転生者を騙す転生者の物語   作:立井須 カンナ

202 / 276
遅れました! すみません。今週は執筆の時間があまりとれず、かなり粗目な内容です……
しかもあまり展開も進まず……


真意

「――以上の点から考えても、彼女達3人と生死体の少女達の生みの親は同一人物と考えられるわ。」

「ん、ありがとうなプレシアさん。急な頼みやったのに、迅速に対応してくれて。」

 

最高評議会の3人が少女達の身体との通信を切ってから約1時間。

私は、指定した時間通りに検査を済ませたプレシアさんから、その結果の報告を聞いていた。

 

「コレも仕事の内よ。それに、私も興味深いものが見れたもの。悪くない経験だったわ。」

 

そう言いながら検査を終えベッドに寝かされている3人の少女を見ていたプレシアさんは、壁に掛けられている時計に目を遣ると続けてこう言った。

 

「そろそろ貴女の言っていた彼女達が目覚める時刻ね。私は退室した方が良いかしら?」

「あー……そう言えばその辺りに関しては聞いてへんかったけど、どうなんやろなぁ。まぁ本人達はあまり人に見られたくないみたいやし、やっぱり――」

 

『私達だけで話す事にするわ』。そう私が言いかけたところで、背後から布の擦れるような音がしたので振り返ると……

 

「……ん、無事繋ぎ直せたか。ここは……む!?」

 

最高評議会の内の一人、黄色の髪の少女と一瞬目が合ったかと思えば、彼女は直ぐに私の傍にいるプレシアさんへと目を向けて固まった。

そして「コホン」と一つ咳をしたかと思うと、次の瞬間――

 

「は……はやてさん、おはよう! 起きたら知らないお姉さんが居たから、びっくりしちゃった!」

 

まさかまさかのロールプレイ。そこまでして最高評議会の現状を隠したいのだろうか。

そして、まだ目覚めていないと思っていた少女二人が今の言葉で一瞬小さく反応したかと思うと、再び寝息を立て始める。どうやら狸寝入りを決め込んでこの場をやり過ごすつもりのようだ。

 

――置かれた状況を即座に把握し、その場に合わせた対応で残った二人にそれを伝える……そう考えれば、素晴らしい対応力と言えるんやけどな……

 

今までの通信越しに聞いていた彼等の口調を思うと、その姿が途端にいたたまれなく感じるのは何故だろう。

 

――いや、考えるのは後や! 今の彼女(?)の対応を見る限り、人払いを望んでいる事は明白! 私もそれとなくプレシアさんを誘導せな!

 

「あー、ごめんなプレシアさん。どうやら……えっと、クリームちゃんも起きてもうたみたいやし「クリームちゃん!?」、ここからは私等だけで……」

 

途中でクリームちゃん(仮)が『それは私の名前か!?』と言わんばかりに口を挟んで来たけど、パッと見た印象で思い浮かんだのがその名前だったのだ。これに関しては我慢してもらう他ない。

ともかく若干強引な人払いではあったが、プレシアさんは諸々を察したのだろう。手元にあった端末を私に手渡すと、

 

「そうね、まだ私も仕事が残っているもの。さっき話した照合結果はその端末にも入っているから、フェイト達に伝える時に活用して頂戴。」

「ありがとうな、プレシアさん。……あ、ついでで悪いんやけど、なのはちゃんとフェイトちゃん呼んで来てもらえるか?」

「ええ、分かったわ。貴女も、"例のお願い"忘れないでね?」

「ああ、任せとき。」

 

と言うやり取りを最後に退室していった。

 

「……行ったか。」

「あ、はい。もう大丈夫です。」

 

私がそう答えると、問いかけの主である赤い髪の少女がむくりと起き上がり、それに続いて青い髪の少女もまた上体を起こす。

 

「まさかプレシア博士が居たとはな……繋ぎ直す時に周囲の状況を把握できないと言うのは、この身体の欠点の一つか。」

「すいません、一応時間には気を配っていたのですが……」

「……いや、良い。確かに我等が繋ぎ直すのが数分早かった。こちらにも落ち度はある故、不問としよう。」

「ありがとうございます。……えっと、さっきはすいませ――」

 

赤い髪の少女に対して一礼し、続けてクリームちゃん(仮)に色々と謝罪しようとしたところで胸ぐらを掴まれる。

 

「――忘れろ。」

「いや、でも……」

「私は忘れた。いいな? 忘れろ、何も無かった。いいな??」

「あ、はい。」

 

――もうこの人の印象だけボロボロなんやけど。

 

勿論そんな事は口に出さず、ただただ了承を返していると、ここで赤い髪の少女が口を挟む。

 

「……しかし、実際我等の呼び方はどうするつもりだ? 今のような事が再び起こらんとは言い切れぬぞ。」

「うむ……考えたくはない事だが、一度あった以上は二度目を想定すべきだ。非常用のマニュアルとして、暫定的な名前だけでも決めておくべきかも知れん。」

「必要あるまい。今回の一件は我等の身体の情報が必要だったが故に起きた事だ。二度目がある筈もない。」

「何も今回のような例ばかりを想定している訳ではない。"名前"が必要な事態は必ず訪れるものだぞクリーム。」

「緊急時だからと言って、まさか人前で『議長』『議員』等と呼び合う訳にも行くまいクリームよ?」

「! 貴様等、楽しんでいるだろう!!?」

 

 

 


 

 

 

「えっと……何かあったの?」

「いや……まぁ、何も無かったんやけどな?」

 

プレシアさんに呼ばれて取調室に戻ってみれば、どこか困ったような表情のはやてと、彼女を恨めし気に見る黄色い髪の少女の姿が真っ先に目に入った。

 

「あの、はやてが何か……」

「……何もなかった。」

「え、でも……」

「無かった。良いな?」

「……? はい。」

 

フェイトも気になったようで本人に直接確認するが、本人がそう言う以上は追及するべきではなさそうだ。

気にはなるが、ここは意識を切り替えて行こう。

 

「それで、はやてちゃん、検査の結果はどうだった?」

「ん? ああ、ビンゴや。プレシアさんの検査では、回収された少女とここの3人の疑似リンカーコアの構造が完全に同一の物やと結果が出た。」

 

そう言ってはやてが手渡してくれた端末に映し出された情報に、さっと目を通す。

 

――なるほど。ちょっと良く分かんない。

 

そのまま無言でフェイトに端末を手渡し、再びはやてに視線を向ける。

……仕方ないよね。魔法や教導に必要な知識は一通り身に着けたけど、あそこまで本格的な魔導工学の知識はこっちでも専門家しか身に着けてないし。

とにかく今は目の前の3人の少女と回収された20人の少女が、ジェイル・スカリエッティの手で生み出されたと確定した事だけ分かっていればいいのだ。

 

「……まぁ、安心しぃ。私も全部は把握出来てへんから。」

「うん。」

「とにかく、今回の検査結果を得て、ジェイル・スカリエッティ及びジェイル・コーポレーションに対する捜査が出来るようになった訳や。罪状は共謀罪……ま、現段階では疑惑止まりやけど、ジェイル・スカリエッティ博士に任意同行を促すのに十分な証拠は揃った。

 明日にでも突入するで。質問はあるか?」

 

そう一息に話しきったはやてが最後に尋ねると、フェイトが先ず手を挙げた。

 

「メンバーは?」

「私とフェイトちゃん、そしてなのはちゃんの3人にプレシアさんを加えた4人や。人数は最小限に、且つその条件で考えられる最高戦力やな。」

「母さんも?」

 

フェイトも挙げられた名前の中にプレシアが居た事に疑問を持ったようだ。彼女は現状ロングアーチとして登録されており、前線に出る事は滅多に無いと思っていたのだが……

 

「まぁ、色々と頼まれとってな。それに特定の条件下ではリミッターを無視してSSSランクの魔導士として動ける点でも頼りにしとる。

 ……あ、因みになんですけど、この前ブラバス少将が押収した安定性の高いロストロギアの貸出許可って降ります?」

「魔導砲とやらのエネルギー源になっていたアレか? まぁ、アレに関しては調査も済んでいるし、可能ではあるが……明日までに手続きが完了するとは思えんな。」

「はい、そこで最高意思決定機関である3人の許可で一日だけでも何とかなりませんか?」

「ほう……我等を使うか。くく、良いぞ。一日と言わず、期限ギリギリまで許可を出してやる。明日の17時には現物が届くだろう。」

「ありがとうございます。」

「何、今回の一件だけでなく"滅び"に対しても使わせる為だ。必要と判断したから許可を出したに過ぎん。」

「心得ております。」

 

どうやらはやてには色々と考えがあるらしい。元々考えなしに動くタイプではないけど、今回の一件でロストロギアの貸出許可を貰うだけが狙いとも思えないし、今回に関してはまだ何かありそうだ。

 

そんな感じで明日の予定を一通り詰め終えた頃、赤い髪の少女が告げた。

 

「……さて、諸々の用事が終わったし、我等も帰るとしようか。……空腹を感じるのも、この身体の欠点の一つだな。」

 

その言葉に時計を見ると、確かにもうそろそろ昼食時だ。フォワードの皆も昼食の為に食堂に集まっている事だろう。

そんな事を考えていると、フェイトが唐突に手を挙げた。

 

「あ、すみません。今良いですか?」

「フェイト・テスタロッサ執務官か、申してみよ。」

「はい。折角ここまで足を運んで頂きましたし、今の機動六課のフォワード達を一目見ていくのはどうでしょう。」

「フェイトちゃん……?」

 

事前に聞かされていない提案に意図が読めずフェイトを見るが、彼女は真剣な目で赤い髪の少女を見つめている。

 

「ふむ……その心は?」

「いえ、彼女達の成長と実力を、貴方達に見ていただきたいと思いまして。特に、ヴィヴィオの実力を。」

「! ふむ……成程な……」

 

その言葉で私も彼女の考えに納得した。

確かにヴィヴィオは最高評議会のお墨付きと言う形で試験をパスして配属された戦力だ。だが、彼女自身は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……フェイトはこの機にヴィヴィオの真意を確かめたいと思っているのだろう。

 

「……いかがでしょうか。」

「確かに、ヴィヴィオが機動六課に入る際に許可を出したのは我等だ。確認せずに帰る訳にも行くまい。」

「ありがとうございます。」

 

ジェイル・スカリエッティの娘、ヴィヴィオ……彼女が敵となるか味方となるか、それがきっと今日明らかになる。




書いている途中に締め切りをオーバーするという悲しみ……
強制された訳ではなくあくまで自分で決めたものですが、今後このような事が無いようにしたいそんなクリスマスの夜。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。