転生者を騙す転生者の物語   作:立井須 カンナ

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今回、独自解釈が含まれます。

作者の記憶違いで原作と矛盾していたりしたら報告していただければと思います。


変わりゆく未来

飛翔魔法で飛ぶ事数分。

何事もなく俺達は槙原動物病院に着いた。…しかし…

 

「居ないね…ユーノ君…」

「うん…僕の『予想』も、確実とは言えない物だったからね…」

 

こうなる予感はあった。

あの怪物がこの動物病院にやってくる理由なんて、『ユーノへの復讐』以外に考えられなかったからだ。

そう考えるのは周りの銀髪オッドアイ達も同じようで…

 

「やっぱり居ねぇな…」

「あぁ、あの怪物の目的が病院に居ないんだからな。」

「だとしたら、もしかしてなのはの家が危ないんじゃないか?」

「いや、俺も一応それを考えて周りを見てたんだが、あんな怪物は居なかった。

 山とか森ならともかく、街中であいつが隠れながら移動できるようなところなんて…」

 

早速手掛かりが無くなってしまった訳だ。

こうなったら強引にでも探すべきか…

 

「ユーノ君、何か『探し物に使える魔法』ってないかな…?」

「!あるよ、丁度いいのが!」

 

意図を汲んでくれたようで、ユーノは『エリアサーチ』の魔法を教えてくれた。

…原作なら街を飲み込んだ巨木群に対して使う筈の魔法だが、

四の五の言っていられない。

歪みは小さい内に正すに限る!

 

「探して!災厄の元を!エリアサーチ!」

≪エェリアサーチ!≫

 

スピードラーニングは早めに用意しよう!絶対に!

 

 

 

放たれたサーチャーが辺り一帯を駆け回る。

付近の映像が頭に流れ込んでは来るのだが…

 

…不味いな、ほんとに居ないぞ。あの怪物。

 

何か、変な感じだ。

あいつは原作で一目散にユーノに襲い掛かった。

ユーノに復讐するつもりなら、今だって俺の方に近付いてるはずなんだ…!

 

なにか、見落としてるのか?

 

あいつは『何を』目的にユーノを襲ったんだ…

 

今こそ原作知識の出番だろ…思い出せ、あいつの特徴を…!

 

原作で、ユーノはあいつの事を何か言ってなかったか…?

 

 

 

―『アレは、忌まわしい力の下に生み出されてしまった思念体…』

 

…そうだ、確かにそう言っていた。

あいつは何の願いも受けずにジュエルシードの暴走だけで発生した個体だ。

もし、アイツに思念があるのだとすれば、それは()()意思だろう?

 

…原作でも明言されていないが、ジュエルシード自身に邪な意思が無いと言い切れるだろうか?

ジュエルシードは幾つもの願いを歪めて叶えた。

意思が無い道具なら、あれほど凶悪に願いがゆがむのだろうか?

 

あの怪物がジュエルシードの意思で動いているとしたら…?

そもそも本体でもない毛玉がダメージを受けたところで復讐に走るのか?

もし、あの怪物の目的が『夢でユーノに襲い掛かっていた理由のまま』だとしたら?

 

最初から、あの時の交戦すらも目的があっての事だとしたら…!

 

―『今まで見つけられたのは…まだ、たったの2()()…』

 

ユーノはあの怪物の前に、すでに1つジュエルシードを封印していた…まさか!

 

≪ユーノ!今、ジュエルシードって何個封印できてる!?≫

≪えっ、もちろん1()()よ。確か、原作でもそうだったでしょ?≫

 

もし、怪物の目的がユーノの持つジュエルシードだったなら…

もし、ユーノよりも近いどこかに、『別のジュエルシードがあったなら』…!

 

殆どが仮定で構成された、推理などとはとても呼べない妄想の様なものだ。

だけどもし、アイツに複数のジュエルシードが取り込まれるようなことがあれば…!

 

≪ユーノ、アイツの目的はお前への復讐じゃなくて、

 お前が持ってた『もう一つのジュエルシード』だった可能性は無いか!?≫

 

俺はさっきの予想をユーノに伝えた。

 

≪嘘でしょ!?そんな無茶苦茶な…それに原作でそんな話はしてなかったはず!≫

≪どのみちヒントも何も無いんだ、今はとにかく方針を決めないと!≫

≪…そうね、どちらにしてもこの辺りにあの怪物は居ない。

 なら、とにかく被害を減らさなきゃ…!≫

 

「みんな、聞いて!」

 

ユーノが声を張って注目を集める。

 

「この辺りにジュエルシードは無いみたいだ!

 僕の『予想』が外れていたみたい!

 だから、別の場所を探そう!」

 

銀髪オッドアイ達もその意見に異論はないようで、次の候補地を考え始めた。

 

「いっそ、ユーノが交戦した場所に行ってみるか?」

「いや、あそこ今は警察が捜査してるらしいぜ…

 俺らあそこで一斉にセットアップしたからその光で…」

「あぁ、爆発物がどうのってあれな…」

 

ユーノが交戦した場所に戻ってくる可能性はもちろんある。

だがその場合、捜査中の警察が何かしらアクションを起こすと思う。

 

「僕は、別のジュエルシードの場所に向かおうと思う。」

 

ユーノが告げる。

さっきの俺の予想が当たっていようといまいと被害を減らすにはそれしかない。

 

「本気で言ってるのか!?」

「そんなことしたら…」

 

なんとなく銀髪オッドアイの考えていることは分かる。

あいつ等は未来が分からなくなる事が怖いんだ。

原作の流れを再現すれば、未来はかつて見たものになる。そう信じている。

 

もしかしたら本当にそうだったのかもしれない。でも、もうどうにもならない。

きっかけはユーノを一部の銀髪オッドアイが追い回したことだ。

そして、俺はなのはとして向かわなければならなくなり、ユーノは俺と合流。槙原動物病院に入院する事もなくなってしまった。

 

あるいはこの時、遅刻を覚悟でユーノを動物病院に預けに行っていれば

原作の流れに戻せたのかもしれないが…

それこそ今更の話だ。

 

「聞いて!」

≪なのは、さっきのあんたの予想言うわよ!?≫

≪ユーノ…頼む!≫

 

ユーノはさっきの俺の予想を銀髪オッドアイ達に伝えた。

正直、この予想が当たっているかは俺にも分からない。

でも怪物の行動として、可能性は0じゃないと思う。

 

「あいつの目的が他のジュエルシードを集める事だったって?」

「あり得るのか、それ?

 本当だったら確かに他のジュエルシードの場所に向かった方が良いけど…」

「まぁ、でも動かないよりはマシか…」

「実際合ってようが外れてようが動くしかないよな。」

 

そうだ、動くしかない。

俺達はこの人数を活かしてチーム分けすることになった。

この場所を中心に東西南北に1チームずつと、原作の描写で確認できる場所を回るチーム。

合計5つだ。この場に居るのは俺とユーノ含めて21名。

よってユーノと俺を『一人分』として、4人ずつのチームに分ける事にした。

 

俺の担当は原作のジュエルシードの場所を回る『周回』チームだ。

俺の原作知識をユーノに伝えて、誘導してもらう。

 

そして当然行われるのが、なのはと一緒に行く3人を決めるじゃんけん大会だ。

神谷くんが封時結界をアピールしていたが、どのみち他の4チームにも必要ではあるので却下となった。

 

そして勝ち抜いたのが『神原 剣治』『神無月 蒼魔』『神王 隆(かみおう たかし)』この3名だ。

さらっと新顔(顔は同じ)が居るが、軽く自己紹介したらまさかのクラスメイトだった。

『初めまして』と言わなくてよかった…

 

俺のチームが決まった後は驚くほどスムーズに他のチームが決まっていった。

今度はジャンケンではなくその辺りの地理に明るいかどうかの話し合いで決めたらしい。

 

この後の動きはシンプルだ。

 

方位担当の4チームはそれぞれの区画で怪物の捜索を行う。

見つけた場合の対応は『その場で封印』か『連絡』の二択。

『暴走していないジュエルシードならその場で封印で十分だろう』と言うのはユーノの言葉だ。

この中で唯一、実際にジュエルシードを封印しているため説得力が高い。

 

怪物を含む暴走しているジュエルシードを見つけた場合はユーノに念話する事になった。

これは暴走しているジュエルシードが何をするのかが分からないためだ。

ただ封印するだけならその場で出来るだろう。

ただし、例の怪物が既にジュエルシードを取り込んでいた場合は分からない。

念のためを考えた結果だ。

 

ユーノが念話の担当になった理由は戦闘をこなせるほど魔力が回復していない事と

原作知識を持っている事。

他にも『周回チーム』であり、即座に駆け付けられる事等理由はあるが、

一番の理由は『なのはに対して念話をしないように』と言う暗黙の了解だ。

 

どうやらなのはがレイジングハートを手に入れる前から他の転生者達の間で

『原作キャラ』への不要な念話は禁止とされたらしい。

 

きっかけは前世にストーカー被害に悩まされていたと言う女性の転生者だそうだ。

毎日のようにかかってくる電話がどれほどのストレスになるのかを懇切丁寧に語ってくれたという。

 

今回の様な場合は問題ないと思うのだが、それでも『抜け駆けはずるい』とのことで

ユーノがまとめる事になった。

…と、ユーノが教えてくれた。

 

俺達は原作でジュエルシードが見つかった場所を巡回し、見つけ次第封印。

原作の順番を完全に無視する事になるが、

なのはがジュエルシードを放置する方がありえないのでこうなった。

怪物が居た場合はユーノが『方位チーム』に連絡してこちらに向かってもらう手はずになっている。

 

飛翔魔法を使えるとはいえ、相当なハードワークだ。

今回の目的は既に起動しているジュエルシード(怪物)が第一優先。

それさえ封印してしまえば被害は抑えられる為、解散となる。

見つからなくても10時には解散だ。

 

早めに見つかると良いな…

そう思いつつ、夜の街に飛び立つのだった。

 




今回の独自設定
『シリアル21はユーノのジュエルシード目当てだった』です。
理由としては
1.原作でユーノがの方が21番を見つけていたら暴走させるようなへまはしないだろう。

2.そうなると既に暴走していた21番の方がユーノを見つけた?

3.魔導士相手に襲い掛かった理由って何?

4.ジュエルシード狙ってた?
です。

もちろん目に付くもの皆手当たり次第に襲ってた可能性もありますし、
動物病院の件も普通に復讐の可能性もありますが、
この小説ではこの設定で行こうかな、と。

あ、流石にジュエルシードは転生者じゃないです。(念のため)
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