転生者を騙す転生者の物語   作:立井須 カンナ

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遅くなってすみません!
何度も書き直していたらこんな事に…!


デバイスと『博士』

「…エイミィ、どう思う?」

「そうだね…動きが変わってるのは間違いないと思う。

 私は戦闘に関しては殆ど素人だけど、それでもこの変化は分かるよ。」

「やはりか…」

 

今俺とエイミィは時空管理局の本局にて先の戦闘の記録映像を確認していた。

幸いにも結界の解析が早く終了していたおかげで戦闘の様子はバッチリ記録されており、俺が違和感を抱いた瞬間も確認する事が出来た。

そして改めて当時の状況を様々な視点から観測した結果、やはりあの時のシグナムの行動は『あらゆる点で理に適っていない行動』だと言う結論に至った。

 

「…ホント何でこの状況でシグナムは守りを放棄して突っ込んだんだろう?

 自殺行為にしか思えないよ。」

「ああ、もしかしたらヴォルケンリッターの作戦の一つかと思ったんだが…」

 

全体を俯瞰してもあのタイミングで突っ込む事で繋がる動きがあるようには思えない。

そもそもそれぞれの騎士達の配置は明らかに敵の戦力を分断し、各個撃破する為の物だ。

そして彼女達の狙いも含めて考えると、『敵を倒す事』よりも『自分が倒されない事』の方が戦局的に見れば重要なはずなのだ。

…なのにシグナムは防御を捨てた。その攻撃が一撃で勝敗を決めてしまう程の物なら納得も行くが、そんな鋭さも威力も秘めていなかった。

 

「うーん…作戦なのかわからないけど、ザフィーラも()()()()()()()()()()()()()()ね…」

「…ああ、それも気になっていたんだが…」

 

ザフィーラもほぼ同じタイミングで行動を起こしているのは映像を確認して気付いていた。だから作戦の存在を疑ってはみたのだが…

 

「ザフィーラはこの直後、突っ込んできた紅蓮に鋭いカウンターを見舞っている。

 何やら言葉でもやり取りを交わしているようだし、『誘い』だった可能性は0ではないな。」

「そっかぁ…」

「勿論直接戦った紅蓮本人にも話を聞いてみないと分からないが、彼は今検査中のなのはと一緒に病棟だ。

 結論は後回しだな。」

「…あれ? 紅蓮君って確か蒐集されてなかったよね?」

「ああ、彼の場合はデバイスの方だな。」

「あー…そう言えばベルトだったね、紅蓮君のデバイスって。」

 

最後のザフィーラの一撃は紅蓮の意識を奪うだけにとどまらず、彼のデバイスを撃ち抜いていた。

損傷具合で言えばレイジングハートやバルディッシュよりも酷いと言える。

 

「不幸中の幸いと言って良いかは分からんが、彼のデバイスはストレージタイプだ。

 比較的修復は容易だし、素材に関してもある程度は融通が利く。

 損傷こそ酷いが、直す手間に関してはレイジングハート達の方が少々厄介かもな。」

「レイジングハートとバルディッシュの損傷具合も軽くはないけど、デバイスとして致命的なダメージが無くて良かったよ。

 素材は発注しないとだけど、素材さえ届けば修復は簡単に出来そうだし。」

「…ああ、そうだな。」

「…クロノ君?」

「いや、何でもない。こっちの事だ。」

「う、うん…?」

 

…俺は知っている。レイジングハートとバルディッシュがカートリッジシステムを求める可能性を。

今回の戦闘ではなのはもフェイトも敗北を喫した。主の為に更なる力を求めたデバイス達なら、きっと…

 

 

 


 

 

 

「うん…リンカーコアの回復も順調のようだし、問題はなさそうだね。

 君の場合は元々の魔力量が多いようだから今の状態でも魔法は問題なく使えると思うけど、

 それでもまだリンカーコアは再生しきっていないから極力安静にね。」

「はい、ありがとうございました!」

 

検査をしてくれた医者のおじさんにお礼をして、いざレイジングハートの様子を見に行こうと廊下に出たところでこちらに向かって歩いてくるフェイトとアルフとばったり出会った。

 

「あ、フェイトちゃん。アルフさんも、目が覚めたんだ!」

「あー、もしかして心配かけちゃったかい? あたしはもうこの通り、ピンピンしてるさ。」

 

アルフがそう言いながら力瘤を作る元気な姿を目にして、少しほっとした。

正直アースラに戻った段階でヤバそうなのは紅蓮とアルフだったからなぁ…

気絶している二人を見て、もしも目が覚めないような事があったらと結構心配していたのだ。

 

「そう言うなのはも大丈夫だった? …先生はなんて?」

「問題無いけど、しばらくは安静にしておくようにって。」

「そう、良かった。」

 

その後の会話でこの後フェイトもバルディッシュの様子を見に行くつもりだったと言うので、三人で話しながらレイジングハートとバルディッシュの修復をしていると言うメンテナンスルームへ向かった。

途中で目に入る景色はどれも近未来的で興味をそそられる物も多いが、一番気になるのはやっぱり…

 

「…多いね。」

「うん…」

 

すれ違う銀髪オッドアイ率だろうか。

勿論普通の髪色の人が多いのは当たり前なのだが、それでも数秒歩けば一人や二人は見かける程度には多い。

転生の時に聞いた人数は確か3000人だったっけ…? やっぱり地球以外に生まれた人も多かったんだろうな…

 

…そっか、管理局に入るってこういう事なんだなぁ…

そんな風に考えながらしばらく歩くと、デバイスのメンテナンスルームについた。

 

ドアを開けると、空中に表示されたパネルに向き合うユーノと目が合った。それと同時にもう一人の人物がメンテナンスルームにいる事が分かった。

 

「あ、ユーノ君! …と、紅蓮君?」

 

やや薄暗い部屋だが、パネルの光で照らし出されたシルエットだけでもわかるあの特徴的な髪型…

まるで昔のアニメキャラのように後頭部に向かって炎のように尖ったあの髪型は間違いない。

緋色(ひいろ) 紅蓮(ぐれん)』…衝撃的な事にこれが彼の本名である。

 

「なのは、フェイトにアルフも来たんだね。」

「なのは達もデバイスが気になって来たんだな。検査は問題無かったか?」

「うん、問題は無いって。レイジングハート達の様子は…?」

 

そう言いながら紅蓮が見続けているカプセルに目を遣ると、ヒビの入った待機状態のレイジングハートとバルディッシュと並んでもう一つ…赤いカード状のデバイスが漂っているのが分かった。

 

「…あれは紅蓮のデバイス『ボルケニオン』だよ。

 なのは達のとは違うストレージタイプのデバイスだ。」

「ストレージタイプ…」

 

カード状のデバイスを不思議そうに見ているのが分かったのだろう。ユーノが小声で教えてくれた。

あれが紅蓮のデバイスの待機状態か…ベルトの状態しか見た事が無かったから新鮮だな。

ストレージデバイス…確かインテリジェントデバイスとは違って、意思を持たないデバイスだったか。

 

「さて、丁度みんな揃った事だし…先ずはレイジングハートとバルディッシュの状態について説明しようか。

 …二人のデバイスの損傷具合に関しては、軽くはないが心配いらない程度だよ。

 傷は浅くないが、まるで図ったかのように致命傷は避けている。

 インテリジェントデバイスの修復に必要な素材さえ取り寄せられれば、修復は困難ではないよ。」

 

ユーノは円筒状のカプセルに漂う二つのデバイスを見ながら説明してくれた。

 

「そして紅蓮。」

「…」

「君のデバイスも損傷具合は酷いが、修復は十分可能だ。」

「そうか…それは良かった。

 こんなにボロボロだともう駄目なのかと思ったが…」

 

僅かに緊張していた紅蓮の表情が安堵に緩む。意思の有無関係無しにデバイスを信頼しているのが見て取れた。

 

「ストレージデバイスは意思がない分修復のハードルは低いからね。

 素材に関しても今ある物で足りるし、修復はかなり早く済むと思う。

 ただ…これだけの損傷だと、『新しいデバイス』に変えるって選択肢もあるけど…」

「いや、俺はこのデバイスが良い。『ボルケニオン』だけが俺のデバイスだ。」

「ふむ…君がそう言うのであれば僕が何か言える事じゃないね。

 ただストレージデバイスはインテリジェントデバイスとは違って『デバイスそのものが成長する』と言う事は無い。

 同じデバイスをずっと使い続けると、必ずどこかで限界が来るという事は覚えておいてくれ。」

「ああ、その点なら心配は要らない。()()()()()()()また博士に『拡張』してもらうつもりだ。」

 

…ん? 今紅蓮が変な事言わなかったか?

()()()()()()()って、まるで地球にデバイスを弄れる奴が居るように聞こえたが…

 

「…管理局のスタッフや僕よりもデバイスに精通している人が地球に居るとは考えにくいんだけど、まぁ君の言う通り信頼している相手に任せるのが一番かもしれないね。」

「ちょ、ちょっと…ユーノ君、どういう事?」

「僕にも正確な事は分からないんだけど…どうやら彼のデバイスは()()()()()()()そうだ。」

「正確には元々持っていたデバイスを作り変えて貰ったんだよ。『博士』にな…」

「…って事らしい。」

 

えっ? 何その話。初耳なんだけど…

 

 

 


 

 

 

「っくしゅん!」

「ん、風邪でもひいたか?」

「そんな事無いと思うんだけどなぁ…」

 

転生してからは特に健康には気を付けてるし、大丈夫だとは思うんだけど…

っとと、それよりこのデバイスの最終調整を済ませちゃわないと!

 

「お前も飽きないな…それでデバイス何個目よ。」

「一応自作したのは1個目だよ。地球じゃ新しく素材が手に入らなくてさぁ…何度も作り直してるんだ。」

「…良いのか? カトレアが嫉妬するぞ? なぁ?」

≪そうだそうだー!≫

 

幼馴染の俊樹の言葉に日本語で同意を示したのは私のインテリジェントデバイス『カトレア』だ。

日常会話で日本語が使えるようにして見たものの、それから周りの皆がオウムに言葉を教える感覚で変な事を吹き込むもんだからどんどん変な方向に進化(?)している…

 

「う…で、でもメインはあくまでカトレアだから!

 そもそもこれもカトレアの補助用デバイスだから! 浮気じゃないから!」

「いや、そこまでは言ってねぇけどよ。」

≪そう言う事なら許してやらん事も無い。≫

「…お前も現金な奴だよな。」

 

そう、あくまで私の相棒はカトレア…これだけは忘れちゃダメだよね!

私が初めて作ったインテリジェントデバイス…今まで技術が向上する度に拡張を重ねて来た私の相棒!

だから嫉妬しないでねカトレア…前回嫉妬された時は寝る前に枕元で延々と怖い話聞かされて寝不足になったんだから…!

 

≪そう言えば、そろそろいつもの訓練の時間では?≫

「…えっ、もう!?」

「あー、ホントだ。今日って何処でやるんだっけ?」

≪桜台です。≫

「木之元ー、早く準備しないと置いてくぞー」

「まっ、待って! 私も直ぐ行くから!」

≪40秒で支度しな!≫

 

カトレアがまたスラングを…! 皆が面白がって変な言葉ばかり教えるから…もう!

 

「行くよカトレア!」

≪やれやれだぜ。≫

 

…一応カトレアも女の子の筈なのになぁ…




次回までは管理局本局で、次々回には地球に戻っている予定です。
次回はちょっと文章が長くなるかもしれません。

『博士』の正体については早めに書いておかないと『スカさん地球に逃亡疑惑』が出て来るので急遽差し込みました。

『博士』=木之元 菜都美です。(ジュエルシード編でちょっとだけ出てた人)

彼女は転生の特典で『デバイス作成に必要な技術と設備』+『デバイスの素材』を貰っており、個人でデバイスを作れる転生者です。
前世がシステムエンジニアであった為、割と早い段階でインテリジェントデバイスの『カトレア』を作成しました。

その後余った素材でストレージデバイスを作っては分解してを繰り返して技術を向上させ続け、一定期間で『カトレア』をバージョンアップさせています。(実は素材があればカートリッジシステムも付けられる。)

紅蓮が彼女を『博士』と呼ぶのは
「『ヒーローの相棒(≒装備)』をメンテナンスしてくれる人物=『博士』だ」と言う考えが原因です。
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