書いてる内に何か色々とっ散らかってしまった感もあるので、一部書き直すかも?
あ、犬の気持ち(アルフ&ザフィーラ)は多分やりません。
無数に存在する次元世界の中には、『無人世界』と呼ばれる世界がある。名前の通り、様々な理由から人が住んでいない…或いは元々は人が住んでいたが、何らかの事情でいなくなった世界の事だ。
『無人世界』と名付けられているとは言え、そんな次元世界にもやはり管理局の手が入っている事は多々ある。大抵の場合は凶悪な犯罪者を収監する拘置所であったり、少々訳有りな人物の保護観察の為に活用したりと…まぁ、要するに『世界規模で隔離』する何らかの事情が絡む際に使われる事が多い。
だが次元間移動と言う技術が発達した『管理世界』が存在するにも関わらず、未だに本当の意味で『無人』と言う環境が維持されている世界も当然ながら存在する。
それはそもそも確認されていない世界であったり、環境が求める基準を満たしておらず
そしてさらにもう一つ…『人の手には負えない凶暴な魔導生物が支配している』と言う場合もある。
何度も
何故私が今更そんな事を考えていたのかと言うと…今まさに私が居るのがその『凶暴な魔導生物が支配している無人世界』であり、目の前に居るのがその支配者たる魔導生物だからだ。
…いや、直ぐに両方とも『だった』と表現する事になるだろう。その支配者は、今まさに息絶えようとしているのだから…
「…蒐集開始。」
力無く横たわる支配者だった者の上から、『人間の手には負えない凶暴な魔導生物』を下したヴィータの声が響く。
私の眼前に倒れ伏す巨体の持ち主はもはや意識も無く、命尽きるまでのわずかな時を刻むように痙攣するばかり……それを行ったヴィータの眼前には機能を失う寸前のリンカーコアが引きずり出されていた。
「おいエール、管理局の動きはまだ無いんだろうな…?」
「え、ええ…今はまだ環境が整っていないようです。しばらくは警戒する必要も無いかと…」
「…ふん、まあシグナムが信じたってんならあたしも信じてやるけどよ…
もしもあたし達を裏切ろうってんなら、その時はお前がこうなる番だからな?」
「はい、肝に銘じておきます。」
ヴィータにそう忠告され、思わずもうピクリとも動かないその生物の陥没した頭部を見て息を飲む。
続いて足元を見て、私の手の平程はある大きさの
全身をびっしりと覆っていたこの『鱗』は物理・魔法の両方に耐性を持ち、その独特な構造から大抵の砲撃魔法は表面を滑るばかりで内部にダメージが届かないと言う厄介極まりない物だった。
頭部もすっぽり覆っていたはずのそれが
「…蒐集完了。
埋まったページは…大体10ページってとこか。まぁこんなもんだろう。」
「…」
人に比べてリンカーコアの質が悪い魔導生物は、魔導士のリンカーコアと比べて蒐集の効率は落ちる事を私は知っている。だがそんな効率の悪いリンカーコアでも10ページも埋まったという事は、かの魔導生物の実力が人を桁違いに上回っているという事実に他ならない。
私はヴィータの…ヴォルケンリッターの評価を脳内で上方修正する。いずれ不意を突く際にしくじらないように…
「今戻ったぞ、ヴィータ。」
「おぅ、ザフィーラか。で、周囲はどうだった?」
それからしばらくして索敵から戻ったザフィーラが合流したが、その表情はあまり良い成果があるとは思えない物だった。
「…やはり周囲に強い気配はない。今の個体がこの無人世界の頂点捕食者で間違いないだろう。」
「そうか、それじゃあさっさと次の世界に行くか。」
「一応この先600ヤード程進んだ先にそれなりの気配を感じたが…」
「良いよ、雑魚に用は無ぇ…カートリッジの無駄だ。」
ザフィーラの言う個体の情報が殆ど無いにもかかわらずヴィータはそれを雑魚と断じた。先程の個体に
もしやヴォルケンリッターはちょっとばかり不意を突いたところでどうしようもない相手なのではないか…そんな不安が脳裏を支配しそうになる。
「…そうだな。だが、そろそろ頃合いだ。先ずは一度家に帰ろう。」
「うん? もうそんな時間か…めんどくせえけど仕方ねえか。」
「…え、もう帰るのですか? カートリッジはまだ余っているのでしょう?」
口を突いて出たその疑問に、ヴィータとザフィーラがこちらを見る。
しまった…突然の帰宅宣言につい口をはさんでしまった。彼等の信頼を勝ち取れていない現状、あまり彼等の気に障るような言動は慎むべきだと言うのに…
「お前は気にしなくて良い事だ。」
そんな疑問はザフィーラに一蹴されてしまった。
だが私は寧ろその返答に僅かばかりの希望を見た。
ザフィーラの放った拒絶の言葉から『知られたくない』と言う意思を感じ取る事が出来たからだ。
勿論私と言う部外者をまだ信用していないであろう事から、どんな質問でさえこう返された可能性はある。
『何かしらの弱点』を求めるあまり、私の心が生み出した幻の希望である可能性もある。
だが今日の蒐集活動に参加して騎士達の戦闘能力を身近で感じた結果、彼等にはまだまだ余裕があるはずなのだ。どう考えても切り上げるには早すぎる。
彼等にしても蒐集と言う行為は最優先に達成するべき目標の筈…それなのにここで一度帰宅するという事は、
「…分かりました。皆さんの決定に従いましょう。」
だから今はただただ脳内に止めるだけにしておこう。いまだ見えぬヴォルケンリッターの本当の弱点を掴むために…
「いや…どうせ一度帰るんならついでにザフィーラの言う気配も狩って行こう。
大して時間もかかんねぇだろ。」
その後有言実行とばかりに再び一撃で魔導生物を仕留めるヴィータを見て、弱点と言うものが本当にあるのか? と少々不安になって来たが、それでも私は諦める訳には行かないのだ。
新たに埋まったページ数が8ページと聞いて更に冷や汗をかいたが、それでも私達は彼等を出し抜くしかないのだから。
――ガチャリ
と玄関の鍵が開いた音を聞きつけ、あたしは咄嗟に駆けだす。
「ただいま。エイミィ、機材の調整は…」
「おっかえりぃ~! クロスケ!」
帰ってきたクロスケの姿を確認するや否や飛び掛かるが、クロスケは最小限の動きで身を躱す。
「…はぁ、聞いてはいたけど本当にこっちに来ていたのか…ロッテ。」
「折角こうして師匠が助太刀に来てやったって言うのに、その態度は無くない!?」
まぁ…助太刀って言うのは嘘で、これからやる事は寧ろ真逆な訳だけどさ。
私だって弟子の足を引っ張るような真似はしたくないけど、相手が闇の書とあっちゃね…
…ソレはソレとして!
「ちょっ…荷物を持ってるから飛びつくな!」
「えぇ~? 久しぶりなんだから良いじゃんか~!」
「どういう理屈だ!」
クロスケもクライド君の事件は知ってるはずだけど、やっぱりまだ子供と言うか…青い所がある。そう言うところが可愛いと言えば確かにそうなんだけどさ。
「離れ…ろっ! エイミィ、来てくれ!」
「はいはーい…って、おぉぅ…これはまた随分と見せつけてくれますなぁ…!」
「馬鹿な冗談はやめろ! こいつっ、いい加減に…!」
「仕方ないなぁ~…続きは、あ・と・で…ね! なぁ~んて…」
うおぉ…凄い形相…! クロスケこんな顔も出来たんだぁ…って、これは流石にヤバいかも!?
「ゴメンゴメン! 久しぶりに会ったからテンション上がっちゃってさぁ!」
「…はぁ、もういい。代わりにコレ、冷蔵庫に入れておいてくれ…」
「任された!」
クロスケに持たされた買い物袋を持ってキッチンへ駆け出す。
我ながら師匠として情けないと思うけど、弟子と言ってももう普通にあたし達よりも強いしねぇ…それにこの一件の全権を握ってるのはあくまでクロスケとリンディちゃんだし、あまり気分を悪くし過ぎるのも問題だしね。
「…あれ? 艦長は一緒じゃ無いの?」
「艦長は近所に挨拶に行ってる。それよりも、今は機材の調子について教えてくれ。」
「あ、うん。今のところは問題無いかな。ただ多次元観測デバイスのバージョンが…」
例え冷蔵庫の前に居ようと、猫の五感を用いれば玄関の会話を聞き取るなんて訳はない。
…この情報によるとしばらくは他次元の観測は出来なさそうだし、ヴォルケンリッター達には今の内にページ埋めを頑張って貰おうかな?
使い魔のパスを通して向こう側に潜伏中のアリアに連絡しておこう。
…それにしても、話を聞いている限りクロスケは変わらないなぁ。
最初に会った時と変わらず純粋なまま…やっぱりこっちに来て正解だった。
多分クロスケは『闇の書事件』を本当の意味で終わらせる為だとしても『汚い手段』を取る事は出来ない。
それは確かに美徳だと思うし、時空管理局員たるものクロスケのように真っ直ぐな人間であるべきだとはあたしも思う。
だけど、『闇の書』に関してはそれでは甘い。
犠牲を出さないやり方では問題の先送りしか出来ないのが『闇の書』の質の悪い所なのだから。
だから詰めの甘い弟子に代わって、師匠であるあたし達がこの因縁を終わらせないとね。クロスケが『闇の書』を見るのが今回の事件で最後になる様に。
…もしあたし達がこの一件を無事に解決させられたとしても、多分クロスケは怒るんだろうな…「どうしてこんな馬鹿な真似をしたんだ!」って。
だとしても
きっとクロスケなら、いつか誰かの為に覚悟しちゃう気がするからね。
…私達の『闇の書』に対する復讐の気持ちは強い。
そう言う点で言えばクロスケはあたし達の計画に於ける大きな障害の一つだ。だけどそれ以上に師匠を超えてくれた弟子ってやつは、師匠にとって誇りでもある。
これでもあたし達の最後の仕事に
だから君の最後の障害を取り除く仕事は、私達に任せてよね。
シグナムさんとシャマルさんが強化されているのにヴィータさんだけ据え置きな訳がないじゃない。という事でヴィータさんの活躍回でもあります。
今回ヴィータさんが倒した生物の見た目は全身真っ黒なドラゴンをイメージしていただければ問題無いです。(全長20mくらい?)
鱗で魔法を受け流す『魔導士殺し』と言っても過言ではない厄介な奴です。
(ゲーム風に言うと【魔法無効】【物理耐性:強】みたいなのを持ってる感じ。)
ヴィータさんのスペックは分かりやすく言えば『当たれば殺れる』って感じです。
なのはさん達との戦闘時はデバイスを破壊しつくさないように手加減してましたが、ガチの技は本気で『必殺』技なので基本的に人間相手には使いません。(銀髪オッドアイ達にも使わない)
よってヴィータさんの必殺技はめったに登場しませんが、奇遇な事にA's編には使える相手が『一体だけ』居るので…
-2022/02/05 追記-
報告していただいた箇所を修正いたしました!
うっかりって怖い……!