転生者を騙す転生者の物語   作:立井須 カンナ

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今回はいつもよりちょっと短めです。

久しぶりに図書館メンバー視点。


事が動く少し前

二重になっている自動ドアを潜ると、久しぶりに嗅ぐ『本の匂い』がした。

少し前はここに入り浸ってたなぁ…と過去を懐かしんでいると、遠目でも目立つ集団が目に入ったので近づいて行く。

 

「…あれ、神尾? お前が図書館に来るなんて久しぶりじゃねぇか!

 

その集団の一人である神路が俺に気付くと、器用に小声で叫びながら競歩の様な急ぎ足で近付いてきた。

…そう言えば司書さんに叱られる内にそんな特技も身に着けてたなぁ…

 

「あぁ、ここ最近はあいつ等の訓練に混ぜて貰ってたからな。」

 

そう…この数日間俺は図書館に入り浸っていた時間を使い、ジュエルシード事件に関わってた奴らの訓練に混ぜて貰っていた。

理由はシンプルに実力不足を痛感したからだ。

 

「訓練か…やっぱり普段から訓練してる奴らって俺達より強くなってるよな?」

「そうだな。この間なんかは管理局の結界も使わせて貰ったりして、大規模な模擬戦とかも出来たんだけど…

 あいつらバケモンかと思ったぞ。」

「…そんなに?」

「魔力操作とかも俺達より上だけど、それよりも連携の質が全然違うわ。

 チーム戦では念話で打ち合わせとかする暇が無いだろう一瞬の攻防でも直ぐに息の合ったコンビネーションかましてくるし…」

「あー…確かにそう言うのも鍛えられそうだよなぁ…」

 

あいつ等の連携の練度ガチだったからな…

何でフレンドリーファイアを警戒せずに砲撃ポンポン撃てるんだと思ったら、次の瞬間には背後から来ている砲撃を一瞥せず当然のように躱すからな。

寸前まで足止めされてたからそりゃもろに喰らうよなって…

 

「…まぁ、それでもフェイト一人にボコられてたんだけどな…」

「えぇ…」

 

ぶっちゃけあの中で一番ヤバかったのはフェイトだった。

一人が持っていて良い戦闘力じゃ無いわ、アレ。

速いなんてもんじゃないし、何故か魔力光が2色あるし…正直何があったのか聞きたいけど、周りは皆当たり前のように扱ってるもんだから妙に聞き難いし。

 

「それにしても…お前急に訓練に参加しだしたけど、やっぱり『蒐集された』ことが切っ掛けか?」

「…まぁ、それもあるかな。」

 

唐突な神路の質問に俺はそう誤魔化す。

…と言うのも、実は蒐集された事自体は()()()()だからだ。

それまで訓練で実力を伸ばしたり、新しい魔法を身に着けようとしなかったのも()()()()()()()()()()()()()からだ。

 

そしてめでたく蒐集された事で俺がこのA's編でやりたい事は既にほとんど終わっている。

 

だがこれはまだ誰にも話していない。

これは一種の賭けでしかなく、俺も確信を持っている訳では無いからだ。皆をぬか喜びさせたくはない。

特典を決める際に『その特典はNG』と言われた時に思いついた、ある種の裏道…これがちゃんと効果を発揮してくれるかに全てはかかっている。

 

俺に出来る事はもう『待つ』くらいしかなく、今鍛えているのだって将来管理局に入る為でしかないのだ。

 

「はは…お前、瞬殺されたって凹んでたからなぁ。」

「笑ってる暇があったらお前も鍛えた方が良いって。

 実際対峙してみるとめっちゃ怖えからマジで。」

 

…別に蒐集に向かってきたヴィータが怖かったとかじゃない。俺の全力の障壁がアイゼンを掠らせただけで木っ端微塵に砕け散った事を気にしている訳じゃないし、その余波であっさり吹っ飛ばされた後の『雑魚が』と言う言葉に傷ついた訳でもない。

ないったらないのだ。

 

…と話しながら移動している内に、すずかと話しているはやての姿が見えた。

久しぶりに見るけど相変わらずいい笑顔だ。

だけどすずかとの談笑を邪魔するのも悪いし、ここは皆と一緒に見守るだけの壁になるとしようか…

 

…因みに今日の付き添いは誰だろうな? シャマルかな? シグナム? ザフィーラ? もしかして前にも見たヘルパーさんかな…?

 

ヴィータかな…? ヴィータじゃないと良いな。いや怖いとかじゃなくてさ。やっぱりヴィータもあの戦闘の後だとちょっと気まずい物とかあるじゃん? はやての前だとさ。いや別に俺は気にしてないけどね? 怖いとかじゃないけどね? ただちょっと脚は震えるよね。怖いとかじゃなくてさ、可愛さで震えるよね。前世の歌の人は会いたくて震えてたし、それに近い感じって言うのかな? だから怖い訳じゃ無いんだよこれは。

 

…あ、シャマルか。

 

………いや別に怖かったわけじゃないけどね!?

 

 

 


 

 

 

「これで…良しっと!」

 

最終調整の為のコードをパネルに入力し終え、凝りを解すように肩を回す。

長時間の作業だった為か腰も肩もパキパキと軽い音を立てるが、一仕事終えた後の開放感もあって実に清々しい音に聞こえる。

 

「えーっと、タスク完了までの時間は…うへぇ…」

 

パネルに表示されたプログレスバーの残時間を確認して思わず声が出た。

本局からかなり離れている管理外世界だからだろうか、セットアップにはまだまだ時間がかかりそうだ。

 

…これ以上ここに居ても出来るのは待つ事だけだし、とりあえず休憩しようかな。

 

そう考えて部屋を出ると、射しこんだ夕日の光でオレンジ色に染まったリビングが目に入った。

壁に掛けられた時計を確認すると、時刻はもう直ぐ17時と言ったところ。どうやら処理は明日の昼頃に終わりそうだなと、ぼんやりと思う。

 

「あらエイミィ、セットアップは終わった?」

「あ、艦長。はい、後は待つだけですね。」

 

声に振り向くと夕食の支度をしているらしい艦長の姿が目に映る。

 

「へー…エイミィちゃん結構仕事速いんだね。あたしはもうちょっとかかると思ってたんだけど。」

「そう思ってたならリーゼロッテさんも手伝ってくれれば良かったのに…」

「いやー、あたしはああいうのはあんまり得意じゃなくてさぁ…

 セットアップが完了した端末を弄るのは出来るんだけどね。」

 

確かにリーゼロッテさんにはそう言うイメージがあるけど、もうちょっと何かしらサポートしてくれてもよかったんじゃ…

 

そんな事を考えていると、ふともう一人居るはずの人物の姿が無い事に気が付いた。

 

「…クロノ君は今日もですか?」

「そうね。私もあまり気を張り過ぎるのは良くないって言ってるんだけど…」

「クロスケはあまり余裕が無い感じだね。…やっぱり相手が()()『闇の書』だから…かな。」

 

艦長に聞いてみれば予想通り、クロノ君は今日も外出してるみたいだ。

最近は妙に気を張っているって言うか、何かに追い立てられている様な…そんな表情をよく見かける。

 

以前『多次元観測用の設備が整うまでは、せめてこの地球での被害は抑えたい』って言っていた事は覚えているけど、どうも理由がそれだけとは思えない気迫がある。

やっぱりリーゼロッテさんの言う通り、『闇の書』を前に力が入ってしまっているのかな…

 

「…ただいま。」

「あら、噂をすれば影ね。」

「クロノ君、おかえり!」

 

帰ってきたクロノ君はやっぱり少し元気が無いように見える。

悩んでいる事があるのなら、言ってくれればいくらでも相談に乗るのにな…

 




分かりやすい蒐集

  ↓神尾                       ↓ヴィータ
  (/・ω・)/カマーン                   Σ(゚Д゚)
  (;´・ω・)               (・言・´)Σ≡≡===─
  (; ・`д・´)      (ʘ言ʘ╬)Σ≡≡====─ ⌒ヘ。←薬莢
ガ─(‘ε乂)─ド(ʘ言ʘ╬)Σ≡≡====─
(‘ᴗ’三Σ[アイ]〇[ゼン]
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