私事ではあるのですが、少し前からちょっと忙しくなってしまいまして…
次回も少し遅れてしまうかと思いますが、それ以降は元のペースに戻したいなと思います。
「間に合ったようだな、ヴィータ。」
「シグナム…あぁ、助かった。」
動きが見えなかった。
姉さんが
しかしシグナムが姉さんの攻撃を止めた瞬間の動きは、高速の動きに慣れた私にも全く察知が出来なかった。
<…! 姉さん、距離を!>
<う、うん!>
姉さんが後退しようとした瞬間、シグナムの刀が閃き…咄嗟に
<ありがとう、フェイト! ここから巻き返そう!>
<うん。でも…正直ちょっと厳しいかも…>
<…フェイト?>
正直なところ、今の一撃を咄嗟に防ぐ事が出来たのは運が良かっただけ。私の眼ではやはり攻撃の初動しか見えていなかった。
「ほう…今のを防ぐか。」
「…」
振り抜いた刀を正眼に戻したシグナムの鋭い視線が私を射抜く。
「雰囲気が変わったな…魔力の質も…
…なるほど、どうやら少々特殊な体質のようだな。」
「…」
…動きづらいな。あれは私達の情報を少しでも引き出そうと言う目だ。
元々こちらを害するつもりは無いのか、不気味なほどに敵意を感じない。それにも拘らずこの気迫…何かしらの狙いはあるはずだけど、それが見えてこない。
<フェイト、ここは管理局の人が動けるようになるまで時間を…>
<それはダメ…たぶん、ここで守りに入れば最後。押し切られるよ。>
まだシグナムの実力は分かっていないけど、それでも攻めるしかない。元々私の戦闘スタイルは速度に任せたヒットアンドアウェイ…魔力とスタミナの消耗が激しい分、時間稼ぎにはあまり向かない戦い方だ。
だったら攻撃こそ最大の防御…守る為に、攻めかかる!
「…行くよ、バルディッシュ!」
≪sir.≫
「…ヴォルケンリッターが一人、『烈火の将』シグナム。そして我が愛刀『レヴァンティン』…推して参る!」
ユーノの魔法の効果だろうか? 体がじんわりと心地良い熱を帯びて、わずかに感じていた痛みが無くなっていく。
≪なのは、これで体の方は大丈夫?≫
≪うん、元々私はそんなにダメージを受けてなかったから…≫
俺の返答を聞き、ユーノがわずかに目を見開く。
≪…驚いた、貴女念話でもその口調にしたのね。≫
≪あ、うん。…前にフェイトちゃんと話して、ちょっと思うところがあってね。≫
≪へぇ…今度詳しく聞かせてくれない? この戦いを無事に切り抜けた後でも良いから。≫
≪えっ、うん。≫
ユーノが魔法を解除したのか、光が消える。
「フェイトの戦闘の相手が代わったみたいだね。」
そう言ってユーノが見上げた先で、フェイトとシグナムの戦闘が始まった。
フェイトは最初から全力で飛ばしているらしく、常に高速で移動しながら散弾フォトンランサーやバルディッシュの一閃で果敢に攻め続けている。
一方でシグナムはその場から動く事無くフェイトの攻撃の全てに反応し、その尽くを切り捨てている。
そんな芸当を可能にする秘密は恐らく、シグナムの足元に展開された魔法陣だ。あの三角形を基本としたベルカ式特有の魔法陣は、展開した後常にそこにある。つまり何らかの効果を及ぼし続けている。
考えられるのは…
「攻撃の察知と、姿勢制御…?」
「へぇ…一目で見抜くとは、中々やるじゃねぇか。」
「っ! …貴女は…」
独り言のつもりだったのに思わぬ返答。正面を見れば、それほど離れていない距離にヴィータが居た。
ユーノは既に気付いていたのか、俺を庇う様に前に出ていた。
俺も慌ててレイジングハートを構えるが…
「待ちな!」
「お前は今包囲されている!」
「ここから先は!」
「俺達を倒してからにしてもらおうか!」
その前に突如乱入した
「はぁ…またてめぇらか…」
「またとはなんだ!?」
「俺達は初対面だろう!」
どうやら俺の知らないところでヴィータは銀髪オッドアイ達に遭遇していたのだろう。
「見分けがつく訳ねぇだろうが!!」
当然、区別は出来ていなかったようだが。
「くっ…今のはちょっと効いたぜ…!」
「あぁ、確かに少なからずダメージは受けた。だが分身魔法扱いよりはマシだろ?」
「…もう、慣れたよ。」
「諦めるな! 個性を諦めるな!!」
「…なんだお前ら。」
気にしないで、いつもの事だから…って言いたいなぁ。
「なに、知り合いの一人がお前達の世話になったようだからな。」
「なるほど、仇討ちって訳か。」
「いや…仇討ちって程仲良くはないんだけど、流石になのはの魔力を奪われるのは見過ごせないって言うか…」
「…」
なるほど、皆が介入してきた理由は分かった。
要するに彼等はスターライトブレイカーが闇の書に渡る事を避けるために来たのだろう。
それは確かに懸念事項の一つではあるのだが…取りあえず、今の俺が言うべきことは…
「魔力を、奪われるって…もしかして…?」
「あぁ、神尾の一件だ。」
「気を付けろよなのは、魔力を奪われたらしばらくの間魔法が使えなくなるらしい。」
よし、これで魔力枯渇=ヴォルケンリッターの仕業として話が出来るようになった。
ただ蒐集した魔力の持ち主の魔法もコピーされるって情報が無い以上、高町なのはとしてふるまうのならばまずは…
「貴女達は、皆の魔力を奪って何するつもり…?」
「教える必要はねぇ。」
「聞かせてくれれば、内容次第で協力だって…」
「それでもだ。話すつもりは無い。」
一応なのはとして協力を申し出てみたものの、やっぱり拒否された。
まぁ原作と同じ理由なら、はやての情報を漏らす訳も無いのは分かってたんだけど。
とは言え、これでとうとう戦うしかなくなったか。
「まぁ、事情を話してくれたとしてもなのはの魔力を奪わせる訳にはいかねぇよ。」
「せめて奪うんだったら俺達からだけにしときな。」
「それでも簡単に奪わせるつもりはねぇけどな!」
「行くぜオイ!!」
「あぁもう、わらわらと面倒くせぇ!」
そして銀髪オッドアイ達とヴィータの戦いが幕を開けた…かに思えたその瞬間…
轟音と瓦礫を伴った誰かが、この部屋の天井を突き破り突っ込んできた。土埃で正体は判然としないが、吹き飛ばされてきた方向を考えるときっと…
「…どうやらシグナムの方も決着がついたらしいな。」
「ぅ…」
天井を突き破って落下してきたのは、気を失ったフェイトだった。
ここで時間は少し巻き戻る。
シグナムとの戦闘に入ったフェイトはその違和感に気付いていた。
妙だ。
「ふっ!」
背後から放ったフォトンランサーが、いつの間にかまた正面からシグナムに切り払われている。
「はっ!」
側面、上下、背後…私は常に高速で動き回り、あらゆる死角からフォトンランサーを放っている。
だと言うのに…
「っ!」
シグナムに切り払われる直前、その魔力弾はいつもシグナムの正面にある。
<フェイト、まただよ!>
<わかってる…回転だよね。でも…>
そう、シグナムは構えを一切崩す事無く、体の向きだけを回転させている。それは分かっているんだ。
でも何故…
「無駄だ、私に死角は存在しない。」
「っ!?」
心を読まれた…?
「我が戦いの歴史に於いて、今のお前のように私の死角を取ろうとしてきた者は大勢居た。
正面からでは…近接では勝てないと考えた者の行動は常に二通り。
遠距離からの攻撃に切り替えるか、高速で動き回り死角を探るか…だからそういう手合いに私はいつも忠告をしているのだ。
…改めて言おう、私に死角は存在しない。」
…なるほど、これは経験則。長年戦いに身を置いてきた者が持つという戦闘勘だ。
「…何故、それを私に?」
「お前ほどの実力者が無駄な事に魔力と時間を割いているのを見るのが忍びなくてな。
それに…お前とは正面から切り結ぶ方が楽しめそうだと思ったまで。」
<うわ、バトルジャンキーだ…私初めて見たよ。>
<…私も漫画以外では見た事が無いかな…>
長年戦いに身を置くとこういう風になるものなのだろうか? まぁそれはともかく…
「…元々これが私の戦い方。忠告はありがたいけど、余計なお世話。」
「そうか…残念だ。どうやら今回相性が悪かったのはお前の方だったらしいな。」
煽っているかのような言い方だが、その心底残念と言った表情から本音だという事が分かる。
お前は障害足りえないと、敵に数えるに至らないと言われているようで…
…そう言えば、私もジュエルシード事件の時に似たような事をなのはに言った記憶がある。なるほど、言われる側の気分とはこんな感じだったのか。
中々に…不愉快だ。
<姉さん、少しの間速度にアシスト全振りでお願い。>
<フェイト!? …分かったよ、何秒?>
<…10秒。>
<了解、開始と終了の前にいつものカウントダウンするね?>
<うん…ありがとう。>
≪Defenser.≫
「…む?」
シグナムからすれば、私が突然防御を固めたように見えた事だろう。怪訝そうな表情が見えた。
<3>
姉さんのカウントが始まる。こうしている間も私は動き続けており、急に変わった速度に振り回されないようにする為だ。
<2>
これから姉さんが使うのは
<1>
何故姉さんは良いのか? それは私が使った時ほどの速度が出ないからだ。魔法にはそれぞれ向き不向きがあり、私はその魔法に対する適性が高すぎたのだろう。
<ブリッツアクション!>
そして、その瞬間…私はかつての最高速度に最も近づいた。
「何!?」
十数メートル離れたシグナムの視界から、私が消える。
0.1秒にも満たない瞬間、私の視界にはシグナムの背中がある。
フォトンランサーをその場に置き、移動を続ける。
「…これは…!」
私の雷の尾を目で追い、背後のフォトンランサーをその視界に納める頃、シグナムの周囲には既に斉射の号令を待つ砲門が12基…
流石に危険を感じたのか、シグナムの頬に汗が伝う。これで35基。
「レヴァンティン、鎧を!」
≪Panzer Geist.≫
シグナムの体を淡い魔力光が包む。これで73基。
「…レヴァンティン、盾を。」
≪Panzer Schild.≫
シグナムを囲むように4つの魔法陣が三角錐のように展開される。これで122基。
「…」
シグナムが目を閉じ、来る瞬間に備え始める。その様子を確認しながら、フォトンランサーを追加し続ける。144基…
<3…>
姉さんから効果終了までのカウントダウンが始まる。168基…
<2…>
192基…
<1…>
216基…
<0!>
240基!
「ファイア!」
斉射の瞬間、シグナムが目を開き…そのままフォトンランサーに呑まれた。
フォトンランサーの爆発により発生した煙を前に、直ぐに追撃の姿勢に入る。
魔力の残量はそこそこと言ったところ。大きな魔法こそ撃てないが、追撃をする分には申し分ない!
バルディッシュをサイズフォームに切り替え、突撃する。
さっきのフォトンランサーの斉射で一発でも当たっていれば、今のシグナムはまだ碌に動けない筈…!
ならこの煙の中心にきっと…
「これでやっと正面から切り結べるな。」
「なっ…!?」
目の前に現れたシグナムは、ピンピンした様子で私に話しかけてきた。
「ふっ!」
「くっ!?」
上段から振り下ろされたレヴァンティンを、かろうじてバルディッシュで受け止める。
だがその一撃の重さに、私の速度は完全に殺されてしまった。
「さっきの斉射を…無傷で…?」
「落ち込むことは無い。先ほどの攻撃…確かにこの身に届いた。」
よく見れば、シグナムの体には僅かに雷の残滓が奔っている。確かにフォトンランサーは届いていた。
でも、それならなぜ動けるんだ…?
そんな疑問を余所に、シグナムの苛烈な攻撃は続く。
袈裟切り、返す刀での横薙ぎ、刺突を挟み左切上…一切の間を置かずに放たれ続ける連撃は、私から防御と後退以外の選択肢を奪っていく…
「ハアッ!」
「うぐっ!?」
そして生まれた一瞬の隙を突き…
「なかなか楽しい一時だった…レヴァンティン!」
≪Explosion!≫
「しまっ…!」
カートリッジがロードされ…
「紫電一閃!」
上段から振り下ろされた一撃は、バルディッシュの柄を寸断し…
「またいつか戦おう。」
その言葉を最後に私の意識を刈り取った。
後半の視点切り替えの際に時間が前後するので一文添えてみましたが、無くても大丈夫そうですかね?
シグナムさん壊れ性能過ぎない? と言う疑問が出るかと思いますが、一応ヴィータさんやザフィーラさん、シャマルさんもそれぞれ壊れ性能な部分があります。
ただ、一番強いのはシグナムさんです。そしてヴィータさんは本当に相性が悪い人とぶつかっているだけなんです。信じて下さい。
以下シグナムさんの足元の魔法陣の効果です。
1.魔法陣を展開している間、半径5m以内に入った魔法を含むあらゆる物体の接近を感知する。
2.魔法陣を展開している間、自分の向いている方向を任意で変更できる。(全方位360度対応)
3.魔法陣を展開している間、三半規管と体幹を強化し、平衡感覚を失わず、姿勢も崩しにくくなる。
4.魔法陣を展開している間、あらゆる移動は不可能になる。