活動報告を呼んでいただいた方はご存じと思いますが、前話のなのは視点の最後の部分の内容を変更させていただきました。
変更点は
1.レイジングハートの破損する覚悟と、込められた信頼に対して応える感じの考え方に変更しました。
2.上記の理由でラウンドシールドが全力の物じゃなくなりました。
(ラウンドシールドが破壊される前提になった。)
の二つです。
変更の理由が気になる方につきましては活動報告の方に目を通していただければ幸いです。
ヴィータの一撃をラウンドシールドで受け止めた瞬間、グラーフアイゼンの先端がラウンドシールドを突き抜けた。
「…っ!」
ラウンドシールドを突き抜けて迫るドリル状の切っ先を、俺はレイジングハートの本体に影響が出ない様に受ける。
今までに感じた事の無い衝撃だ…ミシミシと言う嫌な音と感触がレイジングハートを持つ手から伝わって来て、次の瞬間には俺も吹っ飛ばされていた。
視界がグルグルと回転し、周りの状況も分からない。背中に衝撃を感じたかと思うと光景がまた変わり、オフィスビルの中に突っ込んだのだと理解した。
「うぅっ…くっ…!」
衝撃の大部分はバリアジャケットが吸収してくれたようだが、ノーダメージとはいかないか…強かに打ち付けられた背中は痛み、激しく回転させられたせいで足元も若干ふらつく…でもここでぼーっとはしてられない。
≪レイジングハート、大丈夫?≫
≪あぁ…一応大丈夫だとは思う。ただ、なんか急に眠くなってきた…!≫
それって本当に大丈夫なのか!? そのまま寝たら死ぬ奴なんじゃ…?
よく見るとレイジングハートの本体にもヒビが入っている…フレームで受けようと関係無いのか、それとも俺がミスったのか…いや、今は後回しだ。とにかく今は追撃に警戒を…そう思い、直ぐに窓の方に目を向けるが…
…なんだ、アレ…炎の壁?
俺が突っ込んだ事でもう『穴』と形容した方が良い有様の窓の外は一面が真っ赤に燃えていた。
ヴィータの追撃が来なかった理由がこの炎の壁だとすると、これをやったのは俺の援軍という事になる。
そして正体を確かめるべく窓へと近づいた時…その声が聞こえた。
「この街の危機に! 俺、参上ッ!!」
…いや、何でお前がここに居るんだ!?
今のが本当に高町なのはか…? バカみてぇに高い魔力を持ってる割に、あんまり手ごたえが無かったな…
あれじゃあ管理局の銀髪オッドアイ共よりも格下だ。
…あたし達が強くなり過ぎたのか? いや、それとも元々こんなもんだったのか…
多少の違和感を感じつつも、オフィスビルに突っ込んだなのはの様子を確認するべく近付こうとしたその時だった。
何者かの魔力を感じて飛び退ったその目の前を、炎の壁が遮った。一瞬シグナムの技かと思ったがそうではない。
炎から感じる魔力の質が違うし、シグナムはあたしの仲間だ…こんな風にあたしに不意打ちを仕掛ける理由も無い。となると可能性は一つ…新手の敵だ! …封鎖領域の展開時に余計な敵は省いたが、この結界内に入る方法がない訳じゃない。だから早めに決着を付けたかったんだ…!!
「誰だ! 出てこい!」
「この街の危機に! 俺、参上ッ!!」
…左上か!
声がした方を見ると
「なっ!? アイゼン!」
≪Panzer Hindernis.≫
咄嗟に障壁を張ると、奴はそのまま突っ込んできた。
爆発を伴ったその攻撃は確かに障壁で防いだにも拘らず、内部の空気を振るわせた。
奴の攻撃を防いでようやくわかったが、どうやら今の攻撃は『炎を纏った跳び蹴り』だったらしい。
障壁越しに奴と目が合…あん?
「…なんだお前。」
いや…大体は分かる。
ただ分からない。
「俺か? 知りたいのなら教えてやろう…!」
奴が飛び蹴りを放った姿勢のまま、どこか芝居がかった口調で名乗り始める。
「俺は紅蓮…この街の平和を守る者だッ!」
奴が名乗りを上げた瞬間、奴の体から炎が激しく吹き上がる。…主に後方に向けて。
その姿はさながら『日曜日の朝にやっている特撮ヒーロー』のような恰好だった。
「てめぇ、ふざけて…なっ!?」
見れば一度は奴の攻撃を防いだはずの障壁にヒビが入ってきている…! さっきの炎は名乗りを上げた後の演出かと思ったが、更なる推進力を得る為のものだったか!
「チィッ!」
障壁の解除と同時に左へサイドステップし、攻撃を躱しながらアイゼンのカウンターを叩き込む!
「おぉっとォ!」
奴が跳び蹴りの為に突き出していた右足を大きく振り上げ、アイゼンの一撃は上へ弾かれた…だが!
「甘いんだよ! ラケーテンハンマー!!」
アイゼンのロケットエンジンに火が灯り、弾かれた勢いそのままに回転! 足を振り上げたままの無防備な姿勢で、この一撃を躱せるか!?
「はぁッ!」
…躱しやがった。え、何今の動き…? 右足を振り上げたままの姿勢で、上半身だけを逸らして、背中から噴き出した炎の勢いで空へ飛ぶ?
それヒーローの動きじゃないだろ…?
…いや、それよりも!
「今度はこちらから行くぞ!」
「てめぇ…本当に何なんだ!?」
奴を追って見上げた先に居たのは『空中で両手両足の関節から噴き出した炎で空を飛びながら、いくつもの決めポーズを連続で決めているアホ』の姿だった。
そして最後に右手で空を指さすポーズを取ったかと思うと、奴の体から噴き出す炎が激しくなる。
「全力で行くぞ…ついて来れるか!」
「…舐めんなァ!」
てめぇみたいなふざけた奴に負けてられるか!!
「紅蓮君…あはは、相変わらずだなぁ…」
まさか駆けつけて来てくれたのがフェイトではなく紅蓮とはなぁ…
…紅蓮、あいつと最初にあったのは大木のジュエルシードの根を止めていた時だった。
全身を深紅のヒーロー(っぽい)スーツを模したバリアジャケットに身を包み、魔法陣の代わりに『ポージングで魔法を構成する』と言う良く分からない特典を持って転生してきたその男の事は一際印象に残っている。
その戦闘スタイルはゴリゴリのインファイターで、徒手空拳による連撃と炎熱の変換資質による追撃が特徴だ。一度ペースを握られれば切り崩すのは容易ではない為、このまま攻め続ければヴィータも退けられるかもしれないな。
…このまま相手がヴィータ一人だったならだけど。
…正直に言おう、あたしはこいつを舐めていた。
「ハンマーと言うどうしても大降りになる武器に、この間合いは厳しいだろう!」
「くっ…そ、がぁ!」
さっきの良く分からない決めポーズの後、こいつの動きは格段に鋭くなった。
素早い動きで懐に入られてからはペースを握られっぱなしだ。本来近接戦はあたしも得意な距離だが、こいつの場合は距離が近すぎる!
ただ新しく
こいつはこの戦闘中に何度かあたしを大きく吹き飛ばしているが、その際に追撃を行うどころか
…正直気付きたくなかったが、あのポージングは多分
魔法発動の際の魔法陣は現れず、デバイスと思しき奴のベルトも魔法発動の際に何も言葉を発しない。そのせいで次にどんな攻撃で攻めて来るのか分からず、どうしても攻めも守りも後手に回る…めんどくさい魔法を使いやがる!
「とう!」
「ぐっ!?」
奴の放った炎を纏った拳をアイゼンで防ぐも、また距離を開けられた…!
…あのポージングは…! 拙い!
「させるか!」
≪Schwalbe Fliegen.≫
鉄球を5つ打ち出し、カートリッジを…
「手こずっているようだな、ヴィータ…」
「! …ザフィーラ。」
いつの間に到着していたのか、ザフィーラがあたしの隣に来ていた。
「思わぬ増援と言ったところか…あの男はそれほどか?」
「うっせぇ! ちょっと相性が悪かっただけだ…!」
「…カートリッジはまだ温存しておけ。イレギュラーが一つとは限らん。
相性が悪い相手だと言うなら、私が代わろう。」
確かにザフィーラの言う通りだ。既に結界に入られている以上、増援があいつ一人とは考えにくい。
それにあいつとザフィーラの間合いは同じ…か。
「…任せる。」
「ああ。」
先になのはの状況を確認しよう。レイジングハートを破損させる事が出来ていれば、後は魔力を収集して撤退だ。
…しかし、フェイトが来ないのが気がかりだ。ついでにバルディッシュも破損させておきたかったんだが…もしかして襲撃を早まったか?
「おおぉぉぉおお!!」
「テォアアアァァ!!」
背後から響く雄叫びに目を遣れば、あいつとザフィーラが戦っている様子が見えた。近接戦闘…特にゼロ距離の殴り合いはザフィーラの独壇場…まぁ、あいつも相手が悪かったな。
さて、なのはの様子はどうなってるかな…っと…お?
「…なのはをここまで追い込んだのは、君?」
「だったらどうだってんだ?」
「そう…なら、次の相手は私。
…行くよ、
…どうやらさっきの心配は要らなかったか。
今度の増援はフェイトとアルフのコンビとユーノか…
なのはの様子は…見たところレイジングハートは程良く破損してるみてーだし、多分大丈夫だな。
…となると、後はフェイトのバルディッシュか。
「次から次へとキリがねぇな…良いぜ、かかって来いよ。
三人纏めて相手してやる!」
さっきのなのはがあんな感じだったんだし、フェイトもそう変わらないだろ。あの程度なら3対1でも戦えるはずだ。
※フェイトさんは一切手加減しません。
フェイトさんの到着が若干遅かったのはヴィータさんが早まった訳ではなく、管理局側の事情によるものです。これに関してはもう少し先の方で触れるとは思います。
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