内容は変えていませんが、『~○○の○○~』みたいな感じで視点切り替えしていたのを、
↑で統一しただけです。
こんな機能がある事を今まで知らなかった…
誰の視点か解り難くなるようなところには誰視点か解るように文章を追加していますが、内容には一切影響が無いので読み返す必要は無いです。
左利きのフェイトが戦う映像を見つつ、俺の胸中は穏やかとは言い難いものだった。
フェイトの利き手は確かに右利きだった。これは原作がそうだとかではなく、俺が実際に戦ったフェイトもそうだった。
フェイトはバルディッシュを両手で握るが、俺の時は右手が上…右利きの握り方だった。
しかし映像で見たフェイトは、その握り方が逆だった。
攻撃時の回転方向が同じなのに振りかぶる動きが違うのはそのせいだったんだ…
「…ん……じ……?」
そうなるとフェイトが途中から左利きに変わった事になる。その理由は分からない。
分からないが、フェイトと左利き…この二つを結びつけるピースは知っている。
…唐突にフェイトの眼を思い出した。焦燥と、誰にも話せない悩み…
…そう言う事なのか?もしもそうだとしたら、今のフェイトはどうなるんだ?
「……ぐう……ん!神宮寺くん!」
…!この声、なのは…?
「あぁ、すまん。ちょっと考える事があってな…」
「…大丈夫か?何か凄ぇ顔してたぞ?」
「大丈夫だって、それよりも今はフェイト対策だ!」
…俺は結局、思い至った内容について話す事が出来ず誤魔化してしまった。だが心配してくれたなのはには悪いが、これはあまり軽々しく話せる内容じゃない。
そもそもこの推測が当たっているのかだって分からないし、もしかしたらただ右手にダメージを受けていただけなのかもしれないのだから。
…また、あの眼が脳裏を過ぎった。
…大丈夫なんだよな?フェイト…
「あ、そう言えばフェイトからお前に伝言預かってるんだった。」
「えっ?ちょ、おま…」
なのはとの戦いの後、借りているマンションに着いた時だった。
「フェイト!ごめんね、間に合わなくて!」
「アルフ?そう言えば結界の外に居なかったけど…」
「ちょっと色々あったんだよ…転送魔法で強制転移させられてね…」
エレベーターに乗る寸前にアルフが合流した。
しかし強制転移?…それが出来るとすればユーノか、あの時居なかった他の転生者か…候補が多すぎるな。
部屋に向かいながらアルフと何があったのか話す。
「大丈夫だった?」
「あぁ、あいつもどちらかって言えば時間稼ぎが目的だったみたいでね。
怪我なんかは特に無いよ。」
「そう。」
相手が誰だったのかはどうでも良い。アルフに怪我が無いのなら何よりだ。
アルフが話す内容は結界の外で起こった事と、俺の救援に来れなかった謝罪が大半だった。俺は謝罪に対しては「結果的にジュエルシードが2個も手に入ったから問題ない」と、気にしていない事を告げる。
その後も話を続けるうち、アルフが何かに気付いたように切り出した。
「…そう言えば、右手どうかしたのかい?」
最初は何のことを言っているのか分からなかった。
「…私?」
「あぁ、ほら。バルディッシュを左手で持ってるからさ、フェイトこそ怪我したんじゃないのかって…」
「え…あ、ホントだ…」
何時からだろう。ジュエルシードを封印した時は右手に持っていたはずだけど…
「いや『ホントだ』って…怪我とかしてないだろうねぇ?右手見せてごらん!」
そう言って半ば強引に俺の右手を取るが…
「うーん…別に、なんとも無いみたいだね…?」
「うん、怪我は特にしてないよ。」
「…にしては、バリアジャケットは結構ダメージ負ってるみたいだけど…?」
不味い…
「何でもないよ。ちょっと相手の中に強い人が居ただけで…」
「ブリッツアクション…使ったね?」
「ぇぅ…」
「…」
「…」
やはりバレてしまった。
あの技を使った際の反動は、バリアジャケットも傷付けてしまう。俺には分からないがそのダメージの付き方は結構特殊らしく、アルフやリニスには見分けが付くのだとか。
「…はぁ、あたしもこんな事言いたくは無いんだけどさ…
いくら速く飛ぶのが好きでも、あの魔法を使うのはやめておきな。
リニスにも危険だって言われただろう?」
「…うん。」
話している内に住んでいる部屋の前まで来てしまった。
部屋にまだ入らないのはリニスには黙ってくれると言うポーズなのだろう。
「フェイトが庭園でアレを最初に使った時、あたしは生きた心地がしなかったんだからね…?」
「…うん。」
アルフは心配そうに注意してくれるのだが…肝心の俺は、実のところ
ブリッツアクションを使った瞬間は覚えている。だが、直後に凄まじい痛みを感じてからの記憶が無い。
気付けばカプセルの中で治療を受けていて、アルフとリニスが泣きそうな顔で俺を見ていた。だが、その後の事は良く覚えている。リニスに泣きながら説教されて、ブリッツアクションは使用を禁止されたのだ。
…そう言えば、あの日は母さんが珍しく研究室に行かなかったな。心配してくれていたのかな。
その後さんざん頼みに頼み込み、食い下がりに食い下がり…何とか練習する事を許可して貰った。
仕方が無かったのだ。速く飛ぶ魔法なんてものがあるのなら使ってみたいと思ってしまったのだから…
そしてリニスの監視の下&防御魔法を多重にかけて、ほんの少しずつ速度を上げると言う微調整を繰り返し『余程の事が無ければ』使用を禁止まで譲歩して貰った。
結果として自分が今出せる最高速度の線引きは出来たし、おかげで神宮寺に勝つ事も出来た。
だから…
「…でももう大丈夫。ちゃんと使えたから。」
「全く…
…あれ?そう言えば、ブリッツアクション使ったにしてはあの音がしなかったね?
あれ使うと衝撃波でとんでもない爆音が響くのに…フェイトって封時結界とか使えたっけ?」
「…!」
あっ
「いや、なんだいその汗は…あんた、まさか…!
そもそもアレは衝撃波が危険だから人に向けて使うなってリニスが…!」
「そ、それは…あの時神宮寺に勝つにはそれしか方法が無くて…!」
そう、あれは人に対して使うなと注意されていた。『余程の事』と言うのも使わなければ命の危険に関わるものを想定しており、非殺傷設定の戦闘での使用は許可されていない(次元犯罪者の様な相手なら場合によってはあり)。だが待って欲しい、神宮寺の時は本当にあれしか解決策が無かったのだ。
「…そんなに強い相手だったのかい?フェイトには絶対的な速度があっただろう?」
「…速度は私の方が絶対的に上だよ。だけど、上手く誘導されて対応されて…」
「そりゃ相手も相当のやり手だねぇ…使わないと負ける程か。」
…神宮寺か。結局あいつにはブリッツアクションが無ければ負けていただろうな。あの時の俺の選択肢はブリッツアクションで神宮寺のプロテクションを破壊し、魔力刃の爆発による魔力ダメージに賭けるしか無かった。
それはつまり、通常状態の俺の速度に完全に対応されたと言う事。
神宮寺には『考えておく』と伝えるように言ったが、俺としては正直『よろしく』と伝えても良かった。それだけの力を見せてくれた。
正直に『よろしく』と伝えなかったのはアレだ…直前に『出来ると思ってるの?』と啖呵切ったのに完全に対応されてしまったから正直に成れなかったと言うか、意地を張ってしまったと言うか…
我ながら
…そう言えばなのはの時も変な意地を張ってしまっていたな。
あまりに守りが固いからって、正面からプロテクションを破壊する事に躍起になって…
もっとカウンター主体に切り替えるとか、バインドを駆使するとか色々有っただろうに…
「…相手は生きてたんだろうね?」
「それは大丈夫。
しまった、なのはの事を考えていたからか口が滑った…
…アルフの眼が怖い。
「フェイト…あんた、アレを三回も使ったのかい!?」
「違う、二回だけ!」
「本来は一回でもアウトなんだよ!」
そう言って勢いよくドアを開けて部屋に入って行ってしまった。
「待っ…!」
「リニスーー!リニスーーーー!!」
…この後めちゃくちゃ怒られた。
神宮寺に明かされる衝撃の伝言!
伝言が伝わった後の事は本編にあまり影響を与えませんが、神宮寺は無言で拳を突き上げた事は明記しておきます。
リニスに怒られるフェイト…流石に2回は不味かった…
流石にあの技を無闇矢鱈に使う事をリニスは推奨しません。対人戦では特に。
使い手にも危険ですし、魔力ダメージ以外の要素が加わるので非殺傷に出来ませんからね。
リニス「フェイト、ブリッツアクションは使うなよ!」
フェイト「了解、ブリッツアクション!」
最初にブリッツアクションを使った時の状況はフェイトが時の庭園に一度帰る辺りでやるかもです。