最近影が薄いけどユーノ君も一緒にいます。(人間形態で)
「あ! なのはちゃん! 皆も、おかえり!」
「エイミィさん! …ただいま!」
ブリッジに戻るとエイミィさんが迎え入れてくれた。周りのオペレーター達も事件の慌ただしさから解放され、リラックスモードで労ってくれる。
「クロノくんは?」
「あ…確か、プレシアさんの病気の治療の事で心当たりがあるって言ってました。」
「ふーん…? と言うと、アイツの所か…」
「アイツ…?」
「うん。なのはちゃんもあった事あるはずだよ? ジュエルシードの宿主になっちゃってた女の子の診察を公園でしてた人。」
そう言われて思い出した。確かにあの銀髪オッドアイは、気絶した女の子に軽く手を翳しただけで診察を済ませてしまった。その際に手が光っていたから、きっと何らかの特典を貰っていたのだろう。
「あ、あの人…」
「うん。手を翳しただけで患者の状態を把握出来て、魔力操作だけで傷も病気も治せるレアスキルを持ってるんだ。治せる症状には限界もあるらしいんだけど…今のところ私達は限界を見た事は無いね。」
「凄い…」
なんて…なんて素晴らしい特典だろう…! 転生の際、自分の欲しい能力が手に入る機会を『医療』に使った転生者が居たなんて…!
それに何が特に素晴らしいって…
「まぁ、凄い人なのは間違いないんだけどねー…」
「?」
「…いや、なのはちゃんは気にしなくて大丈夫! でももし管理局に入ったら怪我には気を付けてね!」
「は、はぁ…?」
そう言ってエイミィは慌てたように何処かへ行ってしまった。
何だろう…何かエイミィから苦手意識の様な物を感じる。…主に医療の特典持ちの転生者に対して。
「へぇ~…管理局にはそんなレアスキル持ってる奴も居るんだねぇ…」
「その人のレアスキルなら、母さんを助けられるかな?」
「あ、アルフさん! …フェイトちゃん…だよね?」
「うん、今は私だよ。」
アリシアとフェイトの状態に関しては時の庭園でエイミィから聞いた。何と言うか…俺が撃ちたいが為に撃ったスターライトブレイカーが原因で大変な事に…
「その、ゴメンね…私がスターライトブレイカーを撃っちゃった所為で…」
「ううん、全力でやる決闘だから。それに、なのはの魔法のおかげで私の中にアリシアが………姉さんが居た事に気付けたんだ。
…ありがとう。」
「う…ど、どういたしまして…?」
言えない…撃ってみたかったから撃ちましたなんて、絶対に言えない。
「…フェイト、もしかしてまた話してたのかい?」
「うん…『姉さんって呼んで!』って…」
「アッハッハ、なるほどね!」
「アルフさん?」
「あぁ、ゴメンゴメン…説明が先だったね。」
アルフが言うには時の庭園から帰ってきた後のフェイトは、自分の中に居るアリシアと自由に話せるようになったらしい。先ほどフェイトが『アリシア』を『姉さん』と言い直したのも、アリシアがそう呼ぶように言ったからとの事だ。
「最初は喧嘩とかしないか心配だったけど、案外仲良くやってるみたいだよ。」
「そうなんだ…フェイトちゃん、私はアリシアちゃんの事何て呼べば良いかな?」
「あ、ちょっと待ってね………
フェイトの姉とは言っても、実質双子みたいなものだもん。同い年、同い年!」
「えっ、アリシアちゃん!?」
急に雰囲気が変わったからびっくりしてしまった。
詳しく聞いてみると、フェイトが交代しようと思えば交代は自由にできるらしい。後は、フェイトの意識が無い時なら動けるかもしれないとか…
「…と言っても基本的にフェイトの身体だし、私は偶に表に出られたら今のところは満足かな。」
「まぁアリシアはこう言ってるけど、寧ろフェイトの方がちょっと乗り気でねぇ。
アリシアが思っている以上に表に出る機会はあると思うよ。」
「フェイトちゃんが?」
「あぁ、アリシアも折角だから色んな楽しみを見つけて欲しいってね。プレシアの奴も色々話したい事だってあるだろうし…」
おぉ…アルフがプレシアを案じるような言葉を…俺の知らないところで本当に色々な変化が起こっていたんだな。
そんな会話をしていると、アリシアが思い出したように声を上げた。
「あっ! そうだ! そろそろママもリンディさんとの話終わったかも!」
「ん? あぁ、もうこんな時間かい。…行ってきな、アリシア。」
「え、アルフは?」
「あたしは遠慮しとくよ。折角の機会なんだ。親子3人水入らず…ね?」
「…うん、ありがとう! アルフ!」
そう言うとアリシアは走って行ってしまった。色々と聞いてみたい事もあったけど…まぁ、久しぶりの家族団欒を邪魔するなど無粋以外の何物でもない。いつになるか分からないが、また今度の機会にしておこう。
「…この後、プレシアは裁判が待ってる。
何にも縛られず話せる機会ってのは、次は当分先かもしれないからね。」
「アルフさん…」
そうだ、フェイトはともかくプレシアは今回の事件の主犯。無罪放免と言う訳にも行かない。
次に家族が揃うのはいつになるのだろう。そう考えると少し寂しい気持ちになってしまうが、きっといつかは元の家族に…いや、アルフとフェイトを加えた新しい家族になれる。なんとなくそう確信できた。
「…あぁ、なのは。ここに居たのか。」
「クロノくん? お医者さんは?」
「あぁ、話はついたよ。直ぐにでも診察は出来るとの事だったが…あの親子の会話を邪魔するのは流石にね。
今はプレシアの症状も落ち着いているようだし、しばらくしたら機会を見て診察してもらうさ。…それに、君にも話があったから探していたんだ。」
クロノからの話…一体なんだろう。
「今回の事件は君達の協力のおかげで比較的スムーズに解決できた。先ずは礼を言わせて貰おう。感謝する。」
「あ…その、どういたしまして?」
「実は今回の件で君達を表彰する式を、このアースラ内で執り行う事になった。話と言うのはその日程についてだ。
僕の口から全員に伝えても良いんだが…何分、数が多い。君の口から彼らに伝えてくれないか?」
「う、うん。」
「ありがとう。日程についてだが…」
クロノから詳しい日程を聞き、段取りについても軽く説明を受けた後…
「…と、こんなものか。…それと、そのスクライアの少年についてだが…」
「ユーノ君?」
「今回の事件に於いて彼は重要な参考人だ。ジュエルシードの発掘に始まり、地球にジュエルシードがばら撒かれた際の詳細は裁判でも重要な争点になる。
彼には既に伝えてあるが、この事件の後は我々と一緒に来て貰う事になっている。」
「…そうなの? ユーノ君。」
「うん、中々言い出せる機会が無くて…ゴメンね、なのは。」
まぁ、当然解っていた事ではあるのだが…いざその時を迎えてみると寂しくなるな。
「ユーノとフェイト、アリシア、アルフ…別れの前に、仲の良い相手と話す機会は作っておくと良い。
…簡単な物であれば、土産くらいは許可しよう。」
最後にそう締めくくると、クロノは直ぐに何処かへ歩いて行ってしまった。
「…」
事件が解決した事は当然喜ばしい事だ。だが、それは同時に別れのきっかけにもなる。
原作では闇の書事件の時に再会できたが…原作通りに進まないこの世界では、もしかしたら次に会う機会が無い事も十分考えられるのだ。
「…まぁ、なんだ。あたしはあんた達と会えて良かったって思うよ。あんた達のおかげでフェイトもアリシアもなんだかんだで救われた。…本当に感謝してる。」
「アルフさん…
はい、私も皆と会えて本当に良かったです。大変な事もいっぱいあったけど、最後には皆友達に…うん、友達になれたと思うから。」
…一瞬言いよどんだのは、フェイトとの関係が何となく『友達』と言うよりは『ライバル』に近いと感じたからだ。
仲良くはなれたと思う。互いに敵意を向ける事ももう無いと思う。でも友達と言う言葉では何か足りない気がするのだ。
「…うん、あの二人もその言葉を聞いたらきっと喜ぶよ。」
「はい! …そうだ、私皆に伝言しないと!」
いかんいかん、正直伝言の事を忘れる所だった。
「じゃあ、あたしはリニスでも探すよ。…あんたも、今はユーノとの時間を大切にしな。」
「あ、はい!」
ユーノとの時間か…ユーノは念話とは言え俺が自分を偽らずに話す事が出来る数少ないパートナーだ。直接俺と銀髪オッドアイの間に入って、原作知識を持っていないと出せない意見を俺の代わりに出したりもしてくれていた。
…そんな相棒がもう直ぐ離れて行ってしまう。俺は残りの時間、何を話そう。ユーノが居ない間、どうやって過ごそう。
最初から解っていたはずなのに、答えは出せそうになかった。
この小説だとなのはとフェイトの関係はライバルと言った方が近い感じです。
(友達<ライバルと言う少年漫画タイプのライバル)
エイミィさんが医療能力持ちの人に微妙に苦手意識が有る理由は、
能力の都合上、診察した時点で患者の『体重』『体脂肪率』等の『乙女トップシークレット』が筒抜けになるからです。
エイミィさんが知っている理由は、以前ちょっと手首を捻挫した時に診察を受け、「…最近運動してますか?」と聞かれて察しました。それ以来彼女は常に『パーフェクト・ボディ』を心がけてます。
次回は一気に別れの日まで飛ばします。
その間の会話は1期~A's間の短編で書いたり、A's編で描写したりですかね…
(このままだとまた話数だけがずるずると増えてしまうので…)