転生者を騙す転生者の物語   作:立井須 カンナ

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最近3~4日に1話のペースも守れてなくてすみません! 色々と日程が重なってしまい、時間が取れませんでした。

タイトル通りの引っ越し回です。
引っ越しするアパートは原作と同じものを想定しています。(多分あんな広い部屋借りられるアパートってそうは無いと思うので)
ただし、某事情から一部原作と違いますが。


引っ越し

突然だが、引っ越しで一番大変な事と聞いて何が思い浮かぶだろうか?

『住所変更の手続き』だろうか? それとも『ご近所さんへのあいさつ回り』だろうか? なるほどそれらも確かに大変だ。

だが、多くの人は『荷造りと荷ほどき』と答えるのではないだろうか? 少なくとも少し前にやっていたテレビ番組ではそんなアンケート結果が出ていた。

 

そこで俺は今回の引っ越しに際して、何か小さなことでも手伝えたらと思っていたのだが…

 

「…手伝える事、なにも無さそうだね…」

「うん、ある意味で()()()()()()が来てくれたからね。」

 

フェイトを始めとする管理局の面々は今回の事件に際し、地球に拠点を置く事になった。

少し前までレティ提督の部隊が色々と調査していた事でヴォルケンリッターの潜伏先も割と絞り込めているらしく、整備中のアースラが拠点として使えない事もあって俺の家にそこそこ近いアパートを借りるらしい。

 

フェイト達が引っ越してくるアパートの一室には、引っ越し当日だと言うのに段ボールが一箱も無く、冷蔵庫やテレビを始めとした家電の設置も既に終わっていた。

と言うのも、管理局からついて来てくれた『助っ人』が殆ど一人でやってくれたのだ。

…いつか俺も向こうに引っ越す時には頼んでみようかな。知らない仲じゃないし。

 

「リンディさん達とは違う部屋なんだよね?」

「うん、隣同士だけどね。本当なら監視の為に同室にしろって話もあったみたいだけど、リンディさんが『元々建前みたいなものだから』って…」

 

実はフェイトは無罪になったとはいえ、しばらくの間は監視が必要と言う条件付きの無罪判決だった。

リンディさん達が言うには『念のため』以上の意味は無いらしいが、地球にいる間もリンディさん達は立場上『ちゃんと監視しています』と言う姿勢を見せておく必要があるのだとか。

地球に住むことになった際も色々な意見が出たらしいが、リンディさんが色々と手を回した結果『隣の部屋を借りて何かあったらすぐに対応する』と言う形に収まったらしい。

リンディさん曰く、「フェイトちゃんは良い子だし、なにより家族と一緒の方が皆安心でしょ?」との事だった。

 

「リニス、ベッドの場所はここで良いんだな?」

「はい。角度はエアコンの空気が直接当たらないように…」

「じゃあ…こんなもんか。『()()()()』。」

 

ふと聞こえてきた会話はリニスと、例の『助っ人』…神宮寺の声だ。

確か今は寝室にベッドを置いているところだったか。

 

覗き込んでみると、神宮寺の声と共に下向きに開いた歪みからゆっくりとせり出してくるベッドが…何度か似たような光景は見たけど、やっぱり中々にシュールな光景だ。

やがてベッドはゆっくりと部屋に置かれ、細かい微調整をしてリニスのベッドの配置が終わった。

 

「これで良し…っと、次はアルフのベッドだが…リニスのすぐ隣で良いのか?」

「あぁ! それにしても神宮寺が手伝ってくれて助かるよ!

 段ボールは要らないし、ドアの大きさも考えなくて良いし…至れり尽くせりだね!」

「本来はこんな事の為の能力じゃ無いんだけどな。」

「まぁまぁ、使えるもんは積極的に使えば良いんだよ!

 フェイトとの戦いではあんなに…

 …間違ってもベッドを射出なんてしないでおくれよ?」

「流石にそんなヘマはしねぇよ!」

「あっはっは、そりゃそうだ!」

 

流石にベッド射出は冗談では済まされないからな…ご近所トラブルなんてものじゃ済まないだろう。

 

 

 

特にフラグとかそう言うのは無く、ベッドの設置は問題無く完了した。

 

「ありがとうございます神宮寺さん。おかげで随分と早く済ませる事が出来ました。」

「いえ、俺の方こそリニスさんに勉強見て貰ってましたし…まぁおあいこって事で。」

「次はリンディ達の部屋だっけ? あんたも大変だねぇ…」

「色々と恩返しも兼ねてるし、これくらいならなんて事無いって。」

「リンディさんの部屋の荷解きが終わったら、直ぐに向こうに帰っちゃうんだっけ?」

「…まぁ、次の試験の為に勉強しないといけないしな。」

 

ジュエルシード事件の後、管理局に入る為に入局試験を受けた神宮寺は残念ながら筆記試験で落ちていた。

と言ってもリンディさんが言うには管理外世界からの受験生には珍しい事では無いらしく、管理局側も当然その点に関しては考慮している。そもそも万年人手不足な管理局の事。『そんな事』で入局希望者を切り捨てるはずもなく、彼は数か月後に控えた2回目の入局試験に向けて勉強中なのである。

それでもこうしてリンディさんが今回の手伝いに駆り出したのは、根を詰め過ぎている神宮寺の息抜きも兼ねての事だったのだろう。

実際その甲斐はあったようで、最初はどことなく元気が無かった神宮司も今は普通にリラックスできているのが分かった。

 

「…じゃあな、そろそろリンディさん達の方に行くわ。」

「はい、貴方もお元気で。」

「次に会う時はちゃんと局員になっておきなよ!」

「アルフ、あんまりプレッシャーはかけない方が…

 頑張ってね神宮寺、応援してる。…私も応援してるよー!」

「あぁ、その応援で後5年は試験勉強頑張れるわ。」

「…それ何度も落ちてないかい?」

 

少しみんなで笑った後、俺は神宮寺と一緒にフェイト達の部屋を出た。

 

「…あれ、なのはもリンディさんの部屋に来るのか?」

「ううん、フェイトちゃんの引っ越しも終わったしアリサちゃん達を呼ぼうかなって。

 リニスさんも呼んで良いって言ってたし。」

「ああ、そう言う事か。」

 

ビデオメール越しで話しているだけじゃ二人も物足りないだろうしな。

取り出した携帯電話でアリサとすずかにメールを打つと、直ぐに『行く!』と言う旨の返信が来た。

…今気づいたけど、リニスさんにここの住所を聞き忘れていたな。仕方ない…近くのわかりやすい目印で待ち合わせして、そこから直接案内するとしよう。

 

近所で分かりやすいのは…あの公園の銅像なんかが良いかな?

メールを送信して…と。

そう言えば…

 

「神宮寺くんは皆に会わなくても良いの?」

 

『皆』と言うのは当然銀髪オッドアイ達だ。神宮寺もあいつ等とビデオメールで何やらやり取りしていたらしいという事は知っているし、折角来たのだから話していくくらいはしていけばいいのにと思ったのだ。

 

「あいつ等か…まぁ、試験に落ちた事がバレたら滅茶苦茶揶揄われそうだし遠慮しておくよ。」

「さ、流石にそんな酷い事はしないと思うけど…」

 

そう言う事しそうな奴に何人か心当たりはあるけど、大半は寧ろ励ましてくれると思うけどなぁ…

 

「…まぁ、考えておくよ。久しぶりに会って話すのも悪くは無いだろうしな。」

「うん。じゃあ、またね!」

「ああ、またな。」

 

そう言って神宮寺はちょっと離れた隣の部屋に入って行った。

…こうして見てみると、隣同士でも結構ドアの間隔広いな。管理局の設備を置く関係上、広いのは大前提だったとして…高級アパートって何処もこんなに広いのか?

…まぁ良いか。今はとりあえず待ち合わせの場所に行かなきゃな。

 

 

 


 

 

 

えっと…ホログラムの機材はここで、あまり目立たないように設置して…

このコンソールは…あぁ、先にあの機材が無いと…

 

「おーい、あっちが終わったから来たぞー」

「あ、神宮寺君! こっちこっち!」

 

ナイスタイミング! 丁度出して欲しい機材があったんだよ!

 

「…? あれ、エイミィだけか? クロノとリンディは?」

「二人は今奥の方で空間拡張と連結の…っとまぁ、あっちはあっちで色々とね。」

「ふーん…」

 

流石に転生者と言っても管理世界の技術関連は説明してもチンプンカンプンだろうし、説明の途中でバッサリ切り上げる。

今二人はこのアパートの一部の空間を拡張させて、簡単な指令室の作成に掛かってくれている。と言うのも管理外世界で管理世界の技術を使うには、様々な機材が必要となって来る。それこそ借りた部屋ではスペースが足りない程の大規模な機材が…

技術の隠蔽が絶対原則である管理外世界でそんなオーバーテクノロジーの塊を大っぴらに出す訳にはいかず、結果として『ちょっとした不思議空間』の作成と『ちょっとしたワープ装置』の設置は最低限の必須事項なのである。

 

兎にも角にも今は神宮寺君の持ってくる機材が欲しかったところだし、今はそっちを優先してしまおう!

 

「じゃあ早速『多次元観測デバイス』と、次元間通信用の受信機を…あっ…」

「? …?? …???」

 

しまった…! 言ってる途中で気付いたけど、名前で言っても伝わる訳無いじゃん! こんな部屋の中で出す訳にはいかない機材もあるし、どうしよう…

 

「…とりあえず片っ端から出すから、どれがどれなのかを」

「わぁー! 待って、待って! 出したら拙いのもあるから待って!」

 

これは一旦クロノ君が拡張作業してる空間で出してもらうしかないけど、あっちはもう少しかかりそうだしなぁ…

 

「と…とりあえず、普通の家具から出して行こうか!」

「…確かにその方が無難か。」

 

ほっ…

…しっかし、盲点だったなぁ…私も一応転生者だけど、完全に管理世界の常識に馴染んじゃってたよ。

よく考えたら『次元』なんて言葉を日常的に使うのも管理外世界じゃ珍しいんだったっけ…

 

「…おーい、エイミィー?」

「…はっ!? えっと、そうだね…先ずはキッチン周りからお願いしようかな!」

 

一応こうしてアパートを借りた理由の一つには『私達の居住空間の確保』もある訳だし、先にそっちを済ませておこう。多分それが終わる頃にはクロノ君達の作業も一段落してるだろうし…

 




引っ越し&神宮寺の現状暴露回。

落ちた理由は神宮寺の頭が悪かったとかでは無く、色んな常識が通用しないからです。

原作と違う点はハラオウン家とテスタロッサ家が別居という事と、テスタロッサ家の保護者は引き続きリニスさんという事くらいです。

原作とたまたま同じアパートって言うのはご都合主義的な感じもするのですが、多分あの規模のアパートが同じ地域に幾つもあるとは思えないのでありえなくも無いのかなと思ってます。(その方が書きやすいと言う書き手側の事情もありますが)
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