私は関西弁がネイティブじゃないので、はやてさんの口調が変な場合は指摘してくれると嬉しいです。
…ふと、意識が浮上していく感覚を覚えた。
何も見えない暗い闇…靄のかかった思考の中で、私に語り掛ける声が囁く。
『闇の書』の主を守れ。魔力を
『…コイヤァ!!』
どこか遠くから先程とは違う声が聞こえて目を覚ました時…我らは『闇の書』の主の前に
「『闇の書』の起動を確認しました。」
自然と口が動く。何をすれば良いのか、何のためにここに居るのか…目覚めた時に全て理解した。
「我ら『闇の書』の蒐集を行い、主を守る守護騎士めにございます。」
シャマルが我々の役割を告げる。『闇の書』の完成と、主の守護…我が剣はその為にあるのだ。
「夜天の主の下に集いし雲…」
「『ヴォルケンリッター』…何なりとご命令を。」
ザフィーラとヴィータが我らの名を伝え、主からの最初の命令を待つ。
「…あー、えっと…とりあえず顔を上げてください! それと姿勢ももっと楽に…」
「はっ…」
主に言われ、顔を上げる。
…? 不思議だ。
「…うん、先ずは自己紹介や。私の名前は八神はやてって言います。気軽に『はやて』って呼んでや~。」
『闇の書』の主がそう言って自己紹介を始めた。どうやら今回の主は『八神はやて』と言うらしい。
…どこかで聞いたような?
アタシノ思イ違イカ。…うん、
その後も主…はやては自分の事を色々話していった。家族構成、人間関係、自分の住んでいる町の事から得意料理まで…やっぱり何かが引っ掛かる。はやてから初めて聞くはずの情報なのに、なんで『知ってる』とか『違う』とか思うんだ…?
マァ、良イカ。気ニスル程ノ事デモナイシナ…
「私の事はこれくらいにして、次は皆の事教えてくれん?」
そう言ってはやてはシグナムを見た。シグナムは少し呆然としていたが、直ぐに自己紹介を始めた…と言っても元々名前とかデバイスとかしか話す事も無いし、直ぐにあたしの番が来るだろう。
…それにしても、このはやてってのは今までの主とは随分と雰囲気が違うな。あたし達と対等の立場であろうとしてるのか? 変わったやつだな。あたし達の事を道具として扱う主もいたってのに…
…まぁ、悪い事じゃないから良いか。少しだけ…うん、本当に少しだけこれからが楽しみだ。
「風の癒し手…湖の騎士のシャマルです。我らヴォルケンリッターが必ずや『闇の書』を完成させ、主の望む全てを叶える為の力となりましょう。」
シグナムに始まった自己紹介をシャマルが締めくくったところで…そろそろ本題に入ろう。
「シグナムに、ヴィータに、ザフィーラに、シャマルやね。…私には魔法とか『闇の書』とかはまだ良く分からんけど、これからよろしゅうな!」
「はい、宜しくお願い致します。」
「硬いなぁ…もっと気楽でええよ?」
「しかし、主に対してそのような…」
「んー…その『主』って言うのもピンとけえへんのやけどなぁ…
まぁ、今は置いといて…本題なんやけどな?」
私のその言葉にシグナム達が背筋をピンと伸ばし、言葉を待つ…いや、そんな大層な物じゃないんだけどね…
「そこにある車椅子で分かると思うんやけど、私は足が動かんくてな? 明日もヘルパーさんが家に来るんよ。…ヘルパーさんって言ってわかるか?」
「はい、凡そは…」
説明の途中でシグナム達って地球の名称どこまで通じるんだろう? と心配になったが、案外通じてくれて安心した。
「その人は美香さんって言うんやけど、怪しい人やないから家に来たら上げたってな?」
「…はい。あの、本題と言うのはもしや…?」
「うん、美香さんについてや。」
美香さんは基本的に私が起床する時間に合わせて来てくれるけど、私が寝坊してしまう時もある。今日はちょっと夜更かししてしまったし、明日起きるのが遅れるかもしれない。
そんな時にシグナム達が応対して追い返してしまっては美香さんに悪いし、もしかしたら不審者として通報されてしまうかもしれない。だからこの確認だけはしておかなければならなかったのだ。
「…了解しました。」
シグナムは少し何かを言いたそうな表情をしつつも了解してくれた。…やはり騎士に対してこう言うお願いは失礼だったりするのだろうか? 騎士としての矜持とか色々あるとは思うし…
…でも正直なところ、美香さんとの契約解除も考えないといけないな。この先の騒動に一般人である美香さんを巻き込む訳にもいかないし、何より『闇の書』の事件が無事に解決すれば足の麻痺も治るはずだし…
これについては明日美香さんに改めて説明しないと…でも今までホント良くしてくれたしなぁ。言いにくいなぁ…
「とりあえず、皆は私の親戚って事にしてな?」
「はい…はい?」
あ、今のシグナムの反応ちょっと面白い…じゃなくて!
「いや、ふふ…いきなり昨日まで居らんかった人が4人も増えたら怪しまれるやろ? せやから皆は私の遠い親戚で、私の誕生日を祝いに来てくれたって事にするんや。」
「は、はあ…」
「皆もよろしくな~」
「はい。」
「心得た。」
「おう。」
「ん…ふぁ…」
いかん、あくびが出てしまった。やっぱり夜更かしなんてする物じゃないなぁ…
「それじゃあ私はそろそろ寝るから皆も…」
そして気付く。皆の寝床が無い! いや、二階に両親が使っていた寝室がある。ベッドもまだそのまま置いてあったはず…!
「えっと…ヴィータは私と一緒に寝れば良いとして「えっ?」、二階に私の両親の寝室があるんやけど…ベッド、一人分足らんなぁ…」
「それならば…ザフィーラ。」
「ああ。」
シグナムの言葉でザフィーラが狼に変身する。…変身できるのは知っていたけど、実際見てみるとなかなか不思議な光景だ。
「この状態ならばどこでも眠る事が出来るでしょう。」
とシグナムが言ってくれる。…しかし、ベッドの数としては足りるが…
「…ザフィーラはそれで大丈夫なん?」
「問題ありません。」
「そうか? 寝苦しかったらリビングにソファがあるから、遠慮なく使ってや?」
「お心遣い、感謝します。」
…近いうちにベッドは無理でも敷布団くらいは買ってあげたいなぁ。
でも、今は私も眠気が限界だ…早く寝よう。
「じゃあ皆、おやすみな。それじゃ…ヴィータも一緒に寝よか。」
「はい、おやすみなさいませ。」
「お、おい! 待てって!」
突然ヴィータが異議を唱える。どうしたんだろう? 私と一緒に寝るのがそんなに嫌だったのかな。確か原作だと普通に一緒に寝てたと思ったけど…
「…なんだ、ヴィータ? 主のお気遣いを無碍にするつもりか?」
「い、いや…って言ってもよぉ!? あたしは…! あたしは…女、だよ…な…あれ?」
「…お前は何を言ってるんだ…?」
「い…いや、何でもねぇよ…一緒に寝れば良いんだろ!? 寝るよ!」
ヴィータはそう叫ぶと私の隣で毛布に潜り込んだ。さっき何か様子が変だった気がするけど…駄目だ。眠気であまり頭が働かない…明日聞いてみよう。
「ヴィータ…」
「う、うるせぇぞシグナム! 忘れろ!」
毛布を頭までかぶって叫ぶ姿に心が和む。きっと妹が居たらこんな感じなんだろうな…本人に言ったら怒りそうだけど。
「ほら、シグナムもおやすみや。」
「…はい。おやすみなさいませ、主。」
シグナムが部屋を出たのを確認すると、私も部屋の明かりを消して目を閉じる。
…いつもよりちょっとだけ温かい右隣を意識しながら。
はい。闇の書の影響でヴォルケンリッターの記憶は封印されています。
影響は継続的に受け続けており、認識や思考の誘導をリアルタイムで受けています。
影響を受けている個所はカタカナで書いていますが、読み難いとの指摘があれば別の形(多分『』か〈〉で区別します)に変更しますので遠慮なく言ってください。
ヴィータさんがはやてさんと一緒に寝ましたが、前世の記憶が無いのでノーカン…!