが、多分その情報を明かす会話の流れには出来ないので、出来ても匂わせる程度になるかと。)

・闇の書の干渉の目的
最初は結界の掌握と拡大で一般人を巻き込む事でした。(巻き込んだ理由はもう少し先の話で。)
しかしエイミィの干渉があった事から、彼女の存在が目的達成の障害になると判断。拠点の機能ごと掌握する為にエイミィとの交戦を長引かせ、エイミィの術式を辿り拠点の端末に侵入しました。(電話の逆探知の為に会話を長引かせるのと同じ理屈)

他に疑問があれば遠慮なくぶつけていただけると嬉しいです。私が描写ミスしている場合や、展開に矛盾がある場合もあるので……
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