血液由来の所長   作:サイトー

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啓蒙32:モンモランシー=ラヴァルの告白

 遠く離れた戦線。灰が死を見出し、戦神が邪竜から魂を引き継ぎ、だがそんな戦局も確認出来ない戦場にて、四人は殺し合いを始め、既に終わりを迎えていた。

 

「―――まぁ、こんな程度かしら」

 

 右手で臓物を握り締めながら、所長は血塗れになった顔で呟く。

 

「まだ……まだだ。私は、まだ死ねん――」

 

 くり貫かれた(ハラワタ)を手で押さえ、腹部の出血を抑える。更に魔導書の呪文をジルは唱え、自分の内臓代わりに海魔を召喚した。所長に抜き取られた場所に触手の塊を蠢かせ、内臓として自分の霊体に受肉させた。

 想像を絶する苦悶。だが彼はそれを顔に出さず、怒りだけで痛覚を凌駕した。

 

「モツ抜きされても、まるで衰えない生きる意志。貴方、血に酔う狩人の良い資質をお持ちのようで」

 

 ジルの内臓を所長は地面に落とし、そのまま踏みにじった。まるで汚い虫を踏み潰すように。

 

「――何故?」

 

「うん?」

 

「何故、私に止めを刺さない……狩人!?」

 

「いやね。そりゃ、そうするのが一番だけど、貴方の世辞の言葉はジャンヌの前じゃないと」

 

「傲り、悦楽。何たる傲慢か!」

 

「こんな風に会話をするのも贅沢なんだもの。だったら、貴方はただ殺すだけじゃなく、しっかり情報を抜き取ってから狩りましょう」

 

 ―――殺す。

 容易に行える答えであり、狩りの本質。

 とは言え、狩りとは獲物の殺害が目的ではない。全ての狩人が死骸を糧にする為に殺す。よってただの殺戮とは忌むべき浪費に過ぎず、狩人は血を欲する故に殺し、モノを得てそこで狩猟は完了する。

 血から得られるもの。

 意志(イシ)か、血石(イシ)か、血晶(イシ)か。

 ならば所長は、これより殺すジル・ド・レェから何を得るべきなのか?

 

「けれど、けれどね……私もまぁ、それなりに効率大好きなビジネスマン。最大限の利益を得る為に、致命的な損失を被ってしまうとなれば、やっぱりリスクをそこそこ抑えたいってのも女心と言うヤツなのです」

 

 パン、と所長は銃を撃った。サーヴァントである彼が知覚不可能な領域の早撃ちであり、歴戦の“狩人”でなければ見抜けない弾速。

 その弾丸はジルの頬を掠り、そのまま彼の背後に進み――命中。

 ジャンヌを相手に優勢な戦局を維持していた魔女は、突如として右太股に激痛が走り、その隙を狙った旗の一撃を喰らってしまう。剣で防ぎはしたが踏ん張りは全く効かず、ジルの方へと吹き飛ばされた。

 

「ジャンヌ……!!」

 

「あら、ジル……―――まぁ、そうよね。その化け物が相手じゃ、そうなるのも無理ない訳ね」

 

 彼我の戦力差を正しく彼女は理解していた。アッシュが語るオルガマリーの強さと、互いの戦力をそれぞれ比較すれば、魔女は所長が味方を犠牲にしても敵将の殺害を狙った事を把握していた。

 灰を抑えるには、忍びか所長が必要。あるいは、サーヴァント数騎分の戦力を傾けないとならない。戦神も同様であろう。

 それを情報に思考すれば―――所長が、詰みを狙ったと見るべきだろう。

 一応は灰には忍びを、戦神にはマスターと言うカルデアにおける“最大戦力(召喚礼装)”を投入しているので全戦局で勝てる手段を選んでいるが、魔女と元帥に所長が向かうのは戦力比率が高過ぎた。

 

「―――で、アンタ。そもそも私達を殺すつもりがないようね?」

 

「最終的には殺すわ。でも、まずは生け捕り。死体からだと欲しいモノが取れないってだけだから」

 

「貴様ぁ……―――我らを、玩弄せねば気がすまぬか!?」

 

「良いじゃない。この国で遊んでいたでしょう……それはもう、凄く愉しそうに。それならね、貴女達が玩具になるのもまた道理。

 結局はこうやって、重ねた因果が回って来ただけと言うこと。

 別に、私は正義の味方でも救世主でもなく――魔術師で、ただの狩人。焼かれた人理を救うのが親から継いだ仕事上の義務だから……って、まぁそんな程度の動機です。

 なので―――教えて貰わないと。

 キャスター、ジル・ド・レェ。貴方をこのフランスに召喚したのが一体誰なのか、その意志から私に啓蒙させて頂けませんか?」

 

 パパパン、と銃声が更に響いた。魔導書を持つ腕が水銀弾によって千切られ、両足にも穴が開いた。身動きはもう取れない。そして、水銀弾は名の通り、水銀を固めた液状銃弾。人体にとって水銀が猛毒であるように、所長の血液と魔力が混ざった水銀はサーヴァントの霊体にとっても毒物だ。

 弾痕から水銀が血管内部に入り、その毒性物質がジルの全身に回る。

 内臓を抉られ、四肢を貫かれ、毒によって意識も混濁とする。狂い果てた強靭な意志により、精神はまだ働いているが、魔術回路を万全に動かす思考回路はもう崩れかかっていた。

 

「オルガマリー……」

 

「――――!」

 

 そんなジャンヌの呟きに所長は反応し、それが隙だと魔女は察する。撃たれた片足は麻痺して動かず、ジャンヌの攻撃を防いだ片腕は骨折したが、攻撃するならば何の問題はない。

 尤も所長の動きは全てが悪辣な罠であり、ブラフでもある。狩人が敵の意志を見抜けない訳もなく、無意識ですら悟る特異な感覚は魔女の殺意を察し、脊髄反射よりも遥かに素早い射撃の意志が左腕に伝わった。

 即ち、思考速度を超えた無意識の―――瞬間射撃。

 剣に魔力を渡らせようと思考を働かせたと全く同時に、魔女は水銀弾を腹部に受けた。

 

「……ぐぅ―――」

 

「いや、駄目でしょ。ダメダメね。殺気を出さない程度じゃ通じないわ。ちゃんと心も殺さないと」

 

「―――あっそう。

 勉強しとくわ……この、血腥い化け物」

 

 そしてカルデアの技術者(変態共)が開発した対サーヴァント用の拘束礼装、呪詛血杭を銃弾を受けた魔女の腹部に所長は突き刺した。そのまま地面に固定し、術式が起動。魔術回路を痺れさせ、魔力そのものを封じ込ませ、真名解放を含めた呪文詠唱を阻害する。

 無論、物理的な拘束も行われる。神経に魔力電流が発生することで、魔女の霊体は自分の脳で肉体を動かす事は不可能となった。もはや口を動かす事も出来ず、呼吸も停止させられている。サーヴァントである故に窒息死をする事はないが常に窒息状態となり、心臓の鼓動も止まってしまった。

 

『所長。手早くお願いします』 

 

「分かってるわ、ロマニ」

 

 ジャンヌは、見ることしか出来ない。こうなる事は分かっていた。この展開を望んでもいた。しかし、こうもあっさりと望んだ勝利を最速の効率で手繰り寄せるオルガマリーの手腕こそ、恐怖の対象として見ているのも事実であった。

 

「貴様ぁぁぁああああああああああああ!!!」

 

 そんな狂人の絶叫に表情一つ変えず、仕掛け武器を手放した腕を伸ばす。彼女はジルの頭部を右手で鷲掴みにした―――直後、彼の生きた意志の全てが、オルガマリーの蛞蝓が蠢く脳髄に啓蒙された。

 魔神の柱。

 時間神殿。

 人理焼却。

 そして―――魔術王の遺産。

 ジル・ド・レェを触媒として縁を遡り、オルガマリーは彼をフランスに召喚した黒幕の意志に辿り着く。諸悪の根源が存在する悪夢のような外側の世界にまで自分の意志を運び、有り得ざる夢の視点によって世界を観測する。

 

「―――――――――――」

 

「―――――――――――」

 

 発狂。血の混入。上位者の叡智。それを超える赤子の、青ざめた血を深めた狩人の赤子の、瞳より飛来する狩人の意志が、玉座に座る何者かの使い魔を見た。

 

「―――――――……っ」

 

 オルガマリー・アニムスフィアを狩人に再誕させた蛞蝓の赤い血は啓蒙深く、だが猛毒を超えた魔物の意志が混ざった激毒。

 玉座に座る者は、見られた。瞳に治められた。

 狩人の瞳より来る暗い蛞蝓の意志は悪夢ですらなく、千里眼ですら目視出来ない何か。死もなく、魂もなく、真に目に映る事も有り得ず、狂気なる意志は男の思考回路を汚染した。

 

「――――………」

 

 ――――――狂え。

 狂え。狂え。狂い給え。狂気は狂う意志。死の意志、血の意志。宇宙の輝きは瞳を照らし、瞳はまた脳髄の宙と繋がり、脳はまた宇宙と似た形を持ち、全てが模される故に全てが悪夢と繋がる。この世の全てを理解した者の意識の外側にある形ない不定の知識は、悪夢より見出された意志であり、狂気は初めから意味もなく狂っている故に狂気であり、狂える者だけが発狂する資格を持ち、だから狂気は視えずに形を失った。

 狂え、狂え、狂え、狂え―――狂え。

 その言葉に価値は在らず、概念さえも狂い始めた。悪夢は世界と熔け、ならば世界は悪夢となり、グレート・ワンは人の魂に由来した。赤子の血は貴き血。血は尊き意志。全ては夢となり、全てを見通す目も瞳によって蕩けよう。

 あぁ、人の子よ……憐れなる落とし子よ。どうか、我が血に狂い給えよ。

 

「……――――」

 

 狂える精神と、崩壊する魂の在り方。だが……だがしかし、玉座に座るその男は、幸運にも理解していた。彼の一部である一柱はとある技術を習得しており、玉座の男もまた理解していた。

 瀉血の業こそ―――狂気からの脱出。

 血液の中に、他者の精神にとって致死性の毒となる血の意志が混ざったならば、それを自分の血液ごと排出しなければならない。

 

「ッッ…………――――――――――!」

 

「あら、残念。では何時か、また何処かで」

 

 オルガマリーは頭部から赤い血を撒き散らす男を見ながらも、その意志が自分の肉体に戻って行った。玉座を中心とする神殿化した世界は閉ざされた。ジル・ド・レェとの因果と、その男との縁が強制的に遮断されてしまった。

 

「…………………」

 

 血の泡を吹くジルを胡乱気な意志のない瞳で見る所長。彼女の意志は戻っていたが、先程までの悪夢を思い返し、何故か彼の頭部を固定する右手を開くことは出来なかった。

 

『―――所長?』

 

「………あぁ、ごめん。ちょっとね」

 

『で、どうでした?』

 

「使い魔の叛逆ね。人間に愛想が尽きたって」

 

『あー……―――あ"!』

 

「なによそれ。心当たりがあるようだけど?」

 

『何でもないです。問題ないです』

 

「いいけど。ま、詳細は落ち着いたら話すわ」

 

『お願いします。それで、どうしますか?』

 

「私にとって、彼らに対する利益はない訳じゃないけど、リスク相応じゃなくなったわ。カルデアの職員に対する危険は排除したい。

 なので、もう殺したいけど……ジャンヌは、どうしたい?」

 

 それは最後通告。意志を通さないとならない。でなければ、ジャンヌが欲する真実は狩られてしまう。

 

「――……話を、させて貰えませんか?」

 

「勿論、良いわよ」

 

『ですが、所長……』

 

「良いのよ。結局、この問答も必要なことです。せめて、私たちカルデアがこれから何を選別して殺して行くのか……何を救わないと決めるのか、事実として知るのは義務。

 はっきり言って、そこから逃げる輩に英霊共は力を貸さないわよ?」

 

『……――――了解、しました』

 

「宜しい……ま、仕方ない感傷よ。私も趣味じゃないし」

 

『すみません。辛いのは、そっちの方だった』

 

 ロマニの名を思えば……まぁ、そう言う因果なのだろうと黙秘を尊んだ。責任拭いを代わる気は全くなく、所長にとって自分さえ理解していれば万事問題はない。

 啓蒙とは、それで良いのだ。

 暗い底に深く沈む脳髄に、狩人は母たる悪夢の深海を思い浮かべる。

 

「じゃ、そう言うことで。キリキリと情報を吐きなさいね」

 

 気付けにジルの脳味噌を狂気で揺さぶり、カルデア製の呪詛血杭を魔女の腑から引き抜く。彼は意識を覚醒させ、魔女も口に逆流した血反吐を漏らすも、だが二人とも殺気を再び甦らせた。

 

「貴様……貴様ァァ……何と言う、有り得ない悪夢か。だが狂い果てたこの私の、異界の神性に汚染された我が精神を反転させるとは。

 何を見て、何を思う―――狂人。それは如何なる狂気か、貴様?」

 

「うーん……狂気に酔わず、素面になったようで結構。その質問には、ジャンヌの疑念を満たしてから応えて上げましょう」

 

「―――ッハ。下らない……下らないわね!」

 

 霊体干渉する神経麻痺によって戦闘は不可能だが、それでも魔女は断末魔に近い気合いのみで立ち上がる。

 

「聖女ジャンヌ・ダルク。話なんてもう無価値です。我々は殺し尽くしました。この蛆虫だらけの国を焼き払って綺麗にした。

 ならば――罪科は決定した!

 この国を竜の魔女が私刑で裁いたように、貴女がこのジャンヌ・ダルクを許せないと願うなら、私を貴女の憎悪で火刑に処せば良い。

 そうやって家族を焼いた外道を殺せば良い……―――私が、そうした様に!」

 

「……だから、貴女は私ではない。在り得ないんです」

 

「馬鹿ね。アンタに憎悪はないって―――復讐は、決して願わないって。そんな固定観念こそ馬鹿と阿呆の極みなのよ。それこそ有り得ないのよ。

 聖女で在る前に、ジャンヌ・ダルクは人間でした!

 誰かを愛する様に、違う誰かを憎むのも同じこと!

 思い出は私達を裏切らない……奴らに犯された魂から叫ぶのも、結局は同じことじゃない!?」

 

〝おぉ……これは、また。素晴しく、痛ましく、誰かの意志だけが確かな夢ね”

 

 それを聞き、成る程と所長は内心のみで頷く。ある意味で純真、純粋、無垢。黒く暗く深く、だから裏表がない透明で、つまりは色無し(ピュア)。作り手の想いが詰まった作品で、暗い憎悪の意志が人型を得た幻想で在ることを正しく理解した。

 だが狂った事に、魂はそれだけではない。竜の魔女には知識があった。経験もある。理性もあり、知性も優れている。しかし、まるで誰かにそう望まれたような蔑視されてしまう単純さを持ち、だから他者から見ると理想的なまでに“可哀想”な人間性を持たされている。純粋無垢な信仰心によって、そう在れとカタチ作られている。

 過剰なまでの純粋さとは、即ち―――白痴の赤子。

 男共に精神が陵辱された故の真っ白さにより判断力が落ち、白くべたつく澱みに肉体を汚された故の透明な憎悪なのだろう。だから理由は真っ直ぐで、おぞましく筋が通り、美しさがある復讐劇が形成された。だから、もう一度見たいと聖女を創ったのならば、終わった時代(モノガタリ)から更に人々の幸福を抜き取らないとならない。そうしなければ、歴史は特異点として“もし”の物語は進められない。

 望まれた復讐。

 願われた憎悪。

 乞われた怨念。

 オルガマリーはこの特異点(セカイ)が、黒汚れた白痴の悪夢だと啓蒙された。

 

〝ジル・ド・レェ……否、ジル・ド・モンモランシー=ラヴァル。

 貴方の御蔭で正しく理解出来ました。特異点とは、あの使い魔が送り出した歴史の異端を望む者が、生前のやり残しを果たす為の理想郷。

 特異点の製作者が、完結した筈の歴史に不幸を持ち込む世界。

 登場人物に陥れられた人々を、悲劇で狂わせてこそ―――人理は、悪夢で焼かれるのでしょう”

 

 火の落とし仔。竜の魔女とは憐れまれ、純心な赤子であった。望まれた白痴である故に、創った外道が復讐に感情移入する為の活きた肉細工。

 復讐を望む憎悪の意志が本物だとしても、最初から魂に細工が施されているのだとすれば、竜の魔女は本物のジャンヌ・ダルクで在り、だが聖女ジャンヌ・ダルクでは有り得ない。

 

「我が魔女、ジャンヌ………」

 

「……どうしたのよ、ジル。だって、そうでしょう?

 そうじゃないと可笑しいじゃない。同じ思い出、同じ経験、同じ記録……なら、其処から湧き上がる憎悪は、正真正銘本物のジャンヌ・ダルクの願望じゃない?」

 

「違う。それは違うのです、魔女の私。

 私には確かに、そのような負の感情が有ります。人間ならば、当然のように持つべき人間性です。けれど、どれだけ恨もうとも、それを私を案じ続けてくれた家族に……―――母さんに、向けるなんてことは出来ないんです」

 

「―――馬鹿ね。

 あいつも結局はフランス人よ。憎むべき蛆虫の一匹に過ぎません。人理と言う蛆虫が集る腐った絵画に住む、薄汚れた世界の住人でしかない!

 私の魂は全てを焼けと―――そう叫んでいる!

 英霊と化したワタシなら、ちゃんと分かるでしょう?

 生きて救われて、焼かれて綺麗になった世界で救われるべきヒトじゃなくて、腐った蛆虫から好き勝手に哀れまれる聖女様だったら!?」

 

「……すみません。それでも私は、この世界が好きなんです。

 もし恨んでいるのだとしても、それは人を殺して故郷を救った自分自身。

 だから死んで英霊になったジャンヌ・ダルクも、こうやって貴方達に救われた人間の私も……どんなに腐ろうとも、それでも私は世界を焼きたいなんて―――思えない!!」

 

「だから、だから……アンタは―――馬鹿なのよ!!」

 

 四肢を撃たれたジルの前に進み、ジャンヌは暗い意志をジャンヌに向けた。

 

「そうですね。けれど、貴方は貴女で、私は私だ。

 竜の魔女、ジャンヌ・ダルク。故郷をまた助ける為に……母さんたちの魂を守る為に哀れみではなく、私は私の意志によって貴方達の憎悪を挫きます。

 ―――もう一人の私。

 恨むのでしたら、救われない私だけを恨んで……どうか、同じ場所に逝きましょう」

 

「この……ッ―――大馬鹿が!?」

 

 叫び、それによって血が一気に溢れ出た。傷付いた内臓が更に傷を深め、魔女は痛みに襲われる。膨れ上がった魔女の殺意により戦いが再び始まり、しかし戦力差を考えれば一方的な処刑が行われようとした。だが、それを静かな呟きが停止させた。

 

「キャスター、ジル・ド・レェ」

 

「…………」

 

「貴方の意志は、拝見させて頂きました」

 

「……―――貴様、やめろ。やめてくれ」

 

「狂気を、狂気によって正気に戻ったのなら、自分自身の所業を正しく今は認識しているのでしょうね……いやはや、全く。

 アッシュの提案に乗り、良くここまで誰も彼もを騙してきたわね」

 

 それは、あらゆる不吉を含んでいた。所長は無表情であり、まるで患者に告知する医者のような貌だった。

 

「……聖杯によって、そもそも真に貴方が救いたかった死んだ聖女は救えなかった。

 けれど、この特異点の変革点はジャンヌ・ダルクの火刑よりも前にあった。聖杯によって歪み始めた歴史は、殺人鬼青髭として召喚されたジル・ド・レェには最適だった。

 聖杯で救えないのだとしても、今度は自分自身の手で救い出せる機会を得た」

 

「その口を閉じろ、オルガマリー・アニムスフィア!」

 

「それでも尚、ジル・ド・レェの憎悪は癒されなかった。そもそも勘違いをしていた。思い人を救えたところで、復讐心が消える訳がない。

 ジャンヌ・ダルクを救えても―――貴方は、決して救われない。

 となれば当然、聖杯は別の使い道を得たのでしょう。例えば、復讐を望む聖女の召喚に使ったとかね」

 

「あぁああああああぁああああああああああああああ!!!」

 

「しかし、そもそもジャンヌ・ダルクは復讐を望まない。英霊の座から召喚したところで、特異点を作ったジル・ド・レェを許さない。その上で狂った心を癒すには、製作者にとって都合の良い魂細工のサーヴァントが必要でしょうから。

 そして、妄念だけで作られた筈の“人形”に、丁度良い核となる魂を貴方は手に入れていた。ジャンヌ・ダルクと縁深く、まだ無色で純粋無垢なカタチであり、何色にでも好きに色彩を染められる人理に存在を許されない赤子」

 

 絡まった方程式が如何程に複雑だろうと、答えは何時だって簡素だった。

 

「ジャンヌ・ダルクと共に、ジャンヌ・ダルクと同じ拷問の記録を有している者の正体。少し捻って考えれば、答えに辿り着くのは結構ね、簡単な道筋よ」

 

「閉じろ、閉じろ、閉じろぉぉぉおおおお!!」

 

「魔女は、確かにその時―――ジャンヌの胎の中で、生きていたのでしょうね」

 

 星見の狩人(オルガマリー)は啓蒙された男の意志を、ただただ告げるのみ。

 

 

「――――…………は?」

 

 

 同時にそれは、竜の魔女(ジャンヌ)が決して知ってはならなかった真実でもあった。

 

「竜の魔女、ジャンヌ・ダルク。貴方の記録は偽物で、聖女としての思い出も捏造だけど、その復讐と憎悪だけは本物なのよ。だってジャンヌが受けたあの拷問は、魂と意志を母親と臍の緒で交わしていた貴女も受けていたのだから。

 ジャンヌと言う名前も聖女の胎から生まれた貴女に、ジル・ド・レェとアッシュがそう名付けた貴女だけの名前。ダルクと言う姓も、母親から引き継いだ立派な家名です」

 

「―――――ジル……?」

 

「……………………」

 

「ジル、ジル……―――ジル?」

 

「……………………」

 

「全部、本当なのね……?」

 

「……はい。貴女は、聖女が孕んだ水子でした」

 

「――――――――――――――――――」

 

 からん、と地面に剣と旗が落ちる音。膝が折れ、心も折れ、ジャンヌと名付けられた赤子の聖女は、気の抜けた内股のまま崩れ落ちる。両手を地面に付き、オルガマリーを罵倒する台詞も思い浮かばない。脳内に答えとなる言葉が響き渡り、幾度となる魂を削り取る刃となる。

 

「―――あぁ……ぁ、わたしは……」

 

 魂は本物で、だが魂を構成する情報が偽物だった。ジャンヌを魔女にした憎悪は真実で、しかし生前だと思っていた記録は捏造だった。

 なのに、ジャンヌ(赤子)はそれ以外を知らない。理解出来ない。記録も記憶も、知識さえ植え付けられた情報に過ぎず、魂の中身に本物が何一つなければ、魔女は復讐者と言うラベルが魂に貼られた空の器でしかない。人の形をした殻に、他者が好きなように内側を満たし、外見をそれらしく色付けした化け物だった。

 

「子供……竜の魔女が、私の―――娘?」

 

「ジャンヌ、それが貴女が欲した彼等の事実よ。この男は誰にも決して真相を告白しないから……私がすべき事じゃなかったけど。でも人が揃った今じゃないと無駄になるから、話させて貰ったわ」

 

「赤ん坊……だったら、それだったらぁ―――!!」

 

 望まずして侵略者に孕まされた自分の子供。あの時の記憶を思い返し、ジャンヌは自分の身に刻まれた陵辱と消えない屈辱が記憶から浮かぶ。幾度も犯され、毎日行われた拷問の日々。魔女だと自白させる為に、だがあの異端審問官と兵士達は愉悦のまま聖女のを貪っていた。

 その時に出来た赤子……いや、死産で摘出された水子。

 手を伸ばしそうになる。意志だけでそんな衝動を抑え込み、しかしジャンヌは脳も心臓も全部が静かに震えた。

 

「ジル……ジル……ジル・ド・レェ!?

 何故ですか、何故こんなことを、なんで黙っていました!!」

 

 もはや母親になれないジャンヌは、腕を振わせながら仰向けに転ぶジルの首元を掴んだ。座り込む赤子の魔女の背後に居た彼は無気力なまま、彼女の手で強引に立たされた。

 

「言える訳がないでしょう。貴女を救える奇跡を与えられても、それでも憎悪を捨てられなかった私情など。そして私にとって都合が良い……祈りを捨て、復讐を願う聖女を求めた醜い強欲など。

 我らの復讐は、どんな娯楽よりも―――愉しかった。

 堕落した生前の私は好きなだけ子供を犯し、苦しめ、殺したが―――復讐は比較にならない」

 

「ッ…………」

 

 ギリ、と歯で歯を削る。眼前にまで近付いたジャンヌの口から血が流れるのを、ジルは間近で見せられた。それでも彼は、聖女に求められたら語らずにはいられなかった。

 

「初めは、ジャンヌの赤子を傀儡として使い潰すつもりでした。憎い侵略者の種が我が聖処女に寄生し、胎内で蠢いていた醜き生物。私にとって魔女になる前の、おぞましい赤子はその程度の存在でした。

 あぁ……けれども、何故かそう扱えなかった。

 そうするべきだと、そのジャンヌ・ダルクも私からすれば復讐すべき邪悪だと言うのに、利用し尽くして襤褸雑巾のようにして棄てる計画でしたのに……私には、魔女をそう出来なかった。

 ―――竜の魔女が……どうしようもなく、ジャンヌ・ダルクの娘だったのです」

 

 ジル・ド・モンモランシー=ラヴァルは告白した。

 

「貴女を救った後、私はオルレアンの城に軟禁した。その時に私はアッシュと話し合い、魔女と傷付いた貴女を合わせる事にしました。

 もう一人の、貴女に憎悪を隠しながらも、それでも復讐心を隠せない自分自身。

 そんな違う自分と関われば、貴女であろうとも……あるいは、復讐に絆されるのではないかと。だが、そんな風に貴女と合わせた聖女の赤子は、まるで聖女のように笑みを浮かべていました。憎悪のまま復讐を果たす時に浮かべる暗い笑みとは違い、聖女と同じ優しい笑みを……我が魔女は、浮かべてしまいました。

 聖女の穢された心を癒すだけではなかった。

 魔女もまた親からの心を受け、人間性を育てていた。

 復讐の為だけに生かした人形が、知らずとは言え人間の心を得るのを見て……私は、もうこれで良いのかもしれないと思いました」

 

「それは…………―――あぁ、だからその子は、あの城が故郷だったのですね」

 

「その通りです。知らずとも、母と過ごした日々。だが、しかし……世界を焼かれた抑止力は、その貴方こそを守護者に仕立て上げた!!」

 

 精神汚染された正気は、だが狂気によって狂気を喰われた。ならば、今のジルが感じている狂気は、彼自身が持つ純真な憤怒である。

 

「おぞましき人理、薄汚れた抑止力!

 赤子から母親も奪い去り、あまつさえその母に子殺しをさせる外道非道!!

 もはやこのジル・ド・モンモランシー=ラヴァル、一切の加減なく世界を焼くことに躊躇いなし!!!」

 

 ジルにとって、人理とはそれだった。抑止力とは、見るに耐えない汚泥だった。

 

「それで、貴方は世界を焼いたと?」

 

「正しく、その為に。今となっては私が苦しめられるのはどうでも良いのです、どうでも。

 しかし、救われた聖女を呪った英霊の座には必ずや呪いを送り返し、それを良しと嗤う醜く汚い人間共の人理も、私は絶対に呪い滅ぼさねばならない」

 

 所長の質問に、ジルは誠実な瞳で答えた。迷いなく、曇りもない自分の意志に殉じる男の顔だった。あぁ、とそれを見たジャンヌは溜め息を吐きそうになる。気力を失った人理に有り得ざる“家族”が視界に入り、そんな溜め息も消えてしまったが。

 

「貴方は、そんな事の為に……いえ、違いますね。戦争に負けて、捕虜にされて、火刑に処された私も、本当は恨んでいたのですね?」

 

「―――それは違う!!

 我らの闘争は故郷を守る為に必然だった。ならば、その敗北も屈辱も、全て全て侵略者と裏切り者の責任だ。決して、貴女に咎は無く、私はジャンヌ・ダルクに恨みも憎しみも抱かなかった。

 殺してやりたい、あの無価値な神にも誓って、この怨念にも誓って!!」

 

「なら……―――どうして!?

 どうして、私の家族を憎悪に捕えたのですか!!」

 

「それ、は……それは……―――」

 

「―――ジル。もう、良いわ」

 

「ジャン、ヌ……?」

 

 魔女の赤子は顔を上げた。聖女(ハハ)の叫びを聞き、元帥(トモ)の無念を知り、諦観だけを声として。

 

「殺しなさい。貴女にとって、私は穢れた営みから生まれた出来損ないでしょ……?」

 

「――――……」

 

「結局、私はジャンヌ・ダルクでもなく、人間でもなく、化け物でもなかった。この特異点は私ではなくて、貴女のための世界だった。

 人形が人理に捧げた、母のための戦争鎮魂歌……ねぇ、ジャンヌ・ダルク。裏切者が死ぬ姿を見て、侵略者共の屍の山を見て、少しは胸がすく思いを抱けましたか?」

 

 復讐に狂った男と、復讐だけしかない赤子が奏でた故国の断末魔。せめて人形として生まれた赤子は、自分を孕まされた母から惨劇の答えを教えて欲しかった。

 

「……貴女は」

 

「偽物でも、本物でも、私にはジャンヌ・ダルクの復讐しかないの。

 それが成功でも、失敗するでも、ここで降りることは出来ない。今さら、この在り方を変えるには……もう、私は人間を焼き過ぎた」

 

「そんなことの為に……!?」

 

「真実を知った所で、私の願いは変わらない!」

 

 魔女は、血を本当に沸き立だせた。黒い火の熱が自分の肉を溶かし、燃える薪のように煙が上がる。そんな魔女を見たジャンヌは自然と手が緩み、掴まれていたジルは彼女から離れた。そして水銀弾で抉られた筋肉を触手に作り変え、癒えぬ傷を治し自分の足で立っていた。

 

「我が魔女よ、これを貴女に。真実を知ってしまったのなら、貴女が持つべきでしょう」

 

「ジル……何ですか、これ?」

 

「本当の―――貴女です」

 

「……………」

 

 渡されたのは溶液に満ちたフラスコだった。透明な液体の中、底には米粒ほどの肉片が沈んでいた。まるで赤ん坊を小さくしたような、血の通わない人となる前の水子だった。

 ジャンヌ・ダルクは、自分の死骸を見詰めている。

 魔女は何故こんな物をジルが持っていたのか、何故この時に渡したのか分からない。それでも確かな縁を魔女は肉片から感じ取れた。

 魂が――死骸(コレ)が本物の自分なのだと分かっていた。

 

「―――逃げなさい」

 

「え……?」

 

「オルレアンの城に……いえ、貴女は貴女の家に帰りなさい」

 

 宝具である魔導書を地面に落し、四肢も満足に動かせず、だがジルはジャンヌを守る様に立ち塞がった。彼は魔女を守る為に、聖女の前で立っていた。そして、彼の言葉が終わると共に銃声がなった。

 

「ジル……ッ―――!?」

 

「ぐぅ……」

 

 魔女の悲鳴と、元帥の呻き。所長の弾丸がジルの心臓部分に命中し、水銀弾は肉体内部で液状となって破裂する。

 

「………ジル?」

 

「へぇ?」

 

 だが死なず。ジャンヌとオルガマリーはジル・ド・レェの姿に疑問を呟き、そんな声を向けられた男は形容し難きものへと変態する。そして、肉から盛り出た蛸の足らしき肉塊が護謨のように伸び、地面に落ちていた魔導書を吸盤で吸い付いた。

 ―――膨れ上がるのだ。

 所長の水銀弾によって弾け飛んだ胸部の内より、この世から逸脱した生命種が湧き生まれる。

 

〝異なる宙の生命系統樹……ふふ。フフフ"

 

 啓蒙された異文明の叡知。宙の遥か彼方より流れる知識によって、狩人は軟体の如き脳髄が疼いて堪らない。新たな生態系を理解した所長の眼前にて、男の肉体は水性生物らしき瑞々しい生臭さとなり、エーテルで構築された服は弾け飛び、顔の造形はもはや人間でなく、哺乳類でさえなかった。

 風船のように膨らむ頭部。骨が消えて逝く四肢と、体から生える無数の触手。変態する肉体とは、即ち深化。男は海魔に取り込まれているのではなく、霊体と霊基を海魔と呼ばれるナニカに作り変えてしまった。

 

「ジル―――」

 

 人型の蛸のような異形の巨人。

 

「―――我が魔女よ。

 早く行きなさい。此処は、私が」

 

 そう宣言し、だが肉体はまだ膨張を止めない。魔女は完全に後戻りが出来なくなった元帥を見て、撤退の意志を決めた。

 直後、躊躇わない銃声。彼女の背後を襲った水銀弾であったが、弾道途中に触手の壁が入る。

 しかし、エヴェリンから連続発砲された為、狙いは直ぐ様に変えられ、蛸の頭の眉間に命中。まるで風船に針を刺したようにパンと頭蓋骨が破裂した。

 

「―――霊核が、何処にも……?」

 

「良い直感力……そうみたいね、ジャンヌ。

 完全に異星系の生命種だわ、あれ。サーヴァントの原理から外れ、ついにジル・ド・レェは死人でもなくなりました」

 

「それでは、もう人の魂でさえ……―――」

 

 脳髄も心臓も、触手で代用可能となった怪物。細胞一つ一つが核であり、その集合生物と成り果てた変異生命体。

 だが、それから目を逸らせとジャンヌは啓示される。彼女の視界の中から、この場から逃がしてはならない本当の相手が、傷付いた肉体から血を流しながら、走り去って行った。

 

「―――待ちなさい、ジャンヌ!」

 

 そう娘だったらしき魔女に叫んだが、もう届きはしないだろう。だが、別れは必要なもの。子供にもなれなかった赤子ならば尚更だ。

 魔女は小さな声だが、自分がこの世に生れて来て良かったと赤い涙を流してくれる男に別れを告げ、男は自分の友となってくれた赤子の聖女に今生の別れを告げた。

 

「……さようなら、ジル」

 

「ええ。良き人生を、ジャンヌ」

 

 人間として最後の言葉を魔女に残し、最期の決意を使い切った。灰に与えられた人間性は、宿主である狂った魂の願望を聞き届け、魂魄からの深化を一気に開始。

 ジル・ド・レェは人の海魔へと完全変貌を遂げた。

 ―――狂える魂が、そのまま肉を持って世界に具現した。

 

Ia(いあ) Ia(いあ) Cthulhu(くとぅるう)

 

 四肢持つ蛸頭が唄う。悪夢より向こうの宙から、瞳を輝かせる何かがジル・ド・レェの汚染された穢れ無き魂に映り込み―――されど、神性は区別なく闇に堕落する。

 どのような者であれ、(ソウル)を例外なく人間性は受け入れた。

 深淵を覗く時に深淵も相手を見るように、深淵は瞳で魂を見詰めていた。

 

Ph’nglui(ふんぐるい) mglw’nafh(むぐるうなふ) Cthulhu(くとぅるう) R’lyeh(るるいえ) wgah’nagl(うがふなぐる) fhtagn(ふたぐん)

 

 死せるクトゥルウ、ルルイエの館にて、夢見るままに待ちいたり。

 

〝あ……え―――な、なに。何故、何で?”

 

 ―――啓蒙(インサイト)

 

〝どうして、その呪文は小説でしかない筈。その言葉に魔力を込めたってそもそも……あぁ、つまり、そうだったのね。

 好きな作家だけど、彼がそうだなんて聞いた事はなかった。でも、ただそうだったと言うだけ”

 

 脳の蛞蝓(グレート・ワン)の視点に不可能はない。何処だろうと見られたならば、相手を見返す瞳を有していた。

 

「――――――――――――」

 

 大いなる蛸人の唸り声は、もう音として認識する事は不可能。魔女を追い駆けたい筈のジャンヌは姿を見た上で呼び声まで聞いてしまい、その神性から目を逸らせなかった。特異点を解決しなけばならない所長は、異なる神性を理解したいと貪欲に呑み込まれていた。

 そして、その精神停止は仲間が来るまで続いた。蛸の者も止まることなく、神性のままオリジナルの大きさに近付くよう深化した。

 




















 灰の人って自分と同じ不死や灰から耳とか舌とか目とか骨とか取って、無駄に大量に集める人体コレクターなんですよね。自分も三作品でそうでした。不死や化け物を虐殺して死体を解体し、体の一部を契約と称して信仰相手に捧げるので、どう足掻いても邪教徒。なので実は神様嫌いな不死はいても、やり込みプレイヤーが操る主人公だと神嫌いっていないじゃないかと思っていたり。ある意味、信心深そう。あるいは、神嫌いだった不死のソウルの記録から、そんな魂を魂で演じられるとは思っています。その点、狩人様はまだ血が大好きなだけなので、殺した狩人から血をパクるだけで健全。
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