転生者を騙す転生者の物語   作:立井須 カンナ

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書き直しを重ねた結果、こんなにも時間をかけてしまいました。
申し訳ございません!


情報と対策

「わざわざ来てくれて済まないな、紅蓮。」

「良いって。

 あの場に俺が居てもボルケニオンの修復が早まる訳じゃないのは分かってるからな。」

 

デバイスメンテナンスルームでボルケニオンの修復が進むのをぼーっと眺めていた時、クロノに「話がある」と呼び出された俺は管理局に複数ある談話室の一つに来ていた。

 

「…って言うか、俺一人か?

 もしかしてボルケニオンに何かあったとか…」

「いや、そう言う訳じゃない。君に確認したい事が一つあってね…」

「確認したい事?」

 

聞き返しながら、クロノの言葉にホッとする。

呼び出された時はてっきり銀髪オッドアイ達も一緒かと思ったのに、いざ来てみれば俺一人なんて状況だったから変に勘ぐってしまった。

 

「ああ…先程の戦闘だが、こちらで映像として記録していてね。

 その確認の途中で気になる事があったんだ。

 単刀直入に聞こう…君は、先程戦った相手の行動に()()()を感じなかったか?」

 

その質問で真っ先に思い浮かんだのはザフィーラの最後の突撃だ。

それまで俺の攻撃の殆どを躱していたというのに、その技術を突然無くしたかのような無謀な突撃…

俺の拳と炎でダメージを負いつつも、一切気にしたそぶりも見せずに強引に腕を振るザフィーラの姿。

 

「…あぁ、アレを見たのか。」

「恐らく君が思い浮かべている光景と、僕が気になっている光景は同じものだろう。

 直接対峙していた君の意見が聞きたいんだ。

 最後のザフィーラの突撃は『誘い』だったと君は思うか?」

 

『誘い』ねぇ…確かに結果だけ見ればあの変化が切っ掛けで俺の攻撃が単調化したのは事実だ。

俺はクロノの言葉でもう一度あの状況を思い返すが、あの戦いの内容を思い返せば思い返すほどザフィーラがそんな事をする理由が分からないんだよな…

あの戦いはそれほどに一方的だった。

 

 

 


 

 

 

「オオォォォオッ!」

「ハアアァァァッ!」

 

炎を纏う拳と鋼鉄のガントレットが幾度もぶつかり、火花が散る。

ふいを突いて放った蹴りはザフィーラが半身になった事で躱され、懐に入り込んできたザフィーラからお返しとばかりに3発の拳を見舞われる。

 

「うっ、ぐ…オオォォ!」

「甘いッ!」

 

脇腹に奔る痛みに呻きながらも回し蹴りを放つが、腕でいなされ背後に回られた。

 

「ハァッ!」

「がっ…!?」

 

背中に衝撃。肺の中の空気が漏れる感覚。

だが、俺の背後は決して安全じゃない…!

 

「むぅっ…!」

 

背中から炎を吹き出して攻撃すると同時に、炎を推進力に変えてザフィーラと距離を取る。

一瞬で距離を詰めて来るザフィーラ相手に、長いポージング(詠唱)をするタイミングは殆ど無い。

だから最低限今必要な物を…!

左右に大きく両腕を伸ばし、肘から先を反時計回りに半回転、拳と拳を胸の前でぶつける。

 

「させんッ!」

 

ザフィーラはもう目の前だ。

このポージングにしてよかった。

 

「ハァ!」

 

体に魔力を流し、魔法が完成する。

使用した魔法は『ヒートアップ』。体から噴き出す魔力の量を、一時的に引き上げるだけのシンプルな魔法だ。

だが、そんなシンプルな魔法も『炎熱』の魔力変換と『俺のレアスキル(特典)』が組み合わされば…立派な攻撃魔法になる。

 

「まだまだここからだ!」

「ちぃっ!」

 

体から噴き出す魔力がたちまち炎に変換され、ザフィーラを炙る。だがこの魔法の真骨頂はここからだ。

 

「今度の速度は躱せるか!?」

 

肘や膝、足の裏から噴き出す魔力の方向や出力を微調整し、振るう拳や蹴りの速度が爆発的に向上する。

ポージングが短く済ませられる魔法の中ではダントツに応用が利く魔法だ。

だが…

 

「お前に必要なのは速度ではない!

 敵の虚を突く狡猾さだ!」

「何ぃッ…ぐぁっ!?」

 

振るった拳や蹴りの尽くを紙一重で躱し、カウンターに振るわれた拳が胸を撃つ。

だがまだだ! まだ魔法が解けた訳じゃない! この速度が維持できる間にせめて一撃…!

 

「オオオォォォ! …ッグゥッ!?」

「…はっ?」

 

一瞬、思考が停止した。

自分で言うのもなんだが、苦し紛れで振るっただけの俺の拳がザフィーラの顔面に当たったからだ。

とは言え、チャンスである事も事実…一気にラッシュをかける。

 

「グァッ、ガッ…オグッ…!」

 

当たる、当たる…当たる…

 

本来攻撃が当たれば『良し』と言う感情が大なり小なり湧き上がる物だ。それが先程まで一切のクリーンヒットを許さなかった相手であるなら猶更に。

だが、今俺の内側から湧き上がる思いは…この感情は…!

 

「くそっ…! ()()()()!」

「ガァッ!」

 

あからさまに大振りな蹴りまで当たった。どう考えても躱そうとしている動きじゃない…! 本来今の攻撃が当たるような奴じゃないと言うのは自分でも良く分かってる!

 

「…」

「お前…()()は何だ。

 俺に手加減でもしようと言う施しのつもりか!?」

 

だと言うのなら侮辱も良い所だ。俺の精神は『戦士』と呼べる程高潔ではないが、それでもこれ程に小馬鹿にされれば流石に頭に来る。

 

本気でやれ! 躱してみろ! そんなものじゃないだろう!

 

そう言った諸々の思いを込めて振るった拳に対してザフィーラは…

 

「ぐはっ!」

「…私に……情が……。先……の無様………を許して…れ。」

 

今までの戦いの中でも最も華麗に受け流し、俺の鳩尾に最も鋭いカウンターを叩き込む事で答えてくれた。

ザフィーラが呟いた言葉は残念ながら意識が朦朧としてあまり聞き取れなかったが、俺の意識を刈り取るその拳こそが最高の答えだった。

 

「ああ…っ! これでこそだ…! ぐふっ…」

 

だから霞む意識の中で何とか最後に伝える。

施される勝利なんかより、徹底的に負かされた方が良い。あんな闘いはもうしないでくれと。

 

もっとも、俺の意識はその答えを聞く前に落ちてしまうようだが…

 

 

 


 

 

 

あの時の事を振り返り、クロノの「あれは誘いだったと思うか?」と言う問いに確信をもって答える。

 

「それは無い。」

 

と。

 

「ザフィーラの実力がどれほどかは分からないが、少なくとも俺よりは遥かに格上だ。

 『誘い』紛いの真似なんてしなくても、いずれは同じ結末になってただろう。

 それにザフィーラが本当に『誘い』なんてしたら、多分今の俺じゃ違和感も抱けない気がするしな…」

「ふむ、やはりか…」

「『やはりか』って…分かってて聞いたのか?」

「映像記録を見て『もしかしたら』とは考えていた。

 僕もあのシグナムと名乗った騎士に似たような違和感を感じてたからね…

 何かヴォルケンリッターを弱体化させられる方法があるのなら、見つけておくに越したことは無いだろう?」

「あぁ…なるほど、そう言う事か。」

 

確かにヴォルケンリッター達を意図的にあの状態に出来れば、格上である相手でも有利に立ち回れるだろう。

…ただ、なぁ…

 

「あの状態にしちまうのか…ザフィーラに悪い気もするな…」

「…仕方あるまい。例え正々堂々と言いにくい手段であっても、一つの世界を守る為だ。

 君が目指しているヒーローの在り方とは違うかもしれないが…」

「あぁ、そうじゃなくて…ザフィーラがあの時の事を恥じているような事を言ってたからさ…」

「ふむ…ザフィーラがそう言ったのだな?」

「? ああ、意識が朦朧として完全には聞き取れなかったけど『先程の無様を許してくれ』みたいな事を言ってたと思う。」

「…なるほどな、情報提供に感謝する。

 僕はこれで失礼するが、情報の対価として君から何か要求はあるか?

 流石に何でもとは言えないが、多少の事なら融通しよう。」

 

対価…対価か…

ザフィーラにリベンジしたいって思いはあるが…それを要求できるはずもない。この先の作戦で足を引っ張りかねない要求はするべきではないし、そもそも受け入れられる訳もない。

そうなると、『管理局の環境で訓練させてくれ』って辺りが妥当な気もするが…待てよ?

 

「…そう言えば、さっき『映像記録を見た』って言ったよな?」

「確かに地球での戦闘記録の映像ならあるが…」

「それを貰うとかって出来るか?」

 

映像を元に相手の癖や自分の反省点を客観的に見る事が出来れば、これからの訓練に役立てられるだろう。

そう思ったのだが…

 

「済まないが、それは出来ない。

 君達は知る由もないが、『魔法に関する内容』を『魔法文明を持たない次元世界に無暗に広める』のは管理局法の観点から見て完全にアウトだ。

 …地球にはどう言う訳か既に映像が出回ってしまっているようだが、だからと言って簡単にホイホイと渡す訳にはいかない。」

「…なるほどなぁ。」

 

管理局法か…そんなのもあったなぁ。

そう言えば訓練の合間に勉強してる奴も居たっけ…

 

「だが、そうだな…『映像を記録しない』と言う条件下でならば、閲覧の許可は出せるだろう。」

「俺としては構わないが…因みに、文字としてメモを取るのは?」

「まぁ、それくらいなら許可しよう。

 場所はそうだな…本局の会議室を使わせる訳にはいかないし、アースラは整備中か…

 済まないが、方法に関しては後で何かしら用意するとしよう。…それで構わないか?」

「まぁ、あの情報だとそれくらいが限度だろうしな。」

 

俺がそう言うとクロノは少し考えた後、

 

「…てっきり僕は『ザフィーラとの再戦を』くらいは言いだすかと思ったんだがな?」

 

とまるで試すかのように問いかける。

どうやら考えている事は完全に読まれてたみたいだな。でも…

 

「言ったとして通る訳が無いだろう? どう考えても邪魔になる。」

「…君みたいな魔導士がまだ地球に居たんだな…」

「えっ、何その表情。何があったんだ?」

 

クロノが俺を見る目がかつて無いほど柔らかく、穏やかなものになる。…逆に怖いな。

 

「ジュエルシード事件の時に、色々とね…」

 

…一瞬で哀愁を帯びたぞこの執務官。この年齢でどんな修羅場を潜ればこんな事になるんだ?

えっ、何? 管理局ってやっぱりブラックなの? 闇があるのは知ってるけど、企業的な黒さもあるの?

 

…管理局、入るのは考え直した方が良いかなぁ…

 

 

 


 

 

 

あの後、紅蓮と少しだけ会話して部屋を出た。

何と言うか奇抜な魔法を使う割に意外と常識を持った奴だったな。ああ言う人材が管理局に来てくれると嬉しいんだが…

 

…思考が逸れる所だった。今は得られた情報を整理しよう。

 

先ずザフィーラのあの行動はやはりシグナムのそれと同じような物だったようだ。ほぼ同タイミングで同じ行動を起こした以上、原因も同じと考えるべきだろう。

紅蓮が教えてくれた情報からも、あれは念話等で示し合わせた訳でない事が分かる。つまり、ヴォルケンリッターの作戦にもなかった行動。

彼等自身の意思とは考えにくいが、記憶はあるらしい。フェイトのように、途中で入れ替わったという訳でもなさそうだ。

だが弱体化した事実に動揺が無く、その後の撤退の判断が早かった事を考えると…恐らくだがヴォルケンリッターも自分の弱体化と、その原因に心当たりがあるのだろう。

その上で彼等にはどうする事も出来なかったとすれば、今回の戦闘中に何かしらの『想定外』があったと推察できる。そしてその『想定外』こそが『弱体化の条件』に大きく関連している。

 

…こんな所か。

手元にあるタブレットで、先程の映像を映し出す。…映像を見返したいと言う紅蓮にこのタブレットを渡すという事も考えたが、このタブレットに入っている映像は要点だけを抜き出して編集したものだ。少なくとも戦闘の映像は殆ど入っていない為、彼にとって価値がある物ではないだろう。

 

「歩きタブレットは危ないよ~?」

「ぅわっ!? …エイミィか、脅かすなよ…」

 

突然耳元で声がして思わず振り返ると、悪戯が成功したような表情のエイミィが居た。

 

「あはは、ごめんごめん! 後姿を見かけたからつい…」

「つい…じゃないが。…全く。」

「それはそれとして、また映像見てたの?」

「…あぁ、紅蓮から話も聞けたからね。

 おかげで弱体化の原因も絞られた。」

「『時間経過』『魔力消費』『蒐集行為』の三つだったっけ? 疑わしいって言ってたのって。」

 

そう、既にこの3つの内のどれかが原因だろうと考えてはいたのだ。

『時間経過』と『魔力消費』は戦闘の途中で満たし得る最も分かりやすい条件として…そしてタイミングがなのはの蒐集の直後だったことから『蒐集行為』も候補に挙げていた。

 

「ああ、だが恐らく『魔力消費』ではない。紅蓮から聞いた情報でヴォルケンリッター達は『自分達が弱体化する事実と条件に心当たりがある』事がほぼ確実となった。

 それならば魔力の消費量の調整をミスるとは考えにくいからな。」

「なるほどね、それじゃあ『時間経過』か『蒐集行為』のどっちかなんだ。」

「それについてだが、もう少し絞れそうだ。『時間経過』が条件の場合でも、早々に撤退すれば弱体化したところを倒されてしまうリスクは減らせるわけだからな。」

 

『時間経過』で弱体化する事を知っていたのなら、長期戦になりそうと判断した時点で撤退を視野に入れた動きになるはずだ。

撤退戦の難易度は襲撃よりも遥かに高いのだから。

だが、彼等の動きにその兆候は見られなかった。そうなると残る候補は…

 

「…って事は、なのはちゃんに行った『蒐集行為』?

 でも蒐集目的で動いてるだろうに、それで弱体化って変な感じだけど…」

「いや、それなら先ずは戦闘可能な者達を全員倒した後に蒐集に移るはずだ。もしくは対象を連れ去っても良い。

 アルフが対峙した4人目の騎士(シャマル)の魔法ならそれが出来る。」

「そうなると…あれ、候補が無くなっちゃったけど…?」

 

そう、そこが最後に悩んだ場所だった…

と言うか、エイミィは本当に反応が良いな。気分はまるでワトソンに推理を聞かせるホームズだ。

 

「何も条件が一つとは限らないよ、エイミィ。

 恐らくだが『蒐集行為』と『時間経過』か『魔力消費』のどちらかの、または全ての条件が重なったのが今回の弱体化の原因だろう。

 流石に詳しい理屈までは分からんが、『蒐集行為』によって『時間経過』か『魔力消費』の限界が早まるのだと考えれば辻褄は合う。

 恐らく、蒐集対象がなのはだった事も関係があるだろうな…例外なく発生するなら蒐集前に何かしらの警戒をしたはずだ。」

「はぁ~…なるほどね~…」

「…ちゃんと分ってるのか?」

「えっ!? …うん! つまり戦闘を長引かせてから収集させれば弱体化できるんでしょ?」

「……まぁ、間違ってはいないが。」

 

問題は弱体化させるには蒐集が必要な点だな。

被害を減らす為に弱体化させようと言うのに、弱体化の為に『蒐集の被害者』を出そうなんて本末転倒が過ぎる。

代用できる要素、または明確な原因が分かれば話は変わって来るんだが…

 

「…っと、この場面だな。」

 

再生しっぱなしだったタブレットの映像を一時停止させ、少しずつ進めると目的の場面が映る。

映っているのは蒐集されて少し経った後の一瞬だ。

 

「果たして()()にどう言う意味があるのか…それも気になるところだな。」

 

複数のカメラの映像を同時に再生したような画面。それぞれの視点に映るヴォルケンリッターの面々…

その全ての表情が全くの同時に…それもたった一瞬だけ、まるで人形のように無表情になった。

まさにこのタイミングでヴォルケンリッターに『何か』が起こった。彼らを著しく弱体化させる『何か』が…

 

「おぉ、クロノ君のその表情…まるで探偵みたいだねー」

 

…君に乗せられたせいだけどな。

 

 

 


 

 

 

海鳴市、桜台の広場。

今日の訓練の場として決めていたこの場には、見た目を問わず複数人の転生者が集まっている。

周りを見回せば朝の散歩コースなのだろうか、小さな子供からご年配の方まで様々な人が行きかっているのが見える。

 

俺達に対する反応も様々で、ちらちらと目を遣る者からガン見しながらの散歩に興ずる者まで様々だ。

因みにちらちらとこちらを見て行く理由に関してだが、()()()()()()()()()()()()

そもそも海鳴市の…それもこの近所の人達は銀髪オッドアイなんてもう見慣れているからな。俺達の外見や人数で吃驚する人は観光客か新しく引っ越してきた人くらいだ。

で、俺達がちらちらと見られる原因だが…

 

「なのは達、今頃どうしてんだろうなー…」

「管理局の本局に居るんじゃねぇかなー…」

「暇だー…」

「いや、暇なら訓練しろよ。ボロ負けしたんだろ?」

 

こいつらである。

広場のベンチの上でぐで~っとしながら、ぐちぐちぶつぶつとアホな事言い合っているアホ共である。

 

「ちょっとちょっと…」

「はい。」

「あの子達、大丈夫なの? なんか体調が悪そうだけど…」

「あ、大丈夫です。ちょっと拗ねているだけなので…」

「あ、そうなの? やだ、勘違いしちゃったわ!」

「はい、ご心配をおかけしてしまい申し訳ありません。」

「あら、礼儀正しい子ねぇ! 家の子はもうホントやんちゃで…」

「あはは…」

 

誰と会話してるかって? 散歩中のおばちゃんだよ。

先程から通りすがりの人があいつ等を見て心配そうに近付いてくるもんだから申し訳無さが半端ないんだよ。話に付き合うくらいしてないと罪悪感で潰されそうなんだよ。

 

「じゃあね、坊やもお野菜食べなきゃだめよ~?」

「はい、それではまた…」

 

どうやら上の学年の佐山くんは野菜を残しがちらしい…また要らない知識が増えてしまった。そんな事を考えつつベンチを見ると、相変わらず愚痴を言い合っているアホ共が目に映る。

…こいつら何の為にここまで来たんだよ。ヴォルケンリッターと戦ったって言うから詳しい情報を聞きたいのに、俺がここにきてから聞いてる情報はご近所さんの家庭事情ばっかりなんだけど。

 

「何で紅蓮は良くて俺達がダメなんだよー…」

「デバイス壊れなかったからじゃねー?」

「…知ってるけどさぁ…地球にも博士が居るじゃんかー…」

「いや、誰が博士よ…」

 

気だるげなツッコミに振り返れば、丁度木之元(きのもと) 菜都美(なつみ)斎藤(さいとう) 俊樹(としき)がやって来たところだった。

木之元はデバイスの修理と改良を何度も無料で請け負ってくれているから、今となっては俺達にとって欠かせない人材だ。技術の向上にもなるから一石二鳥らしい。

…まぁ、誰が言い出したのかは分からないが『博士』と言うあだ名は気に入っていないらしいが。

 

「おー、博士にトシ。遅刻ギリギリだぞ。」

「大丈夫よ、私は結界に入る為の魔法持ってるし。それと博士じゃないわよ。」

「俺も大丈夫だよ、結界なら木之元が入れてくれるし。」

「お前は…まぁ、うん…」

 

斎藤はなぁ…結界系の魔法の適性が酷かったからな…

術式を完璧に理解したのに発動しないってのが辛い所だ。

それが原因なのかはわからないけど、障壁系の魔法の適性も低いもんだから自分の特典が活かし切れていないのが本当に悲しくなる。

 

「あまり人を憐れむなよ、惨めに見えるぞ…俺が。」

「異性の幼馴染が居る時点でお前の方がカースト上位なんだよなぁ…」

「転生者とか関係無しに可愛い女の子が正義だからなー…」

 

…こいつ等は本当に何しに来たんだろうな。

まぁ、いいや。どうせいつも通り訓練が始まれば意識を切り替えるだろ。

 

「ほら、人目が無い今の内に封時結界張るぞー」

「はいよー…」

「ばっちこーい…」

 

こいつ等を組手でボコボコにしてやりたい…!

…でも無理かな、俺戦闘あまり強くないしな。 …はぁ…




最後のは神谷視点です。

次回はなのはさんが地球に帰って来てからの話になるはずです。
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