転生者を騙す転生者の物語   作:立井須 カンナ

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またも投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
中々思った通りの文章が書けなくて……


たった一度だけ勝つ為に

一日の授業を終えた後、俺はクロノと一緒に再び時空管理局本局を訪れていた。

理由は勿論、リンカーコアの検査の件である。

 

「……うん、もう大丈夫。リンカーコアの再生も済んでいるよ。」

「それじゃあ、もう魔法を使っても…?」

 

事前に聞いていた通りではあったが、それでも完治と聞くと込み上げて来るものがある。

今直ぐにでも空を飛んで砲撃魔法を撃ちたい気分だ。

 

いや物騒な意味ではなく、筋肉の凝りを解す為にノビをする感じと言うか……

 

「屋内でなければね。ただ本格的に魔法を使う前に、少し慣らしておいた方が良いよ。

 久しぶりに使う魔法の制御を誤って怪我をしましたって言う例も、それなりにはあるからね。」

「はい!」

 

魔法の制御に関しては毎日軽い訓練をしていたから問題無いとは思うが、やっぱり色々と感覚を取り戻しておきたいと言う気持ちはある。

空だってここしばらくは満足に飛べていないし、随分とブランクができてしまったからな。

 

「ありがとうございました!」

 

先生にお礼を言って診察室を出ると、クロノが待っていた。

 

「大丈夫だったか?」

「クロノ君! うん! もう完治してるって!」

「そうか、完治したのなら良かった。

 丁度僕もこちらでの用事は済ませて来た所だ。君に何か用事が無ければこのまま地球に戻るつもりだが……」

 

……管理局に用事か。少なくとも俺には無いな。有ったとしてもユーノに会って話すくらいだけど、急用と言う訳でも無いしな……

 

「私は大丈夫だけど……クロノ君の用事って何だったの?」

「ん? ……ああ、整備中のアースラの事で少しね。

 闇の書対策に使うかもしれない装備の申請をしてきたんだよ。……使わないに越した事はないけどね。」

 

なるほど、アルカンシェルか。確かにあんな兵器を持ち出すとなれば、申請の一つや二つは必要だろう。

なんせ影響範囲数百キロの反応消滅砲だ。下手に使えば自分達が次元世界崩壊の切っ掛けにさえなりかねない。

 

……俺達がちゃんと闇の書に対処出来なければ、最悪の場合地球も影響範囲に入れてしまうのだろうか。クロノの事だから最後の最後まで巻き込まないようにしようと考えてくれるとは思うけど……

 

「……とにかく、用事が無いのであれば早めに帰ろう。

 こうしている間にもヴォルケンリッターが動き始めるかも知れない。」

「うん!」

 

そうだな。『ちゃんと対処出来なければ』なんて考える暇があるなら、少しでもマシな対処が出来るように動くべきだ。

相手はヴォルケンリッター……フェイトとアリシアを二度も降したシグナムが率いる英傑の集団なのだから。

 

「……あっ、そうだ!

 この前張って貰った結界なんだけど……」

「ああ、分かっているとも。

 場所はまた例の公園を使うとしようか。」

「ありがとう!」

 

今はとにかく新しいレイジングハートに早い所慣れて、カートリッジシステムを使った魔法についても試しておかないとな。

 

 

 


 

 

 

「……シグナムに勝つ為にはどうすればいいか、ですか?」

 

授業を終えて帰宅後、私はリニスに相談を持ち掛けていた。

 

「……シグナムに勝つ為には速さだけじゃダメだった。

 今の私には戦いの技術が圧倒的に足りてない……」

「そうですね……確かに貴女の強みである速さを活かす技術を身に着ける事が出来れば、貴女はまた一つ強くなれる事は間違いないでしょう。」

「うん、だから……」

「ただし」

 

私の言葉を遮るようにリニスが人差し指を立てて話し出す。

 

「付け焼刃の技術が通用する相手ではありません。それはフェイトが一番解っているでしょう?」

「……うん。」

 

解っている。完全にモノに出来ていない技術は大抵の場合、肝心なところで自分の首を絞めるものだ。

完成したばかりの必殺技が上手く決まるのは漫画の中だけの話なのだから。

 

「……私はどうすればシグナムに勝てると思う?」

 

私は質問を変えた。必要な技術を求めるには時間が足りな過ぎる。

今本当に必要なのは『これからずっとシグナムに勝ち続ける方法』ではない。

『たった一度、虚を突いた初見殺しであろうと勝てる可能性』なのだ。

 

私の新たな質問に、リニスは「そうですね……」と数秒間目を瞑り考えた後……

 

「一番手っ取り早いのは、やはり相手の癖を見抜く事ですが……先日拝見した映像では、癖らしい癖が見当たりませんでしたね。」

「……それもあるけど、多分シグナムの場合自分の癖も知っていると思う。

 それに……最後の技を使われたら、私は撤退するしかない。」

 

昨日の戦いの後、私はクロノの許可を得て記録映像のコピーを貰っていた。

何か勝ち筋に繋がる癖の一つでも見つけられれば……そう思っての事だったのだが、長年戦いの中に身を置き続けた為か、分かりやすい癖は見つからなかったのだ。

その上、最後の技が一番の問題だ。あの技は使われるだけで私は距離を取らざるを得なくなる『近距離殺し』だ……カートリッジの事もあって乱発こそされないだろうけど、ここぞと言う時を確実に潰してくる。

 

「確かにあの技は完全な攻防一体をなしている()()()()()()()

 最後の突きも、恐らく音速に届いているでしょう。……音速を超える事を禁じられた貴女では躱すのが精一杯でしょうね。」

「うん……ん? ()()()……?」

 

その良い方だと、まるであの技に欠陥があると言っているようにも聞こえるけど……

 

「はい、あの技には一瞬ですが付け入る隙があります。

 それも()()()()()付け入る事が出来ない隙が。」

「……っ! 教えて!」

「一応言っておきますが、飛び切り危険ですよ?」

「……それでも、勝つ為だから……!」

 

シグナムのあの技は、間違いなく『必殺技』だ。

相手に合わせてその場で作った漫画の必殺技じゃない。

長い戦いの中で最も信頼を寄せる実績を持つ技だ。

 

だから、その技を『たった一度で良い』……正面から破る事が出来れば間違いなく虚を突ける……!

例え大きなリスクがあったとしても、賭けるだけの価値はある!

 

「まぁ、音速を超えるよりはリスクはありませんが。」

「うっ……」

 

時々リニスは意地悪だと思う。

 

 

 


 

 

 

≪闇の書の蒐集状況はどう?≫

 

八神はやての家で待機中にリンディ達の方に潜入しているロッテから念話が届いた。

ヴォルケンリッター達は思念通話で次の蒐集先を決める話し合いでもしているのだろう。時々アイコンタクトが飛び交っている。

 

……こちらの念話に気付いた素振りはない。

 

≪かなり早いね。もう550ページ近くまで進んでる。そっちはどう?≫

≪今のところはバレてない……のかなぁ? ちょっと自信が無いや。≫

≪ロッテ!?≫

 

そっちがバレたらこっちも芋づる式にバレる可能性が高いんだからね!?

潜入前にあれだけ言い聞かせたって言うのに……!

 

≪いや! あたしも致命的なへまはしてないよ!?

 ただ、先日の交戦の件でちょっとねー……≫

 

先日の交戦と言うと……ああロッテが事前に教えてくれた情報では管理局員が待機していない筈の無人世界で、何故か潜伏していた管理局員に捕捉された一件か。

 

≪アレはクロノが()()作戦ギリギリのタイミングでレティ提督の部隊を借りたのが原因じゃなかったの?≫

 

でもアレはその後直ぐにクロノ自身がそう言っていたってロッテが連絡してきたじゃないか。

 

≪あー……うん、クロスケもそう言ってたんだけどね。≫

≪何? 裏があるって?≫

≪どうなんだろうね? あたしが知ってるクロスケなら、ああ言うギリギリの場合でもホウレンソウはしっかりすると思うんだよね……≫

≪……確かに、ちょっと妙かもね。≫

 

言われてみればあの堅物が勝手な行動を取ったり、連絡を疎かにするなんて考えにくい。

でももしそうだとするなら、既に身内にスパイが紛れ込んでいるってバレているって事じゃ……

 

≪でしょ? ……まぁ、クロスケとしても闇の書は因縁の相手だから焦るあまりうっかりって事もあるかもしれないけどさ。≫

≪……油断だけはするんじゃないよ?≫

≪解ってる。ちゃんといつも通りのあたしを心がけてますとも!≫

≪ホントに頼むよ? 蒐集のペースを考えると何時Xデーになるか分からないんだから。≫

 

チャンスは一瞬。ヴォルケンリッター達の弱点も見えてきたところなんだ。

その隙を突くにはロッテとの連携が必須なんだからね……




正直フェイトさんは士郎さん辺りに鍛えて貰うのが一番強くなる(高速戦闘のノウハウ的な意味で)とは思うのですが、『神速』の速度が実際どれほどかが厳密には決められてないっぽいんですよね……
衝撃波が出ている感じはしないので音速には達していないとは思うのですが、いかんせん『高町家』なので強引に音の壁を超えているかもしれませんし……
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