灰と幻想のデジャブガル 作:なにがし
見覚えのあるような感じがしながらも何で知っているのか分からないエルは思い出そうとしてみるも、一向に身に覚えがない。しかし、何故か知っているような気がする。
(あれ? ……これ、デジャヴだ。デジャヴ? 何だっけそれ? だけど、何故かこの状況に当てはまる言葉のような気がする)
「ささ、中に入って入って!」
ひよむーに促されて建物に入ると、そこは酒場なのか沢山のお酒が棚に置かれている。その後ひよむーは「そいじゃ、ひよむーはこのへんで!」と言ってブリちゃんという物凄いインパクトのあるオカマに説明をお願いして出ていってしまった。
「ふーん…………」
ブリちゃんという人は一人一人を見渡して何か頷いている。
「いらっしゃい、子猫ちゃんたち。アタシはブリトニー。当オルタナ辺境軍義勇兵団レッドムーン事務所の所長兼ホストよ。所長って呼んでもいいけど、ブリちゃんでもオッケー。ただしその場合は、親愛の情を込めて呼ぶのよ? いい?」
(義勇兵団の所長兼ホストで、性別オカマ兼男性のブリちゃん所長か…………凄い癖のある人だ…………うん)
一人納得していると、喧嘩の強そうな銀髪の男性が所長に向かって歩みよった。
「所長、質問に答えろ。ここがオルタナって街だっていうことは分かった。だが、義勇兵団っては何だ? なんで俺はここにいる? お前はそれを知ってるのか?」
「威勢がいいわねぇ」
威勢の良さを気に入った所長兼ブリちゃんは意味深な笑みを浮かべている。
(うわぁ……お気の毒に……)
何故こんなとこにいるのか混乱している中で、癖の強いブリちゃんの意味深そうな笑みを受けている銀髪の男性に同情をせざるを得なかった。
「アタシ、嫌いじゃないわよ、あんたみたいな子。名前は?」
「レンジだ。俺はお前みたいなオカマ野郎は好きじゃない」
(えっ……勇気あるなぁ……で、この後に一触即発になるような気がするんだよね)
エルはブリちゃんとレンジの空気に別に不快ではない、一種の疎外感を感じた。そして、次にとるであろう行動を予想してみる。
「そお…………」
ブリちゃんが返事をした後からはもう圧巻という一言であった。ブリちゃんが訳の分からないような急激な速さでレンジの服を掴んで、首もとにはナイフを突き付けていたのだから。
それからは一触即発の空気になったものの、キッカワが空気を読んでくれたお陰で何とか元の空気に戻ることができた。しかし、どうして次に起こる行動を予想できたのか。これは知っているからなのか、それとも体験したことがあるのか、それとも未来予知みたいなものなのか。考えつつもしっかりと話を聞くことは忘れない。
聞いている内に分かったのは義勇兵というのはどうやら、人間に仇なす種族や、モンスターって呼ばれる怪物を倒す職業だということが分かった。まぁ俺たちの事を総じて“戦力“って言われた時は多少腹が立ったが。
その他にも義勇兵に入ると見習い義勇兵という扱いになり、10シルバー貰えるということだった。別に義勇兵にならなくても良いと言われた時は天パのランタが出ていこうとしたが、どうやらどっかに就職するにしても、最初は少しの御給金しか出なく、そして散々こき使われるらしいという言葉を聞いて固まってしまった。
(選択肢はあるようで一つか……)
「一つ質問してもいいですか? 所長」
「いいわよ。言ってみなさい」
「義勇兵って何か強制的にやらされることってあるんですか?」
「良い質問ね。安心しなさい。そんなことは滅多にないわ。それにしても貴方意外といいわねぇ」
「ありがとうございます。所長」
自分もレンジのように気に入られたのか? と思いつつも強制的にやらされるようなことが無いのなら、義勇兵になることが一番の最善策だ。もう迷う必要はない。そう思い、エルはお金を受け取り見習い義勇兵になる。
それを日切りに受け取るか悩んでいたハルヒロ、ランタ、モグゾー、ユメ、シホルも受け取りにいった。マナトやレンジ達、計6人は既に受け取っていた。
受け取った後直ぐに坊主頭のロンとレンジが喧嘩をして、眼鏡をかけている男性のアダチ、子どもの女の子のチビ、懇願していれて貰ったサッサの計5人はチームを結成して出ていってしまった。
マナトにも目を向けていたが、マナトが誘わないでオーラを出していたからか誘わなかった。
それからはキッカワとマナトも出ていって一時沈黙した空間と化した。
「あのさ、全員でマナトを追いかけ──」
ハルヒロはきっと追いかけないかと言おうとしたのであろう。だが、それは遮られることとなった。それは義勇兵の先輩であるであろう所長名称のクズオカという人によって。
それからはモグゾーがクズカワに誘われるもランタと一緒に行かない方がいいと一応注意するも、クズオカに無理矢理連れていかれたのだった。
(これからどうなるんだろうな)
モグゾーがクズオカに連れていかれたことによって微妙な空気になる中でこれから自分がどうなっていくのか思いを馳せた。
「さぁ、あんたたちさっさと出ていきなさい」
「あっ、はい。ありがとうございました所長。また今度」
ブリちゃんにお礼を言って出ていくエル。それに伴うようにハルヒロ達も一緒に事務所から出る。
ブリちゃんはモグゾーが連れていかれても同情もしていなかった。つまりは此処ではよくあることなのかもしれない。つまりは弱肉強食であるという単純なことであるのだ。
皆様は灰と幻想のグリムガル。ご存知でしょうか?
-
アニメまたは原作小説なら観た。
-
アニメも原作も読んでいる。
-
知らない。
-
記憶にございません。