灰と幻想のデジャブガル   作:なにがし

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俺の時代来たんちゃうか?

「た、たすけ、て、敵が!」

 

 今日もまたサイリン鉱山。

 ハルヒロは皆より先に三層に降りて、様子を見に言ったのだが。

 

 どうやら異常事態──敵が現れたらしい。

 

「おっしゃ!」

 

 ランタが我先にと誰よりも早く下へと降りていく。次にモグゾー、メリイ、エル、シホル、ユメという順だ。

 

 コボルトの数はどうやら四匹の様でその内の一匹はエルダーコボルトで、今ランタがエルダーコボルトの相手をモグゾーに任せたのが見えた。

 どうやらランタはモグゾーが来るまでの間エルダーコボルトの相手をしてくれた様だ。

 目の前に来たコボルトを相手取りながらも辺りの状況の確認をするのも忘れず、誰に何処の援護を任せるかを決める。

 

「ハルヒロ! 怪我を治して貰ったら、ユメの援護を! シホルはモグゾーを! メリイはシホルと一緒に! ランタはそのまま一匹任せるよ!」

 

「分かった!」

 

「はい!」

 

「えぇ!」

 

「おう! 任せとけ!」

 

 ランタは多分、コボルトを一人で相手にしたいだろうから一匹を一人まるまる任せる。

 モグゾーもエルダーコボルトを一人で相手にしているからより戦いやすい様に援護に特化した魔法を覚えているシホルを。

 ユメも何とか頑張って一匹相手取るのに頑張っているが攻撃面においてユメは決定打に欠けるであろうからハルヒロと二人で相手して貰う様にし、俺もまたランタと同じ様に一匹まるまる相手する。

 

「がぁっ!」

 

 指示を出し終わったタイミング、コボルトが長剣を顔目掛けて縦に振りかざしてくる。

 振りかざしてきた長剣をダガーで横にスライドさせながら、そのスライドさせた時の勢いそのまま、コボルトが持っていた方の利き手をダガーで切り裂く。

 

「があぁ!」

 

 悲鳴を上げながら、後ろに跳ぶコボルト。どうやらゴブリンよりは冷静に対処出来る様だ。

 

「ぐぁぁ!」

 

 利き手を切られたからか、今度は戦略を変えて、四足歩行で突進をしようとして来た。

 それをギリギリのところまで溜めてから攻撃をかわし、そのコボルトの無防備になった背に乗りながら、首を目掛けてダガーを振るう。

 コボルトに逆に背に乗ったのを利用されて、腕を掴まれたりして、投げ飛ばされるのも堪ったものではないので、ダガーで首元を刺した後はすぐにその場から離れた。

 

 コボルトは首を刺された後もヨロヨロと少しの間動いていたが、等々力尽きたのか顔を地面に向けて倒れた。

 

「ふぅ」

 

 まだコボルトに慣れていないからか凄く疲れる。ギリギリのところでコボルトの突進をかわすことにしたが本当に緊張した。コボルトはゴブリンの数倍すばしっこいから更に。いや、動きが軽いというべきだろうか? それともゴブリンよりテンポが早いというべきだろうか? 

 

 バクバクの心臓の音を感じ取りながらも、他の皆がどうなっているのか戦況を見るのも怠らない。

 

 モグゾーとシホルは、シホルがどうやら上手く魔法を決めた様で丁度モグゾーがエルダーコボルトに止めを刺そうとしているところが見える。

 ユメとハルヒロはハルヒロが背面打突(バックスタブ)を使ってコボルトを一発で倒したのが見えた。

 メリイはシホルをしっかりと護衛している。

 で、ランタの方はというと──

 

「おりゃ! やるな、お前! 今日からお前はオレのライバルだ!」

 

 うん。頑張っていた。どうやらあのコボルトはランタのお気に召したのかライバル認定されていたが、どうせそれは今日限り。だって、どうせランタがすぐにコボルトを倒すだろうから。

 そう思っていたのだが、どうやら昨日よりは早くコボルトを一人で倒したが、まぁまぁ時間をかけてコボルトを倒したのであった。

 うん。まぁランタはスキルを使いまくって、格好付けようとし過ぎたね。うん。それと危ない時がたまにあるから心配しちゃうよ。うん。

 

 

 

 ▼▲▼▲▼▲

 

 

 

 ハルヒロたちは新しいスキルを覚えに行った。

 

 ハルヒロは背後から敵に組み付いて敵の急所を攻撃したり、相手の動きを制限したり出来る蜘蛛殺し(スパイダー)を。

 

 ランタは暗黒神スカルヘルの脅威で相手を恐怖させ、正常な判断力を奪うという魔法の暗黒恐怖(ドレッドテラー)を。

 

 モグゾーは片腕で突きを放つ一本突き(ファストスラスト)。もう一つが一本突き(ファストスラスト)の応用みたいなスキルで下がりながら突きを出すという裏一本突き(バックスラスト)の二つを。

 

 シホルは影のエレメンタルを地面に固着させ、そこを踏むと足を動けなくする影縛り(シャドーポンド)を。

《力が強い者だと無理矢理抜け出せたりする。魔法の効果は最大二十秒持続する》

 

 ユメはナイフ投げのスキル星貫(ほしぬき)を。

《いろんな武器で投げられる様に練習させられるらしい》

 

 メリイは光明神ルミアリスの光で懲らしめる攻撃魔法咎光(フレイム)を。

《これは射程は短く、威力が弱いというデメリットがあるが、当たると身体が痺れて短時間動きが鈍るというメリットがあるスキル》

 

 そして俺はというと……なにも覚えに行っていない。勿論、新しい魔法やスキルを覚えたいという気持ちはある。だけど、それ以上に魔法を自由自在に操れる様にする為の練習や新しく買った小刀と投げナイフの練習などをしたい。

 

 それにですよ。僕は一つの真理に気づいちゃったんですわ。

 

 魔法は金属に弱い。これは魔法使いに入ったらすぐに習うこと。しかし、だ。神官の杖の先端とか取っ手に金属付いてるやつあるやんけ。

 魔法には金属ダメ? 暗黒騎士、長剣使ってるけど魔法使えるらしいやんけ。

 

 やっぱり俺が思った通りですよ。魔法は金属に弱いだけで金属を持ちながらでも魔法は使える訳ですよ。言うなれば魔法と金属は水と油なんですよ。プラス磁石とマイナス磁石なんですの。つまりですね。

 

 魔法は金属とは相性が悪いが使えない訳ではないんですよ。金属に魔法を付与(エンチャント)出来ないとしても、金属の表面には微妙にくっつく訳ですよ。まぁ完全にくっつくというよりは少し金属の間に空気がある様に隙間を開けた感じで金属に魔法を纏わせることが出来るということだよ。つまり斬撃が出来るということですの。だからね、それを気づいた瞬間俺の時代来たんちゃうか? と錯覚したよね? 

 まぁ、まだやってなく、これからやるとこなんだけどね。

 

 ブラシーボ効果の逆、ノシーボ効果に騙されるとこだったぜ。

《ブラシーボ効果は思い込みでプラスの効果が出ること。ノシーボ効果は思い込みでマイナス効果が出ることを指す》

 

 さぁ、頑張りましょか~。

 

 

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