正直「銀髪オッドアイvs金髪ツインテール」の方が雰囲気に合ってると思う。
‐12/30 追記‐
文章を一部修正しました。
詳細は後書きに記載しております。
初撃は躱された。だが、ハナから当てられるとは思ってはいない。
俺は最初から王の財宝の砲門を放射状に広げて展開していた。
今撃ったのは真正面に向いている砲門だけだ!
フェイトは俺から見て左上に避けたな?
だったらそっちを向いている砲門に
「これでどうだ!」
「っ!」
初撃から切り替わるように発射された2射目の魔力刃は、
避けたばかりのフェイトの目の前を掠める様に通り抜けていく。
だが攻撃の手を緩めるつもりの無いフェイトは、
即座にこちらに直角に曲がって突撃してくる。
「かかったな!」
続いて連続して開く無数の砲門!
フェイトの方角に展開している砲門の内、
フェイトを無数の魔力刃で筒状に隙間なく囲んだ!
これで後は中央の砲門を開放すれば回避不可能の直撃コース!
「っ!」
気付いたようだが、もう遅い!
「くらえ!」
――ゴォッ!…ッ!
筒の穴を埋めるようにして放たれた魔力刃を完全に躱す方法は無い。
だが、俺が感じたのは達成感ではなく僅かな違和感だった。
魔力刃が放たれる音に紛れていたが…今の音は、雷鳴?
砲門を完全に開いた今、大量の魔力刃のせいでフェイトの姿が見えない。
だがあの状況で出来る事を考えると…
(強力な魔力かディフェンサーで体を守ってから側面を突破するつもりか!)
――バリッ…
(左っ!)
≪Protection!!≫
――ガァン!!
「っぶねぇ…!あの数の魔力刃に突っ込んで無事とはな…!」
「…くっ!」
直ぐに距離を取るフェイト。
その直後に銀の奔流がさっきまでフェイトが居た場所を右から左へと薙ぐ。
そして奔流は俺が開いた歪みの中に戻って行った。
「!…回収、出来るの?」
「まぁな。簡単に在庫を減らせるとは思わない事だ。」
…と言っても、
さっきみたいに相手に真っすぐ撃てば回収できる範囲を越えちまう。
「…回収できるのも射出できるのも半径数m。…違う?」
早くもバレるか…だが本当の事を答えてやる理由もない。
「さてな、試してみるか?」
余裕を見せるかのように大量の砲門を展開する。
…と言っても、最初のやり取りで半分ほど使っちまったから在庫は心許無いがな…
「…」
「…」
しかし、さっきから突撃一辺倒。牽制にだってフォトンランサーを使わないか…
俺がアニメで知ってるフェイトとは随分違うな。
確かにフェイトは高速機動を活かした空中戦を得意としているが、
どうにもこのフェイトには違和感がある。
魔力光は金で雷の魔力変換資質…リーゼ姉妹の様な変装って訳でもなさそうだ。
と、なると後は…
≪おい、お前…転生者か?≫
≪…そうだと言ったら?≫
半ばカマかけだったんだが…隠すつもりはあまり無いのか?
≪なんでこんな真似してるのか聞きたい。
プレシアがフェイトに対して愛情を抱いていないのは知ってるはずだ。≫
≪…あなたは、この世界を物語だと思う?
物語の様に未来が決まっていて、私たちはそれを変えられないと思ってる?≫
…いきなり何の話だ?それが理由なのか?
≪物語も何も、この世界は魔法少女リリカルなのはの世界だろう。
転生の際にも言われたはずだ。≫
≪そう、なら話すことは…≫
≪だが、
この世界は
そう、この世界は現実だ。
あの時…ジュエルシードの暴走体が、目の前でジュエルシードを取り込んだ時に漸く気付いた。
この世界は最初から原作の手を離れている。
俺達が転生して来なければ、きっと原作通りに進んだんだろう。
だが、
俺達がこの先どれだけ力を合わせて舵を切っても、
俺達の知っている原作と全く同じ展開にはならないだろう。
なら、それは現実と変わらないんじゃないか?
…まぁ、ユーノをさんざん追い回す前に気付くべきだったんだろうな。
≪…そう。≫
≪おい、俺は質問に答えたぞ?次はお前の番だろう。≫
≪私は…母さんを助けたい。プレシア・テスタロッサを破滅の未来から救いたい。≫
≪…?それがどうして敵対する事に繋がるんだ?
俺達と協力した方が可能性は高まるんじゃないのか?≫
≪私は…この世界を物語と思っている奴と、手を取り合って仲良くしたいとは思わない。
そんな奴らの手を借りなくても、自分の力で母さんを助ける。≫
≪…随分と嫌われているんだな?原作派は。≫
≪彼らはこの世界を現実としてみていない。
現実だと心から理解してくれない限りは、私の理解者にはなれない。≫
現実として見てくれない奴とは協力したくない…って事か?
何というか…転生者にしては変な所に拘るな。
≪それに…≫
≪…ん?≫
≪この世界を
本気で未来を変える気があるのかも疑わしい。
協力関係になるにはそもそも不適切。≫
≪それを言われると、否定しにくいな…≫
それに関してはジュエルシード暴走体の一件で未来を変える事を恐れた俺としては反論しにくい。
実際プレシアが生存した後の動きなんて想像もできない。
フェイトの裁判の結果が変わり、A's編で戻って来ないなんて事も有りえるかもしれない。
でも、もう既に修復不可能なくらい原作が壊れてしまった事も解ってる。
だったら…どの道未来が分からないのなら、今何とかできそうなものを何とかしたい。
≪…それでもいきなり攻撃してちゃ、協力者になれる奴かどうかも分からないだろ?
なのはじゃないが、言葉に出さなきゃ伝わらねぇぞ?≫
≪…私に協力者は不要。私の速度に対応できない時点で実力不足。≫
…ダメか、取り付く島もないって感じだ。
どうにも最初から『自分一人で』って拘りが強すぎる。
コイツに何があったんだ…
何でここまでプレシアに拘る?
それとも
…まだその辺が良く分からねぇが、
≪なるほどな…じゃあお前の速度に対応すれば、晴れて俺はお前の協力者って訳だ。≫
≪本当に出来ると思ってるの?≫
≪やってやるよ。力尽くで協力してやるから覚悟しなぁ!≫
王の財宝から魔力刃を発射する。
俺が願い、神がくれた…この世界では(多分)俺だけの能力。
原作でもトップクラスだったフェイト・テスタロッサを超えた
きっとこれしかない。
――バチッ!
僅かなスパーク音を聞き洩らさず、砲門を操作。
回収できる分は回収しつつ、魔力刃を絶えず打ち出し続ける。
フェイトは何故か接近戦に拘っている…原作よりも速い分、その方がやりやすいのかも知れない。
しかし、それなら俺も王の財宝の展開は自分の周囲に限定して良い。
距離が開いている時に撃ってもどうせ躱されるだろうからな。
自分を中心に5m…原典から比べれば小規模だが、その範囲なら俺は位置も方向も自由にゲートを開ける!
向きは前方ではなく縦横に。
距離を取らず、近くに来たフェイトを狙い撃つ!
…
《Protection!》
――バヂィッ!!
――ゴォッ!
フェイトの攻撃をプロテクションで受け、カウンターの要領で横薙ぎの魔力刃を叩き込む。
もう何回目になるか分からないやり取りだ。
「っ!」
「どうした?早く俺を倒さないと、先に俺がその速度に慣れちまうぞ?」
しかし、だんだんと照準が合うようになってきた。
少ない弾数でフェイトの移動先に魔力刃を
残弾は少しずつ減っているが、回収できる距離に留めた分長持ちしている。
このまま追い込んで、さっきよりも効率的に囲い込んでやる!
「…だったら…!」
≪Photon Lancer≫
フォトンランサー!やっぱり使えるのか…!
だがフォトンランサーに追尾性は無い。躱してしまえば…
≪fire!≫
だがフォトンランサーが撃ち込まれたのは俺ではなく…
――ドドドドドォン!
…なん、だと…!?
俺の撃った魔力刃を撃ち抜いて…破壊した!?
誘爆で魔力刃が連鎖的に破壊されている…!
不味い!残弾が…!
慌てて砲門を閉じるが…
「そこっ!」
≪Protection!≫
――バヂィッ!!
くっ、そりゃあ攻撃の手を緩めればそう来るよなぁ…!
そして俺が王の財宝で迎撃を狙えばフォトンランサーで容赦なく残弾を減らしてくると…
――バヂィッ!!
今の衝撃は真後ろから…!
もう背後に回り込んだのか、やっぱり速いな…
フェイトの攻撃の瞬間は、速過ぎてもう俺からは見えない。
だが絶え間なく響くスパーク音と衝撃は、フェイトの連撃が止まらない事を教えてくれる。
この攻撃は俺の防御が削り切られるまで続くコンボだ。
まんまと必殺の型に持ち込まれちまった。
――バヂィッ!!
――バヂィッ!!
「っ!これは…!」
フェイトが俺とフェイトの間に発生した揺らぎに気付いたようだな。
ぶっつけ本番、今さっき編み出した俺の奥の手!
俺の周囲全方位に揺らぎが発生し、5m離れて
直径10mと小規模ではあるが、王の財宝の球状結界だ!
回収と射出の無限ループ!くらえ!
無数の砲門から魔力刃が放たれる瞬間、フェイトが慌てて離脱しようとするが…
既に隙間なく展開されている砲門からの一斉射撃だ。
いくら速度があっても、避ける隙間が無ければ躱せないだろう!
≪Photon Lancer fire!≫
――ドドドドドドドドドドドドド…
フォトンランサーで迎撃したようだが、
そんなことすればフェイトもただでは済まない!
魔力刃の爆発が別の魔力刃を爆発させ、王の財宝の結界内を誘爆が広がる。
色んな漫画でやたらと出てくる粉塵爆発とほとんど同じ原理だ。
この結界の中に安全なスペースは無いぞ!
≪Defenser!≫
≪Protection!≫
直ぐに守りを固める。
フェイトも守りを固めているようだが、元々フェイトは守りに関しては苦手分野!
残弾も全部連鎖爆発の為に使い果たす!…なのはの魔力弾以外は。
どっちが勝つにしても、これで決着だ!
――オオオオォォォォォォォ…!
爆風の余波が突風となって20m離れたここにまで届く。
すげぇ…
神宮寺の奴、ここまで強かったのかよ…
これなら本当にフェイトだって倒せちまいそうだ。
やがて爆発が終わり、煙を突き破って落下する影が一つ…
どうやら完全に決着がついたらしい。
フェイトが地面に落ちるのは避けたいので救助に向かって飛びだす。
どうやら何人か…いや、全員だな。
全員落ちていく
だが、近付いていくうちに皆気付いた。
――
落下していたのは、完全に気を失っている神宮寺だった。
「神宮寺っ!」
一番に到着した俺がしっかり受け止める。…軽く揺するが目を覚まさない。
呼吸はしているし脈もある。気絶しているだけだと分かり安心する。
――バチッ!
背後で音がした。
慌てて振り向いて距離を取ると、やはりフェイトだった。
バリアジャケットが所々破れている様子を見ると完全に無傷と言う訳ではないようだが、
しっかりと飛翔魔法で浮かんでいる。
「くっ…!」
「…」
神宮寺をどこか安全な所に降ろしたいが、フェイトがその隙を見逃すだろうか…?
「…彼は」
「ん…?」
彼…?
「神宮寺か?」
「神宮寺…そう、無事?」
「えっ?あ、あぁ…気絶してるだけだと思う。」
「…解った。」
そう言うとフェイトは特に何をするわけではなく、ゆっくりと離れていく。
…えっ?今、心配してたのか?
フェイトが?神宮寺を?
…何で?
「…そうだ、一つ。」
「えっ?」
「彼が目覚めたら、『考えておく』って伝えておいて。
多分それで伝わるから。」
「えっ?」
「…それだけ。」
再び離れていくフェイト。
その場の全員の目が、気絶している神宮寺に向けられた。
…こいつ、あの戦闘中に何話してたんだ?
「なぁ、とりあえず起こさないか?」
「あ、あぁ。そうだな。」
「…ごめんなさい…もう一つだけ、あった。」
「ぅひぃっ!?」
振り向くとまたフェイトが居た。
去り際が締まらなかったからだろうか、若干顔が赤くなっている。かわいい。
「えっと…なんでしょう?」
「この結解を解除して…結界の外でジュエルシードが発動してる。」
…へっ!?
「おい、木のジュエルシードが発動してるぞ!」
「しまった!フェイトに気を取られて気づかなかった!」
「神谷ぁ!」
「待て、直ぐに解除する!」
――バチッ!
封時結界が解除されると即座にフェイトは大木に向かって飛んでいく。
急いでいるのはジュエルシードが原因か、恥ずかしかったのが原因か…
いや、そんな事よりも!
「街は!?どうなってる!?」
急いで見回すと…どうやら、思ったほど被害は出ていない。
現場になったであろう横断歩道の辺りはアスファルトが砕け電線も一部切れているが、
原作にあったように街に広がってはいない…
何でだろうと見まわす俺達の目に映ったのは…
伸びようとする木の根を攻撃している大勢の
うーん、今回は特に書きたい事を書き切れなかった感が凄い…
具体的に神宮寺が協力的な理由と、フェイトさんが拒絶している理由が…
フェイトさんの場合まだ出してない設定があるので特に難しい…
これもう少しフェイトさん陣営掘り下げてからの方が…でも時期がなぁ…
回想挟むにしても最近回想やたら挟んだし控えめにしたいなぁ…と言う。
後、今回書いてていくつか思う事があったのでアンケートです。
アンケートの結果によっては若干手直しも考えてますので、ご協力していただけると嬉しいです。
今回のアンケートはこう思っている人がどれくらいいるのかな?と言うもので、
多数決で方針を決めるものではありませんのでご了承ください。m(__)m
‐12/30 追記‐
アンケートに伴い擬音を減らす修正を行いました。
念のために再アンケートです。
今回の修正で問題なかったでしょうか…?
修正の結果、擬音を減らしましたが問題は無いでしょうか?
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多く感じる
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やや多く感じる
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今のくらいで良い
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もう少し多くても良い
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前のが良かった