『原作知識』を特典で貰ったなのはさん以外は、私のように旅館の名前を憶えていなかった(忘れていた)と言う事になりました。ジュエルシードの取得状況に変化は無いです。
フェイトさん&アルフさんは旅館の名前を憶えて無かった…と言う事でお願いします…
「よーし、到着だ。」
「皆、自分の荷物を忘れないようにね?」
「はい!」
「うん!」
「大丈夫!」
大自然に囲まれた山の中腹に例の旅館『山の宿』はあった。
『原作知識』の中にある旅館の外観と一致し、とりあえずは一安心と言ったところだ。
「予約していた高町ですが…」
士郎さんが諸々の手続きを済ませ、予約していた部屋へ向かう途中の事だった。
「お!なのは、
と部屋から出てきた銀髪オッドアイに声をかけられた。
いや、奇遇も何も事前に教えてただろうに…
「おや、なのはのお友達かい?」
「あ、『お店しらべ』の時はお話ありがとうございました!神原 剣治って言います!よろしくお願いします!」
「これはこれはご丁寧に。では改めて僕は高町 士郎、なのはの父だ。よろしくね。」
神原くんだったか。やはりこちらから名前を呼ぶ前に様子を見た方が良いな。また間違える所だった。
士郎さんが「…礼儀正しい良い子だね」とこっそり話していたが、転生者だしな。良い印象を与えようとしていると言うのもあるのかも知れない。
「ん!?なのはが来たのか!?」
「なのは!?」
「あ!お義父さん、お義母さんまで!」
突然部屋のふすまが開き、銀髪オッドアイ達が次々に顔を出してきた。おい、最後の奴。なんか変なニュアンスを込めるんじゃない。
「君達も確か以前翠屋に来てくれた子達だね。」
「はい、あの時はありがとうございました!」
「それと、君は最近よく翠屋に来てくれる子だね。神藤君…だったかな?」
「あっ!はい!覚えていてくれて嬉しいです!」
えっ?今、士郎さん銀髪オッドアイを見分けたのか?
「マジか。俺達の見分けが付くのって今のところユーノしかいないよな…?」
「後は一部のデバイスくらいだな…」
ぼそぼそ声が聞こえるが、士郎さんは変わらず話を続ける。
「はは、お客さんを見間違える事は無いさ。今度とも翠屋をよろしくね。」
「はい!」
「士郎さん、せっかく旅館に来たんですから…」
「おっと、そうだね。今はお店の話はやめにしよう。なのは、お友達と話すのなら荷物はパパが持って行くぞ?」
「えっと、ううん。大丈夫!」
「そうかい?まぁ、部屋に荷物を置いた後はご飯まで自由だ。お友達と遊ぶ時間も取れるさ。」
「うん、皆また後でね!」
「おう、また後でな。」
そう言って銀髪オッドアイ達と別れ、士郎さんについていく。
部屋に向かう俺達の話題は勿論、銀髪オッドアイ達の事だった。
「いやぁ…何度見てもそっくりだったね。なのはのお友達…」
「そうよねぇ…すずかはあの子達の見分けは付く?」
「私は…見た
「あたしも見分けるのは無理ね。名前は覚えられても皆の顔と名前が
「あはは…アリサちゃん、皆の前では絶対言っちゃダメだからね?」
「解ってるわよ。」
「そう言えば、父さんはあの子達の見分けが付くのか?…俺にはさっぱり判らなかったんだが。」
「うん?恭也…修行が足りないんじゃないか?今度、父さんが直接見てやろう。」
「…父さん?名前と剣術に何の関係が…?」
「まぁ、剣と言うか…武道全般に通ずるかな?単純な話だよ。歩調や重心、体幹のバランスや呼吸のリズムは人それぞれ違うんだ。後はそう言ったもの全般から感じ取る気配を見れば、間違い探しよりも簡単さ。」
人の顔と名前を間違えない為に武道の神髄を発揮する男、高町 士郎。彼が平然と提示した解決策は俺達には到底真似できない物だった。
部屋に荷物を置いて、自由時間になった。
アリサやすずかは周辺の散歩に行くと言うので、俺も付いて行く事にしたのだが…
「おう、なのは。アリサにすずかも、さっきぶりだな。」
「あら、あんた達も散歩?」
「まぁ…散歩みたいなもんだな。」
見かけたのは二人の銀髪オッドアイ。…片方は神宮寺くんだな。
どうやら銀髪オッドアイ達も庭園を歩き回っているようだ。とは言っても、恐らく目的はジュエルシードを捜索する事だろう。
「…アリサ達には言っておいた方が良くないか?どうせ映像も出回ってるみたいだし。」
「そう言えばそうだったな。」
「…映像ってもしかして、あの魔法関係の話?」
「あぁ、なんて言えば良いか…そうだ、なのは。今ここでジュエルシード一つ出してくれないか?」
唐突にジュエルシードを出してくれと頼まれる。意図は分かるが…やむを得ないか。
「えっ…うん。レイジングハート…≪プ『プットアウト』≫!」
レイジングハートの発音に意図的に重ねて声を出す。…正直『put out』の発音は他の魔法の比にならないくらい酷かった。フェイトにも速攻で疑問を持たれるほどだ。
その解決策…と言うには力技だが、意図して声を被せる事で誤魔化した。
「…これって、あの映像に出てた宝石よね?手にすれば魔法の力を得られるって噂の…」
「あー、そんな噂あったなぁ…」
「言っておくけど、これって滅茶苦茶危ない物だからな?皆に言っても聞き入れてもらえなかったけど…」
そう。俺達だって噂そのものを何とかしようと色々やったのだ。
例えばネット上に建てられた『【捜索中】魔法の宝石【情報求む】』と言う掲示板に『アレは危険なものだから見つけても絶対に触れるな』と書き込んでみたが、向こうからすれば所詮ジュエルシードを求めるライバルにしか見えない。…実質似たようなものなのだが。当然、聞き入れられる事は無かった。
学校でも似たようなものだった。モザイクを貫通して魔導士バレした銀髪オッドアイ達によって、『危険な物だから触れるな』と注意はされた。だが、帰ってくる質問は『じゃあアレはどう言うものなのか?』だった。当然正直に答える訳には行かない。『願いを叶える』なんて言えば、寧ろ捜索を加速させるだけだ。『爆弾の様な物』としか答えられず、何か隠していると思われ、結局完全な抑止にはならなかった。…一部の子達は聞き入れてくれたので、無駄ではなかったが。
アリサ達にもそれと似たような内容で注意を促す。…ただし、前回の失敗で学んだ為今回は少し捕捉する。
「…なるほどね。つまりあの大木を発生させたのがこの宝石だったって事なのね?」
「あぁ、一般人が触ってしまった事が原因だ。取り扱いを間違えたり、悪意を以て使用すればあの程度じゃ済まない。」
「…滅茶苦茶危険じゃない!」
「だからこうして探しているんだ。…この辺りにもジュエルシードの魔力を感じる。もし見つけたら絶対に触れずに、どこにあったかだけ教えてくれ。」
「…わかったわ。」
「あっ、でもなのはが一緒に居るんだったら大丈夫じゃね?」
「…それもそうだな。じゃあなのは、見つけたら封印しておいてくれ。その後こっちに連絡くれれば俺達も撤退するから。」
「うん、気を付けてね。」
「あぁ!俺達に…」
「任せなぁ!」
相変わらず仲が良いな。…多分あの二人は神宮寺くんと神原くんだろう。あの二人は特に仲が良いみたいだからな。
「なのはちゃん、あの二人は大丈夫なの?」
「うん、神宮寺くんは特に強いから。多分ジュエルシードが暴走しても一人で封印できると思う。」
「…見分け、付くんだ。」
まぁ、よく魔力弾提供してるし…
その後も散歩を続けるが、俺達の歩いているコース上にはジュエルシードは無さそうだ。
確かアレは川沿いにあったはずだからな…普通に森の中を歩く分には見つからないだろう。
「ふぅ、そろそろ旅館に戻らない?汗かいちゃった…」
「そうだね、温泉はここの名物みたいだし気持ちよさそう!」
「うん。じゃあ旅館へ…えっ!?」
僅かな音を感じ、見上げた先。地上から空へ撃ちあがる魔力弾が見えた。
「えっ、あれって…」
「アリサちゃん、すずかちゃん。先に旅館に戻ってて!レイジングハート!」
≪
直ぐに変身し、飛翔魔法で現地に向かう。…フェイトには、この機会に話したいことがあるのだ。
旅館から出て1時間程だろうか。俺と神無月はジュエルシード捜索の為、川辺を歩いていた。
「なぁ、神王。確か原作じゃジュエルシードは橋の近くじゃなかったか?」
「まぁそうなんだが…念の為だな。ジュエルシードが橋の近くまで流されたって可能性もある。」
原作で海底に沈んでいた以上、ジュエルシードは水に沈む。だが、原作でジュエルシードが発動したのは川幅の丁度真ん中辺り。岸から落ちただけでは距離に説明が付かないのだ。恐らく数mは川底を転がる等して移動したはず…
「なるほどねぇ。と、なると橋があそこだから…あそこの辺りか?川が曲がってるところ。」
「多分な。あそこにあるとしたら予想以上に移動している事になるが…って、待て!ストップだ。」
「!…なんだ?」
「あそこ、木の上だ。」
「あれって…なるほど、フェイトか。」
俺達の居る場所から10m程の距離。
木の枝の付け根に腰を下ろし、集中しているようだ。ジュエルシードの魔力の元を感知しようとしているのだろう。
「…どうする、戦うにしたって神谷は別の班だぞ。」
「一応合図は決めているが…まずフェイトにもバレるわな。」
フェイトは目を瞑っているからか俺達に気付いた様子はない。…ここは一旦引き上げて神谷に合流するか?
だがジュエルシードは俺達の予想が正しければ、もう少し行った場所にある。ここで退けば取られる可能性が高い。
「…なぁ、原作じゃフェイトがジュエルシードを封印したのって夜だろ?だったらどっちにしろフェイトはまだジュエルシードを見つけられないんじゃないか?」
「お前、まだ原作の流れを引きずってるのか?原作通りなら、フェイトはそもそも大木のジュエルシードの場所に来てないだろ?」
「うっ…まぁ、そうなんだけどさぁ…」
「少なくともキャラクターの行動は既に参考にならない。ジュエルシードの落ちた場所はある程度参考になるみたいだがな…」
「…はぁ、つまりこのまま封印される可能性があるから退くに退けないって訳だな。」
「そう言う事だ…が、まぁ解決策はあるな。単純だが、ここで二手に別れよう。本来は戦闘になった際を見越してのツーマンセルだが、今は合流が先だ。フェイトを見張る方と、神谷達に合流する方…どっちが良い?」
「…別れている間に見つかったら?」
「まぁ、合流まで時間を稼ぐ事になるだろうな…フェイト相手に。」
「…別れている間にジュエルシードが発動したら?」
「まぁ、時間稼ぎ&封印だろうな…ジュエルシードとフェイト相手に。」
「…」
「…」
「「じゃん、けん…!」」
どちらとも無く拳を握る。お互いにどっちが得か理解しているのだ。
((フェイトを監視するのは俺だ…!))
…もっとも、安全性など一切考えていなかったが…
次回、なのはとフェイト再会。
神宮寺&神原…なのはと別れた後ジュエルシードorフェイトの捜索の為に森を移動中。
神王&神無月…ジュエルシード捜索の為川沿いを移動中にフェイトを発見。
神谷&神藤 …ジュエルシードorフェイトの捜索の為に森を移動中。
原作を知っているのに皆川沿いに居ないのは、原作を外れて別の場所に落ちた可能性を踏まえての物です。
ただし神宮寺&神原、神谷&神藤のペアはいざと言う時フェイトの足止めをする為と言う目的もあります。
チーム分けは能力含めての効率重視。
神王&神無月が一番戦闘には向いていない模様。