何か一気にやる事が増えてしまい、執筆にあてられる時間も減ってしまい……(言い訳)
検査の翌日。
今日も一日の授業を終えた俺達は、海鳴臨海公園に張って貰った結界に集まっていた。
その中には当然フェイトとアルフの姿もあり、加えて今回はなんとリニスまでついて来た。
どうやらフェイトは今回少し特別な訓練をするらしく、その監督の為に来たらしい。
アルフはアルフで既に秘策は用意したらしく、今は近接戦の立ち回りを中心に特訓中との事だ。
そんな事を思い返していると、リーゼロッテから確認の通信が入る。
『それじゃあ、なのはちゃん。
今からセットアップして貰うけど、まだまだ病み上がりだから無茶はしないでね!』
「はい!」
いよいよ数日ぶりのセットアップだ。
実は昨日の検査でリンカーコアの再生が完了した事は分かっていたのだが、高町家の門限の事もあって結局あの後はそのまま家に帰ってしまったため、今日が本格的な訓練の再開日なのだ。
首に下げていたレイジングハート・エクセリオンを手に持ち、掲げる。
たった数日セットアップして無かっただけだって言うのに随分久しぶりに感じるな……心なしかテンションも上がってきた。
「レイジングハート・エクセリオン!」
俺の呼びかけの声にレイジングハート・エクセリオンは光を発し、帯状の魔法陣が俺を取り囲むように螺旋状に展開される。
≪
えっ!?
……あっ、そうか!エクセリオンになってから最初のセットアップだから色々と処理が必要なのか!
いや、今重要なのはそんな事じゃなくて……
≪レイジングハート、英語喋れるようになったの!?≫
≪あ、これシステムメッセージだから俺が喋ってる訳じゃないんだよね……≫
≪あっ……≫
……なんか、ゴメン。
その後しばらくシステムメッセージが流れたかと思うと
≪
レイジングハート・エクセリオンからゴーサインが出た。
「レイジングハート・エクセリオン……セットアップ!」
≪Drive ignition!≫
久しぶりに見る光が体を包む。
通う学校の制服をモチーフにしたバリアジャケットが鎧となって身を包み、手に握る杖はカートリッジシステムに用いる弾丸を内蔵したマガジンが取り付けられて若干ごつくなった。
≪こうして手に握るのも久しぶりな気がする……マガジンもそうだけど、色々変わったんだよね。≫
≪確かにより遠距離向きになったけど、鈍器としても使える事を忘れないでくれよな!≫
≪前言撤回。変わらないね、レイジングハート。≫
≪流石に数日じゃそうそう変わらんよ。人間だもの。≫
デバイスじゃないのか。
『……うん、計器が示す数値も正常!
じゃあカートリッジシステムの調子を見る前に、先ずは軽く飛翔魔法から試して行こうか。リハビリも兼ねてね。』
「はい!」
飛翔魔法か……最近は使ってなかったけど、感覚は何となく覚えている。記憶を頼りに先ずは真上に……
≪Axel Fin.≫
「わっ!?」
何か記憶よりも随分速くなったな……これは、慣れるのにちょっとかかるかも……
…
『うん、大分慣れて来たみたいだね。』
「はい!」
多少の修正は必要だったけど、思った程はかからなかったな。割と感覚でどうにかなるようだ。
『これからカートリッジシステムの訓練も兼ねて模擬戦してもらうけど……なのはちゃん、門限の方は大丈夫?』
「はい、今日は友達と遊んでから帰るって言ってあるので!」
今日は言い訳もバッチリだ。
遊んでいるかはともかく、友達と一緒に居る事に嘘は無いし。
そう考えながら、少し遠くでリニスと一緒に訓練しているフェイトに視線を移す。
フェイトはどうやら飛翔魔法の訓練中らしい。何やら新しい事を試そうとしている様なのだが、中々上手く行っていないのか時々首をひねっている。
『うーん……まぁ親御さんにあまり心配かけるのも悪いし、ちゃっちゃと終わらせようか!』
「はい!」
リーゼロッテが提示した模擬戦のルールは以前フェイトが行ったものと同じ、『5分間攻撃せず』『カートリッジの魔力を使った魔法を最低一回使う』と言う物だ。
『魔力の通りに違和感を感じたり、魔法の制御に不安を覚えたら直ぐに言ってね!
こっちから人員を送るからさ!』
「はい!」
模擬戦の相手は今回もその場でリーゼロッテが焚きつけた10人だ。
毎度思うがあいつ等をこうも簡単にコントロールするその手腕は見習いたい物がある。……その手腕を身に着けるまでの事を思うと、少々同情的な物を抱いてしまうが。
「懐かしいな……この感じ。」
「ああ、この心臓を鷲掴みにされるかのような魔力の圧……流石だぜ……」
「俺……この訓練が終わったら告白するんだ。」
この扱いも懐かしい……いや、こんな扱いされた事あったっけ!?
「なんか、凄い怖がられてない……?」
「ああ悪い、励起したなのはの魔力を浴びたからつい……」
……もしかして、俺の魔力って俺が思ってるよりヤバいのか?
「……リーゼロッテさん、もしかして私の魔力って……」
『あー……あはは、まぁちょっとあたしも自信無くすかなぁ~……
800万ってなにさ……』
マジか……魔力値500万とか超えちゃってるとか? ……流石に無いか。
「あっ、そうだリーゼロッテ!」
『はいはい……って、せめて“さん”付けしてよ!』
「なのはの魔力ってこんな感じだけど、カートリッジ使って結界とか大丈夫なのか?」
『…………ほ、砲撃はやめてくれると、お姉さんは安心できるかな~……なんて。』
……そう言う事になった。
…
はい。
≪20…19…18…≫
「やっべぇ! 硬ぇ!」
≪17…16…15…≫
「レイジングハートのカウントダウンが魔王の鼓動にしか聞こえない!」
≪14…13…12…≫
「別に墜としたい訳じゃないけど、障壁を破壊するくらいはしたい!」
≪11…10…9…≫
「10秒切ったぞォ!」
≪8…7…6…≫
「お前らぁ! こうなったらプランCだ!」
≪5…4…3…≫
「プランCってなんだっけ!?」「砲撃チャージだよ! 覚えろよ!」「お前もばらしてんじゃねぇよ!?」
≪2…1…0!≫
「「「「「「「「「「知ってた!」」」」」」」」」」
何だろう、凄いデジャヴだ。
≪じゃあ、やるよ。レイジングハート。≫
≪砲撃以外って話だよな……アクセルシューターが妥当か。≫
≪うん、お願い。≫
≪あいよ。因みに何発くらい出す? 多分感覚的には40発以上は出せると思うけど。≫
≪……取りあえず、その半分くらいかな。制御に失敗したら大変そうだし。≫
≪了解。≫
「レイジングハート・エクセリオン! カートリッジロード!」
≪Load Cartridge.≫
レイジングハートがカートリッジをロードし、魔力が流れ込んで来る。
……うん、特に問題は無さそうだ。ただ急激に力を増した所為か妙な高揚感があるな、コレ。
今なら誰にも負けないんじゃないかって全能感だとか、この魔力を思いっ切り使いたいって言う欲求とか。
……どうしよう、SLB撃ちたい。
≪なのは、落ち着け。撃つのはアクセルシューターだ。≫
≪大丈夫。解ってるよ。
……あっ、でもちょっと提案があるんだけど……≫
≪……正気か? いや、やるけどさ……≫
まぁぶっつけ本番でやるって言うなら我ながら正気じゃないとは思うけど、こういう訓練の場で試すって言うなら悪くないと思うんだ。
ただ、ちょっと操作が難しくなるかもしれないけど……
「アクセルシューター……シュート!」
≪Accel shooter.≫
レイジングハートの穂先から、勢い良く多数の光が放たれる。速度が増し、さながらレーザーのようにも見えるが正真正銘の魔力弾だ。
≪
「うん。」
20発か……蒐集される前は、自分の魔力だけで作ったシューターの操作は5つまでだった。
最近は訓練で操作するシューターも1つにしていたし、今回の魔法はちょっとした
「ちょっ、多い多い多い多い!!」
「これ何発出してんだ!? 制御出来るのか!?」
「落ち着け! 速いけどよく見ればちゃんと躱せる! 対処可能な速度だ!」
「ああ、制御も甘い! これだけの数の操作は流石のなのはもてこずるんだ!」
くっ、思ったよりもずっと難しいぞこれは……
アクセルシューターの速度を、ちょっと甘く考えてたかもしれない。
……だめだ。視覚に頼っているとどうしても弾を目で追ってしまって、コントロールにムラが出てしまう。一旦眼を閉じて魔力を感知する事に集中しよう。
俺を取り囲む10人の魔力と、ぐちゃぐちゃな軌道で飛び交う20発の魔力弾を感じる。
大丈夫だ。魔力を感知してコントロールし、別の魔力に向けて軌道を変える……いつも魔力弾スーパーボールでやってた事じゃないか。
落ち着け、最初から20発をバラバラに操作しようとするから混乱するんだ。先ずは4発の魔力弾を1グループとして区分けして……
「動きが変わった……!」
「どうやらなのはもだんだん操作に慣れて来たみたいだな。」
「……どうする? 一応今本体隙だらけだけど。」
「ばっかお前、模擬戦とは言ってもこれはなのはの訓練だぞ?
完全に慣れるまでしっかり
「ヒュー! 紳士的ィ!」
「よせやい照れるぜ。」
気が散る!
その気遣いはありがたいけど、出来ればもう少し静かにしてくれ!
……うん、弾速にも慣れてだんだん感覚も掴めてきたぞ。
後は2発ずつのグループに分けて、それから……
「うお、っと……! かなり精度が上がって来たな!」
「これっ、結構……っ、俺達にとって……もッ! ……良い訓練になるぞ!」
「ああ、この一件が終わったら新しい訓練メニューに加えるのも有りだな!」
だんだんと魔力弾の動きも良くなってはいるが、まだまだだ……!
なのはは原作でヴィータ相手にぶっつけ本番で操作を成功させているんだ。RPをするのなら、その操作技術まで模倣し切らないと話にならない……
……!
操作をしている途中、唐突に頭の中で何かが噛み合うような……
初めてやる事なのに、まるで
何となくだが、今なら20発の魔力弾の制御も難なくこなせそうだ。
……眼を開くと、こっちを見ている数人の銀髪オッドアイ達と目が合った。
「待たせちゃってごめんね。……ここから本番だから!」
その言葉と同時に20発の魔力弾全てを俺の周囲に集め、一つも触れ合う事が無いように俺の周囲を乱回転させる。
……うん、やっぱりあの感覚の後は大抵上手く行く。
「えっ、慣れるの早くね……?」
「俺さっき数えてたけど20発あるよね、それ……」
「これが……高町なのは……ッ!」
「才能の、怪物……ッ!」
……あれ、何人かちょっとマジで引いてない?
お前らは忘れてるのかもしれないけど、原作でもなのははこれくらいの事やってたからな?
「……行くよ!」
「ヒェッ……」
言葉と共に全ての魔力弾を操作し、10人それぞれに2発ずつ放つ。
速度を調整する事で着弾までのタイミングを意図的にずらし、1発目を躱したところに追撃!
……流石にこれくらいは全員躱すか。だが最初に躱した光弾が既にターンして背後から強襲する。これならどうだ!?
「うぐっ!」
一人命中……今だ!
「“バスター”!」
俺の合図に合わせて先程直撃した魔力弾に、もう一つの魔力弾がぶつかり融合……術式がその場で書き換えられ、環状魔法陣が突如出現……魔力弾が
「がっはぁっ!?」
込められた魔力量の都合上ディバインバスターの様な規模にはならないが、やや太めのレーザー状の砲撃を至近距離で喰らった銀髪オッドアイはあっけなくその意識を手放し、直後管理局の転送術式に包まれて消える。
……うん、一人墜とした。
「……ゴクリ。」
「これって、今こっちに飛んできてるシューターも同じ細工してるんだよな……?」
「だと思う……」
「……」
「……」
「「「「「「「「「撃ち落とせえぇぇッ!!」」」」」」」」」
おっと、どうやら全員シューターを打ち落とす方針に切り替えたようだ。
まぁ当然だろうな。普通の魔力弾だと思っていたのに、実際に食らえば砲撃に変化する見た目詐欺の魔法と判明したんだからな。
≪……良かったのか? 思いっ切りなのはがやってなかった事やってるけど。≫
≪うん。行動を全部原作に合わせればRPになるって訳でも無いし、それに……≫
≪それに……?≫
≪フェイトちゃんだけズルくない?
『ターン!』って言って魔法の方向切り替えたり、アリシアちゃんと協力して途中で魔法が変わったりさ……≫
≪……要するに格好良い魔法が使いたかったって事か。≫
≪言い方はともかく、そう言う事!≫
元々「アクセル!」と言う掛け声で魔力弾の速度を上げるギミックはあったが、今のフェイトのギミックに比べると応用の幅が少ない気がする。
だからこそのこの新魔法だ。これをアクセルシューターの標準にする。
これならフェイトとの間に大きな開きは生まれないだろう。
レイジングハートとそんな念話をしている間も、魔力弾は銀髪オッドアイ達の攻撃を躱して……また一人、標的を捉える。
「“バスター”!」
「ぐああぁぁっ!!」
「「「「「「「「うおおぉぉ!! 喰らって堪るかああぁぁ!!」」」」」」」」
≪格好良い魔法って言うか、恐怖の魔法って感じだな……≫
≪……なんでいつもこういうイメージになっちゃうんだろう……?≫
見ている感じ、アレ割とガチ目に怖がってるよなぁ……
フェイトの魔法を受けるときは覚悟決めた目をしてたのに、この差は一体……?
「神崎ィ! 後ろだあぁぁっ!!」
「なっ……! 待っ……!」
「“バスター”!」
「うわああぁぁぁっ!!」
「「「「「「「神崎ィィィッ!!」」」」」」
……解せぬ。
……
『お、お疲れ様~……』
「あっ、リーゼロッテさん。お疲れ様です!」
銀髪オッドアイ達全員が至近距離からの砲撃に沈んだ後、リーゼロッテから通信が入る。……何でちょっと引いてるんですかね?
『えっと、久しぶりの魔法の感覚はどうだった?
特に違和感とかは……』
「いえ、全然大丈夫でした!」
『で、ですよね~……あはは……』
いや何でちょっと敬語なんです?
『はぁ……やっぱり『光』って言われるだけはあるなぁ……』
「光?」
『えっ!? いや、こっちの話! ……ああ、もうこんな時間かぁ! じゃあそろそろ良い時間だし、1時間くらいなら使っても良いから自由解散で! 良いよね、クロスケ!?』
『え? あぁ……まぁ、構わないが……』
『じゃ、そう言う事だから!』
「えっ!? あの、リーゼロッテさん……切れちゃった。」
なんだ今の? 何か滅茶苦茶強引に話を中断させられたけど……『光』?
何、俺って管理局じゃ『光』って呼ばれてんの?
「『光』って、やっぱりなのはの事か……?」
「文脈を読むと……まぁそう言う事になるよな、やっぱり……」
「でもここ一応管理外世界だよな? 管理局がわざわざ目を付けるか?」
「ジュエルシードやら闇の書やら、面倒くさいロストロギアが集まる地ではあるけどな。」
周りの銀髪オッドアイ達もピンと来ていない様子だ。俺もリンカーコアの検査とかでちょくちょく向こうに行ったけど、そんな風に呼ばれた事無いぞ?
≪……レイジングハートは聞いた事ある? 『光』って……≫
≪うーん……いや、初耳だな。耳はついて無いけどな!≫
うわ、声のトーンでドヤ顔してるのが分かる。なんて表現力の無駄遣いだ……
「……まぁ俺達で考えてもどうしようもないし、今度クロノにでも聞いてみるか?」
「そうだなぁ……ただ、リーゼロッテのあの感じを見るに、多分答えてはくれないだろうけどな。」
「それもそうか。じゃあ、今はとりあえず訓練優先だな。
折角結界使わせてくれるんだし。」
「あー……悪い、俺そろそろ門限だから帰らねぇと。」
銀髪オッドアイ達の中にも門限が近い者がちらほらいるらしく、人数が若干減ってきた。
もう冬だからな……暗くなるのも早い分、門限も近くなりがちだ。
「残ったのは……なのは達含めて8人か。
フェイトは一家揃って来てるからまぁ良いとして……
なのはは門限何時くらいだ?」
「えっと……ちょっと待ってね。」
一旦セットアップを解除して携帯を確認して、再びセットアップする。セットアップ中は身に付けていた物も全部無くなってしまう為、こう言ったひと手間がかかるのだ。
「あと30分くらいなら大丈夫!」
「そうか……じゃあ、軽く組手するか?
ルールはいつも通り近接魔法と魔力弾と飛翔魔法のみ、なのはは障壁も無しで。」
「うん、良いよ!」
これはいつの間にか定着していた組手のルールだ。
と言っても原因の大半は俺にある。
先ず俺の砲撃で結界が破壊されたから砲撃がダメになり、次にみんなが俺の障壁を貫けない為自主的に縛ったのだ。
「それじゃ参加する奴はいつも通り離れて……」
「ああ、ちょっと良いかい?」
「ん? アルフ?」
定位置に着こうと移動する途中、声に振り向けばアルフがいつの間にかこちらに来て何やら話している。
簡単に言うと「混ぜて欲しい」と言う事らしく、俺達は当然のようにそれを了承した。
……結果的にそれがまた俺達の間に衝撃を齎すのだが、まぁそれをこの場に居ない皆に話すのはもうちょっと後にしよう。
事前情報無しで初めて見た時の驚く顔が見たいからな。
アルフの用意した秘策はシンプルですが、それゆえに強力な物です。
どれだけ活かせるかは本人の実力に依存するので鍛錬は欠かせませんが。
・新生アクセルシューター
二つで一つの魔力弾。フェイトとアリシアの関係に大きく影響を受けている。
魔力弾同士を融合させる際に仕込んでいた術式の断片同士が歯車のように噛み合い、魔法が変化する。
変化する魔法は『
別に相手に直撃した後でなくても融合は可能だが、一撃入れて怯ませると砲撃が当たりやすい為本編ではそうしている。
魔力消費量がやや多くなっている為、カートリッジをロードせずに大量に生成すると流石のなのはも少し疲れる。
勿論原作通りのアクセルシューターとしての使い方も可能。