今回で多分フェイトさんの戦い方は大体伝わるかと…
なのはを庇う様にヴィータの前に立ちはだかると、背後からなのはとユーノの会話が聞こえてきた。
「ユーノ君、久しぶりだね。」
「うん…良かった、思っていたよりは元気そうで。」
ユーノがそう言うと、淡い魔力光がなのはを包み込む。ユーノが得意とする癒しの魔法だ。
「なのははそのまま安静にしてて。あの子は私達が倒すから…」
「う、うん…」
≪…フェイト、大事な事忘れてるよ?≫
グラーフアイゼンを油断無く構えるヴィータの隙を窺っている最中、アルフから念話が入った。
≪大事な事?≫
≪いや、フェイトはもう管理局の関係者なんだから…ほら、言わなきゃいけない事があるだろ?≫
あっ…しまった、すっかり忘れてた。
確かこう言う場合は…
「…抵抗しなければ、弁護の機会が君にはある。同意するなら…」
「そんだけの殺気を向けておいてどの口が言うんだよ…御託は良いから、さっさとかかって来な。」
≪いや、まぁそうなるよ…≫
≪アルフ、クロノには黙ってて。≫
≪はいはい…次からは気を付けな。≫
大丈夫…多分管理局側はまだこの結界内の様子は見れていない筈。
アルフが黙っていてくれればバレないと思う…!
「説得は失敗、これより武力による鎮圧に移行する。」
「なんかあたし、とんでもなく理不尽な事言われてる気がしてきたんだけど…」
「…今からでも投降する?」
「いや、遠慮しておく。」
…再確認しても拒否されたし、倒しても大丈夫だよね?
<まぁ、良いんじゃない? あの様子じゃ元々降参する質じゃないよ。きっと。>
<そうだね…姉さん。>
「ユーノはなのはの回復を優先して、アルフは私のサポートをお願い。」
「分かった!」
「あいよ! ま、サポートが必要かは分かんないけどねぇ…」
二人の了解を確認してバルディッシュを構える。
「…行くよ、バルディッシュ!」
≪sir.≫
そしてバルディッシュのヘッドが展開し、サイズフォームに移行した辺りでヴィータが声をかけてきた。
「てっきりそこの回復役が3人目だと思ったが…伏兵か?」
「…伏兵は居ないよ、ここにちゃんと全員いる。ついでに外で戦ってる人は、管理局とは無関係。」
「へぇ…親切に答えてくれてありがとよ。
親切ついでに、その3人目の顔も見せて欲しいんだけどな?」
「…それは難しい問題。」
「まぁ、そうだろう…なッ!」
そう言うと同時にヴィータが広げた指の間に4個の鉄球が出現する。
「アイゼン!」
≪Schwalbe Fliegen.≫
そしてヴィータは出現した鉄球を打ち出す為に、グラーフアイゼンを振りかぶった。
この攻撃は恐らくこちらの出方を見る為の牽制…だったら、本気を出される前に一気に勝負を決める!
「バルディッシュ、<姉さん>…行くよ!」
≪Yes, sir. Photon Lancer.≫
<オッケー、フォトンランサー!>
目の前に現れたのは
「はぁっ!」
「シュート!」
放たれた鉄球と光弾が衝突する寸前…
<スパーク!>
姉さんの合図でフォトンランサーが
「何っ!?」
弾けた際の爆発で鉄球の方向は逸らされ、光弾が纏っていた雷が散弾のようにヴィータに襲い掛かった!
何だ、この魔法…こんなもん知らねぇぞ!?
「アイゼン!」
≪Panzer Schild!≫
咄嗟に張った障壁が功を奏した。散弾そのものの威力はそれほどでも無かったのか、目の前に盾状に展開した障壁はビクともしていない。だが、あれは雷の性質変換だ…一つ掠っただけでも動きを封じられ、他の散弾も避ける事が出来なくなる。
…どうやら、フェイトの方はあたしが予想していたよりも全然やるようだ。フェイトに対する認識を上方修正しておこう。
そう思った瞬間、背後から小さなスパークのような音が聞こえ…
「うおぉっ!?」
「…惜しい。」
…危ねぇ! いつの間に回り込んだんだ!? 嫌な予感がして咄嗟に回避行動取らなきゃ、今のでやられてたぞ!?
振り向いた先にはバルディッシュを横薙ぎに振るった姿勢のフェイトが一瞬見えた…かと思った瞬間には『雷の線』を残して姿が掻き消えた。
だが、今のは転送とかじゃない! 単純に超高速で視界の外に出ただけだ!
ヤバいな…
「チィッ…悪いが場所を変えさせてもらう!」
本来動きが制限されるはずの閉所でフェイトがあれだけ動けるって事は、逃げ場が無くなるって時点であたしが不利だ! 留まる利点が無ぇ!
だが、その分こいつは効くはずだ!
≪Eisen Geheul.≫
アイゼンで叩きつけた球体から音と閃光が迸り、周囲の敵全員の動きを封じている間に外へと飛び出す。
「うおおぉぉぉぉ!!」
「はああぁぁぁぁ!!」
…あいつらまだやり合ってたのか!?
どうやらあの紅蓮とか言う魔導士も中々タフらしい…って、そんな事考えている場合じゃないな。
「…さて、どう来る?」
今さっきあたしが飛び出した穴の様子が見える位置で鉄球を出して滞空、飛び出してくるであろうフェイトの出方を見る。
いくらフェイトが速くても、これだけ離れれば動きは見えるはずだ。幸いにして『雷の線』って言う分かりやすい目印もある事だしな…
「…来たっ!」
≪Explosion!≫
街灯も消えた夜の街中と言う状況で、雷を発しながら飛翔する姿は良く目立つ。…これなら狙える!
さっきのやり取りで十分わかった。フェイトはカートリッジを温存して戦えるほど、
「やるぞ、アイゼン…全力だ!」
≪
噴射口がまばゆい光を放ち、あたしの体が回転を始める。だが、まだだ! この速度じゃ多分躱される!
≪Explosion!≫
だから燃料を追加する。
連続して2つ目のカートリッジをロードした事で出力が爆発的に増大し、回転にさらなる加速を齎す。
そしてあたしは左手に持っていた鉄球を、上空に放り投げ…回転の方向を強引に縦に切り替えた。
くらえ、全力の…
「ラケーテン、ハンマー!」
ラケーテンハンマーの『回転する切っ先』が鉄球を抉る勢いで捉え、鉄球はまるで弾丸のような回転を伴いながら高速で射出された。
そして当然カートリッジ2つ分の加速をこれだけで終えるつもりは無い。
「…ぐッ!」
回転を強引に止め、アイゼンの推進力で飛翔する。
あたしが制御できる最高速の連撃…これでどうにもならなかったら、流石に撤退するしかねぇな。
「喰ら…え!」
ビルから飛び出した瞬間、甲高い金属音が響いた。
音のした方向を見れば『ヒビの入った金属球』がこちらへ迫るのが見えた。…そしてそのすぐ後ろから、金属球を追うように迫ってくるヴィータも。
…この速度、攻撃を優先したら避けられない。
<フェイト、どっち!?>
<回避…いや、障壁!>
<オッケー!>
素早く姉さんに返事を出し、私も魔法を発動すべくバルディッシュを構える。
≪Defenser.≫
<ディフェンサー!>
目の前に現れた2重の障壁…そして、
≪Round Shield.≫
<ラウンドシールド!>
…これで4重。
次の瞬間、ヴィータが縦に回転し…
「くっ!」
眼前で炸裂した鉄球の破片が4重の障壁を激しく打ち据え、その衝撃が腕に重くのしかかる。だけど、見逃してはいない…ヴィータは既に…
「こっちだッ!」
背後に回っている。
≪Photon Lancer.≫
「無駄だ!」
迎撃に使用したフォトンランサーは、ヴィータがその場で1回転した事であっけなく破壊された。だが、1回転分の時間があれば十分!
<姉さん!>
<うん!>
≪Blitz Action.≫
その場で加速し、瞬間的に距離を取る。
でも後ろからはヴィータが追撃するべく追ってきていた。
「しつこいなぁ! バルディッシュ!」
≪sir.≫
<フェイト!>
<うん!>
≪Photon Lancer.≫
<フォトンランサー!>
そして生成されたのは
「な…ッ!?」
「シュート!」
ヴィータの驚愕を余所に放たれた光弾は、しかしそのどれもがヴィータに直撃する軌道ではない。
「…こいつは…?」
だが当然そんな事で油断しないヴィータは回転を止め、その場で様子を窺うと言う選択を取ってしまった。
そして、4つの光弾がヴィータの上下左右を
<…今!>
青い光弾は内側の雷に喰い破られるように破壊され、4つの光弾が雷で繋がった。
「ぐっ…あっ…!!」
その交点に居たヴィータは雷の速度に対応できなかったらしく、感電して動きが止まる。
「これでトドメ!」
そしてこの隙を突くべく振るわれたアリシアの一閃は…
『キィンッ!』と言う音と共に、
「…えぇっ!?」
「…シグナム…」
フェイトさんの戦い方は基本的にアリシアとの連携が主体になります。
ただし連携は息を合わせる必要があるので、咄嗟に出す事はまだ難しいです。
連携フォトンランサー(仮称)は『引っ込んでいる方の魔力』を『表に出ている方の魔力』で包み込んでいる感じ。表に出ている人格でどちらになるかが変わります。
表がフェイトさんの場合…アリシアの合図で炸裂する散弾。
表がアリシアの場合…フェイトの合図で全ての光弾を結ぶ雷。
一応裏に引っ込んでいる方も単体で魔法を使えますが、連携が安定するまでは事故を避けるために使用しません。
連携フォトンランサー(仮称)の名前とかは決まってないです。完全にオリジナルって感じでもないので『フォトンランサー』で通しても大丈夫かなとは思ってますが…(敵からしてみれば軽く詐欺)