灰と幻想のデジャブガル   作:なにがし

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遅れてしまい申し訳ありません。自分が書いた作品を読み直した後に何故か自分で書いた作品に不快感を感じて、書き直すかどうか悩んでいたら遅れてしまいました。
結果、書き直してはいません。少しだけ修正と加筆を致しました。
では、(*・ω・)つどうぞ!


奮闘

「しかし……オレたちかっこよすぎじゃね?」

 

 豚ミミズや豚鼠の影に身を潜ませ、コボルトの大群を何とか撒きながら四層へと上がって来ることが出来たエルとランタは仰向けになっていた。

 

「それを言うなら″カッコつけすぎ″じゃないかな? ランタ」

 

「分かってねぇな、エル。あんな状況になったら男ならやってみたくなるものだろうがっ!」

 

 まぁ確かにランタの言う通り、こういうシチュエーションは男なら誰しもが一度憧れるものではある。

 

「ってかさ」

 

「あん?」

 

『弱虫弱虫、毛虫、きひひひひひ』

 

「ゾディアックんこの状況でめっちゃ辛辣じゃね?」

 

 ゾディアックんはランタの側をくるくると回っているからランタのことを小馬鹿にしているのだと思うけど、近くから罵詈雑言が聞こえてくるともしかして俺のことを言われてるのかと一瞬勘違いしてしまいそうになる。

 

「はっ、これはオレとゾディアックんのじゃれ合いなんだよ、分かんねぇかな? そういうとこ」

 

『きひひ、違う違う。ランタなんかとじゃれ合いなんてしない』

 

「……分かんねぇかな? そういうとこ」

 

「うん。もう分かったから言い直さなくて良い」

 

 聞いてると虚しくなるから。

 

「しかし、良く逃げられたね」

 

 ランタとエルの身体は傷だらけ。ランタは兜をコボルトによってボコボコにされて、そのボコボコにされた兜をコボルトへと投げ付けていたなら実質、今のランタの装備は防具と長剣だけ。そして、ランタの頭からは兜がボコボコにされるまで攻撃を頭へと加えられていたからか、特に血がダラダラ流れている。

 そしてエルの方はランタと違って防具を着けていないからか色々なところから血が流れていて服はボロボロだ。

 

「はっ、当たり前だろ! このオレ様がいるんだからな、コボルトから逃げるなんて尻で茶を沸かすぐらい簡単なんだよ!」

 

「尻で茶……臭そうだね……」

 

 想像しただけでエルは自然と苦々しい顔をする。

 

「おい、辛辣だな! おいっ! なんだ、本性でも表したのか!」

 

「いや、だってね。尻から茶って、ねぇ? ゾディアックんもそう思うだろ?」

 

『きひひひひひ、ランタくさいくさい』

 

「おいおいおいおい! 何オレのゾディアックんを懐柔しようとしてるんだよ! 許さないぞ! ゾディアックんはオレ様の物だ!」

 

 仰向けになっていた身体をガバッと起こし、ゾディアックんをエルから守る様に手を広げている。

 

『ランタのものちゃう。ちゃうちゃう。スカルヘル様のもの』

 

「なんで口調変わるんだ、ゾディアックん……」

 

「ってか、尻で茶を沸かすじゃなくて、へそで茶を沸かすちゃう? ユメの真似かいな? あきまへんで、ランタはん」

 

「ばっ! エル! そんなの知ってたしっ! ってか、お前もゾディアックんの真似か!? ってか、それ何処の口調だ!?」

 

「さて、そろそろ休憩終わるか!」

 

「無視か!? 無視なのか!? おい!?」

 

『きひひひひひひ、ランタうっさいうっさい』

 

 ゾディアックん(自分の使役している悪霊)に叱られる主人って……

 

「おい! 何突然、憐れみの目で見てくるんだよ!? エル!」

 

「うん。そうだね。大丈夫。大丈夫だぞ、ランタ」

 

 優しく微笑みながらランタの肩をパンパンと叩くエル。其処には途方もない優しさが込められていた。

 

「おい、オレ様にそんな笑顔を向けてくるんじゃねぇ!」

 

 

 

 ▼▲▼▲▼▲

 

 

 

 ハルヒロたちはこれからどうするか考えていた。

 二人を助けに行きたい。でも、今の疲れている状態の自分たちが行って、全滅しないか。

 助けに行きたい。でも、二人は俺たちを見逃す為に残ってくれた。

 考えれば考えるほどに迷いが生じてくるのをハルヒロは感じた。

 

 こんな時、エルなら冷静に対処しながら助けに来てくれると思う。

 

 こんな時、ランタならもっとすぐに即決出来ると思う。

 

 さっきのコボルトでの戦闘の時だって、エルとランタがいないだけでいつもより苦労させられた。

 ランタはなんだかんだ言って、辛勝しつつも必ず一人でコボルト一匹を相手取っている。

 エルもなんだかんだで前衛職じゃないけど、魔法とダガーを使って、少しずつ敵に傷を与えていってじわじわと追い詰めていって、敵を一人で倒してくれる。

 まぁ、エルの戦い方は見ていると少し怖くなるものがあるけど。

 

 ハルヒロは決断を決めかねる。どちらを決断すれば良いのかを。だから、皆にも意見を聞いて判断することにした。

 

「俺はエルとランタを助けに行きたいと思っているけど、みんなはどう思う?」

 

 そう口を開いて、ハルヒロはしまった! と思った。これじゃあ意見は聞くんじゃなくて、賛成か反対か聞いている様だと。しかし、ハルヒロは悪い感じはしなかった。むしろ心地よかった。多分、本心では助けに行きたかったのだろう。胸が軽くなったのだから。

 

「ユメなぁ、エルくんのことは好きやけど、ランタのことちっぱいちっぱいゆってきて、好きやないんよ。けど、やっぱりだからって助けに行かないのは違うと思うんよぉ」

 

「あたしも助けに行きたい」

 

「僕も」

 

「私も」

 

「決まりだな、二人を助けに行こう」

 

 しかし、シホルがあんな真剣な顔で──前のめりな感じで自分の意見を言ってくるとは初めてだなとハルヒロは思った。

 

 その時──

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぉん』

 

 遠くからコボルトたちの声が聞こえた。ハルヒロは隠れていた場所から少しだけ顔を出して周りの様子を見る。

 辺りの様子はコボルトたちがうじゃうじゃと何処かに向かって駆け出しているのが見えた。この状況は俺たちが追われた時と似ている。もしかして──。

 

「二人は四層まで上がって来れたのか?」

 

 それなら凄いことだと思う。あの数を撒いた上に四層まで辿り着く何て俺ならきっと出来ないと思う。素直にランタとエルには脱帽した。でも、俺は今、この中でリーダー的な役割だから、みんなを危険に晒すことなんて出来ない。だから、選択肢は一つ。皆の顔を見て、言うことは一つだ。

 

「ここから離れよう。二人がいるのは間違いないと思うけど、俺たちまで見つかったらそれこそさっきの二の舞になる。それにコボルトは諦めるのが早い。だから、騒ぎが落ち着くまで待とう」

 

「でも、その前にエルくんとランタくんが捕まったら」

 

 おどおどしながら言うシホルの表情はその状況を想像してしまったのか顔色が余り良くなかった。

 

「分かってる。その時は俺の責任だ」

 

「ちがうやん、ハルくん。それはユメたちみんなの責任やと思う」

 

「いや、違わない。俺が決めたことにみんなは従うんなら責任は俺が取るべきだと思う。俺は今、リーダー的な役割を担わされているんだから」

 

 それに……エルがリーダーなら多分、自分だけで背負うとも思うから。

 

「男の子やなぁ」

 

 しみじみとした感じで言うユメ。

 

「ふっ」

 

 モグゾーは親指を此方に立てて、グッ! としている。

 

「もともと俺は男だよ? それに……二人なら多分なんとか出来ると思うし、俺たちの中では戦力になっているというか、前衛職みたいな感じの二人だから。だから今は信じよう」

 

「そうね」

 

 メリイもハルヒロの意見に同意なのか頷き、

 

「うん」

 

 シホルは杖を強く握りしめながら頷く。

 

 しかし、シホルはエルのことをとても心配しているんだなぁと思う。いや、俺たちも勿論心配しているんだけど、なんていうかシホルはエルと一番最初に仲良くなったから思い入れが強いんだろうな。

 

 エルにランタ、お前らのことをみんな心配してるんだから、死ぬなよ。

 ランタは死んだら呪ってきたり、化けて出てきそうだし……

 

 ハルヒロはランタが化けて出てくる状況を思い浮かべながら、この場から静かに離れた。

 

 

 

 ▼▲▼▲▼▲

 

 

 

「ってか、俺らヤバくね?」

 

「おい、ランタ! 俺を庇って死ぬなんて寝覚めの悪いことはさせないからな!」

 

 あれから脱出を試みる為に豚ミミズがいる柵から出て、道を走った。そしたら曲がり道でコボルトに遭遇した。運が悪いことに。

 

 コボルトと遭遇したら後は簡単。さっきと同じく騒がれて、仲間を呼ばれて、コボルトたちに囲まれてと窮地に陥ったけど、何とかランタと協力して、また俺たちはコボルトたちの包囲網を抜け出した。

 だけど、ランタと背を向き合って戦っている時、ランタが俺を庇って傷を負ったのが見えた。俺を庇ったせいで左腕に大きな傷を負った。だけど、その瞬間包囲網から逃げ出すことが出来た。けどさ、そういう誰かの何かの犠牲のお陰で逃げられるというのは嫌だ。寝覚めが悪くなる。それに──。

 

「お前が帰ったらソルゾ食べるぞ、なんていうフラグ建てるからだぞ! それで死んだら洒落にならねぇぞ! マジで!」

 

 何が帰ったらソルゾ食べるぞ! だよ。そういうこと言った後に庇われるとか洒落にならないんだけど! 

 

「はっ、フラグなんて建ててなんぼだろ……ってか、俺は死なねぇ」

 

「おまえ……はぁ、分かった。俺を庇って怪我をしたなら俺が責任を持って地上まで連れていくのが筋だよな」

 

 借りなんて誰にも作られたくない。作られたならすぐに返してイーブンにしてやりたい。まぁ、借りを作られた、助けられたという結果は変わらないから倍にして返さないとって思わされるんだけど。だから、借りを作られるのは嫌だ。

 

「分かってるじゃねぇか、オレ様を無事地上へ連れてけよ、エル」

 

「分かってるよ」

 

「お前が居てくれて良かったわ……」

 

「ランタまた急にフラグみたいなことを言うなよ」

 

 どんだけフラグを作りたいんだろうか? ランタは。

 

「お前って変な奴だよな?」

 

「次は急なディスり?」

 

 もう意味が分からないんだが? 早く地上に連れていかないとヤバいな、これ。

 

「いや、だってよ。オレのことみんな嫌ってやがんのに、お前だけオレのこと嫌ってねぇじゃねぇか。嫌そうな顔をする時はあるけどよ」

 

「ん~、なんて言えば良いか分からないからこんな感じで言うけど、俺はランタのこと嫌いじゃないよ。まぁ確かに言い方に気をつければ良いとか思ったりはするけど、ランタは本当は悪い奴じゃないことは知ってるし」

 

「はっ、お人好しだな」

 

「いや、お人好しじゃないさ」

 

 お人好しが何を指すのか俺は良く知らないけど、俺はお人好しなんて呼ばれる存在じゃない様に思う。

 

「さて、少し休憩したら行くよ? このまま怪我を負った状態でいると危ないからね」

 

「そういうお前の方が特に怪我だらけに見えるけどな」

 

「辛そうなのはランタの方だろ? それに俺の方は其処まで問題ない」

 

 さて、俺の魔法力は休憩したり、戦闘をしながらも瞑想していたから少し回復して三割強ぐらい。武器はダガーと未だ違和感があるから余り使っていない小刀と残り数本の投げナイフ。これでどうやって地上まで行くか?




今日は書いてあったもの全てを一気に投稿致しましたが、この作品を書き終わって、書き終わったものを全部見直した時に思ったことはこの作品の主人公のことを原作キャラがわっしょいしている感じが否めない状況であるというところですね。
今のところ主人公が苦手なことや得意ではないことなどを描写していないからこそ、そういう感じが強くある気がします。なので、何時かエルの弱点や短所みたいなところも書けていけたらなと思います。

☆9評価

ジャイル様

ラッキードラゴン様

チョコホイップ様

評価ありがとうございます。
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