転生者を騙す転生者の物語   作:立井須 カンナ

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遅れてすみません!

今回も八神家中心です。あと1話か2話くらい書いたら時間を12月まで飛ばそうかなと思います。(アニメ版のA's一話開始時点)

それと、はやてさんの関西弁に違和感を感じましたら感想でも誤字報告扱いでも良いので指摘していただけるとありがたいです!
こちらでも何回か手直しはしましたが、一部の違和感が抜けず…


お買い物

「あー…買い物行かなあかんなぁ…」

 

朝食を作ろうと冷蔵庫の扉を開けたところで気付いたけど、今日からはヴォルケンリッターの皆の分も含めて6人分の食材が必要なんだった。

 

「あ、もしかして食材が足りませんか? それでしたら私が近くのお店で…」

「うーん…朝食を作る分には十分やし、後で皆で買い物行こか?」

 

美香さんの申し出はありがたいけど、折角家族が増えたんだから皆とも一緒に出掛けたいしここは遠慮しておこう。

取りあえず朝食は焼き鮭辺りにしておこうかな。後は…うん、お味噌汁もつけよう。

 

 

 


 

 

 

シンプルな焼き鮭と白米、それに豆腐の入った味噌汁…

はやてが作った朝食は、まさに日本の朝食と言った内容でとても懐かしい味だった。

 

「…ご馳走様。」

「うん、お粗末様や。…お口におうたか?」

「…美味かった。シャマルに任せなくて本当に良かった…」

「ちょっ…ヴィータちゃん!? 私も()()ちゃんと作れるからね!?」

 

どっちにしろ記憶の無い時に作ったら結局()()が出て来るんだよなぁ…

それにしても…本当に美味かった。特に味噌なんて懐かしすぎて涙が出るかと思ったくらいだ。

 

 

 

 

 

 

「なぁなぁ、皆でこの後お買い物行かへん?」

 

皆が朝食を済ませて食器を洗い終えた頃、はやてが突然そんなことを言い出した。

 

「買い物…ですか?」

「そうや。食材とかも買うておきたいし、皆も…あっ、いや…やっぱり、お留守番しててもろてええか?

 ついでに皆の分の服も買うて来るから…今度一緒に買い物しよな?」

 

改めてあたし達の今の服装を見て外出は無理と悟ったのだろう、はやての声のトーンが一気にしょんぼりとしたものになる。

流石に今の恰好で外出するのは結構度胸が要るからな…正直はやてが考え直してくれて助かった。

 

「でも、はやてちゃんは大丈夫? 外で危ない目に遭ったりしたら…」

 

心配性なシャマルがはやてに確認を取るが、寧ろこの辺りの事ははやての方が詳しいんだしそんなに心配する事じゃないだろと思う。…いちいち口に出したりはしないけどな。いつもの事だし。

 

「美香さんにもついて来て貰うから、私は大丈夫や。その代わりお留守番はお願いな? 変な人来ても、絶対に鍵開けたらあかんよ?」

「でも…あっ、そうだわ! はやてちゃん、ヴィータちゃんならはやてちゃんの服着れるんじゃないかしら?」

はぁっ!?

「それや!」

 

思わずシャマルの胸ぐらを掴む。

 

≪おまっ、ふざっけんなよシャマル!?≫

≪だってはやてちゃんが心配で…≫

≪あたしの正体がバレたらあたしの身が危なくなるだろうが!!≫

 

何でこれ以上あたしを追い詰めるような事を言うんだ!? 朝食か!? 朝食を作らせなかった事を怒ってんのか!?

 

≪落ち着け、ヴィータ。≫

≪シグナムも言ってやってくれよ! 添い寝だけでもヤベーのに、服まで着たらもうホントにヤベーって!!≫

≪…だが、はやての安全を考えれば護衛が居た方が良いのは事実だ。≫

≪はぁっ!? お前があたしの立場だったら着れるか!? はやての服だぞ!? 転生者に見つかったらホントにヤベーんだって!!≫

 

いくら天使が居ると言っても一人だぞ!? 大勢でかかって来られたら無事なんて保証は無いんだぞ!?

 

≪思ったのだが…≫

≪! ザフィーラ! お前は分かるだろ!? あたしの気持ち!≫

≪…そもそもヴィータとはやてが黙っていれば、ヴィータが着ているのが『はやての服』か『ヴィータの服』かなんて分からないのでは…?≫

≪えっ!? …あっ、ぐっ…! でも…≫

 

くそっ、言い訳のしようがねぇ…! お前あたしの味方じゃねーのかよ!? 確かにあたしとはやての服のサイズは同じだろうし、多分着れる…

天使は転生者同士のいざこざにしか手を出せねぇ以上、他の転生者からはやてを守れんのはあたし達だけ…いや、ついて行けるのはあたしだけ…

…うん?

 

≪いや、ザフィーラ! お前普通について行けるじゃねぇか! 早く犬に変身してついて行けばいいだろ!?≫

≪狼だ!≫

≪どっちでも良いよ! お前が一番リスクがねぇだろ!? なんであたしがはやての服着る前提で話進めてんだ!≫

 

危ねぇ! 騙されるところだった! でもあたしが行かなきゃならねぇ理由はこれで…

 

 

 

その時、あたしの肩に後ろから指でツンツンとつつかれるような感覚がした…

正直…嫌な予感がした。だってそうだろ? シャマルがバカな事を口走った時、はやては「それや!」って…すげぇ乗り気だったんだからよ…

 

そして、恐る恐る振り向いたあたしの目に映ったのは…

 

「コレ、ヴィータに似合うと思うんやけど…着てみん?」

「…ぁっ…ッ!!」

 

満面の笑みで服を広げるはやての姿だった。…なんでそんなに楽しそうな顔するんだよぉ…! そんな顔されたら断れねぇじゃねぇかよぉ…ッ!!

 

 

 


 

 

 

♪~

 

「…電話? こんな朝から誰が…って、神尾から?」

 

…あぁ、なるほど。はやての誕生日だから誕生日プレゼントでも買うかって話か?

でもあぁ言うのって予め聞いておかないと喜んでくれるか解んねーしなぁ…

そんな事を考えながら電話に出る。

 

「…神尾? 朝からなんだ? はやての誕プレの話か?」

『剣崎…先ず落ち着いて聞いてくれ…』

「? おう。…何でお前そんなひそひそ声で話してんだ? ASMR?」

『ちげぇよ! 良いか!? 落ち着いて聞けよ!?』

「だから何だよ…悪戯なら切るぞ?」

『はやてとヴィータとザフィーラが居た。』

 

…いや、そりゃ居るだろ。今日はやての誕生日だし。

 

「…お前もしかしてはやての誕生日知らなかったりする?」

『んな訳ねーだろ!? 知ってるよ! 大事なのはここからだ!』

「はいはい、はよ話せー。」

『ヴィータがはやての服着てる。』

 

 

「なにっ!? それは本当(マジ)か!?」

『あぁ、本当(マジ)だ! 間違いねぇ…あれははやての服だ!』

「なっ…なんで分かるんだ!? そんな聞いてもねぇ事を…!」

『先ず今はやてと一緒に居るのがヘルパーと思われる女性以外にはヴィータとザフィーラだけだ。今日がはやての誕生日である事を考えれば収集活動を行っていない事が分かる。ならばヴィータとザフィーラだけがついて来ている理由もシグナムとシャマルが着れる服が無い以外には考えられない。ルートから考えても行先は大型スーパーの○○で間違いない。多分人数が増えたからその分の食材も一通り買うつもりだろう。そして服を買いに行くって時にヴィータが服を着ているって事はつまり、あれははやての服だ…! 間違いねぇ、はやての服を着ている…ッ! 恥ずかしいのか照れてるのか、頻りに辺りをきょろきょろ見回してるとか可愛過ぎないか…!?』

「早い早い! 聞き取れないって!」

『あ、悪い。とにかく今はいつものメンバーに『ヴィータがはやての服を着て一緒に買い物しに行くところを見つけた』って拡散してるだけ。場所は…』

 

そう言って場所を教えた後に通話は切れた。多分他の図書館メンバーに拡散しているんだろう。

 

…はやての服を着たヴィータか。…まぁ別に? 俺はロリコンじゃねーし? 今の年齢なら肉体的には同年代だし? 中身で言うなら寧ろ年上だし? …あれ? 何だよ、普通にセーフだったわ。

 

…よし、行くか。

 

 

 


 

 

 

「ヴィータ? さっきからずっとどないしたん? そんなにキョロキョロ見回して…」

「なっ…何でもねーよ。」

 

そんなに周囲が気になるかな…別に普通の歩道なんだけど…

 

「んー? あ! そういう事か?」

「…なんだよ?」

「心配せんでもよう似合っ(におう)てるよ? 可愛いでヴィータ。」

「バっ!? …そんなんじゃ…!」

 

…声も潜めて、どうしたんだろ? まるで何かを警戒しているような…?

 

 

 


 

 

 

おかしいだろ!? 何だよこの町!? 探査しなくても感知できる魔力持ってるやつらが多すぎだろ!?

これ全部転生者か!? 何十人居るんだよ! 馬鹿じゃねぇの!?

 

≪ヴィータ…気持ちは分かるが落ち着け。≫

≪落ち着きようがねぇだろ!? この反応全部転生者なんだぞ!?≫

 

探査している訳ではないから正確な位置や人数は分からねぇけど、一人や二人じゃ絶対ねぇ…!

 

≪だからこそだ…堂々としていろ。お前が転生者だとバレなきゃ何も問題は無いんだからな。≫

≪お…おぅ…≫

≪それに、これは朗報でもある。≫

≪…どう考えても悲報でしかないだろ。戦闘態勢に入って無いのに感知できるんだぞ?≫

≪それは距離が近いからだ。今我々は奴らに包囲されているが、奴らは皆距離を縮めようとはしていない。常に一定の距離からこちらを伺うだけにとどめている。≫

≪は!? ほ、包囲!?≫

 

って事はあたし等の事バレてる…って言うか…見られたのか。…そっか…

 

≪落ち着け! 一つ一つの魔力を良く観察しろ。そして襲撃者の魔力を思い出せ。≫

≪あ、あぁ………ん? これって…≫

 

何つーか、あまり強くない…? いや一般的な基準で考えれば十分一人前と言って良い魔力だけど、アイツと比べたら…

 

≪そうだ、転生者(イコール)襲撃者ではない。こいつらの魔力は襲撃者と比べてみれば取るに足らんものだ。俺達二人でも十分に対応可能だ。≫

≪…なんだよ、脅かしやがって…! 近づいてきたらぶっ飛ばしてやる…!≫

≪…相手が格下と見るなり手の平を返すな。小物に見えるぞ。≫

≪う、うるせぇ!≫

 

「うん? ヴィータもようやく落ち着いたか?」

「…別に、元々こんなもんだろ…」

「そぉか? なんかお上りさんみたいで可愛かったで?」

「なっ…!?」

 

くっ…! あいつらの所為で…こんな…!

覚えてろよ…蒐集開始したら真っ先に潰してやる…!




ヴィータさん、会う前から転生者に対する好感度が最低レベルまで下がるの巻。

一応補足しておきますと、ヴォルケンリッターは全員『転生者』と言う存在に対して警戒心を抱いています。(特に銀髪オッドアイに対しては顕著)
ただその中で一番警戒心が高かったのがヴィータさんだっただけです。
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