転生者を騙す転生者の物語   作:立井須 カンナ

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引き続き温泉回。

2話に渡って温泉に居ますが、小説内の時間はあまり進んでないので(彼女たちの体調は)大丈夫です。
でも(小説としては)大丈夫じゃないかもです。


光との遭遇

辺りを見回しても、先に大浴場に入って行ったはずのアリサとすずかは見当たらず、更には若干灰色がかった風景に何故か湯船に浸かっているリンディさん…

とりあえず今分かるのはこの場には結界が張られていて、どうやら時空管理局が原作の流れよりも早く地球にやってきた…と言う事くらいか。

 

「待っていたわ、地球の魔導士さん。」

「…えっと、貴女は…?」

「私は時空管理局所属の魔導士リンディ・ハラオウン…と言っても、地球の方にはあまり聞き馴染みは無さそうね。」

 

≪ユーノ、時空管理局が来るって事は次元震が…?≫

≪起きたんでしょうね…思い当たる節は、多分転生者の誰かの魔法かしら?≫

≪フェイトも含めてな≫

≪貴方も含めてよ≫

 

「時空管理局…もしかして、ジュエルシードを?」

「あら貴方…スクライア一族の方だったのね?」

「はい、僕はユーノ・スクライアです。彼女は…」

「えっと…私、高町なのはって言います。」

「ユーノさんに、なのはさんね。色々とお話を伺いたいのだけれど、そのままでは風邪をひいてしまうわ。湯船に浸かりながらお話ししましょう。」

 

言われた通りに身体を軽く洗ってから湯船に浸かる。

結界内の温泉の温度は大丈夫なのか気になったが、普通に暖かくて安心した。

 

「さて、先ずは管理局がこちらに来た理由をお話ししなきゃね…」

 

そう話を切り出したリンディさんから明かされた内容は、さっきユーノと念話で話した内容と大きな差は無かった。管理外世界で次元震ギリギリの魔力を感知し、念の為に様子を見に来たと言う事だった。

 

「こちらの事情はこのくらいです。…ところで、スクライア一族の方が何故管理外世界に滞在を?」

「えっと、実は…」

 

そしてユーノがおずおずとジュエルシードの事を話し出した。

どうやら地球にロストロギア(ジュエルシード)がある事に関してはまだ感知していなかったのか、リンディさんも驚いている様子だった。

 

「…と言う訳です。」

「そう、ロストロギアが管理外世界に…それならば管理局を頼ってくれても良かったのに…」

「僕の不注意が招いた結果なので、自分の力で解決しなければと…」

 

ユーノはどうやら原作に沿った動機にするようだ。ユーノも今回の元凶については知っているが、本来知っていて良い情報でもないし…話せる事と話せない事を考えると自然とこうなるんだよなぁ。

 

「それは立派な心掛けだわ。だけど、貴方達スクライア一族は種族柄ロストロギアに関わる事が多い…今度そう言う状況になったら、迷わず管理局を頼りなさい。私達はその為に存在しているのだから。」

「…はい、すみませんでした。」

「責めている訳ではないのよ。寧ろ、これまでの判断は…特にその子を協力者とした判断は素晴らしいわ。」

「…? なのはが、ですか?」

 

…こんな会話あったか?管理局からしてみればこの時点のなのはは、たまたま巻き込まれただけの現地人のはず…

ユーノも疑問に感じたのだろう。確かめるように問い返すが…

 

「詳しくは話せないけれど、ね。」

「…?」

「それよりも、ジュエルシードよ。膨大な魔力を有し、時にその魔力を暴走…危険な存在だわ。複数のジュエルシードが互いに干渉し合えばどんな事が起こるか…想像もできない。」

 

はぐらかされた感が否めないが、こちらとしても今の最優先事項はジュエルシードの一刻も早い回収だ。このまま管理局員の協力も仰げれば、散らばったジュエルシードの回収は早く済む…

 

「ここが管理外世界なのが唯一の救いね。ジュエルシードが魔法に関係あると知らなければ、一般の方が意図して捜索する事も無いでしょうし…」

 

…あっ。

…どうしよう。言うか…?でもこれ管理局的には犯罪じゃないの?いや、でもここ管理外世界だしセーフか?だって知らないルールなんて守れる訳無いもんな!うん、俺は管理局について何も知らない一般魔導士!OK、理論武装完了!

 

「えっと、その事なんですけど…」

 

≪言うの!?なのは!管理局法的にグレーよ!?≫

≪言わずに後でバレる方が怖い!今言えば管理局法なんて知らなかったで済むけど、ここで隠せば本当は知ってたんじゃないの?って言われそう!≫

≪な、なのははそうだけど私は!?私スクライアよ!?≫

≪情報の拡散は現地人がやったし、あの時ユーノはアルフの対処で手が回らなかった!これで行こう!≫

≪私、本当に大丈夫かな…≫

 

どうせこっちの番組チラ見されたらバレるんだ!まだHOTな話題でオカルト方面のコメンテーター巻き込んでそこそこ盛り上がってるんだから!…と、言う訳で話してみたらリンディさんは固まってしまった。

 

「管理外世界で、現地の人に…映像を撮られ、情報として全国拡散…? 子供達中心にロストロギア探しが大ブーム…?」

 

どうしよう、改めて聞くと本当にすごい事になってる…でも俺知らなかったし!?と言う風に進めるしかないのだ。ごめんリンディさん!

 

「ごめんなさい…」

 

謝る理由は話せないが、誠心誠意心を込めての謝罪だ。リンディさんはこちらの事が頭から抜けていたのか、ハッとこちらに気付いた素振(そぶ)りの後、

 

「いえ、気にしないで頂戴。こちらの事よ。」

 

と気遣ってくれた。良心が痛む。本当にごめんなさい。

 

 

 


 

 

 

その子を初めて見た時、凄まじい衝撃を受けた。仕事柄色んな魔導士を見てきたし、一から育て上げた魔導士だって一人や二人じゃない。

だけど、目の前の少女の持つ才能はその中の誰よりも、大きい事が一目見ただけで分かった。

ユーノと名乗ったスクライア一族の少年が言うには、魔導士になってまだ間もない現地人の少女だと言う。それなのに、その内に秘めた魔力量は管理局の中でも並ぶ者は一握りに過ぎないだろう。

 

…きっとこの少女が()()()()()。ならば、私の取る行動は彼女のサポートだろう。

 

先ずはこの世界にばら撒かれてしまったロストロギアの回収ね。ここで彼女達の信頼を勝ち取る為にも、数多ある次元世界の為にも、失敗は許されない。

 

「ここが管理外世界なのが唯一の救いね。ジュエルシードが魔法に関係あると知らなければ、一般の方が意図して捜索する事も無いでしょうし…」

 

この手のロストロギアによる被害が最も大きくなるのは、何者かによる意思が関わった時だもの。悪意を以てロストロギアを利用しようと言う存在が無いのなら、管理世界での事件よりはスムーズに解決できるはず…ただ、ジュエルシードを狙う魔導士の少女の存在は気になるわね。このタイミングでわざわざ管理外世界に現れ、真っ先にジュエルシードを狙っている事から考えても『この件に一枚噛んでいる』なんてものじゃない筈…

 

「えっと、その事なんですけど…」

 

そう考えていた時に気まずそうに目の前の少女が話し出した内容は、この事件の解決の優先度を爆発的に引き上げた。

 

「管理外世界で、現地の人に…映像を撮られ、情報として全国拡散…? 子供達中心にロストロギア探しが大ブーム…?」

 

つまりはこの一件、迅速に解決しなければ不特定多数のロストロギアが複数の個所で同時に暴走しかねないと言う事。

予言云々の前にこの世界はおろか、付近の次元世界すら巻き込む大災害にさえなりかねない。

 

「ごめんなさい…」

 

だが、そんな事をこの子に背負わせる訳にもいかない。

 

「いえ、気にしないで頂戴。こちらの事よ。」

 

子供が自分の手に負えない失敗をしてしまったなら、大人が手を差し伸べる。そんな事、どの次元世界でも共通した常識だもの。

…被害が少なければ、始末書も少なくて済むはず!クロノも頑張ってるんだもの、私も頑張らないと!

 

 

 


 

 

 

約1年前、とある騎士が一つの予言を齎した。

管理局はこの予言を一部の上層部にのみ明かし、混乱を避けるべく箝口令を敷いた。

 

 

 

『燦然と輝く星々に、暗き凶星は救いを騙る

 捻じ曲がる時の針は、栄光と滅びを共に指す

 法の光の射さぬ地に、欲望の結晶が光を示す

 凶星の背後に滅びは潜み、凶星のみが姿を知る』

 

 

 

明確に記された『滅び』の二文字は、今まで一度も記された事は無かったのだから。




リンディさんの負担がクロノくん以上に跳ね上がってしまった…
まぁ、管理外世界での出来事なので…多分なんとかできるはず!

カリムの予言てこんな感じで良いのかな…?と30分くらい悩んだけど…多分大丈夫やろ、えぇい!と言う感じで投稿。大丈夫、きっとこんな感じだったと信じる。

カリムの予言で『滅び』と示された事が無いと言うのは独自設定です。
ただ、この類の予言が公に広まればパニックにはなるでしょうから、多分どのみち箝口令は敷かれるハズ…ノストラダムスの予言の年は結構パニックになったって聞いたことがあるので!

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