転生者を騙す転生者の物語   作:立井須 カンナ

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時系列的には130話の裏での話です。


A's編~StS?編の空白期
転生者達のクリスマス


「お前らコップ持ったな?

 ……よし、それじゃあ地球最大の危機を乗り切った事を祝して!」

「「「「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」」」」

 

会場(自宅)を提供してくれた神谷の音頭で掲げられたコップを打ち付け合って、俺達のクリスマス会が始まった。

 

この場にはよく訓練の場で顔を合わせるメンバーの他、避難誘導の時に一緒になり親しくなったメンバーや、避難先の一つであった図書館で知り合ったメンバーも呼んでいる。

これを機に今まであまり関りの無かった転生者との親交を深めると言うのも、この会の目的の一つなのだ。

 

「乗り切ったって言っても、俺ら殆ど出番無かったけどな。」

「それな。

 管理局からしてみれば、無人世界に民間人連れてく訳にも行かないだろうけどさ。」

 

クリスマス会が始まって間もなく、反省会ムードになりつつあるのは今回の俺達の活躍がジュエルシード事件の時よりも少なく感じるからだろう。

 

「俺達だって少しは強くなったと思ってたんだけどな……

 まだまだ訓練が足りないのか?」

「いや、俺達図書館組からしたらお前らも十分化け物レベルだからな?

 比較対象がなのはやフェイトだと物足りなく感じるだけで……」

「ホントそれな。正直今回の一件で真面目に訓練しなきゃなって思ったわ。」

 

どうやら図書館組のメンバーから見ると訓練の成果はバッチリ出ているらしい。

流石にあれだけ魔法の訓練に時間費やしたのにそれほど差が出てなかったらガチにへこむから、その意見には正直ホッとした。

 

……しかし、アレだな。

いつもこの部屋に集まって会議してたからか、ここに集まるとどうしても会議っぽい話をしがちになってしまうな。

 

「……まぁ、アレだ。反省会は後にして、今はクリスマス会を楽しもう。

 地球が色々乗り切ったのは確かなんだし……な、神谷!」

「っと……すまん、いつもの癖でつい……」

 

神谷はいつも会議を纏める役回りだった事もあってか、完全に習慣になってしまっていたようだ。

その後すこし堅苦しくなりつつある空気を変えるために神谷が引っ張り出してきたゲームで対戦したり、互いの特典や得意魔法等について話し合ったり、テーブルに置かれたお菓子を食べる者や、中には訓練方法の相談をする者もいたりと各々自由に過ごしていた。

 

「あっ! おま……妨害ばっかすんじゃねぇ!」

「出て来るアイテムが妨害に偏ってるんだから仕方ないだろぉ~?

 ホラ追撃!」

なぁ、その鏡のアイテム今使ってみ?

「えっ? おう。」

「あっ!! やめ、ヤメロォーー!」

 

「えっ、魔法を自由に作れるってヤバくね? ガチチートじゃん……」

「そう思うだろ? でも案外制約が厳しくてな、イメージがしっかりしてないと変なのが出来るんだよ。

 例えばコレ、水魔法作ろうと思ってできたんだけどさ……」

「それ無暗に作るなって言っただろ神場ァ!!」

「今それを安全に処理できる奴(神宮寺)がいないんだぞ神場ァ!!」

「えっ、でもこの後……あ、何でもないっす。」

 

「『マジックスナック』に『マギアグミ』、『ウィッチ・チップス』……

 何て言うか、本当にやらかしたよな俺ら……」

「な……ブーム再燃ってレベルじゃないよな。」

「何か臨海公園の方で『魔法石饅頭』ってのも売ってたぞ。屋台で。」

「マジ? どんなだった?」

「見た目がジュエルシードみたいな色合いなだけのあんまんだった。」

「祭りの屋台で良くある奴だ……」

 

「へー……じゃあ集まる度にそれやってたから、あんなに魔力刃の操作性が上がったのか。」

「おう。続けてるとよく知ってる奴の魔力は自然と感じられるようになるから、

 背後から砲撃を撃たれても見ずに躱せるようになるぞ。

 ……相手にバインド掛けられなきゃな。」

「おぉ、良いなそれ。連携の練度も上がるって事だろ?

 魔力弾の玉のサイズはどんくらい?」

「最初は大体バレーボールくらい、威力は抑えて出来る限り頑丈に作る。

 後は趣味に時間を割きながら、魔力感知だけで他の奴の魔力弾に当てるって流れ。

 最初は上手く行かないけど、マルチタスクと魔力感知に慣れれば1時間くらいは続けられるようになるぞ。

 最終的にはスーパーボール大の魔力弾で同じ事が出来るようになる……あんな感じにな。」

 

――パァンパァンパァンパァン!

 

「人ん家の室内で何やってんだオイ!!」

 

クリスマス会が始まってそれほど時間も経たずにこのカオス。

青筋を浮かべながら注意する神谷の姿がいつぞやのクロノと重なって……

ああ、平和が戻って来たんだな……と実感した。

 

 

 


 

 

 

長かったようで短かったクリスマス会(?)を終えて帰宅の途中の事。

 

「……おっ、はやて!」

「えっ? あっ! アンタは……」

「もしかして、髪型変えた?」

「あはは、変えてへんよ? 神尾君。」

 

クリスマス会の騒がしさも既に懐かしく感じ始めた頃……俺は偶然、はやてと出会った。

闇の書事件が始まる前は頻繁に躱していたやり取りに平和を実感しながらも、了承を得て車椅子を押す。

途中までは同じ道なためだ。

 

「……そう言えば、あのヘルパーさんはどうしたんだ?

 今日はついて来てないみたいだけど……」

「あ、ああ……美香さんは……け、契約を解除したんよ!

 夜天の魔導書の浸食も無くなったし、お医者さんが言うには私の脚も良くなって行ってるって話やし……

 それに、今の私にはヴォルケンリッターって言う家族もおるからな。

 何時までも美香さんのお世話になる訳にも行かんやろ?」

 

そう言ってはやては明るく笑って見せたが、気のせいか少し声が震えていた気がした。

いくらしっかり者とは言え、はやてが小学生である事には変わりない。長年お世話になっていたヘルパーさんを家族のように見ていたのだとすれば、やっぱり新しい家族が出来たのとは別に寂しいという思いも出て来るのだろう。

 

「……悪い、ちょっと無神経だったか。」

「あっ、ええよ! 気にせんといても!

 まだ私の中で整理が追い付いてないだけやから……」

 

そう言った後、しばらく静かな時間が続いた。

何か話題をと考えてはいるのだが……あの事件の話しを蒸し返すのも違うと思うと、どうにも切り出せずにいた。

 

「あっ! そ、そうや! なあ、神尾君!」

「えっ!? な、なんだはやて?」

「あ、あのな、リインフォース……あの夜天の魔導書の中に居った、私のもう一人の家族の事なんやけど……」

「お、おう。」

 

以外と言うかなんと言うか、話を切り出して来たのははやての方だった。

俺としても事の顛末は気になっていたので、はやての方から話してくれるのはありがたかった。

ヘルパーさんが居なくなった後で、もしかしたらいなくなってしまったのかも知れないリインフォースの事を確認するのは気が引けたのだ。

 

「実は、今な……このペンダントの中に眠ってるんよ。」

「そ、そうか! 生きてるんだな……!」

 

良かった……! ちゃんとあの魔法はリインフォースも使えたのか!

あの魔法は元々が神様の手で作られた魔法なだけあって、完全に未知の魔法体系で構築された魔法だ。

リインフォースが使用できるのかに関しては正直賭けだった為、何気に不安だったのだ。

 

「ふふ、やっぱり知ってたんやね?

 リインフォースが言ってたんよ。

 『こんなに状況に即した魔法があるとは信じられません』って。」

「あー……まぁ、な。」

 

そりゃ、疑問に思わない訳はないよな……実際この為だけに貰った特典な訳だし。

はやてがこの話題を切り出したという事は、やっぱり情報の出所が気になったのだろうか……それとも魔法の出所か?

どっちにしても中々答え難い内容だな……転生や神様の事って、多分話して良いもんじゃないだろうし……

 

「あぁ、別にどこで知ったかとか、魔法をどうやって用意したのかはどうでもええんや。

 ただ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()ありがとうって言いたかっただけなんよ。」

「……へっ?」

 

まぁ、聞かれないで済むならそれに越した事は無いけど……ピンポイント過ぎて感謝されるってどういう事だ?

寧ろ一度使った後は使い道が無くなるから、容量の圧迫にしかならないと思うんだが……夜天の魔導書に容量と言う概念があるのならだけど。

 

「……実はな、最初リインフォースが言ってたんや。

 『蒐集で数多の不幸を生み出した私が、蒐集で得た魔法で助かって良いのか』って。

 私……多分、この魔法やなかったら……

 『リインフォースの為だけに用意された魔法』やなかったら、リインフォースの説得は出来んかったと思う。

 あの子の意思はそんくらい固かった。」

「そ、そうだったのか……」

 

あ、危ねぇーーー!! マジか!? いや、そうか! そうだよな!?

リインフォースが度重なる蒐集行為に心を痛めていたのなら、蒐集行為に救いを求めるのを避けるのが普通だわ! なんで思い至らなかったんだ俺!?

 

「うん……せやから、ありがとうな!」

 

くっ、完全な偶然にお礼を言われた時って、どう返せば良いんだ?

実際に結果オーライだったんだから受け取っておけば良いんだろうか……?

 

「お……おう、どういたしまして……?」

「あはは、なんやその顔! もっと自信持ったらええやん!」

 

そう言ってはやてが浮かべる笑顔はまさに天使のようで、俺がそう在って欲しいと願う姿そのままだった。

だから……

 

「どういたしまして!」

「うん、ありがとう!」

 

今は受け取っておこう。

今はまだ偶然だけど、いつかはやてを必然で助けられるようになろう……「どういたしまして」にそう決意を込めて。




神尾君、はやてと少し仲良くなる。

本当は紅蓮君もこれくらい活躍させたかったけど、今の私の実力ではあのプロット崩壊の対処は無理でした……ゴメン、紅蓮君。

本当はザフィーラと真正面から戦う筈だったのです。エグゾーストの機能も別物だったのです。でもダメだった……! 重要な伏線のある回のプロットが壊れたからどうしようもなかった……!(未練)
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