少し色々ありまして…
なのはvsフェイト初戦闘回です。
ついでに二人の秘密がちょっとだけ分かるかも?な回です。
今回若干文章の書き方を変えています。
色んな方の小説を読んでこうした方が良いかな?と言うものをいくつか試しております。
解り難かったり、前よりも変な感じになっていたらご指摘いただけると嬉しいです。m(__)m
結界を飛び出して先ず気付いたのは、周囲に転生者と思しき魔導士の集団が居た事だった。
…銀髪オッドアイだけじゃなかったんだ。
そんな納得も転生者も全て無視し、俺は大木へ翔ける。
大木を何周かして、核になっている二人の子供を確認。攻撃を当ててしまわない様に注意しながら突撃する。
「ハァッ!」
魔力を高めて繰り出したバルディッシュの一閃は、落雷の如き轟音を背後に、巨木を一撃で断ち切った。
≪Capture≫
ジュエルシードを封印して、俺は1人感慨に耽る。
何気に俺が自分の力で封印した最初のジュエルシードだ。
…やっぱり、人に持って来て貰う物じゃ無いよな。目的を果たすには、やっぱり自分の力で手に入れないと。
そう思いなおす。
…まぁ、わざわざ持って来てくれるのならありがたく奪わせて貰う心算ではあるが。
「ねぇ、あなたも魔導士なの?」
不意に、背後から声をかけられた。
「…あなたは?」
「私は高町なのは、ユーノ君の為にジュエルシードを集めてるの!」
振り向いて目にした顔は、前世で見慣れた高町なのはだった。
「…そう。だけどこれは私の物。私が封印したジュエルシード。」
「それをどうするつもり…?」
「…」
「言えないの?」
「…」
「言えないなら、このままジュエルシードをあなたに預ける事は出来ない。
ジュエルシードは、本当に危ない物なんだって…ユーノ君が言ってたから。」
『ユーノ君の為に』、『ユーノ君が言ってたから』。
何故だろう。その言葉を聞く度に
「…あなたもジュエルシードを集めてるの?」
「そうだよ。全部集めて、ユーノ君に返すの!」
「いくつ?」
「…えっ?」
「あなたは今、いくつのジュエルシードを持ってる?」
「…5個、だよ。」
5個…今の私の手持ちよりも多い。
「このジュエルシードを含めて、私が今持っているジュエルシードは4個。」
「それって…」
「このジュエルシードが欲しいのなら、賭けて。あなたの持つジュエルシードを、1個。」
「…!」
今さっき封印したジュエルシードを、挑発するかのように掲げて見せる。
なんて事は無い。ちょっとした
「あなたが私に勝ったらこのジュエルシードはあなたの物。
その代わり私が勝ったら…」
「…わたしのジュエルシードをあなたに1個渡す。…良いよ、勝負しよう。」
決闘の了承は得た。
ジュエルシードを改めてバルディッシュに収納し、構える。
なのはもレイジングハートをこちらに向けて準備万端と言った様子だ。
こうして正面から対峙して分かった事がある。それはなのはの魔力量と、その質の高さだ。
臨戦態勢に入ったからだろうか、なのはの内側からその圧力をひしひしと感じる。おそらく銀髪オッドアイ達よりも上だろう。
だが、なのはの速度は私よりも遥かに遅い。それは学校で暴走体を封印した際の動きで把握している。
気を付けるべきはその高い魔力を活かした強力な砲撃だが、そんな物は先手必勝で懐に潜り込めば何の脅威にもなり得ない。
…一気に勝負を決めてしまおう。
そう思い飛翔魔法を発動させようとした瞬間、世界の色が切り替わる。
「…これは、さっきの結界?」
さっきの銀髪オッドアイ達と交戦した時に展開された結界だ。
「二人が勝負するんならよ、封時結界は張っておいた方が良いと思ってな。」
「…あなたは?」
「俺は神谷
「…」
「心配すんな、俺は手を出さねーよ。
元々戦闘はあまり得意じゃ無くてな…俺じゃお前にかすり傷一つ付けられねーさ。」
どうやら純粋に街の被害を心配して結界を張ったらしい。
…だが、私としてはどうしても確認しておきたい事がある。
「私が勝ったら、すぐに結界を解いて。」
「解ってる。…ったく、そんな警戒しなくても良いだろうに…」
警戒するなと言う方が無理な話だ。
『なのはの仲間』だと自己紹介したのはそっちなのだから。
…まぁ、構わない。結界を解除しないようなら、気絶させてでも解除して貰えば良いだけだ。
視線をなのはに戻す。
律義にもこちらの隙をついて砲撃してくる様子が無かったこの少女に。
結界によって区切られたこの空間には、風さえも吹かない。
だから、自分の鼓動の高鳴りが良く分かる。
私が最大のパフォーマンスを発揮できる、程よい緊張感だ。
「行くよ…レイジングハート!」
「…バルディッシュ!」
どちらとも無く仕掛ける。
互いがデバイスの名を叫んだのは、奇しくも全くの同時だった。
≪ディバインバスター≫
「っ!」
開幕で放たれた砲撃を紙一重で躱し、最短距離で背後に回り込む。
いきなりノータイムで必殺の一撃を繰り出してくる辺り、本当に容赦が無い。
≪プロテクション!≫
「速い…っ!」
…オートガードか。
なのははプロテクションが発動した事で、こちらが後ろにいる事に気付いたようだ。
だが、気づいて振り返った時には遅い。既に私はそこに居ない。
「っ!…くっうっ!」
再びの一閃。なのはは私の動きを一切掴めていない様だ。
戦いは始まって間もなく一方的な蹂躙に変わった。
なのははこちらの姿を捉える事も叶わず、ただ耐える事しか出来ていない。
…これではいくら高い魔力を持っていようと宝の持ち腐れだ。その自慢の砲撃は私に向けられる事も無いのだから。
ちらりと神谷と名乗った銀髪オッドアイの様子を窺う。
どうやら先ほどの言葉は真実だったらしく、悔しそうに拳を握っている以外に特別な動きは無い。
この状況ならば私の敗北は無い。5個目のジュエルシードは思ったよりも早く手に入りそうだ。
しかし、時が経つにつれてなのはの異常さが明らかになって行く。
「くっ!…うぐっ!」
最初に張られたプロテクションが未だに破れないのだ。
あれから何十回と攻撃が続いているのにも関わらず。
いや、それどころか大して衝撃も感じていないように見える。攻撃の度に呻く様な声は聞こえるが、だからといって守りが緩む事も無い。
確かにこの攻撃に割り振っている魔力は最小限で、単純な威力として見ればフォトンランサーよりも弱い。
その分速度に回し、手数と持続力を重視するコンセプトだからだ。
だが、いくら何でも魔法を覚えて間もない魔導士が何十回も耐えられるほど弱くはない。
それは唖然としている銀髪オッドアイの様子を見ても明らかだ。
…ざわりと、私の心に焦りが生まれる。
このまま私の息切れを待つ心算なのか、それともこの間に速度に慣れる心算なのか。
どちらにしてもそうなれば追い込まれるのは私だ。
神宮寺達との連戦で魔力の残量も心許無い…ここは少し無茶をするべきだろうか。
僅かな逡巡の後、賭けに出る事を決心して
≪Defenser≫
急に守りを固めた私を、なのはは怪訝そうに見つめる。
≪Round Shield≫
手を正面に翳し、更に守りを固める。
なのはは私の行動の意図が掴めず、プロテクションを維持したままだ。
…どうかそのまま守りを固めていて欲しい。そうしていなければ
≪Blitz Action≫
私の魔力が高まる。
以前この魔法を時の庭園で使用した時、私は一度大怪我をしてリニスに怒られた。
守りを固めて漸く使える魔法なのだ。
本来瞬間的に速度を上げるだけのこの魔法は、私の速度と相まって必殺の一撃になっている。
だから…注意を呼び掛ける。
「
「二人…?」
「…へっ?…俺もか?」
「そう。今すぐ可能な限りの全力で防御を固めて。」
「う、うん…」
≪Protection≫
「お、おぅ…?」
≪Circle Protection≫
「そのまましっかり守りを固めてて。でないと、本当に危ないから。」
「!」
そして、私はなのはの直ぐ横を≪ただ通り抜けた≫。
「へっ?…うあぁっ!!」
「う、おおぉ…!?」
ただし、暴風と雷…そして熱と衝撃波を伴って。
魔力変換資質の影響で発生した雷以外は全て超音速で物体が移動すると発生する現象だ。
距離があったからか神谷のサークルプロテクションは維持されているが、なのはのプロテクションは破壊された。強い衝撃を受けて体勢も大きく崩れている。だが、
「う、ぐぅ…っ!!」
私自身少なくないダメージを受けている。ディフェンサーとラウンドシールドの2重の防御でもこの反動は防ぎきれない。
短い間隔で2回使った事も影響しているのだろう。
軋むような痛みを訴える身体を強引に動かし、なのはに振り向く。
「ああぁぁっ!」
そして悲鳴の様な掛け声とともにバルディッシュを振り抜こうとした瞬間―
≪
「…えっ?」
珍妙な発音と共にジュエルシードがレイジングハートから飛び出した。
「レイジングハート!?」
「…あなたのデバイスが、これ以上の戦いを望まなかった。
私の勝ちだね。」
バルディッシュでジュエルシードを回収する。
なのはを見れば負けて落ち込んでこそいるものの、ダメージで言えば私の方が大きいだろう。
…本当に頑丈な子だ。早急に対策を練らなければ。
「…うぅ。」
「…ゴメンね。」
落ち込んでいる姿に、自然と謝罪の言葉が出てくる。
もちろん、ただ落ち込んでいるからの言葉ではない。少し、彼女のデバイスについて心配事があったからだ。
「えっ!?」
「あなたのデバイスを、壊してしまったかもしれない。」
「嘘っ!?レイジングハート!?」
≪
やっぱり…
「…発声機構に影響が出ているみたい。
でも大抵のインテリジェンスデバイスには自己修復機能があるから、しばらくすれば直る。安心して。」
「えっ…?あっ!…これは、あの、元々なので…」
「…………そう。」
「…」
気まずい沈黙が流れる。…心配して損した。
「…今は帰る。でも、いずれはあなたの持っているジュエルシードも全部もらう。」
「…私も…次は、負けないから…!」
なのはの目に恐怖の色は無い。
この様子なら、本当に次は危ないかもしれない。未だに軋む四肢が危機感を煽る。
…家に帰ったらリニスに魔法を教えてもらおう。
「またね。」
一方的に告げて
なのはの「うん、またね。」と言う声を背に、振り返らずに。
そして思い出したように結界が解除され、俺は無事に家に帰る事が出来たのだった。
この後滅茶苦茶リニスに叱られた。
フェイトさんの全力のブリッツアクションは一日一回使うだけならそこまで負荷はかかりません。(でもリニス的にNG)
二回目は四肢が悲鳴を上げますが、少し休めば普通に動く分には問題ない程度。(普通に危険なためNG)
ただし三回目は意識が飛んで、慣性のままに自分も飛ぶ。(絶対NG)
神宮寺の敗因を簡単に言ってしまえば、全力のプロテクションを速攻で破壊されたからです。
身も蓋も無い言い方をすれば自爆ですね…
フェイトさんが若干デレた理由は
1.フェイトさんが本気を出す必要があるレベルまで追い込んだ。
2.通常時の速度に完全に対応されたと判断した。
3.自分の能力の活かし方を理解していた。
4.転生後の世界を現実として認識していた。
が主な理由です。
因みに1の条件を満たした時点で若干心を開きますが、4の理由を満たしていないと即心を閉ざします。
なのはの秘密に関しては察しが良い人は多分答えまで到達したと思います。
フェイトの秘密は多分察した人も居るかなぁ…?と。
あまりポロポロ設定零すのもなんだかなぁ…と思うのでこのくらいで。
解った人も感想欄に書くのはほどほどにお願いします!答えにくいので!
以下前回のアンケートについてです。興味の無い方は飛ばしていただいて大丈夫です!
アンケートにご協力いただきありがとうございました!
結果がなかなか難しい事になってますね…
詳しい票数は伏せますが、『今のくらいで良い』がダントツでトップ。
続いて『やや多く感じる』と『もう少し多くても良い』がほぼ同じ、最下位も『多く感じる』『前のが良かった』がほぼ同じでした。
真逆の意見の票数がほぼ一致している場合どうするべきなのか考えた結果、
一旦現状維持にしておいて、一期分が終了した後で必要な箇所は手直しして行こうかと。(問題の先送り)
重ね重ね、貴重なご意見ありがとうございます!