血液由来の所長   作:サイトー

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啓蒙43:絶対羅馬領域

「それで……戦況は如何かね?」

 

「あら、珍しいです。何時になく真面目な対応ですね、レフさん。まるで人間だった頃に戻ったみたいですよ?」

 

「仕方ないだろうが。星見の狩人が、敵として呼吸しているのだぞ?

 私とてカルデアなぞに脅威は抱かんが……っち―――気色の悪い蛞蝓共の悪夢になど囚われるとは、計画の想定外だよ」

 

 灰は枯れた舌では味が一切分からないローマのワインを雰囲気で飲みつつ、双眼鏡でカルデアとローマの衝突を楽しそうに観戦していた。少しだけエストの熱も混ぜたので、飲む度に生命に火が宿る実感があるだけで、その僅かな燃える感触を娯楽として楽しんでいるのだろう。

 あるいは、楽しめるソウルを魂に現し、自分の人格として擬似確立しているか。

 

「しかし、ローマのワイン……美味いだろうと言う事は分かりますが、味が分かりませんし、食事に感動する機能も亡くした儘でいけません。私の代わりに、レフさんはどうですか?」

 

「結構。人の不幸で酒に酔う趣味はなく、人の死に愉悦を感じる真っ当な人らしさなど、そもそも私にはなくてね」

 

「残念ですね。斯く言う私も、殺し合いを肴にすれば血と命に酔えると思ったのですが……フフ、駄目ですね。いやはや、善悪を娯楽に出来るこの世の人間が羨ましいです。

 楽しいって言う私本来の実感を思い出せば、自分の魂を取り戻せそうだと思うのですが」

 

「そうか。御苦労なことだな」

 

 ……そんな物見遊山な協力者にレフは侮蔑の表情を浮かべていた。

 その気になれば、レフ達が見付けられないカルデアの南極本拠地だろうと、今この瞬間にもカルデアに隠した篝火から焼き尽くす事が出来る癖に、灰は特異点における協力しか獣には施さなかった。

 

「しかし、そんなことはどうでも宜しい。星見の狩人……それを名とする、あの魔術師は一体何者なのだ?

 オルガは……いや、あの狩人は人理に生きる人間ではあるまい」

 

「そこまで知っているのですね?

 星見の狩人……オルガマリーが持つその名前、フランスで観測でもしましたか?」

 

「貴様の悪辣な娯楽によって、な。聖女から魔女を作り出し、暗い血の赤子をあの蛞蝓を利用して完結させた訳……いや、そもそもフランスの特異点は貴様が妄想する悲劇の写し身だ。

 ……屑め。反吐が出るな、人間の女。

 やはり貴様も焼かれるべきだった。だが、その原罪に我らの怒りでは届かない」

 

「構いませんよ、別に。そもそも聞いた話、レフさん達は魂が出入りする輪廻や、世界が描かれた絵具を焼く訳でもなかったですからね。命なぞ、好きなだけ貪れば良いことでしょう。獣であれば尚の事、我慢する必要もありません。

 世界一つが焼かれた所で、人類の不死性が消……―――お、中々に成長しているようですね。

 真剣勝負はどんな戦局でも面白いです。ほら、見て下さいよ。あのマシュ・キリエライトが、あんなに強くなってます」

 

 テンションが上がっている……様な、そんな存在感に、魂の演技を灰はした。本心から楽しく、本音で喜び、だがそんな風に娯楽で愉悦に浸れるのは、人の営みを好む魂を描いたからであり、灰自身はただの器。尊厳や在り方など健常な魂を持つ者にのみ許された生き方に過ぎず、不死だった頃の魂を失くした今の灰の魂にあるのは、目的と化した意志一つのみ。

 魂にさえ自己がない虚ろなる人間―――もはや、人間としか言えないモノ。

 心の中には何も無く、感情を無くし、魂を亡くし、意志だけが何故か永劫に蠢き続ける者。

 

「人理定礎。観測し続けていた筈のソレを、我らはまだ見誤っていた。フランスを経て、だが数多の同胞達の中で私だけが気が付けた。何故か私だけが、このローマにて啓蒙されてしまった。

 オルガの血が、私の思想を狂わせたのだ

 人間共の蒙昧さに、我らの夢さえも悪夢に穢される……―――何故だ。何故、そうまでする?」

 

 真実、獣が本当に喰い殺さなければならないのは、アッシュ・ワン。眼前に存在する薪の闇。だが不死であり、殺しても死なず、死なしても甦る。

 

「成る程です。やっと気がつきましたか……ふふふ、フランスは貴方にとっても良き教訓を得られたことでしょう」

 

 はぁ、と彼は嘆息する。この世の者から悪夢の住人になった女に、憐れみから生まれた蔑視で以て嫌悪する。

 

「星見の狩人とは、貴様が作り上げた聖女と魔女の関係と全く同じ。だから、悪夢に暗い血を与える為に、魔女等と言う回りくどいことをした。

 そして、人理によって死ぬべき時間と場所が決められているのも……また同じであった」

 

 狩人などと言う存在でなければ―――あの時、レフの手で殺される筈だった。

 

「その通りですとも。悪夢とは現実を歪める狂気であり、狂わされるのは人理も同じである訳です。けれど、そもそも本当の運命を与えるのは、貴方の役割でした。聖女が侵略者に焼かれて死んだように、オルガマリーは未来を観測する人理によって人生の道筋は決まっていました。

 レフ・ライノール・フラウロス……カルデアスに、貴方が彼女を捧げなければいけなかった」

 

 監視した。測定した。観測した。何もかも、違う世界も観測した。未来も過去も、見通さなければ啓蒙されないとレフは発狂せずとも狂気を実感した。

 だから―――人理の燃え殻を彼は見続けた。

 オルガマリー・アニムスフィアを殺そうとしたあの瞬間、まだ人理焼却は精確に観測された訳ではなかった。あの時はまだ、人理が獣の火で完全に消えた訳ではなかった。燃え切れぬ定礎として組み立てられた、人理が観測した未来への道筋が本来ならば存在していた。

 しかし、火刑から救われたジャンヌ・ダルクがマシュ・キリエライトに殺された様に、未来の視点を得た者達にとって―――死ぬべき誰かが、冬木の特異点で生き延びてしまっている。

 全ての例外は、レフでもなく、カルデアでもなく、人理焼却ですらなく―――灰と狩人だけ。外側より来た異聞史でさえない阿頼耶識に観測されぬ存在。あるいは、この宇宙からも隔離された宙にある悪夢の、人と神が知り得てはいけない失楽園。

 

「屑共め。醜く、おぞましく、人を贄とすることにお前らは何の罪悪感もない」

 

 最大の怨敵を、レフは憐れに思った。王を殺し得る狩人が、そもそも王以上に人理にとって害獣だった。奴が悪夢を夢見る限り、人理は例外として扱うしかなく、その意志が途切れない限り何もすることが出来ない。上位者とは名の通り、故郷である悪夢の法則以外に囚われない上位の存在なのだろう。

 何より、獣狩りの抑止力として利用出来る“人間”だった。

 矛盾を飲み乾す価値があった。世界から排除する手段もないならば、人理は悪夢と共存するしか術はない。敵対するのならば話は別だが、悪夢の住民は人の胎を使って落とし子が欲しいだけであり、悪影響も精々が繁殖の道具にする程度。阿頼耶識の抑止力が手を出す程の滅びではなく、手を出せば逆に全人類の意志が悪夢に招かれて滅ぼされるだけだろう。集合無意識と悪夢が繋がりを持てば、その結末が確定されることだ。

 

「私は人理とは別の理に存在しますので、此処の人間と同じ括りにはしない様にして欲しいですね。

 尤も人間でしかない事は真実ですので、人類を罵倒する貴方の怒りは真摯に受け止めますとも」

 

「―――っち、胸糞悪い話だよ。だがこの世界を焼く気にもならなかった貴様が、焼かねばならないと思った貴様の世界、如何程までに救われないのか……私としても興味が湧くよ」

 

「私が一般人として生きられる世界でしたよ?」

 

「どんな地獄かね、それは」

 

 思わず呆れ、素の表情を出した。隙を見せたが、馬鹿話に反応したレフに非はないだろう。

 

「まぁ、正確に言えば違うのですが……灰なんて、別に珍しくもない生き物ですよ。しかし、貴方にとってこのローマを担当出来たのは、獣としても僥倖でしたね。

 知るべきではない無明の未来情報が、レフさんにこうして啓蒙されたのですから」

 

「そうだな。ああ、全くその通りだ。オルガは、私の手で殺されるべき女だった……と、啓蒙されただけでも良しとしよう」

 

「とは言え、所長は狩人ですからね。阿頼耶識の思惑など大した意味もないでしょう。矛盾していようとも、それは狩人ではないと言う前提があってこそです。貴方に殺される筈だった人間は、そもそも人理に観測されず……ならば、存在しない者として扱われましょう。

 観測する未来にとって死ぬべき人物であろうとも、最初から人間として死んでいるのですから。ならばオルガマリーが星見の狩人である限り、運命は克服されることでしょう」

 

 結論としては、そうなのだろう。その意志で、人理は超越され、未来は克服された。運命を自分の意志で選ぶ瞳をオルガマリーは持っているのだから。

 

「成る程……―――そう言う理屈か。

 ならば正に僥倖な真実だ。我らにも悪夢を克服する手段が残されていよう。感謝するよ、火の簒奪者。貴様の叡智によって、獣らしく人を燃やす偉業は保たれる」

 

 ローマで所長を観測したレフは新たな事実を啓蒙してしまい、だが灰によって安心しても良い答えを得られた。人理からも定められていた死ぬべき運命を克服する相手であったとしても、その存在を殺すだけが方法ではない。そして彼女の中に眠る幼年期の狩人が、オルガマリーがジャンヌのように人理から殺されるのを誰よりも大切に護っている。

 ……だが、それだけだ。

 レフからすれば、蛞蝓の意志を邪魔する気など欠片もない。

 灰との問答で道筋は見えた。ローマで芽生えた疑問も、時間が解決してくれる。もう用はないと、レフは灰の傍から消えて行った。このローマですべき職務を全うすべく、彼は獣の一因子として偉業に邁進しなければならなかった。

 

〝オルガマリー・アニムスフィア……貴方が聖女の途を選ぶのか、魔女の淵を望むのか。その瞳で見た二人の女は、未確定な貴方の未来の在るべき星見の在り方。

 ですが、どうか―――目覚めだけは悔いなきように。

 人間で在りたい貴方だけは、安らかな死の寄る辺を得られますことを願いましょう”

 

 この世の魂に憐れみを。不死の灰として、心亡き憐憫を。

 

〝人間性を捧げよ、星見の狩人……―――赤く焼かれた、あの星の燃え殻(カルデアス)へと”

 

 世界を生かす為にジャンヌが殺された様に、世界を救うオルガマリーも死なねばならない定礎の在り方。やはり腐れは燃えるべきなのだろうと、灰は簒奪したソウルで再現した人格の感情により、一人の人間としてこの世界に生きる人間を憐れんだ。

 原罪の探求者(アッシュ・ワン)―――それが、罪の在り方を求める呪われ人の残り滓だった。

 

「酒が美味しいと思いたいですけれど……―――何も、無いですね。

 何処まで魂が進化すれば、火を簒奪した灰はその強さを得られるのでしょうか?」

 

 無価値な独白だ。酒を呑みながらも、その言葉を呑み込めなかった。尤も、その想いさえも結局は、不死の呪われ人だった頃の願いに過ぎない。とは言え、灰はせめてもの渇望として、オルガマリーがどうか自分を殺せる灰狩りの狩人にならんことを祈るばかりであった。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 激戦が繰り広がる神祖の神域。人間性に汚染された宝具より漏れた澱みは、地面に蒔かれた種となり、ローマが生み出した闇を遮る蓋となった。

 ―――人が樹になるのではない。

 冒された古樹が、人の形を得るようにソウルを吹きこまれるのだ。

 神祖の真性とは羅馬の真実であり、神性が克服された人間性の思考林。故に深淵へと沈んだ薔薇のローマを封じる真性森林領域の樹檻。だが森は、神祖が創造槍で作ったから神祖の森と言う訳ではない。木々の一つ一つが、神祖の人間性を写した巨樹だった。帝都羅馬を覆う巨大樹木が神祖に転じた異形であり、人間性によって膨れ上がった意志を持つ生命であり、植物と鉱物が雑ざる古竜を模した人型の異界生物。

 つまるところ―――絶対羅馬領域。

 その森は生きた彼の分身存在(アルター・エゴ)。神祖樹の巨人が動き出す。

 

「樹人……ッ―――此処は何処の神話の異界だって言うのよ!!」

 

『なんだこれ、何だこれ……何なんだ、此処は―――どんな異界法則で成り立ってるんだ!?

 真性悪魔の固有結界だってまだ常識的な異世界だって言うのに……聖杯だけじゃあ説明出来ない程に狂ってる。どんな悪夢をローマが願おうとも、その願望に至る為の理論と道筋が、願う側にないと叶えられない筈だ!!』

 

「ちょっとロマニ、そっちでの解析も――」

 

「――ふぅはははははははははは!」

 

 戦車の爆音以上に、暗帝の嘲笑が森に響きたる。

 

「彼等は防人よ。我らが偉大なる神祖ロムルス殿より溢れた愛により、ローマを得た深化せし寵愛の落とし子。自分を羅馬神祖だと錯覚しているただの精神異常樹だ。人の心を持った植物だ。

 貴様達には理解できまい……暗き我らの情熱を!

 闇を溶かし、更なる深みと粘りを与えるのは――人の業!

 余の女神の深淵は焦げることで、より暗く、より鈍く、人でない生命さえも人間として在るべき人間性を授けるのだ!!」

 

 小さい個体でも全長10メートル以上で、大きなモノは30メートル近く、今と環境が違う古代に存在した植物のスケール。樹の根が巨人の両脚となり、樹の枝が巨人の両腕となり、樹の洞が巨人の顔面となった。巨樹が生まれた原因を探ることに意味はなく、その時間もない。そして、神祖化していても動けない100メートルを超える巨樹も生えており、それらからは触手のような蔦が伸び、カルデアにとって脅威的な攻性生物であった。

 火竜の息吹―――愛憎の焦がれが、途を僅かに切り開く。

 先頭を走る清姫がマスターを巨樹人から護る為、火吹の突撃槍となって脱出経路を焼き払う。

 

「マスター、お早く―――追い付かれます!?」

 

「……分かってる、けど―――!?」

 

 地獄とは、この光景。樹獄の森檻。周囲全てが敵であり、管制室からこの空間のあらゆるモノから敵性反応が検出される。

 ……それなのに、頭上は光り輝いている。

 夜の帳は下りていないのに、天上に浮かぶローマの月は―――綺麗だった。

 安寧の中で狂ってしまいたい……と、藤丸は自分を護ってくれる清姫を殺したくなった。カルデア最後のマスターは、彼女の可愛らしい顔面に歯を立て、唇を噛み千切って、目玉を飴玉みたいにずっと舐めていたいだけだった。その柔らかそうな体に顔を埋め、乳房を握り裂き、股間から腕を突っ込み、内臓の温かさを味わいながら、脳味噌を咀嚼したくなるのも仕方ない。

 美味しそうだ―――裸に、なりたかった。清姫に、なりたかったんだ。

 令呪で縛り付けて、喘ぐ姿を耽溺して、何もかもを蹂躙し尽くせば自分の明るい未来が切り開ける。信じれば、救われる。夢を裏切ってはならない。悪夢は晴れてはならない。狂気が晴れて、真っ当な正気が暗い深淵の月明かりから啓蒙される。そうに違いない。ならば童貞卒業、処女卒業、皇帝遊戯、悪逆考察、殺戮汚染、月下狂乱―――絶対羅馬領域の、祝福に血が胃な意、値が以内、チガいナイ、違いない?

 狂って、イイ?

 良いよ。誰、キミ、シニタイ?

 キコエルヨ、燃える皆ノ悲鳴ノウタ?

 ワレワレハ樹だ、気ヶ騎請うル今日器脳他!

 月光埜シタで永続去レるのが、手異国の震園脱田!

 そう月明かりは藤丸立香を照らし、明るい世界を啓蒙するのみ。だが、まだまだ彼は耐えられる。何かが脳髄で蠢いているのに、何かがそれを鎮めている。

 

「おぉ……狂える月光、ネロの帝国を照らす暗月の輝き。与えられし狂気は我が脳髄を啓蒙し、されど克服はなく発狂は耐えられん。正しく、永続なる狂気が帝国を覆い尽くす。

 ―――我が心を喰らえ(フルクティクルス)()月の光(ディアーナ)……さぁ、狂えよ。我らの繁栄は、其処へ至る狂気なれば」

 

 故に―――地獄だった。灰より貸し与えられた月光の大剣は、女神の狂気さえも呪い狂わせた。月明かりなど生温く、狂気を乱す月の本質がカリギュラに与えられた。

 よって、宝具本来の使用条件など無意味。

 何故ならば彼は月そのものを握り締め、常に背負っていた。彼はもう月明かりから逃げられず、敵もまた月となった皇帝の狂気から逃げられない。

 

「我が姪、ネロよ。今こそ、我ら皇帝のローマを永続させよ」

 

「当たり前だ、伯父上よ!」

 

 皇帝特権の応用か、当たり前のように空中を浮遊するカリギュラはカルデアを照らす月だった。ならば、その月光が神祖と暗帝を照らすのも必定。

 ネロはパスが繋がった刑罰戦車を変形させ、武器を展開。それは戦車に搭載された中華ガジェット式火槍。即ち、生成した結晶槍矢を撃ち放つ―――連射弩砲。

 最初の火と錬成炉、そしてフランスで完成した暗い炉は、古竜の秘儀さえも前以上に完全模倣し、灰は古竜の業も手に入れている。その叡智を実験と称して啓蒙された陳宮は、ネロの戦車に原始結晶炉の小型複製品を内蔵させており、それこそ戦車が持つ超軍師の中華ガジェットの原動力として利用されていた。

 本当の意味で世界一つ分の知識を、灰は使い潰していた。

 神々よりも古き竜の神秘も、彼女からすれば原罪(進化)を解き明かす実験材料の一つでしかなかった。

 

「これぞ我が深淵羅馬の新兵器。その名も結晶の弩砲(クリスタル・バリスタ)だ!」

 

 雷気が混じったキラキラと美しい魔力光―――結晶弾幕が、マスターを狙って咲き乱れる。ネロは水浴びをする幼児のような、純粋無垢な笑みを浮かべて結晶を解き放ったのだ。

 だがネロにとっては徹夜明けで、更に何日も徹夜して練った新兵器の御披露目展覧会。馬鹿げた魔力の気配が波動となって周囲に伝わるので、隠密性など最初から皆無ではあるのだが、砲撃する前に叫ぶのは如何なんだろうと観測していた灰は思っていた。

 しかし、それもまた浪漫(ローマ)だ。宝具の真名解放然り、練りに練った必殺技は叫びたい女心。舞台での演劇が好き過ぎるネロなら尚の事。

 

「―――っ……」

 

 マシュは急いで守りに入る。遅れれば、即座に彼女の先輩が肉片に砕かれる未来が訪れよう。舞台役者のような派手なジェスチャーを取りながら自慢するネロの姿は大袈裟な表現(コミカル)ではあるが、あの戦車と兵器は異次元の殺戮兵器。

 

「……マスター―――!?」

 

 戦場に専心するカルデアは気が付けないが、今も灰はエスト割ローマワインを片手に、遠眼鏡で皆の奮闘を無感情に監視している。その彼女はネロの戦車が飛将軍の軍神五兵と同じ変形機能を持ち、超軍師の殺戮理念のみで作られたことを理解している。この兵器は、より効率的に、より短時間で、より広範囲の、なるべく大勢の人間を一方的に虐殺する為に高度な発想力で生み出されたもの。

 特異点冬木の頃のマシュならば、それを防ぐことは不可能。

 そもそも威力以前に物質化した白竜の狂気が、英霊を憑依させて作った人造英雄(デミ・サーヴァント)を発狂死させよう。

 

「ぐう……」

 

 ドガガガガガガガガガ、と腹に響く重低音が延々と長引く。マシュは呻き声が漏れるも、その銃撃に倒れず立ち向う。

 

「―――カルデア、死ねい!」

 

 所長がネロの立場ならば、ヒャッハーとトリガーハッピーになる連射弾幕の雨霰。背後からマスターを襲う結晶から盾で護り、しかし盾越しに白い狂気が伝播して来た。マシュの精神を蝕む蝗の群れが体内を駆け周り、違和感の余り胃液を吐き出し、体中の穴と言う穴から虫が這い出て来そうなおぞましさ。

 ならば―――耐えられる事も道理。

 所長が必要と思った対狂気精神防御は、このような危機を当然のように乗り越えるべき為の技術。実はロマニも所長の技術開発に協力しており、彼女が後の戦いで必要と判断した能力はなるべく備えるように協力していた。

 

「……ぅぅぁああああああああああ!!」

 

 死の発狂に慣らされたマシュは、幻視する結晶蟲を意志一つで振り払い、ネロの演技に負けない雄叫びで弾幕を真っ向から防ぎ切った。

 その狂気を味わい、直撃は危険とマシュは判断。僅かではあるが盾越しだと言うのに体の動きが鈍る幻覚を覚え、直接干渉されると魂と繋がる霊体が呪いによって結晶化すると英霊として感覚的に呪詛の本質を体感した。

 呪いの石化―――呪死。

 とある不死が啓蒙された結晶魔術ではそこまでの再現は不可能だったが、そもそも原始結晶を火と闇と霧から錬成する原罪の探求者が作った魔力炉心が組み込まれる中華ガジェットの概念武装。人間性を持つ人間を石化させる呪死の効果通り、魂と霊体を持つデミ・サーヴァントもまた石化の呪死は、呪いが霊体の限界まで貯蓄されると逃れられない。尤も盾の英霊を宿すマシュはその限界値が非常識なまでに大きいので、幾度か直撃を受けても耐え切れることだろう。

 

「何と言う気合、ローマに通じる根性論。

 マシュ・キリエライト、貴様は混ざり者の被造物と聞いたが―――本当に人間か?」

 

「―――当然です!!」

 

「本当かぁ……余は、本気で怪しんでおる」

 

「……っ――」

 

 誰かを守る為に盾受けなどすれば、一瞬で人間彫像の出来上がり――と、暗く笑ったネロの予想に反する敵の姿。発狂と石化の呪詛を含むオリジナルに近い結晶は、フランスでより強く進化した灰にとって新たなソウルの業であり、所詮それもまた人の業。同じ人間であるならば、乗り越えられない狂気ではない。

 マシュは失礼極まる侮辱―――自分を人間ではない、と更に怪しむ暗帝の笑みを無視した。

 しかし、彼女が守っているマスターを狙っているのは失脚して人生に絶望した末、救われてはならない者に救われたネロではない。ライダーのサーヴァント、暗帝ネロ・アビスとなった生き延びた人間(ネロ)だ。

 

「だがぁしかぁしぃ~……真性なる木々の舞が、美しく色飾るこの舞台。神祖の森の神祖(ローマ)妖精が動き出し、妖精らしく養殖樹木が生きた人間を貪り喰らう惨劇の刻!!

 マシュ・キリエライトよ、試練である!

 その可憐な細身で、超絶怒涛の羅馬総進撃を超えられるかッ!?」

 

 ぼえ~、と鼓膜を揺るがす暗帝の舞台台詞。その耳障りな騒音によるものか、神祖と同じ肉体造形だが、顔面に穴が空いた巨人がマスターに対する攻撃を激しくする。

 

「バーサーカー、カリギュラ。アラヤの守護者よ、貴公は余だ」

 

「―――っ……」

 

 相手が名乗ろうとも、エミヤには話すべき言葉などない。だがカリギュラは宝具を解放したことで真名を隠す気もなく、そしてオルガマリーの瞳を理解している。名を秘匿することに意味がないならば、その名乗りは真名解放と同じ殺意の現れ。

 月下の狂人、カリギュラ帝。

 暴走した皇帝特権で剣術スキルを獲得した狂帝は、白竜シースより生まれた月光の大剣を狂気の儘に振るった。

 

「ローマ!!」

 

 気合いの旋風。狩人と忍びは、巨樹兵を巧みに操る神祖一人を討ち取ることも出来ず、木の葉のようにふきとばされていた。

 

「くぅ……この、美形筋肉!」

 

「主殿、それは罵倒に非ず」

 

「貴方が殺し合いの中で軽口を……何だかんだで、染まったわね」

 

「……は」

 

 一人で戦うなら、忍びにとって戯れ言など意味はない。むしろ、不純物。しかし、それで共に戦う仲間の意志を奮起出来るなら、戦術上有効な鼓舞である。

 

「美形筋肉、良き讚美(ローマ)だ。我が構えも、お前の言葉でより冴えることだろう」

 

 そして、神祖は狩人と忍びを相手取っている。神と昇った生前の……いや、生身の人間として究極に近い受肉した体と、EXランク宝具に匹敵する技巧と、双刃の創造樹槍と、灰によって与えられた戦闘経験が、この二人と同時に殺し合える戦況を作り出していた。何れか一つあれば上位サーヴァントと呼べる戦闘能力を持つのに、それらを完璧に統合した神祖は、もはや単体で特異点の総戦力に匹敵する。

 同時に彼は、森の神祖樹人を操り、軍勢として数の上ではカルデアを圧倒。

 神祖が相手だろうと、所長と忍びの二人なら攻め切れる機会も多く訪れるのだが、槍から生まれた樹人の横槍が戦局を白紙に戻し、逆に神祖が王手手前まで二人相手に戦況を有利に進める場合も多くあった。

 だが―――もはや、戦場は巨樹上空。

 魔力放出や空中歩行を皇帝特権で幾つも同時使用する神祖や、鉤縄など忍具を使う高度な忍術と体術を会得している忍びは兎も角、所長にとって足場が木々やその枝となる場所での戦闘は得意ではない。だが、ワイバーンを足場にするフランスでの空中戦を良く観測した所長は、狩人だから空中戦は苦手と逃げるのは思考の次元が低いと考えた。

 

〝左腕で移動中は銃火器が使えないのは痛いし、両手武器を片手で使うのは面倒だけど……!〟

 

 忍義手とダ・ヴィンチの義手を参考にした空中戦闘用の三次元移動装置―――鉤鎖銃(フックガン)

 ロマニ曰くゲームのやり過ぎ、ダ・ヴィンチ曰く変態(テンサイ)的発明は空想から、変態技術者共曰く既にもう試作済み、と言うカルデア技術部門の発明品。試しに仮想現実で運営していた所長を見た忍びは、葦名の猿を思い出すと感想を吐露していた。

 その為に右手はレイテルパラッシュ。勿論、厳選された血晶石仕込みの仕掛け武器(ギミックウェポン)

 精霊(ナメクジ)の粘液を塗ったことで神秘を纏い、追加で強化魔術を付与する。放たれる水銀弾は神祖の肉体にも抉り込んで破裂することで、体内から標的を吹き飛ばすことだろう。勿論それは通常のレイピアとして使われる場合でも同等以上の威力を出し、変形後のショートソードとしても有能な連撃を繰り出せる。

 

「―――ぬぅ……」

 

 戦局を忍びの目で把握し、思わず唸る。神祖は時間は掛るも自分一人で倒せない相手ではなく、主である所長の協力もあれば更に不意は突き易い。しかし、巨樹の雑兵が邪魔。だがその敵は巨体故に鈍く、殺し易い雑兵。忍びは巨体より振われる枝拳の一撃を避けつつも腕を昇り、貌らしき暗い穴が開く頭部に辿り着く。樹木故に生物的な弱点はないと考え、念を込めた不死斬りを背中から抜刀し、頭上より忍殺の一刺し―――直後、其処へ忍術を仕込む。

 忍殺忍術、傀儡の術。夢幻の猿から会得せし忍術の一つ。

 切られた程度では死なず、壊さなければ殺されない樹の一柱の生きる意志を断ち切り、魂を殺めた。その亡骸となった魂魄に忍びは自分が念じた怨嗟の火を入れ、意志なき精神に行動原理を与える。

 

「ひゅぅ~、流石は私の隻狼。そのまま一気にやっちゃいなさい!」

 

「御意の儘に」

 

 一番巨体を誇る神祖(ローマ)妖精樹を傀儡化し、他の樹人に対する兵器とした。そして、忍義手より怨嗟の炎が傀儡樹に移り渡り、静かに燃え始めた。忍びはサーヴァントになった後、フランスで余りに多くの命を殺め、戦場に降り積もる怨嗟が……その手で殺した者の憎悪が、義手が器となることで溜っていた。逃れようと思えば、その怨嗟から自分を逸らす事も出来た。だが忍びは、僅かとは言え慈悲を持って人を殺す者が、死人の怨嗟から逃げる事を良しとしなかった。

 それを、一欠片だけ解き放つ。人が燃える火で狂う炎樹の巨人が仲間を殴り燃やし、自分達のオリジナルである神祖に怨嗟の殺意を向けていた。

 

「おお、暗き人身御供(ローマ)な意志の在り様。修羅を克服する一握りの慈悲。

 人の身で、それ程の怨嗟の業を宿すとは。大帝国(ローマ)に負けず、戦場で憎悪と怨念を積み上げたと見える」

 

 これで神祖と神祖樹林から有利を取れると、対森林地帯脱出戦術を再構築した時だった。所長と忍びが神祖と戦う森林上空より下にて、人の意志が狂気に啓蒙される淡い月光が立ち上った。

 月明かりが、どうしようもなく綺麗だった。余りにも麗しく、狂った光だった。

 地上に淡い月が落ち、ローマの暗い空が月下となる―――天地逆転の発狂異界。

 対するエミヤは投影した聖剣を構えるも、その加護が偽りの担い手を月下の狂気から守り、だが残虐なる妄想で思考回路が塗りたくられてしまう。

 

「ヌゥハッハはははははははははははははは!!!」

 

 月となった皇帝が、月下とした太陽が昇る空を嘲笑う。雲は晴れず、全てが暗く、故に雲海は月に照らされる大地となった。

 智慧の啓蒙が狂気を呼び込み、逆しまなる悪夢と現実が正気を苦しめる。

 

「素晴しき意志の強さだ、狗よ。集合無意識に捕らわれた囚人よ。まともな英霊ならば、肥大化した人間的欲求に耐えられず、猟奇的人間性に目覚める狂気であろうに。

 だが我が月下にて、宝具の真名解放など―――赦されるものか。

 余の威光はもはや全て塗り潰れ、されど月下の狂気こそローマを照らす余の輝きなり!!」

 

「ぐ―――ッ……!?」

 

 永久に遥か黄金の剣(エクスカリバー)、と唱える心を見失う。狂気の念を吐露しながら、自在に大剣を振う皇帝を黙らせられない。何故か、と思考を練り込むことさえ上手く出来ない。

 戦神を殺してから、エミヤは魔術回路が本来より更に深まり、固有結界が高次元に進化した事に気が付き、本当ならサーヴァントとして有るべき枷が外されている。だからこそ、その聖剣は解き放てる霊基と回路となり、ヘラクレスの奥義も彼の暗い歴史ごと憑依することで投影出来た。カルデアの検査によって、それは魔術的に証明されていたこと。

 しかし、例外が彼の眼前で狂っていた。大英雄とも渡り合える神秘(ブキ)を得たと言うのに、道具を万全に使う思考能力が狂わされた。

 

「……ふ」

 

 暗帝は鼻で戦局を笑った。マシュに背後を守られ、前を清姫に焼き払って貰い、そして月光で脳が啓かれつつある藤丸を狙い、ネロは悠々と戦車を駆った。速度面で逃げられる事は絶対になく、だが余りにもマシュの守りが硬かった。彼女一人を押し潰されば、カルデアを終わらせる事も容易いことだろう。

 

「圧倒的ではないか、余の軍勢は。どうだ、カルデアよ―――下るか?

 そうすれば、魂だけは助けてやろうではないか。勿論、貴様たちではなく、通信の向こう側にいる者らもローマ市民にしてやろう。この特異点完成の暁にはレイシフトなどせずとも、次元の壁を超えてみせよう。

 その代わり、マシュ・キリエライト……貴様は、余のハレムの一員となれ」

 

「はぁ……はぁ……ッ――貴女は、なにを?」

 

「貴様は美しく、そして健気だ。あぁ、何と言う可愛らしさだろうか。

 ここで死なせるには惜しい美貌。我らローマならば死人を蘇生出来るとは言え、それでも愛でるに相応しき美人が死ぬのはとても悲しいことだ。

 反乱軍の長アッティラのように、貴様も余が永劫に愛でるコレクションとなるが良い。さすれば、そのマスターと酒池肉林の毎日を送ることも許可する。全てが満たされ、更に欲得が増えようとも更に満たされ、癒えぬ渇望を癒す日々こそ終わらぬ幸福の輪廻。

 それこそ人生(ローマ)の極み。むしろ、貴様も余と同じくそうせよ。愛とは昇るのではなく、深めるべき人間性の営みで在るのだから」

 

「はっ―――くっ!?」

 

 暗帝は役者のような演説をしつつも、上空から一方的に中華ガジェットで攻撃し、盾を持つマシュに結晶の矢を叩き込む。更に戦車の周囲を結晶塊が待機し、まるで戦闘の誘導ミサイルのように標的に発射された。それも何とか盾で防ぐも衝撃は重く、衝突時に弾けた魔力の波動を完全に防ぎ抑えられる訳でもない。段々と肉体は披露と共に、生命力まで減っていく感覚に襲われる。

 直後、盾を吹き飛ばす一撃。砲門から放たれた結晶槍が十字盾の中心に当たり、マシュは支えきれる気力も腕力も湧かない。右腕が振え、盾の柄を上手く握ることも出来ない状態。

 戦局はローマ側に傾きつつある。素早く神祖を殺すか、撃退するかしなければ、マシュと藤丸が殺されて瓦解する。それをどう解決するか、オルガマリーは瞳持つ脳で思考する。解決策を誰よりも早く思索する。

 

「―――――――ぁ……?」

 

 そんなカルデアの危機であると言うのに、オルガマリーは違和感の余り脳が凍った。

 

「――――久方ぶりだな、諸君」

 

 静かな呟き。騒音が渡り響く戦場で、確かに誰かがそう話し―――その瞬間、雲海に覆われるローマの空が、赤く燃え上がった。

 獣のタリスマンより、大地と天の星々が結ばれた。

 異空の宙より燃える脅威が、絶対羅馬領域に降り注ぐ。

 一撃一撃が対城宝具と同じ破壊を撒き散らし、神祖樹の森が焼き払われる。

 それはオルガマリーの魔術―――彼方への呼びかけ(アコール・ビヨンド)と殆んど同じ思索により彼は辿り着き、しかし原型となる神秘は異なる。

 

「殺し損ねた獲物は忘れぬが……――成る程。状況は、そちらも変わったようだ。

 だが、新たに学んだ我がソウルの業は、諸々の意志が蠢く悪夢で業が啓蒙された故に深化した。その試し撃ちに、此処は最適であろう。

 古き獣のデモンズソウルを辿り、辿り着いた遥かなる世界の神秘。想像通りで、何よりだ」

 

 原典は何処かの世界でフォールンや隕石と呼ばれたその魔術は、しかし後に訪れた悪夢の世界でより深く研究された。覚えた他の魔術も同様だった。同時に彼が持つソウルの業にとって、ある意味であの悪夢は理想的な環境だった。正しく、彼にとって万感の思いが込められた言葉であり、その独白を口から出さない方が自分のデモンズソウルにとって猛毒な我慢である。

 元より、戦闘に悪影響がなければ会話は嫌いではない。あるいは、長い孤独が彼に独り言を覚えされたのかもしれない。

 

〝あぁ……あぁぁぁ……ッ―――――うぁぁああああああああああああ!!!

 思索より先の、更なる高次元暗黒へと至る業の門が今此処で、今この瞬間―――啓かれる”

 

 何もかもが、焼き払われた。それを為した神秘を、オルガマリーは瞳で脳に啓蒙した。見ただけで、両目から赤い血液が流れ出た。脳が暴れ、脳の悪夢が叡智で溢れ、あらゆる上位者の声が文字となって頭蓋の中で刻み込まれる。

 悪魔はローマを覆っていた雲海は晴れ渡らせたのだ。所長の脳を晴らした様に、見えなかった太陽の光が森へと差し込んだ。彼が旅先で訪れた新たな世界で学んだ叡智により、元から究極の神秘だったのに更なるソウルの業へ到達してしまっていた。もはやそれは、神話体系を一人で独占しているとでも言える状態。

 王の領域(キングスフィールド)は、それ程までに悪魔の探求心を魅了したのだろう。獣の業に限り無し。

 

「悪魔、悪魔の騎士……―――デーモンスレイヤー!」

 

「いかにも。世界の主、暗帝ネロ・アビスよ」

 

 悪魔が狙ったのは三人。神祖、暗帝、月光の三柱の皇帝達。しかし、全員が不意打ちで宙より奇襲を受けたと言うのに、無傷とは言わないが致命傷は一切負わなかった。そして、逆にカルデアの全員は無事だった。同時に第三勢力の介入により、全員が咄嗟に動けない状態にもなった。

 

「おお―――間に合ったか、スレイヤー!」

 

「この身は協力者。当然のこと」

 

「そして、カルデアの者は全員無事と……んっん”-」

 

 惨劇を容易く行う悪魔の背後。

 其処から、暗帝と全く同じ声の少女が声を上げる。

 

「余は最優のセイバー―――ネロ・クラウディウス。

 故郷を救うべく呼び出された薔薇の皇帝、人理のサーヴァントである!!」

 










 再登場となりました、悪魔です。地味にフランスのエピローグが、彼の修行パートになってもいました。雰囲気的には古い獣の使徒として色んな世界を巡っており、ソウルの業を探求し続けています。また型月世界の神秘も学習して業を深めていますので、色々と面倒なカンスト万能戦士だと思って下さい。


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