タイトルが『上・下』でないのは、もしかしたら後々追加するかもしれないからです。(当然本編完結を優先するつもりではありますが)
海面すれすれから上空に向けて放たれた2発の炎の砲撃、そして爆発……
試合の決着を確信させるその光景を眺めていた俺達を、一瞬遅れてやって来た衝撃波が熱を伴って飲み込んだ。
「……うぉっ!? 熱っ……!」
「サウナで思いっきり仰がれるアレみたいだ……!」
「お前の例えさっきからずっと微妙なんだよなぁ……」
失礼な。
……まぁ今は良いか。問題はあの一撃……いや、
レヴィの装甲はフェイト同様に薄い。アレをもろに喰らえばひとたまりもない筈だ……!
「……って、そうだ! シャマルは!? こう言う時の為の医療班だろ!?」
「あそこだ。見たところ、動く気配は無いな。」
そう言って指で示された方を見ると、確かにシャマルは飛び出そうと言う素振りもなく海上を見上げていた。
「何で……って、まさか!?」
「まぁ、そう言う事だろうな。俺も今のは直撃したように見えたんだが……」
見上げた先に広がる煙幕が晴れるのを、今となってはただの観客でしかない俺達はただ見守るしかなかった。
――おかしい。
真・ルシフェリオンブレイカーを放った直後の姿勢のまま、シュテルは思考を巡らしていた。
――決着の合図が出ていない以上、まだ試合は続いている……それは間違いない。なのに……
その疑問は、レヴィを良く知るシュテルならではの物だった。
――決着がついていないのに、何故こうも戦場が静かなのでしょうか……?
シュテルの知るレヴィは、戦場に於いて思考するよりも先に体が動くタイプだった。
知能が回らない訳ではないが、戦闘で思考を巡らせることを面倒くさがる彼女は基本的に『敵の動きを待つ』という事をしない。
だからこそシュテルには『直撃コースの砲撃を躱された事』よりも、『レヴィが動かない事』の方が不思議でならなかった。
――煙幕が広がってきている……考えられるのは、それに紛れての奇襲?
ならば砲撃で煙幕を散らすべきか……いえ、その隙を突く為に待機している……?
絶えず動き続ける戦場に於いても間断なく最良の一手を導き出せるほどの処理能力を持つシュテルが、ここに来て初めての長考を見せる。
それもその筈、
――煙幕の中に魔力反応が複数……シューターを幾つも待機させている。恐らくは自分の位置を誤魔化す為の物……
とするならば彼女の機動力を活かして、海に潜って背後から? いえ、海に飛び込んだ音はしなかった……
幾千、幾万の一手を思考しても、それを
そしてそのまま煙幕は広がり、今まさにシュテルも包み込まんと迫っていた。
――思ったよりも厄介ですね……天才型と言うのは。
思考の果てに最良の一手を見つけ出すシュテルと、思考を放棄して放った一手を
それ故に次の一手が読めず、それ故にシュテルも動くに動けないのだ。
そしてレヴィの狙いが分からない以上、煙幕で視界が封じられる事を嫌ったシュテルは無意識に距離を取り……その足が海面に着いた。
「――かかったね、シュテるん。」
「ッ! レヴィ……!?」
瞬間、足元を伝う痺れが全身を硬直させる。
レヴィは煙に紛れて海面に近付き、ただ手を添えて待っていたのだ。シュテルが体の何処かを海面につけるその瞬間を。
――そんな回りくどい方法を取るなんて……!
シュテルは読めなかった。それよりも効率の良い手がごまんとある為に、思考の片隅にも過る事の無かった一手。
――それが狙いなら、煙幕の中のシューターを利用すればもっと効率的に海面に触れさせることが……っ!
……いえ、これは
「『
――読まれる事を読んだ……いえ、きっと貴女はそこまで考えていない。
ただ
「――
蒼く迸る雷の刃が迫る中、シュテルは自らの敗北を確信する。しかし……
――この状況から勝ちを拾える可能性は1%も無い……ですが!
「はぁぁッ!」
「!」
シュテルの身から魔力が噴き出し、瞬時に一つの術式を構築する。
――何もせずに敗北を受け入れる訳にはいきません!
それは自らが持ち得る中で、唯一勝利へ向かう可能性のある術式である『
『――偶には私が貴女に合わせてみましょうか。』
――ではなかった。
「『パイロシューター』!」
「……! そう来なくっちゃ!」
それは最後の意地でしかなく、その本質は勝ちを拾うと言うよりも餞に近い。
何故ならばシュテルはあの瞬間、おのれの敗北と共に確信したのだ。
この決勝戦――
「――頑張ってください、レヴィ。貴女ならきっと勝てますよ。」
「シュテるん……?」
そして蒼雷が閃き、最後のパイロシューター共々シュテルの身を貫いた。
「決着ゥーーーーッ!!
勝者、レヴィ・ザ・スラッシャアァァァ!!」
決着と同時に響き渡った歓声を聞きながら席を立つ。そろそろ俺達の出番だからだ。
……と言っても、結局俺はまたここに戻る事になるだろうけどな。
「あれ? なのはちゃんどっか行くんか?」
「うん、ちょっとね。多分直ぐに戻って来るよ。」
俺の返答にピンと来ていない様子のはやての向こう側では、同じくフェイトが立ち上がっているのが見えた。
そして目が合った。
――行く?
――うん。
アイコンタクトで言葉を交わし、二人揃って歩き出す。向かう先は――
「ではこれより、優勝者のレヴィ・ザ・スラッシャーさんの表彰と優勝賞品の贈呈に入りたいと思います!
観客席の皆様につきましても、どうかそのままご待機願います!」
大会の運営側の銀髪オッドアイに誘導されるまま表彰台に立たされたボクは、さっきのシュテルの言葉について考えていた。
『――頑張ってください、レヴィ。貴女ならきっと勝てますよ。』
きっと勝てる……一体誰に? 決勝戦は終わった。大会の優勝者はボクだ。
この後は優勝賞品のゲームと、ついでにトロフィーも貰って解散……の筈だ。
「……ヴィさ…、レヴ……ん……!」
「……えっ? あ、何?」
「いや、トロフィーですって! 受け取ってください!」
「あっ、ごめんごめん! ありがとね!」
いつの間にかこっちに差し出されていたトロフィーを慌てて受け取る。どうやら考えに没頭している間に式は進んでいたみたいだ。
……えっと、どこまで考えたんだっけ? 確か……
「では賞品の最新のゲーム機と、お好きなゲームソフト一つをどうぞ!」
「スモブラで!」
最新ゲームのソフトって言ったらスモールブラザーズでしょ!
ミクロサイズのファイター同士が戦う対戦アクションゲーム! 格ゲーはコマンド覚えるのが難しくて苦手だけど、これは割と感覚でやれるからボクに合ってる気がするんだよね!
「では賞品をどうぞ!」
「ありがとぉー!!」
念願のゲームだ! ボク達って今
……じゃなくて、えっと……そうそう! シュテルの言葉だ!
決勝終えて、こうして賞品ももらって、後は解散の筈なのにまだ戦えるみたいな事を言ってたんだった!
待てよ? ……もしも……もしも本当にシュテルが言うように、この次に戦う相手が居るのだとすれば……もしかして……!
「ではこれより……優勝者の
優勝者のレヴィさん! ……
「来たああぁぁぁーーーッ!!」
表彰台の背後にあった大会の巨大ポスターが、丁度オリジナルとなのはのぶつかる場所を起点に二つに分かれる。
そしてその背後から溢れ出したスモークの中から現れる人影が二つ……!
「けほっ……けほっ……!」
「…………けほっ。」
いやスモーク焚きすぎじゃない? 二人とも咽ちゃってるじゃん。
「あー、やっぱちょっと煙たいよな……一応体には無害なはずなんだけどな……」
何か影から声が聞こえる! これアイツだ! やたらと欠片が面倒だった……えっと、
「……えっと、気を取り直して! 対戦相手を選んでください!」
っと、そうだ! やっと戦えるんだ!
「……決まってる! ボクが戦いたいのは……!」
そしてボクは初戦でやったのと同じポーズで、初戦と同じ相手に宣戦布告をした。
「――くっ、やっぱり速い……けど、これならどうだ! 『雷光輪・天網』!」
「バルディッシュ!」
≪sir, Sonic Form.≫
「嘘ォ!? まだ速くなるの!?」
……まぁ、やっぱりこうなるよねー
分かり切っていた結果を思い返しながら、海上で楽しそうに戦うレヴィとフェイトを見上げる。
フェイトと戦うために用意したのであろう広域型のバインドさえも隙間を縫うように突破されて焦るレヴィは、しかしそれでもなお楽しそうだ。
先程のシュテルとの戦いでも楽しそうに戦っていた辺り、やっぱりこの大会を開いたのは正しかったのだろうと再認識する。
「なんやなのはちゃんもフェイトちゃんも、そんな話があったんなら隠さずに言うてくれても良かったやんか。」
「あはは、ごめんねはやてちゃん。サプライズにしたいからって口止めされてたんだ。」
今回の大会で俺とフェイトが出ていなかった理由がこれ――大会の運営側の銀髪オッドアイから持ち掛けられた『エキシビジョンマッチ』なのだ。
大会に出ればフェイトはその速度で、俺は守りの硬さで一切の被弾も無しに勝ち進むのが分かってしまう。それでは大会にならない。
それ以外にも、俺の砲撃を何発も結界が耐えてくれる保証がないだとか、まぁ色々と理由はあるが、一番の理由は……
「――こちらにいらしたのですね、ナノハ。」
「あ、シュテルちゃんも来たんだ!」
「はい、少しお尋ねしたい事もありましたので。」
「聞きたい事?」
そう言って俺をじっと見つめるシュテルの様子に、ちょっとした確信を抱きながらも聞き返す。
「はい、今回の大会ですが……単刀直入に聞きます。
――
「え、なのはちゃん、そうやったんか?」
「……あはは、やっぱりバレちゃってた?」
「最初は確信が持てませんでしたが……もしかしたらとは思っていました。」
そう、今回の大会はシュテルが言うように
俺達は普段から魔法の訓練の一環として組手を行っているが、レヴィはその組手に積極的に参加しつつもいつも何処かつまらなそうだった。
それは銀髪オッドアイ達が彼女を満足させられるレベルに至っていないと言うのも一因ではあると思うのだが、それ以上に『組手』と言う形式に問題があったのだという事が最近になって分かって来たのだ。
『決められたルール』『決められた縛り』……それは管理局の監視下に無い中で訓練の安全性を保つ為に決められたルールではあったのだが、『体の部位につけられたサーチャーを全て破壊されたら敗け』と言った安全面を重視したルールでは彼女は満足できなかった。それが例えフェイト相手でも。
だからこそ『大会』という形式を選び、会場の管理と言う名目で管理局も巻き込んだのだ。
とは言ってもリンディさんの事だ。そのくらいの目的はとっくに看破しているだろうし、なんならマテリアルの戦力分析の為に映像も取られている事だろう。
お互いにそれくらいの利を水面下で提供し合って、初めて成立したのがこの大会なのだ。
「……もしかして、シュテルちゃんが参加したのも?」
「はい。念の為に本来の目的を隠している理由を調べる為……まぁ、レヴィと全力で戦ってみたかったと言うのは本心ですが。」
そんなシュテルが言うには、最初は予想が外れたのかと思ったらしい。
と言うのも、肝心の俺達がエントリーしていなかったからだ。だからレヴィが退屈しない対戦相手として自らエントリーしたそうだ。
しかし観客席に俺達が居た事や、決勝戦が近づくにつれて俺達が何処かソワソワしていた事等から確信したのだとか。
「じゃあ最後にレヴィちゃんにバインドを撃たなかったのも?」
「……いえ、例えあの時『ルベライト』を選んでいたとしても、私は敗北していました。
彼女のあの技、『
……それに彼女は『ルベライト』を読んでいる節もありましたから。なので私はせめてもの餞として、彼女が好きな真っ向勝負の『パイロシューター』を選んだのです。」
……物騒な餞だなぁ。と、言う感想は心にしまっておくとして……
「ごめんね、色々と気を遣わせちゃって。」
「いえ、私も良い経験になりました。
「……次?」
一応そんな予定は無かった筈だけど……
「? レヴィは一回戦ったくらいでは満足しませんよ?
勿論しばらくは落ち着くでしょうが、数ヶ月後には今回と同じくらいのフラストレーションが溜まるかと。
そうなれば今度は彼女の方から積極的に『大会やろーよ! 大会!』と言い始めるでしょう。」
「あー……あはは……」
いや、物真似上手いな……と言うか、シュテルの言う言葉がやけに現実味を帯びている。
そもそも、俺達よりもよっぽど長い間レヴィの側にいたシュテルの言葉だ。きっと正しいし、きっと現実になるだろう。だけどどうしよう、そんなに頻繁に管理局を説得できる材料なんてある訳ない。
戦力分析のデータは確かに最新のものにし続ける必要があるにしても、数ヶ月毎のデータは必要だろうか?
「ふーん……次の大会があるんやったら、今度は私も出てみようかな?
なんや皆楽しそうやし。」
「え? うーん……」
はやても出るとなれば、確かに交渉材料としては十分と言えるのかもしれない。
『闇の書事件』が解決したとはいえ『夜天の書』が健在である現状、管理局ははやてへの警戒を簡単に解く訳にも行かない。
勿論、事件と個人を切り離して考えてくれる者も多いのだが、簡単に割り切れない事情を持つ者がいる事も事実。
説得するにしても、安心するにしても、向こうもはやての潜在能力は喉から手が出るほど欲しい情報なのだ。
だが、これで説得できるのは一回きりだ。
その次からは数ヶ月と言うスパンでは到底開催など不可能だろう。向こうも仕事があるのだから。
「せ、せめて半年くらいは持たせられないかな?」
「……ふむ、王の言葉であれば多少は聞くでしょうが……」
「王ってディアーチェの事だよね?」
ディアーチェか……今度事情を説明して頼んでみようかな。
口調の尊大さとは裏腹に普通に優しいし。
「はい、丁度あそこに居ます。」
「えっ?」
そんな事を言い出したシュテルの指し示す方に目を遣ると……
「
遅いわ! 良いぞ、そうだ! 追いつけぬのなら空間ごと……ハッ!?」
随分とエキサイトしているパーカー姿の少女……いや、ディアーチェの姿があった。
彼女はこちらに気付くと同時に固まり、慌てて姿勢を正すと今度は静かに試合を観戦し始めた。……気のせいか、若干顔が赤いように見える。
……あ、はやてがディアーチェの方に……
「なんや、王様こないなとこにおったんか。」
「だ、誰かな君は? わr……私はたまたまここに居合わせただけの魔導士だが?」
いやもう遅いよ!?
はやても一緒に住んでる訳だし、そんな簡単に誤魔化されるはずも……
「あぁなんや、初対面か~……じゃあ自己紹介や。
私、八神はやて言うねん。気軽に『
「なっ!?」
あっ、これは誤魔化されないだけの方が良いパターンだ。
何気に普段から『小鴉』って呼ばれるの残念がってたからなぁ……これを機に既成事実を作る気だ。
「な、別におかしな事やあらへんやろ?
『はやてちゃん』って呼ぶだけやんか?」
「ぐっ……むぅ……! だ、だが初対面の人の名を、そう気安く呼ぶと言うのも……」
「も、もしかして……私の名前っておかしいんやろか……?」
「ぬむぅッ……!?
い、良いだろう、呼んでやろうぞ! …………は、はや……はや、はやや……!」
「ディアーチェ、多分バレてる。」
「だ、黙っておれユーリ……!」
うわぁ……凄い声が震えてる。
いや確かに普段『小鴉』って呼んでたのを、いきなり『はやてちゃん』に変えるのって結構度胸いるよな……
……これってシュテル的に止めに入らなくて良いのだろうか?
そう思い、尋ねてみると……
「止める? 何故でしょうか。」
「えっ、一応ディアーチェのピンチだし……」
「……ああ、そう言う事ですか。大丈夫ですよ、ナノハ。
ここだけの話、王は王で距離を詰める切っ掛けを待っていましたから。」
「そうなの!?」
えっ、普段の様子見てると全然そんな素振り無かったんだけど!?
「はい。元々ハヤテとの仲も悪くありませんし、『小鴉』と言う呼び名も短い付き合いならばまだしも、『家族』となってまで続けるものではない。
しかし普段の口調や素直になれない性格が邪魔してなかなか踏み出せず、向こうから何かアクションを起こしてくれるのを待っていた……と、こんな所でしょうか。
……まぁ、想定よりも激しい変化を要求されて戸惑っているのも真実でしょうが、そこは一種の『ツケ』が回って来たと言うやつでしょう。」
「へぇー……」
……まぁ、元々『ツンデレ』的な所があるディアーチェらしいと言えばらしいのか?
「はや……はや、はやて……ちゃ……!」
「んー?」
「~~っ!! はややっちぅッ!?」
……うん、今割り込む訳には行かないな!
後の事は大会が終わってから考えるとしよう。二人の戦いも佳境に入って来た所だし。
「轟雷爆滅! 『雷刃封殺……」
「撃ち抜け、雷神! 『ジェット……」
「――爆滅剣』!!」
「――ザンバー』!!」
フェイトもレヴィに影響されたのだろうか。速度で翻弄する戦い方はなりを潜め、真っ向からのパワー勝負を選んだらしい。
……こういう楽しさを重視する戦い方が出来るのも、平和な大会だからこそか。
「……私も次の大会までに鍛えておかないと、だね。」
それは俺もあんな風に心の向くままに戦ってみたいと思わせられる試合だった。
「いえ、ナノハは今のままでも十分に強いので、少し待っていただけると……」
……そんな俺の隣でシュテルは少し焦っていたが。
「ただいまー!! 帰ったよ、王様ー!!」
家で夕飯の仕込みをしていると、そんな騒がしい声が聞こえて来た。
続いてどたどたと慌ただしく廊下を駆ける足音も。
……ずっと家にいた我には分からぬが、きっと大会で貰ったゲームが早くやりたくて仕方がないのだろう。ずっと家にいたから詳しくは分からぬがな。
「いやー! 大会楽しかったよ、王様! 王様も来ればよかったのにー!」
「ふん、我らの力は人に見せる為のものではない。必要な時以外は爪を隠し、牙を研ぐに尽きるわ。」
「えー、それじゃつまんないじゃん! 今度は王様も出ようよ! シュテるんも出てたんだよ!?」
そう言って我に詰め寄るレヴィだが……
「ええい、料理中に引っ付くな! 危ないではないか!
我が今ニンジンを切っているのが見えんのか!?
貰って来たゲームでもやって待っておれ!」
包丁を握っている者に近付くなと、はや……小鴉にも言われていたであろうに!
「はーい! ……あれ? ボク、ゲーム貰ったって言ったっけ?」
「!? ……ふん、大会とやらのパンフレットに商品が書かれておったわ。
後は貴様のテンションから優勝を察したまでよ。」
ふ……一時は危ない所であったが、流石は我。上手く躱したぞ。
……あの場所に居たことは誰にも知られる訳にはいかぬ。特に、特に小鴉との会話を知られる訳には断じていかぬ!
「おー! ……まぁ、オリジナルには勝てなかったんだけどねー……」
「ふん、動きをよく見ぬからだ! 最後『雷刃爆光破』を躱された直後、『雷光輪・天網』で隙をカバーすればまだ戦え……ハッ!?」
「もー! やっぱり王様も来てたんじゃんかー! ねぇ、出よう? 今度の大会一緒に出ようよ~!!」
「だ、だから離れ、危ないと何度も言っておるではないか!!」
くっ……! 今日の我はどうしたのか!? こうもあっさりと、それもレヴィのブラフにかけられるなどどうかしている!!
やはりあの時か!? 小鴉の奴を、は……はやてちゃん……等と呼んでからと言う物、調子がおかしい!!
これでは我の威厳が、イメージが崩れてしまう! 早く本調子に戻らねば……!
「戻ったで、王様!」
「お、おぉ、戻ったのか小鴉よ。」
「なんや冷たいなぁ……『はやてちゃん』って呼んでもええで?」
「んぅっ!? き、貴様、やっぱり気付いておったのか……!?」
「え~? 何のことか分からんなぁ……
ただ、無性にそう呼んで欲しいなって思っただけなんやけどなぁ~」
くぅっ!? こやつ、よくもぬけぬけと……!
≪王、そろそろ小鴉呼びも潮時かと。≫
≪シュテル!? まさか貴様も見ておったのか!?≫
≪? もしや何かあったのですか?≫
≪い、いや良い。知る必要の無い事よ。≫
≪承知しました。≫
ふぅ……どうやら見られておらぬようだ。あんな姿、部下にはとても見せられぬ。
……しかし、潮時か。確かに我も『家族』として迎え入れておきながら、小鴉と呼び続けるのも抵抗はあった。シュテルの言うように、丁度良い機会かもしれぬ。
だ、だが『はやてちゃん』は無理だ! 流石に無理だ!
「は……『はやて』で、手を打とうではないか……」
「! うん! なら私もこれからは『ディアーチェ』って呼んでもええか?」
「ふん……好きにするが良い。」
「……『ディアちゃん』。」
「『ディアーチェ』と呼ぶがよいぞ!」
「ふふ、よろしくな『ディアーチェ』!」
こやつちょっと意地悪が過ぎるのではないか!?
……まぁ、この日を境に僅かに感じていた壁が無くなったのは素直に喜ぶべきとしよう。
日常編と言える程日常を描けたのかは微妙ですが、とりあえずここで区切りとします。
エルトリア復興録も書きたいので。(しかもまだ空白期なので)
マテリアルズとオリジナルズの感情表
・シュテル→なのは:あらゆる策を魔力量のごり押しで突破して来る存在。脅威であり、超えたい目標。
・レヴィ→フェイト:ライバル! オリジナル! 速い! 今度は勝つ!
→アリシア:オリジナルのオリジナル! 友達!
・ディアーチェ→はやて:時々いじわる。姉の様な物。
・なのは→シュテル:発想力と計算高さが桁違い。ごり押ししないとジリ貧になる。
・フェイト→レヴィ:戦っていると時々ひやりとする瞬間がある。楽しい相手。
アリシア :友達のような妹のような感じ。かわいい。
・はやて→ディアーチェ:逸材。いじると輝く。妹。かわいい。