まさかタイトルを書き忘れたまま投稿してしまうとは…
と言う訳でタイトル記載と本文中のちょっと違和感のある部分を書き直しました。内容に変化はありません。
エイミィから聞いた機材のコンディションから直ぐには動けないと判断した俺は、時空管理局本部と次元間通信を行うべく自室の端末を起動させる。次元間通信と表現すれば中々に近未来的な響きだが、簡単に言えばテレビ電話で国際通信する様なものと考えれば随分身近な技術だ。
そんなせんない事を考えている間に通信が繋がり、相手の顔が空中に表示される。
『やぁ、クロノ。こうして話すのも久しぶりだね。』
「お久しぶりです…グレアム提督。」
帰宅して早々グレアム提督に連絡したのは他でもない。彼の使い魔であるロッテについての事だ。
「早速本題に移らせていただきます。リーゼロッテが先程こちらに合流しましたが、これは貴方の指示でしょうか?」
『おぉ、ロッテは無事に到着したようだね。ああ、間違いなく私の指示だとも。』
まあ、これは確信していた。彼女がグレアム提督の指示に従わない事なんて考えにくいし。
「彼女をこちらに遣わしたのはどのような理由でしょうか?」
これが本題だ。
『闇の書』関係なのは容易に想像がつくし、父の件も含めて考えればグレアム提督の目的は前世で知っていたものとそう遠く無いだろう。
だが万が一という事もある。情報は引き出せる時に引き出さなければ手遅れになるのだ。
『…クロノ、今君がいる地球には『闇の書』がある。…そうだね?』
「…どこでそれを耳にしたのか、お尋ねしても?」
『なに、レティ提督が既に『闇の書』に関する報告を済ませていたからね。
…それに地球は私の故郷でもある。常々気にかけていたんだ。
まさか君が事件の担当をする事になるとは思ってもみなかったがね…これも因果と言う奴なのかもしれないな。』
…怪しいが、黒とは言えないか。持っている知識が正しいと限らない以上、断定も出来ない。
下手に追求すればこちらが逆に疑われかねないし、そうなれば最悪の場合こちらの予測を超えた行動を起こすかもしれない。
…仕方ない。
「そうでしたか。…確かに僕達も『闇の書』の存在は確認しました。
それを守るヴォルケンリッターとも既に交戦を…」
『うむ、そう言う場合の事も考えて彼女を君達の下に送ったのだ。
私達には………そう、『経験』があるからね…』
深い後悔と怨恨の色を宿すグレアム提督の眼を見て確信した。グレアム提督の目的は変わっていない。
その判断に至る経緯を理解できても、やはり納得は出来ない。
確かに『破壊できないのなら封印する』と言う理屈は分かる。力を求める欲深い者の手によって封印が暴かれる可能性はあるが、それは管理局が封印を管理すれば良い話だ。
何なら以前プレシア・テスタロッサがそうしようとしたように、『虚数空間』に永久に封印すると言う手段だってある。
だが、その計画に
民間人諸共永久に封印する等、警察機構も内包した時空管理局の取る選択肢としてあってはならないのだ。
グレアム提督の判断には、彼自身の『
…だが、俺が知っている物語は『だからこそ』ハッピーエンドに辿り着いた。
クロノとして生を受けた時から、いつか来る時だと考え続けていた二つの選択肢。
どちらにも『理』があり、間違いの無い選択肢…ついに俺は今まで選ぶ事が出来なかった。
即ち、『グレアム提督の計画を利用するか否か』…
彼等の計画を利用して『闇の書を完成させれば』…そして、その上で『闇の書の闇を引きずり出せれば』、その先に全てを救うハッピーエンドはある
だが、もしも失敗すれば待っているのは『地球が滅ぶ』か『はやての封印』…或いはもっと良くない結末を辿る事になるかもしれない。
民間人の命を天秤にかける等、本来有ってはならない。だが一方でその先に掴めるかもしれない未来は、目を背けられない程に魅力的でもある。
…いや、『考え続けていた』なんて言うのは言い訳か。
きっと心の底で俺はずっと前に選んでいたんだろう。
本気で『闇の書』を破壊するつもりだったなら、もっと前…それこそジュエルシード事件の時にでも動けた筈だ。
多少強引にでも八神はやての家を見つけ出し、偶然を装って…或いは物取りに見せかけても良い。『起動前の闇の書の確保』は出来た筈だった。
…もしかしたら俺は管理局員として失格なのかもしれないな。
いかんせん『全てが上手く行った場合の未来』を知っているが為に『何か一つでも上手く行かなかった場合の結末』から目を背け、民間人が巻き込まれる事を許容したのだから。
既に八神はやては『闇の書の主』になってしまった。俺が動けば回避できた可能性の筈だった。
だったらこれからどう動くかは決まっている。ここまで来てしまった以上、後戻りなんて許されない。
『…クロノ? 何か考え込んでいるようだが、何かあったのかね?』
「…いえ、こちらの事ですので。
リーゼロッテを派遣してくれた事、感謝します。」
『なに、私としても事態の解決には全力を尽くすつもりだ。
何か悩み事があれば遠慮なく私やロッテに言ってくれたまえ。』
「はい、ありがとうございます。…でしたら、少々部隊を借りたいのですが…」
…何が何でも『あの未来』に行き着く。既に八神はやての命を懸け皿に乗せてしまっていた俺には、その道しか許されていない。
「あ、クロノ君! さっきロッテさんが…って、大丈夫?
何か元気ないけど…」
リビングに出てきたクロノ君を見て、思わずそう聞いてしまう程には元気が無いように思える。
確かグレアム提督に通信するって言ってたはずだけど…何か言われたのかな…?
「エイミィ…ああ、問題無いよ。少し考える事があってね。
それでロッテが何だって?」
「…うん、えっとね…クロノ君達がヴォルケンリッターと交戦した時の映像を見せて欲しいって言うんだけど…」
「ああ、その程度なら構わないよ。」
「さっすがクロスケ! 話が早い!」
あー、やっぱり見せても問題無いって言っちゃうかぁ…
確かに情報としての重要度と言うか、機密性としては低めだけど…リーゼロッテさんがスパイって知ってる私としては、出来る限り情報は渡したくなかったんだけどな…
「じゃあリーゼロッテさん、こっちに来てください。
基本的に管理局の技術とかデータとかは奥の方にあるので…」
「はいはーい! じゃあクロスケ、また後でね!」
まぁ流石のクロノ君とは言っても、この段階でリーゼロッテさんがスパイと見抜くのは難しいよね…なんたって師匠なんだし。
…さて、どうしたもんかな。
見せると拙いのは多分、ヴォルケンリッターの動きが変わった瞬間だよね…
魔法戦に関しては専門外の私でも丸分かりなくらいだし、クロノ君の近接戦闘の師匠であるリーゼロッテさんが見抜けない訳がない。
あー…でも逆に考えれば私達よりも闇の書に詳しいであろうリーゼロッテさんなら、『例の状態』になる条件についても何か分かるのかな?
「これで、良しっと…じゃあ映像出しますけど、どれから見ます?」
「んー因みにエイミィちゃんのお勧めは?」
いや、レンタルビデオ店じゃ無いんだから。まぁお勧めを聞かれたらそりゃ答えますけど。
「お勧めって言えば当然クロノ君の映像ですよ!クロノ君の相手はヴォルケンリッターの将であるシグナムって騎士だったんですけど、それがもう強いのなんのって!あのフェイトちゃんでさえ墜とされちゃって、一応蒐集は免れたんですけどシグナムは魔力弾や砲撃も刀一本で切り払う程の使い手…!皆の魔法が切り払われて蛇に睨まれたカエルがごとく立ち竦んでしまって、『あわやみんなの大ピンチ!』ってとこで颯爽と駆け付けたクロノ君のシーンが何ともカッコ良くて!転送した時に土煙をS2Uで振り払うんですけど、注目するのはその時の髪の毛の動きですね!ふぁさって風に靡くあの艶やかさと凛々しい表情ときたらもう私だって何回見返したか…」
「ストップ、エイミィちゃんストップ。」
何ですかこれから盛り上がるところだったのに。…あれ、リーゼロッテさん何かさっきより微妙に遠ざかってません?
「あー…取りあえずエイミィちゃんのクロスケ好きは分かったからさ、先ずはシグナム以外から見たいかなー…って…」
「えっ? …あぁ、ショートケーキのイチゴは最後に食べるタイプでしたか?
奇遇ですね…私もです! もしかしたら案外気が合うかもしれませんね!」
「あ、あはは…そうかもねー…」
何ですか全く、同好の士だったならもっと早く言ってくださいよ!
何でそんなにテンション低いんですか!? 折角の鑑賞会なんですからテンション上げていかないと!
ロッテ(アリア、代わって…)
アリア(ロッテ、代わって…)
次回はレイジングハート・エクセリオンとバルディッシュ・アサルトの帰還です。
ただなのはさんはまだ収集から完治してませんので、しばらくは動きも少ないかなと。
(蒐集のダメージは原作よりも軽いですが、それ以上に速くデバイスの整備が完了したので)