転生者を騙す転生者の物語   作:立井須 カンナ

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今回は推敲が足りないかも?
言葉の使い方等で変な所があったら感想欄で指摘していただけると嬉しいです。


初めての魔法

「僕はこの世界に、『ある探し物』の為に違う世界から来たんだ…」

 

ユーノが原作と殆ど同じ内容を語り、魔法の力を受け取ってほしいと言うところまで来たのだが…

 

「僕の力だけでは足りないんだ!お願い、魔法の力を受け取って!」

 

「わ、私に!?」

 

問題はこの場に魔力を持っている人が多すぎて説得力がなぁ…

後ろを振り向いて大量の銀髪オッドアイたちを見る。

 

「ん?…あぁ、俺たちは大丈夫だぜ!」

「おぅよ、見ての通り俺達は!」

「最初から魔法の力を持ってるからな!」

「「「「「「「「「セットアップ!」」」」」」」」」

 

ゴゥ!と凄まじい音と風を放ち、魔力の光が雲を割く。

 

いや、だからそれやられると『なのはの力借りなくてもいいんじゃないか』ってなるだろ!?

 

しかし、周りの転生者はなのはが魔法の力(レイジングハート)を受け取る事に疑問を持って無いみたいだ。

原作重視の考え方してる人ばかりで助かるなぁ…だから身バレが怖いんだよなぁ…

 

「えっと、じゃあお願いします…」

「う、うん。先ず、この宝石を手に取って。」

 

レイジングハートを受け取る。

原作でなのはが言っていたように不思議な温かさを感じる。

 

「僕の言葉を復唱して。」

「う、うん。」

 

場所も時間もシチュエーションも違うが、ここで初変身か。

…あの逃げた怪物、ちゃんと見つけられるかな。

 

「「我、使命を受けし者なり」」

 

いや、今は不安は置いておこう。

 

「「契約の下、その力を解き放て」」

 

色々あったが、ユーノは無事だった。

 

「「風は空に、星は天に」」

 

怪物が逃げた先は気になるけれど…

 

「「そして、不屈の心は…」」

 

今は、この呪文を間違えないように集中しよう。

 

「「この胸に!」」

 

周りの転生者たちに不審に思われない為にも。

 

「「この手に魔法を!」」

 

ここは、より原作に忠実に!

 

「「レイジングハート!Set up!」」

 

良し!これでレイジングハートに文字が浮かび上がって…

 

「ステァンドバイレディー、セタップ」

 

ん、なんだ今のカタカナ英語!?

 

俺の疑問をよそに、体の内側から溢れた魔力が天を衝く。

 

「落ち着いてイメージして!君の魔力を制御する杖と、君を守る衣服の姿を!」

「えっ!?急に言われても…」

 

さっきの発音が気になるなぁ!?今は先送りにするしかないけどさぁ!?

俺は今自分の着ている制服に目を遣り…

 

「とりあえず、コレで!」

 

と、原作通りの杖とバリアジャケットをイメージする。

 

直後、まばゆい光が身体を包み込む。

変身中はどんな感じになるのかと思っていたが、眩しすぎて分からん。

多分外から見てもどうなってるのか見えないだろうな。

 

光が消えると…元の制服から微妙に変化したバリアジャケットが…!

変身前が制服だからあまり変化が無い!

 

「えっと、コレで大丈夫…なの?」

「うん、成功だよ!なのは!」

 

周りの銀髪オッドアイ達は感慨深そうに眺めているだけで、

さっきのレイジングハートの発音の不自然さに気付いている様子はない。

 

デバイスが転生者…そう言うものもあるのか…?

 

って、

「あっ!学校!!」

 

そうだ、今何時!?

 

「そう言えばもうそろそろ通学時刻じゃねぇか!?」

「いっけね、マジに忘れてた!」

「えっ、どうする!?」

 

銀髪オッドアイ達もざわついてる。

その内の何人かが携帯を取り出し、時刻を確認する。

 

慌てた様子で告げられた時刻は、バス停にバスが来る12分前だった。

 

「いけない!もうすぐバスが!」

 

どうしようと考える前に銀髪オッドアイが案を出す。

 

「心配すんな!飛翔魔法なら一直線だぜ!」

「あぁ、封時結界を使えば人目につかずに魔法で飛べる!」

 

そうだった!魔法が、いや待て…?

なのはってこの時点では飛翔魔法使ってなかったよな…?

 

「飛ぶって、どうやるの!?」

 

流石にいきなり飛べるのは不自然だが…

 

「ん?あぁ、飛び方なら…」

「心配すんな、俺がなのはを抱えて飛べば良いだけさ!」

「ちょっ…おま…」

 

ちょっ…おま、お前!せっかく飛び方を教えてもらえそうだったのに!

周りの奴らもなんだその表情!?『その手があったか』みたいな顔してんじゃねぇよ!

 

「おっと、お前だけ良いかっこさせる訳には行かないな…」

「ほう…やるのか?」

「俺も混ぜてくれよ…!」

 

既に『誰がなのは()を抱えるのか』で一触即発のムードだ。

勝手に盛り上がるんじゃねぇよ!時間がねぇんだって!

 

「あのっ時間が」

「気にしなくていいぜ、なのは!」

 

『封時結界』!

 

瞬間、この辺り一帯が外界と隔絶される。

 

って言うかお前もそれ使えるのかよ!?

封時結界は外界と時間の流れをずらす。コレで決着までの時間を稼ぐつもりか…

 

いや、この結界をバス停まで伸ばせば普通に間に合うんじゃないのか!?

…くっ、ダメだ。ツッコミ入れたくてもなのははこの結界の性質をまだ知っていてはいけない!

そんな事を考えている間に魔法の撃ち合いが始まってしまった。

 

なのはとしては仲裁もしないと…そうだ!

 

「ユーノ君!私、急がないといけないの!

 空の飛び方、教えて!」

 

こういう時はユーノだ!

 

「えっ…あ、うん。」

 

 

 

 

 

 

空を見るともう三人しか飛んでいない。

 

「はぁ、はぁ…へへっ、後は、お前たち二人だけだ…!」

「ハッ、ハッ…そのセリフ、お前らに返してやるよ…」

「ゼヒュー…ゼヒュー…、何言ってんだ、ゲホッ…お前たちが俺に、ヴォエッ…勝てる訳がないだろ…?」

 

盛り上がってるとこ悪いが、その場に覚えたての飛翔魔法で接近する。

 

「三人とも、もうやめて!ほら、私も飛べるようになったから!早くバス停に行こう!」

 

そうだ、いくら外と時間の流れが違うと言っても時が止まる訳じゃない。

幸い、結界が解除されていないのならば結界を張れる奴は無事のハズだ!

 

「なのは!?えっ、飛んでる!?」

「えっ、早くね!?」

「ゲホッ…ゼヒュー…ゼヒュー…」

 

三人が疲れ切った表情でこちらを振り返る。

いや何て顔してんだよお前ら…

 

さっきユーノに封時結界に関して説明してもらって、

「ユーノ君も使えないか」と聞いたが返答は「魔力が足りない」と言うものだった。

となると、やはりさっきの奴に張って貰うしかない!

 

「ねぇ、この結界って時間の流れをずらしてるんだよね!?

 バス停まで張って欲しいの!」

 

くそっ、RPが崩れかけているが今は時間が惜しい!

今日は原作の開始日だ。間違いなくアリサとすずか(あの二人)は気合が入ってるはず!

ここで遅刻すれば正体を疑われかねない!

 

「あ、あぁ…そうだな…」

「俺達も急がないといけないしな…」

 

残念そうな顔をやめろォ!なんか悪い事してる気分になるだろうが!

 

「なぁ、なのはも俺達も遅刻がかかってる。消耗してるとこ悪いが結界を頼む…」

「ゼヒュー…ゼヒュー…」(こくり)

 

よりによってお前かよォ!?

 

『封時…ゲホッ…結界』

 

結界がバス停の方まで一直線に伸びていく。

いや、顔色めちゃくちゃ悪いんだけど…

 

「ありがとう…神谷くん!」

 

俯いて息を整えながらも、左手でサムズアップしているところを見るに合っていたらしい。

 

「あとは…」

 

地上を見て、まさに死屍累々と言った感じの銀髪オッドアイ達を眺める。

一応気絶はしてないみたいだけど、なのはとして見捨てる選択肢は取れない。

 

「あぁ、安心しな。あいつ等はまだ体力の有り余ってる俺と神田が運ぶからよ…」

「神楽坂な…」

「…すまねぇ。」

 

神楽坂くん不憫過ぎない?

仕方ないな…

 

「ありがとう!神楽坂くん!…神無月くん!」

「なのはが名前を呼んでくれた…救われた気がする…」

「ありがとう、なのは。あと、出来れば『神場』でもう一度頼む。」

「ゴメンね。神場くん…」

 

下手に名前を呼ぶと地雷を踏むこの状況なんとかならないかな。

ともかく、ようやく俺達はバス停へ向かう事が出来たのだった。

 

…そう言えば、朱莉いつの間にかいなくなってたな。不思議なやつだ…

 




天使は転生者の危機にしか介入できません。
なので朱莉ちゃんはなのはの変身を見届けた辺りでワープしてます。

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