灰と幻想のデジャブガル 作:なにがし
『メリイちゃんは何の動物が好きなん? ユメはなぁ~、狼ちゃんをペットにしたくて狩人になったんよ~』
この人たちは──。
『め、メリイさんは何処で寝泊まりしているんですか?』
『メリイさんよぉ! まだ俺様の凄さが分かってないだからよぉ! 仕方がねぇから俺様の冒険章を壱から教えてやるよぉ!』
『あっ、じゃあそれ俺に聞かせてよ、ランタ』
この人たちは本当に良く分からない。
『仕方がねぇなぁ、エル! 仕方がねぇ! 本当に仕方ねぇ! 教えてやるよチキショウっ!』
『ふふっ、期待してるよ』
『おう、任せとけっ!』
何故こんなに素っ気なくしているのに話しかけてくるのだろう?
『あはは、ごめんね? メリイさん、ランタ君が迷惑かけちゃって』
『それでその時、俺様はこう言ってやったんだ! それじゃあおまえ、ジャガリコが可哀想だろっ! って』
昨日はあんなにエルという人物以外は私のことを快く思ってなかった。むしろあからさまに不満げだったのに。
『凄い状況だね。流石ランタ』
『だろだろっ!』
なのに、どうしてこんなに話しかけてくる様になったのだろう?
『まぁそれに関してはエルがなんとかランタを相手してくれているからなんとかなったが……本当に悪い、うちのランタが迷惑かけて』
本当に理解出来ない。
『メリイさんはこれで良い?』
だって、昨日はあんなに私のことを嫌っていたのに、どうして昨日の今日でこんなに雰囲気を変わったのか? 私には本当に理解出来なかった。
『ありがとうメリイさん』
最初に優しく接してこようとする人たちなら良くいた。だけど、途中から優しく接してくる様になる人たちなんて今までいなかったから。……だけど、あぁそうか。つまりはそういうことなんだろう。だったら──。
『私が嫌なら嫌ってさっさと言ってくれる? そんな回りくどい感じで急に優しくして……どうせ今日で最後だから優しくしようとか馬鹿なことでも考えたんでしょ? 別に私は気にしないから。だからさっさと嫌なら嫌って言って頂戴。すぐに抜けるから』
だったら、私から言ってやろう。その方が早く済むだろうから。だからさっさと言って頂戴。あなたとはやっていけないって。あなたみたいな自分勝手な人とは組めないって。チームワークが出来ない人は要らないって。場の空気を乱す人とはやっていけないって。
『ん? どうして? 別にそんなこと考えてないけど、あっ、そっか。急に接し方変えちゃって戸惑わせちゃったか。ん~、なら昨日話し合った内容を教えた方が良いか。うん。その方が良いか』
そう言うと思っていた。だが、どうやらこの人たちは本当に私の想像の斜め上の人たちらしい──。
◆
「昨日な~。あれからメリイちゃんと別れた後な~、皆で一緒に話し合ったんよ~。これからメリイちゃんとはどうすれば良いんやろ~? って。それでな~、ランタがメリイちゃんとは今後やっていくのはキツイだろうから、他の神官探そうぜって言って、それにユメたちもそうやな~、確かにこのままじゃ厳しいな~。メリイちゃんユメたちのこと嫌ってそうやったし。とユメもランタと同じ気持ちやったんやけど、エル君がな~、メリイちゃんにもしっかりと考えがあるんだよ~、メリイちゃんもチームに入ったんだから仲間なんだからそう簡単に辞めさせるなんて言っちゃ駄目だよ~、って教えてくれてな~。確かにそうやな~、って思ってな~。だからな~、ユメ。ユメたちもメリイちゃんに優しくなかったからユメたちも優しくしようって思ったんよ~」
「おい、ユメ。お前それじゃ何言いたいかちっとも分からなかったぞ! てか、俺様の名前を其処で出すんじゃねぇ!」
「えぇ~、分からんかった~? じゃあエル君メリイちゃんに分かりやすく説明してもらえへん?」
「そうだね。俺が説明するよ」
「おい、無視するんじゃねぇ。悲しくなるだろうがっ!」
このユメという少女が何を伝えたかったのか後半は良く分からなかったけど、どうやら私を解雇する為に優しくしているという訳ではないらしいということは分かった。後、騒いでいる男が一人いて鬱陶しい。
「つまりね。昨日あれからメリイさんのことを話し合って、どうして軽い怪我は治療をしてくれないのか? とか色々と皆が疑問に思っていたメリイさんの行動を、こういう理由があるんだよ? って説明したんだよ。それとこっちがメリイさんに優しく接していなかったのに、優しく接してくれって言うのは難しいことだと思うな? とか言ったりしたんだ。まぁ、つまりは簡単なことだよ。皆、メリイさんと仲良くなりたいから積極的に話しかけていただけ。ね? 簡単なことでしょ?」
「……物好きなのね?」
「あはは、そんなことはないよ。仲間ともっと仲良くなりたいと思うのは普通なことだよ」
どうやらこの人、エルには敵いそうにない。本当に物好きな人の様に思える。だって、あんな態度を取っていたのに、それを楽観的に捉えるなんて私には出来そうにないから。
「それじゃ、そのついでに昨日僕たちが話した話──これからの目標を聞いて貰おうか」
優しく笑みを浮かべていた顔が急に真剣な表情に変わった後、エルは私に向けて、あの日。エルが私にマナトという男の人を担いできたあの日に、何があったのかということを私はエルから知らされた。
◆
「──だからね。これから俺たちは前に進む為にあのゴブリンを倒す。そう決めたんだ。もし、これにメリイが知ったこっちゃないって言うなら別に手助けしてくれなくても構わない。だけど、もし良かったらメリイも手助けしてくれたら助かる? どうかな、メリイ?」
そして、話を聞いた後、私は何故かエルと私は似ている様な感じがして、気づけばエルの言葉に自然と頷いていた。