血液由来の所長   作:サイトー

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 エルデン・リングの発売が何時なのか知りたいです。



啓蒙48:命の雷気

 灰と戦神。あるいは、火の簒奪者と竜狩りの王。

 マスターとサーヴァントの契約を結んだ同盟関係であり、しかし戦神はフランスにて死んだ筈。とは言え、もはや戦神にとって死とは日常。肉体を幾度も殺されようとも、魂が不滅である為、どう足掻いても滅びる事は不可能である。

 

「ふぅ……あぁ、何て悩ましい事なのでしょうか。聖杯を混沌に入れれば、どんなデーモンに変貌するかと思ったのですが。

 やれやれ、愚かしい出来事でしたね。

 無様、且つ愚鈍で平凡な暴力ですか。

 火より悪魔は生じると言うのに、人より生じる悪魔は魂に人間性を抱かないとは」

 

「………」

 

 雲より下の海は、荒れていた。天候で荒れ狂っているのではなく、そこを戦場として殺し合う者達の戦火により、大気が焼き爛れ、爆音と共に海面が波打った。

 

「しかし混沌もまた、最初の火から見出だされた魔女の炎。何よりも最初の火は太陽となり、神が織り成す火の時代全てを記憶しています。例え詐りの太陽に塗り潰されようとも、火は陽となり、月もまた日の光で輝き、地上を記録するのです。

 それを奪った我ら灰も必然、黒い太陽となるのでしょう。

 ソウルがそう成り果てるものならば、何もない器の空白こそ魂の有り様かと」

 

「――………」

 

「貴方も、そう思いませんか?」

 

「……―――」

 

「そうですか、言葉は不要と。寂しい反応ですねぇ……ふふ。まぁ、仕方が無いです。

 アレらしくソウルを成り切るには、徹底して本当は無口じゃありませんとね。あの神は、言葉など誰であろうと必要としませんから」

 

 海面よりも遥か上空。自分の探求成果の一つ、ゴーレムとして生んだ竜より雲海を見下ろす女は悍ましく、そして黒い太陽のような瞳を溶岩のように煮え滾らせていた。同時に何も映らない空白の目玉でもあり、人間でありながらも人間らしさがない人形のような表情でもあった。

 その背後、男が一人。彼は何の音も発さず、静かに黙り込んでいた。女の長話もまた、彼からすれば啓蒙高い先生の話と同じく無価値であった。

 

「しかし、あれより生み出るのは四つ目の巨人。混沌の聖杯へと香木代わりに入れた生贄の反英霊も、観測した平行世界の冬木を参考にしましたのに、所詮は見慣れた世界の日常。あんな程度の者による殺戮など、空爆で街を焼き払うのと何も変わらないニンゲン共の営みです。

 殺戮。虐殺。有象無象の皆殺し。

 有限の生命を積み重ねる所業の軽さ。

 不死の我らよりも、命が安い人間の世界が灰の私に見出される何て、最高の皮肉です。我らはその無価値さに何の意味も見出さず、されど寿命ある者共は無意味な行いに価値を感じるとは、実に面白可笑しい人間性の在り方でしょう。

 本当にこの人理と言う太陽(カミ)に偽りの理で、自ら望んで照らされている霊長と言う種族は、我ら不死とは魂の姿形が似ているだけに………」

 

「……………」

 

 それ故に、ローマの宮廷魔術師の思想は面白いと彼女は考えた。その言葉通り、自分で捏造した“人間の魂”がそう思ったことを客観的に本来の何も無い空白の魂で観察し、何も感じずに善悪を失くして物事を思考する生粋の人間(ヒト)だった。

 火の簒奪者は―――人間でしかない。

 魂が不死であるだけであり、生命は生死を繰り返す。故に最後は皆こうなるしかない。それこそ、最期が無い故の最後。

 彼女が世界を超えて語り合い、殺し合う同類の簒奪者達も、個々人が抱いていた筈の使命も目的も亡くせば……いや、亡者になっても魂から意志を失えなかった故に、こうなっていった。

 ―――差異がない。

 魂に違いなど欠片も無い。

 終わりまで辿り着いた灰ならば、それこそ必然。

 行き着く魂は何もない空白の器だった。所詮はただの入れ物だった。

 最初の火を奪い取った亡者の灰だからこそ、魂は空っぽだった。違いがあるとすれば、同質同量の魂が持つ意志の差異であり、人間としての違いではない。人間は、やはり人間と成り果てるしかない。永劫を理解した人は、そうなるしかないのだ。

 

「全く以ってあの宮廷魔術師、シモン・マグスには困ったもの。予想通りと言うのは思考回路の袋小路であり、また生き迷う求道者の末路でもありましょう。

 前回は……観測されたあの宇宙の神秘を使いましたが、この度のグノーシス主義はどうなるのやら」

 

「……………」

 

「あら、ずっと黙っていられては私の可哀想な独り言になってしまいます。何か思う事があれば、思う儘に喋って頂けないと」

 

「―――……下らないぞ。だが、貴公の戯言は無価値ではない。

 我ら簒奪者は魂を亡くし、だが魂より生じる人間性を抱く意志こそ本性。故、魂に差異無き人の時代を創り上げる者であればこそ、同時にその所業に一切の価値を見出さず、繰り返される残り火の時代を延々と永遠の中で彷徨う亡者に過ぎぬ」

 

「ふん……何ですか。何を喋ると思ったら悲観的とは、実につまらないですね」

 

「逆に我が感想を言おう。つまらないと、その様なつまらない感情を思う魂で偽る貴公こそ、やはりつまらない人間である。

 しかし、貴公は我ら簒奪者に次なる世界の萌しを与えた簒奪者の兆し。

 原罪の探求者、アン・ディールを継いだ女。亡者と人間性を克服せし不死の末路。

 それ故に我ら簒奪者は、火よりロンドールを見出した。最初の火を奪い取った業も、所詮は糞団子程に無価値な我らの世界は、そもそも人を生んだ闇さえも理の内側でしかなく、火も闇もソウルが形を変え、またソウルより生まれた人の業である」

 

「自分の事を戦神だと勘違いする精神異常灰でしたら、戦神の儘でいて欲しかったのですが?

 ロンドールの王として火と闇の神秘を全て手に入れた末、犯され続けたあの女神から奪った折角の生まれ変わりの権能も、厭わしい簒奪者の気分で使い潰されては、蛆虫に等しい指共も浮かばれませんよ」

 

「だが、魂とはそう言うものだ。闇ならば、尚の事」

 

 無名の王の格好をした誰かが、そんな戯言を口から垂れ流していた。人間の身長を超える巨体も何故か今は縮み、灰と同じ程度の背丈となってしまっていた。

 

「原初の、大いなる戦の神……雷神の子……太陽の光の神の王子……だが、たかだか神風情、何万匹も喰らった所で簒奪者の灰は満たされぬ。

 強大な竜狩りの神の魂とて、器である我らにとって雨粒の一つでしかない。

 人も神も魂の一つでしかなく、そこに優劣はなく、錬成炉の材料になるか否かの違いでしかない」

 

「流石はあの戦神を無傷で、更に素手で殺す変態さんですね。私も出来るとは言え、戦神を探求するが為に戦神本人を万も超えて幾度と殺す灰は、言動も異常と言えます。

 ……まぁ狂えないから、我らはこの様なのですがね」

 

「だが、灰とはそうあるべきだとも。例え神とて、何時かは必ず殺め、そして無限に至らずとも如何様にも殺し方は可能となる。

 欲するならば―――まずは、殺し給え。

 願うべき相手のソウルを奪わねば他者の理解には程遠く、故に我は竜狩りを探求せし太陽の簒奪者で在るだけよ」

 

 自分を戦神だと思い込む事など灰は出来ない。精神に異常を来す事も不可能だろう。しかし、底無しの器である灰ならば……火の最後の時代を繰り返す灰達なら、無限に同じ者の殺し続け、思う存分にソウルを奪い続ける事が出来た。

 

「何を今更なことでしょう。そも魂を根源とする時点で、我ら簒奪者からすれば餌でしかないではないですか。魂を拠所にする生命など、所詮は意志無き有象無象。

 肉体も、精神も、魂も、同じ次元の概念です。

 差異となるのは器に過ぎない魂ではなく、それより生まれた深き低次元の人間性となるのです」

 

「あぁ、そうだとも。しかし、思いなど空虚であったのだよ。

 もはや神々が求めし最初の火さえも、我ら簒奪者は己が闇の穴を炉してソウルとする。故にもう、手遅れである。人間でありながらも、灰は神を罵倒する言葉も失くした。

 例え、何も無い空白の魂……器の灰でなく、一人の戦士としてその信仰に焦がれようとも、しかし我は灰でしかない」

 

「いえいえ。まだまだ、そちらは最初の火に関して探求不足でしょうに。神々の火を全て手に入れ、孔を抱く暗い魂となり、あらゆる不死の魂を奪い殺せるとは言え、魂そのものが死ねぬ我らの終わりには辿り着けていないのですから」

 

「最初の火か……あぁ、愚かな事だ。差異を与える火であると言うのに、我ら簒奪者は全ての者が火を抱き、故に差異のない魂と成り果てた。

 ―――そうだとも。

 世界が数多に並列するならば、火もまた必然。

 葦名に数多いる受肉せし我ら簒奪者の、その霊体は世界を焼く闇の薪であればこそ、時代を古き灰の世界に戻す我ら灰に差異など有り得ぬのだろう」

 

「その為のこの世界ですよ。絵画を焼いた外側も、また誰かの描いた世界でしたが……永遠を無限に繰り返す我らの世界とは違い、この宇宙には熱量に限りがあります」

 

「故に、私は太陽の戦神を見出せた。太陽の戦士である故に……」

 

 アッシュと名乗る灰により、この灰は本物の戦神に転生することが出来た。ソウルを奪われても死ねず、魂が殺されても死ねず、不死を否定されても終われず、しかしそれが火の簒奪者。そんな魂を作り変えることは絶対に不可能であり、無尽蔵の魂を混ぜ込んでも全てを喰らう簒奪者は自分を決して亡くせず、ならば考え方を変える必要があった。

 だからこそ、転生など無用。

 最初の火を頂く者は女神の蛆虫にさえなれず、魂を亡くしても意志無き亡者にさえなれず、どう足掻いても終われない。

 

「……あぁ――感謝するぞ。貴公は、我ら数多の簒奪者に外側を啓蒙した。

 この魂、好きなように使い給え。奪うも犯すも自由自在。所詮、魂さえも我らは不死。

 奪いし火より再現するロザリアの権能であろうとも、我ら空の魂は空白の儘でしかろうが、貴公の魔術によって我らのソウルに求めし魂のラベルが張れるのだからな」

 

「感謝するならば、私ではありませんよ。狂おしきは、何時であろうと我々のような終わった存在なんかではありません。

 ですので……えぇ、人理の尖兵(マシュ・キリエライト)を作成した魔術師―――マリスビリー・アニムスフィアに祝福を、どうかソウルの底より送って頂きたいものですね。

 デミ・サーヴァント計画。

 英霊の霊体との憑依関係。

 本来ならば灰の魂で消化してしまうソウルを憑依させる為の、この世界の神秘ですよ」

 

 精神に異常が起きない灰に、思考回路を狂わせる強力な自己暗示の基点。万を超える戦神のソウルを、そのソウルに保有する灰でも自分を自分以外に思い込む事も出来ないが、そう望めば娯楽の一種として葦名に召喚された簒奪者達はこの灰の神秘の業により、デミ・サーヴァントの霊基として弱体化することが可能だった。

 何故ならば、魂の強さと言う観点から見れば―――火の簒奪者に、神格が勝てる訳もなし。

 憑依を望んだデミ・サーヴァントの“灰”ではあるが、そもそも本人の方が遥か格上。しかし、因果を繰り返して集めた幾つも戦神のソウル達であれば、この灰は戦神に“サーヴァント”として霊体を深化させることが可能であった。

 

「あの少女か……ふむ、素晴しい人間であったな。我ら灰のような作り物とは思えない」

 

「それは当然のことです。彼女の魂は天然ものですからね。科学技術で作られた肉細工であり、精神も病室で培養された無垢ではありますが、魂だけは本物です。

 灰である我らは、ソウルもまた寄せ合わせの作り物。

 私達のような……魂を器にする人間からすれば、吹けば消える霧に過ぎない魂に尊厳を見出せるこの世界の人々は、幼いが故に無垢であると考えられるのでしょう」

 

「成る程。人間として発生した存在ならば、そも命も魂も使い潰して良く……そのソウルの真理を知らぬ者ならば、世界の業にまだ魂が穢されておらぬのか」

 

「手加減をする程に、貴方からすれば彼らはとても可愛らしかったのでしょうね。あの死に方は迫真の演技でしたよ。

 私の……私が作った太陽の光の―――王子様?」

 

「念願であればこそ、王子のソウルは良き感動であった」

 

「ふふふ、良い負けっぷりでしたねぇ……」

 

「人に敗れてこその神。何より貴公が呼んだ簒奪者の灰など、葦名に百以上は存在する。その内の一匹に、我のような変わり者がいるのも必然だろうて」

 

 ならばこそ、第一特異点の戦神は死ぬべくして死んだのだろう。灰は戦神を渇望する灰の為だけに、自分自身の魂と因果さえも偽りの記憶で捏造し、自分が召喚したサーヴァントの願いを叶える故に道化を演じた。

 とは言え、言葉通り自分の魂を好き勝手に弄る女である。ロンドールの支配者である簒奪者の灰となった者ならば容易い事であるが、本来ならば魂の作り変えは転生を意味する。神であろうとも許されない禁忌であり、そもそも別存在に変貌する自殺行為であるが、魂が死ぬ程度で“(イシ)”が消えるなど最初の火を持つ灰は決して許されない。

 

「分からないものです。太陽の戦士としての信仰に、火の簒奪者になってまで拘るとは」

 

「我は、太陽が欲しかったのだよ。薪などと言う憐れな神の傀儡ではなく、欺瞞のないあの日の火こそ……そうだとも、亡者でなければ手に入らぬなら、躊躇わぬことが灰の本懐だ」

 

 戦神の衣を纏う簒奪者の灰(亡者の誰か)は、既に失った灰となる前の記憶が疼き続けていた。何も覚えていない筈で、ソウルも空っぽの亡者に成り果てたのに、目的を見失った渇望だけが幾度も墓から甦っても忘れられなかった。簒奪者となった今さえも変わらず、魂が求めていた。

 人間だった頃の―――ソウルの、業深き因果。

 何もかもを奪い去られた裸の儘で埋葬された不死の一人に過ぎなかったが、それでも彼はこの灰と同じく一つの因果に捕えられていた。

 

「我ら太陽の戦士……その象徴である太陽の長子―――無名の王。

 貴公の御蔭で、その彼の思いを真に受け継ぐことが、亡者の果ての簒奪者に過ぎぬこの身に出来たのだ」

 

「友よ……―――無論ですとも。

 所詮は差異なき炉の灰でありますれば、貴方が希う渇望もまた喜ばしいことなのです」

 

「感謝を述べるぞ。あぁ……―――太陽に、我はならねばならない」

 

 言葉など、そもそも戦神には不必要。亡者と同じく枯れた無名の王が、言葉を喋るなど有り得ない。何よりも、人間に語り掛ける言葉などあるものか。

 だが尚も言葉を発するならば、戦神のソウルを受け継いだ誰かの意志なのだろう。そして火の簒奪者は無尽蔵の器である故、神の魂を何万柱も貪っても満たされず、例え並の神格を遥かに超える最強の戦神であろうとも何ら問題はなかった。

 

「亡者となって最初の火(タイヨウ)を奪い去ったのも、この願いに因果が欲しかった故に。

 信仰せし男を幾万も殺して、ソウルを奪っても理解出来なかったのは虚しいが、貴公によって今はこうして一心に意志を融け合わさった」

 

「であれば、私も苦労をした甲斐がありました。でも面倒事は大好きですので、厄介事は幾らでも持ち運んで下さいねぇ……ふふふ。

 人の為に魂を使うこともまた、人生の愉しみですから。無駄な徒労なら、さらに良いのです」

 

 葦名に召喚され、だがそこは灰の時代でも火の時代でもなかった。デミ・サーヴァント(もどき)として太陽の竜狩りになった簒奪者の一人は、眼前の灰に倣って同じ様に自分のソウルを考える儘に作り変えた。そして、魂を別存在に転生させたと言うのに、戦神は灰と同じく自我と意志を失う事もなく、最初の火に燃えているのに魂そのものが不死でしかなった。

 何ら、自分自身が変わることはない。

 けれども、それでも()戦神(太陽)を理解することが出来たのだろう。

 

「悪趣味だな、貴公」

 

「まさか。嫌ですねぇ……ふふふ。太陽を奪った変態性に富む他の灰共からすれば、私程度の灰なんて一般人に過ぎませんよ。人間性に満ち溢れた人間的な真人間であり、少しばかり最初の火の使い方が他の簒奪者共よりも賢かった……ええ、それだけの話ですとも。

 私が葦名へと集めた簒奪者の中では、有識的常識人と言っても過言ではないのです。魔術王の獣に焼かれたこの世界で、私はヒトを知り、ヒトを学び、ヒトに堕ち、人智を得て、とても人間的に成長しましたから。

 尤も道理など、我ら灰は世界ごと自分達自身で焼き尽くしましたからね。旧い時代の全てから太陽を奪った私達が、何を今更と言う話です」

 

「然り。だが世界を照らす太陽こそ、我ら不死にとって悍しき神の欺瞞。奴等は最初の火から、あの温かくも大いなる日の光を生み出した。

 そうだと理解したが、あぁ……だがその火は、我にとって全て。

 最初の火を簒奪したとしても、この身はそれ以上の太陽を欲するのだ」

 

「因果ですね。まぁ、私も同じですから。否定はしませんとも。何よりも、獣を焼くのに最初の火は幾つ有っても足りません。簒奪者となった灰の数だけ、世界を焼き照らす太陽はあるのです。何ら特別な事もない訳です。

 魂の根源を燃え滓の薪にするにはねぇ……ふふふ。我ら灰の楽園である葦名には、私に召喚された灰の数だけの太陽がありますれば……けど、けれどもね、やはり一つの世界に太陽は一つだけで良いのでしょう」

 

 余りにも優しい貌を創造し、灰は静かな笑み浮かべた。何もない空白で、善悪も本当は実感することもないのに、暗帝が呼ぶ女神の名に相応しい笑顔であった。

 

「故、我は太陽には決して届かぬ。だが人間性を知った今、我が手は届くだろう。

 太陽のような男を知れば……尚も遥か強く今よりも深化し続ければ、あらゆる簒奪者が届かぬ我らさえも温める太陽へと」

 

 太陽を愛していた灰が信仰すべき神―――無名の王。だが、太陽そのものを自分の魂の内側に簒奪した戦神(もどき)は、神々の記憶(ソウル)を全て保有している。もはや火の時代自体が彼の魂に取り込まれている。葦名に召喚された数多の簒奪者らは例外なく火を宿し、そして戦神の灰は太陽を求める内に探求の灰と同じく、只管に強くなることだけが残された。

 何故なら、もう彼は太陽と成り果てた。絶望を焚べ、目的を叶えた。

 残り滓として魂に残留する灰と為る前の願望。それを簒奪者の灰として叶え、だが灰故に彼は永遠に終われない。

 

「太陽の戦神……俺の太陽よう……俺が太陽……―――いや、我こそが太陽」

 

 不死だった自分など全て忘れたと言うのに、彼は太陽に取り憑かれていた。簒奪者を渇望したのも、暗月の欺瞞ない太陽を手に入れ、火の太陽として燃える為だけだった。灰として忘我する前の不死だった頃、彼は自分が戦神(太陽)を求めていた誰かなのだろうと理解し、だがもはや不死の魂を失ってしまった。

 魂を亡くした故に灰は灰。空の殻の孔。

 太陽だけが、ソウルの中で輝いていた。

 灰とは、真にそう在るだけの器だった。

 

〝あぁ……名も姿も分からぬが、燃え殻となった友よ。

 貴公もどうか、貴公だけの太陽があらんことを……その貴公を忘れた灰として願おう”

 

 だが火の太陽を得た灰の一匹に過ぎなかった男は、戦神と言う神に消された名無しの太陽となる好機に巡り合えた。それを可能としたのが灰と成る前の、まだ人間と呼べた只の不死の記録。嘗て最初の火の炉へと向かう誰かを霊体となって見送り、そして大王から火継ぎした友の後ろ姿だけは忘れられず、故に戦神(不死)は太陽となる火にならねばならない。

 薪の王―――太陽に焼かれる贄の名。忘れてはならない燃え殻(ソウル)

 それに辿り着いた執念こそ、微かに残る不死だった頃の名残り。

 自分自身を失ったと言うのに、霊体として見送った誰かの影だけがまだ意志としてソウルに残留してしまった―――

 

「そうだとも。太陽となったならば、我は燃やさねばならん。既にもう終わった悲劇であるならば、闇で以て輝く簒奪の陽光で魂を照らすのだ」

 

 ―――太陽万歳、信徒達の祈りの所作。彼は身の内で燃える光に祷りを捧げた。

 

「その通りですとも。我ら簒奪者は、太陽の火です。そして、火を焚く人骨の薪を喰らう炉であれば、我らの身はただの闇でありましょう」

 

「然り。ならば、この永遠を続けよう。やがて全てが我らと同じ燃え滓となるのだとしても」

 

 相手が誰であろうと秘するべき思いも、差異無き灰なら隠す意味もない。だから、これから話す灰の話も所詮は戯言であり、何処かしらの剪定された世界も含めれば霊長にとって別段何時もの人間的悲劇の産物。同時に、人理を運営する焼却された汎人類史においても、過去に起きた歴史の一幕でもある。

 即ち、如何に足掻こうともこの二人は人間であった。

 こうやって訪れた自分達とは別の絵画(人理)は、自分(不死)達が描いた人理(絵画)と別種の悲劇が世界として存在しているだけなのだろう。

 

「あぁ、それと戦神(太陽)ごっこに夢中な貴方に朗報です。実はこの人理に囚われた人間共も、私達と同じ様に太陽を見出していたのですよ。

 科学なる人の業、ローマは実験場に丁度良さそうです。何よりカルデアのエネルギー供給源にもなっていましてねぇ……ふふふ。時代や文明の基盤に取り込まれまして、ある意味で焼かれたこの世界は太陽の時代が始まったばかりだったのです」

 

「ほう、それはまた―――素晴しいことだ。

 自分達を容易く滅ぼせる神を、制御も出来んと言うのに作ったのか。ならば世界ごと道連れにする可能性の未来は見出され、やはり人はどの世界だろうとも火に焼かれる途に辿り着くのだろう。

 だが、太陽とは世界を焼く存在。

 人類として生まれたソウル共で在るならば、火の中に消えるのも暗い魂の本懐」

 

「文明など、所詮は幻影だと言うのに。まるで火に焼かれる身の程知らずの蛾でしょうに。ですので、最先端の文明技術もカルデアで私は学ばせて貰いました。カルデアの科学技術の閲覧はマリスビリーさんとの契約でしたから。

 特異点に相応しい最高の舞台劇―――……私が見た、人理が運営する文明の太陽です」

 

 愚か過ぎて救えない、と灰は人間共を理性的に断言しなくてはならないだろう。彼女の中身(ソウル)はそうやって人々の営みによって惨たらしく絶命した人々の魂が細胞のように集まり、まるで生物のような塊になって出来上がっている。灰そのものはもはや何も無い空白の器に過ぎず、そのソウルは苦しみ死んだ人間の魂の結晶に過ぎず、故に死を超越した意志だけが灰の自己証明。

 灰の(ソウル)は徹頭徹尾―――死した人の集合存在。個とは器であるべきなのだろう。

 ならば最新の兵器(太陽)もまた同様な死の在り方。この世界の人間共が見出した太陽の証明。だから、目を逸らしては決してならない。どんな世界であろうとも、人はやはり太陽に焼かれる。人理が肯定する文明を尊ぶ人々は自分達の火によって腐った絵画を焼き払い、自分達の自業自得で消え去るのもまた可能性の一つ。

 

「うーん、正しく現代で言う所のDIY兵器ですね。流行りに乗るのも文明人の嗜みです。

 もう地獄は準備してありますので、反乱軍残党を木端微塵にするところ、カルデアの皆様方に貴方達の叡智によって出来ましたと見せなければいけません。

 ……善悪、生死……人の業―――ソウルより、愉しい限りです。

 私は強くなれればそれで別に良いのですが、何故この世界の人間はこんな営みを愉しめるのでしょうねぇ……フフフフ。それならせめて、この地獄と殺戮が、どうか我がソウルとなった皆様の弔いになれば無価値ではない筈です」

 

 灰は文字通り、そんな無価値極まる万感の思いを述べた。彼女の感情は惨死した何万人もの中身(ソウル)で模造され、だが灰本人はやはり空っぽの器である証明だった。だから殺せば殺す程に、灰のソウルとなった人々は闇の中で火に焼かれながら喜ぶのだろう。人が人を殺すあらゆる手段をその魂で実感し続け、死の輪廻を繰り返す故に。ならばこそ、近代の戦争で行われた全ての虐殺もまた、灰のソウルに記録されている。

 無論、それは灰の戯言を聞く戦神も同じこと。器に過ぎない簒奪者の灰など、所詮は数多のソウルを一粒一粒集めた人型の地獄であり―――戯れの殺し合いで、この女のソウルも戦神は貪った。人理と言う世界の現在と過去を、葦名の簒奪者達はソウルを奪い合うことで全員が共有してしまった。

 

「あぁ……―――是非とも、我も未知なる火に焼かれたいものだよ」

 

 原罪の探求者(アッシュ・ワン)が作ったゴーレムの竜を操る戦神は、普段の日常(永遠の地獄)と何ら変哲もない会話を灰と行い、彼は自分にサーヴァントとしての死と敗北を与えてくれたカルデアを上空から見下ろし続ける。

 ……ローマは、フランスとは違う悪意が渦巻いている。

 嘗て寿命持つ人間だった者として戦神は、どうか彼らに太陽の光の加護が有らんと、静かに瞳だけで祈りを捧げる。

 

「では暗い魂が、この絵画にも有らんことを。人々の太陽へ、盛大に乾杯です」

 

 腰に下げたボトルより、灰は直接口を付けて祝いのローマン・ワインを呑み込んだ。最初の火の篝火になった簒奪者は、酒にも魂にも酔えず、故に眼下の星に人間の血で描かれた人類史(カイガ)へとソウルが酔うのかもしれない。

 尤も、酩酊など灰の魂は実感しない。そして、酩酊とはローマのラテン語にて――エーブリエタース。とある古都に秘された神の名であり、人々を血に酔わせる女神でもある。

 そう思い馳せる灰は、暗い魂の血が艶かしく、そして生々しく蠢くのを感じ取る。酒にも血にも、魂にさえ彼女は何ら実感もなく、ソウルを貪ることなど空気を吸う呼吸と同じ。酔っているのは、灰がこの人類史で収集した人間性に溶け込む死人の遺志に過ぎないのだから。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 海中を潜る忍びの鋭い視線の先に敵はいた。お互い水の中だと言うのに呼吸は万全で、視界も充分に機能している。そして、無言のまま殺気だけが交差した。

 まず――殺す。素早く敵を殺害する。

 様子見など済ませてしまった。手の内もほぼ全て見透かし、戦略の段階を超え、今は如何に効率的に敵性存在の抹殺を行うかが一番重要。

 

「――――――!」

 

「ッ――――――」

 

 振るわれるは―――月光の大剣(ムーンライト)

 放たれるのは―――居合の竜閃。

 海中で爆散する光波と斬破。その衝撃は凄まじく、海面から巨大な水柱が打ち上がった様子が軍艦から良く見えることだろう。

 直後、忍びは一瞬で間合いを詰めた。泳ぐと言うよりも、それは海中を跳んでいた。

 同時、狂帝は狂気を吼えた。海中を大気と同様に振動させ、絶叫が深海まで轟いた。

 足場がない水中で秘伝と奥義を放てる程に、忍術・剣術・体術とあらゆる業を嘗てより深めた忍びは、皇帝特権で鯱のように行動するカリギュラよりも水泳に優れている。あろうことか、魔力を暴発させた絶叫による衝撃波を真正面から弾き返し、そのまま刺殺の一撃を馳走する。

 

「◆■◆■―――!」

 

 間髪を入れず、海水を揺らす衝撃波が狂帝(カリギュラ)の喉から放たれる。皇帝特権による魔力放出と雄叫びを合わせた力技であり、だが忍びは淀みなく回避する。この特異点で殺戮を行ったことで怨嗟が積もる人間性の色濃い闇の波動は、受け続ければ人の魂へと霊的干渉することで殺害する事が可能であり、謂わば怖気とも呼べる発狂でもあった。

 とは言え、その手の攻撃は殺意が凄まじい。これからアナタを殺します、と殺気で宣告するような攻撃であり、宝具の真名解放ほどでないにしろ隙も大きい。事前に容易く察知し、忍びは悠々と回避。しかし、水中戦では埒が開かない。海上より出る方が吉だと忍びは判断するも、狂帝を船に連れて行くのは悪手でもあった。

 

(上がりなさい。そいつ、貴方と私で袋叩きにする)

 

(……御意のままに)

 

 しかし、彼の主である所長は船上での舞台を整えた。海中戦では埒が開かないと判断し、従者の忍びに素早く念話を行った。となれば、思考を迷わせる必要は皆無となり、構わず船に義手から鉤縄を引っ掛けた。直後、彼は自分がいた場所に月明かりの斬撃光波が通過するのを察するも、刹那の間にて海面から飛び出していた。

 

「隻狼、御苦労様。そのまま叩くわよ」

 

「御意」

 

 忍びは既に銃を構えて迎撃準備を終えた所長を確認し、着地と共に楔丸を納刀して居合を整える。剣神の境地を経た忍びの抜刀術は空間を切り裂く故、所長の血族の短銃(エヴェリン)と同じく遠距離攻撃に秀でている為、船の甲板への着地を狙って水銀電で撃ち抜き、竜閃で斬り殺せることだろう。

 とは言え、それは水中でも狂帝へと既に見せた同じ技。

 だが見切れぬ故に奥義であり、しかし―――見切るが故に、強敵は強敵足り得るのだろう。

 

「プリアポーーースッッ!」

 

 意味はあるが発した理由のない言葉の叫びと共に、狂帝は光り輝いた。皇帝特権(魔力放出)によって月光の奔流を自分から周囲に爆散させ、まるで球体のバリアを波動のように放った。それは宝具ランクとして確実にAランク以上の守りとなり、銃弾と居合の斬撃波を弾き飛ばす。

 

〝何故、股間の神の名を?”

 

 そんな所長の疑問は逆に意味はなく、そして考えても無駄な思考であろう。重要なのは一瞬の間に起きた、この殺戮の応酬。とは言え、灰の戦闘経験と戦闘考察力を与えられた上、皇帝特権による万能性能を誇る狂帝からすれば、対処方法は思考を腐らせる程に持ち、絶死の危機を乗り越える事など欠伸をするのと同じこと。

 だが、狂っているのはお互い様である。

 ジャギギギギギ、と金属と金属が擦り合う凄まじい高音が所長の得物から発生。

 

「何とも前衛的な。ふははははは、未来もやはりローマであるな!!」

 

 彼は何が楽しいのか分からないが、しかし回転は人類の浪漫である。ローマ皇帝の一人であるカリギュラは宙より神を啓蒙した月明かりの狂人であり、ならばその浪漫を解する男でもあり、唸り上げる回転機構は脳に良質な栄養源。

 狩り道具の一つ―――回転ノコギリ。

 月下の狂気の儘に邪悪と悪行を為した狂帝は一目で脳が震え、工房が生み出した殺意の塊である故に回転(ソレ)の血塗れた美しさを啓蒙することが出来たのだろう。

 

「本当に貴方、理解ある狂人みたいね……ふん。業腹だけど、殺すのが惜しいわ」

 

「有り難い言葉だとも。殺し合いの最中、これより殺す相手の念を重んじるとは、星見の支配者である貴様は慈悲深き女なのだろう。

 故、聞こう。それを持つ貴様は―――何者か?」

 

「―――今の私は芝刈り機だ」

 

 愛すべき仕掛け武器の一つ。もしそれを狩人以外の言葉で例えるならば――

 

「そう言う意志(カタチ)の、狩人(ケモノ)なのよ」

 

 ――そんな祈りの言葉(意志)が相応しいのだろう。

 

「……――――なん、だと」

 

 まるで月で照らされた夜空のように、脳裏が明るく晴れ渡る。狂帝は寸分違わずに、眼前の獣血を啜る獣狩りの地獄(回転ノコギリ)を啓蒙出来てしまった。芝刈り機などローマになく、だが彼は狩人が持つそれが草木ではなく、獣肉をミンチに粉砕する道具だと一瞬で理解した。

 

「余の狂気が……―――気圧される、だと?」

 

 何せ、芝刈り機。あの鋸刃の回転機関は、正に血肉を削ぎ狩る芝刈り機。そう言われると芝刈り機以外の何物でもなく、草を刈る(よう)に獣を狩る(さま)が容易く妄想出来る。

 狂帝は、自分が恥ずかしくなった。一度、死にたくなった。

 灰に渡された究極の呪狂――暗き月光の大剣で、無作為に暴れていた自分が、イキリ散らした思春期の童貞みたいだと思ってしまった。この気恥ずかしさは悪夢に見る程で、今日の晩にローマに相談したくなる程。

 

「まことか、貴様……?」

 

「当然よ」

 

 余りにも真っ直ぐな言葉を受け、狂帝は今世最大の衝撃を味わった。

 全く以って、彼が持つこの月光の大剣に並ぶ獣狩りの狂気であった。

 しかし、残念でもあるのだろう。何故なら彼は、そもそも芝刈り機の実物を見たことがなかった。真実を啓蒙されたとは言え、実感を知らぬならば伝わる意志は低減されるのが道理。

 故に――芝刈機とは、正に回転鋸(ワーリギグ・ソウ)

 ならば回り廻る殺戮機構の刃は獣にとって悪魔の牙爪であり、生きた人間を人として殺すのではなく、穢れた汚物に塗れた糞袋の獣肉として解体する狩りの術。ローマ皇帝である狂戦士(カリギュラ)がコロシアムで賢覧するに相応しい処刑方法であり、その汚物に血塗れた無数の鋸刃を見ただけで彼は無惨に殺される(ヒト)の断末魔が啓蒙される。

 

「何と言う生き殺しか。正に自害すべき羞恥。余はまだまだ、月明かりの輝きには程遠いのだな。しかしながら、狂気とは正しく月光の煌きよ。

 月こそ、感応せし完全なる精神!

 貴様は良き発狂者である故に、是非にその魂を……―――貪らせて、戴きたぁい!」

 

 ならば―――歓喜せよ。

 眼前の女(オルガマリー)の血肉を獣の如く食せば、狂気が正気へと変貌するのが必然。

 

「――――!」

 

 そして―――懺悔せよ。

 狩人の娘(オルガマリー)を前にし獣の如き叫びを上げれば、肉片になってしかるべき。

 

「オォオオォオォオオオォォ―――ネェロォオオオオオッッ!!!」

 

 隙などなかった。叫びながらも周囲の警戒は万全で、眼前の敵から目も心も放さず、むしろ未来予知に匹敵する鋭き第六感を皇帝特権(心眼(偽))で研ぎ澄ます。

 だが、狂帝は尚も左腕を―――粉微塵(ミンチ)に抉り砕かれた。

 目にも“映”らない踏み込み(ステップ)から突き出された回転する鋸刃が、完全な防御と回避に間に合わなかった狂帝の左腕を掠ったのだ。

 

「―――詰みね、貴方」

 

 口を動かさず、声でさえなく、まるで脳内に響く(ユメ)よりの音。月の狂帝(カリギュラ)はそんな狩人の殺意を意志として魂で聞いてしまった。そして音速が緩やかな流れに感じる加速の異次元の中、痛みを脳に伝える神経伝達よりも早く、狂帝は眼前の悪夢より逃れ、だが既にアサシンが忍び寄っていた。

 直後―――ブジョル、と形容し難き音。

 ミンチになった筈の左腕の傷口から溢れる魔力―――呪われた結晶が、まるで蜥蜴の尻尾のように一瞬で生えている。

 

「ルナァァァアアアアアアアアア!!」

 

 その光景は宇宙的で、啓蒙的で、神秘的で―――悪夢的。魂を美しい結晶へ石化させる麗しい蒼白き魔光が溢れ、だが既に狂帝の左腕は肉感を持つ生物と鉱物の中間的な物体と果て、故に月光がそれより漏れ出した。

 

〝まさか―――内側が、呪詛溜りになってるの……!?”

 

 零の思考速度で所長は正解に辿り着き、狂帝の魂そのものが結晶化英霊(モルモット)に人体実験を施されているのを見抜いた。

 霊核に仕込まれた輝き―――原始結晶の、砕かれた三欠片。

 特異点を作り上げる聖杯か、あるいは魂にとってそれ以上に価値ある古竜の遺物。狂帝の内側は灰が模造した原始結晶の欠片により、狂帝がローマで殺した人々の怨念が呪詛となって地獄となり、また結晶の原材料として使われてもいた。

 殺すには、霊核を一撃で完全破壊しなければならない。頭と心臓と首を全く同時に砕かなければならず、物理的にそれらを壊さないと不死殺しの概念武装も一切通用しないことだろう。

 そして、此処は船上の戦場。狂帝の霊核を手早く同時破壊する大規模攻撃を行えば間違いなく船が沈み、そもそも狂帝がその気になれば月光の奔流で甲板から船底まで穴が開き、斬撃で真っ二つにすることも可能である。

 

「―――!」

 

 何よりも実に皮肉な事だが、鱗を持たない白竜の呪いは狂帝の人間性を刺激し、彼の皮膚を半ば結晶化させていた。その硬質な人革は竜種の鱗のようでもあり、同時にヘラクレスの宝具(十二の試練)を連想させるような概念的鎧でもあった。

 思考の化け物である所長はそれら全てに啓蒙的理解を行い、彼女のサーヴァントでもある忍びも念話によって眼前の敵を理解する。

 即ち―――

 

「………」

 

 ―――忍びによる無音強襲である。

 彼はオルガマリーの愛刀(千景)と同様に、掌を裂く事で忍びは瞬間的に楔丸へ血を纏わせ、血刀の瞬間三閃を振う。所長によって改造・強化された楔丸ならば、結晶化した霊体だろうと問題はなかった。しかし一太刀目は月光剣で防がれ、残り二斬が狂帝の足を断ち落とす。

 直後、又も狂帝の斬り口から結晶の光が漏れ出すも、それは悪手である。尤も、傷口に対する自動治癒は心臓の鼓動などの臓器機能と同じ反射的な無意識の自動行為。細胞一つ一つの働きに意識を渡らせるのは戦闘中には不可能であり、よって忍びの掌底打ちを腹部に受けざるを得なかった。

 狙いは――上空。

 ヤーナムの雲より下で浮かぶ月のように輝く狂帝。

 右手もまだ蘇生し切られず、両脚もない狂帝に抵抗する術もなく、甲板より数メートル程まで打ち上げられた。

 

大当たり(ジャックポット)―――」

 

 ほぼ同時の瞬間砲撃。狩人と忍びの殺意に途切れ無し。

 所長は左腕へと瞬間装備した巨大砲門――教会砲(チャーチ・カノン)を狂帝に向けて放っていた。無論、骨髄の灰を装填し、全解放した魔術回路を励起させた強化撃ち。空中で足場もなく、両脚もなく、そして皇帝特権により空中歩行をする時間さえもない。

 ―――ドォオン、と炎が鳴り上がる。

 所長と忍びを二人同時に相手をするとは―――正に、この様。

 狩り殺す為、忍び殺す為、技術と戦術が悪夢的に合致する完成された殺戮技巧である。

 

「―――ネェェエロオォォオオオオオ!!!」

 

 地面に堕ちた小型ミサイルに匹敵する壮絶な爆音と破壊力だった。無防備ではなく、何とか月光の大剣を盾にして教会砲の爆撃を防いだとは言え、爆炎と爆風まで完璧に防げる訳ではない。錐揉み回転し、血潮を撒き散らし、割れた頭蓋骨から脳漿が漏れ飛び、狂帝は海面を何処までも吹き飛んで行った。

 幾らサーヴァントと言えども、あれは確実に死ぬ致命傷。忍びの掌底で心臓が罅割れ、爆炎で喉が焼かれ、爆風で頭蓋骨が割れている。脳味噌と臓器がグチャリと混ぜられている。霊核は消滅していないが、消えていないだけでもはや手遅れな損害だ。

 

「そのまま、彼方にまで吹っ飛んでくれると嬉しいわ」

 

 飛び散った狂帝を愉し気に見つつ、所長は悪意ある意志を顕わした。何はともあれ、月明かりは美しく、赤く血で染まれば尚の事。

 

「主殿……まだ、奴は生きておりまする。止めは?」

 

 しかし、それでも狂帝は生きている。それを忍びは理解している。殺すには霊核の破壊ではなく、結晶ごと消滅させねばならない。

 

「甲板で殺し合える敵じゃないもの。逃走手段を失う訳にはいかないわ。そして、水中戦は論外。今は欲張らず、逃げる事に専念よ」

 

「御意の儘に」

 

 第一目標が最優先。殺害に固執し、カルデアが死ぬのでは殺し合いに勝つ意味もない。忍びは撃退をするだけで良しとし、まだ戦闘を続ける空中戦(ドッグファイト)へと意識を向けた。

 所長も狂帝から意識を切り替え、教会砲と回転ノコギリを脳内へ仕舞い込み、シモンの弓剣とエヴェリンを取り出した。獣狩りではなく皇帝狩りではあるが、狩人の弓はそれでも素晴しい業である。教会の者共は弓で獣狩り等と嗤うのだろうが、しかし得物を選ばぬ業こそ極まった夢の狩人に相応しい。二つに刀身が分解され、歪曲する刃が弓張りの形に変形し、弓の弦が結ばれる。10分の1秒もなく剣は弓と変態し、人間が有する理性的な狩猟技巧による仕掛け機動は問題なく行われる。

 

「―――ふははははははははははは!!

 竜狩りに王殺しとは、我が皇帝列伝に相応しい偉業の一つであろうなァツ!」

 

「正しく、偉大(ローマ)なる威光(ローマ)である!!」

 

 そこには女王の戦車と情念の炎竜を相手に一歩も引かない皇帝の刑罰戦車が、戦場を蹂躙し尽くす姿があった。

 

「シャー!」

 

「……珍しく乗り気だな、清姫。

 だが私に騎乗技能はなく、竜乗りなどそも有り得んのだが……―――いや、私としては相方が猛るのは悪くないか」

 

 埒を開けるため竜化した清姫に乗り、エミヤは暗帝(ネロ)神祖(ロムルス)の撃退に挑む。戦車に乗り込むブーディカと呂布と協力し、一機と一匹で撃墜戦を開始した。

 海上の空を殺し合う為、宙舞う三つの殺戮機構が幾度も交差する。

 古代中華の叡智で改造された暗い戦車と、怨念と臓物に染まった憎悪の戦車は一歩も殺意を譲らず。その間に竜の狂戦士と魔術使いの弓兵が入り込み、拮抗状態が崩れそうだった。

 ならば、宝具こそ殲滅の合図。ブーディカが、呂布が、清姫が、エミヤが、全く同時に暗帝と神祖を狙って真名解放を行った。二方向からの四重砲撃は凄まじい魔力と概念を持ち、ネロの戦車が持つ概念防御を突破する事も可能だろう。

 そして、その戦況を覆さんと神祖が強硬手段を選び取るのは当然の事だった。

 

すべては我が槍に通ずる(マグナ・ウォルイッセ・マグヌム)―――」

 

 地面に突き刺ねばならぬなら、海面を地面とすれば良い。建国の槍を海に投げ放った直後、海面より雲にも届かんと巨樹が全てを覆い尽くそうと広がって行った。無論、四騎が行った真名解放が巨樹に防がれ、一瞬で暗帝の刑罰戦車が宝具の殲滅領域から離脱してしまう。

 

〝―――素晴しい、魂の業よなぁ……”

 

 軍艦より、その神祖の業を甲冑兜の奥より悪魔殺しの悪魔(デーモンスレイヤー)は喜んだ。灰に与えられた人間性は宝具に影響し、英霊の魂に付随する武器として振われる宝具の真名解放は副次的とは言え、やはりソウルの業としても覚醒されてしまうのだろう。同時に、灰が知る魂の本質も強引に悟らされ、根源より生じた己が魂さえも零より理解し、英霊の宝具と言う概念が暗く深化されてもしまう。

 もはや、あれもまた魂殺しの業なのだ。

 特に神祖ロムルスの業は極まっている。

 形を模すデーモンとして―――否、神の似姿であるサーヴァントとして、宝具と言う魂の業が煌いている。

 

〝……なればこそ、まだまだ足りぬ。まだまだ私は獣に届かん。

 人の業に満ち満ちる貴公らのソウルこそ、我ら獣に魂を犯されたデーモンにとって今を存在する実感で在ればこそ”

 

 振り上げた獣のタリスマンを優しく振り下し、理力(ソウル)を起動させ、この世界の人間共のソウルを喰らうことで得た魔術回路を励起させた。悪魔は元より魔術師ではあるが、更に魔術師(メイガス)でもあり、知り得たありとあらゆる業を極める事に躊躇いなし。それは人類に基づく魔術基盤と魔術理論も同じ事。

 ―――炎の嵐。

 それは混沌の暴君たる巨大な竜の力そのもの。

 ただ吹き荒れ、これを制御することはできない―――だが、何事も例外はあるものだ。

 

〝何万匹も、数えられぬ程に私が竜の神を喰らったと……それを、理解出来ぬのであれば誰も、人間は、獣の眷属(デーモン)になど落ちぬだろうて”

 

 限界を遥かに超えたソウルは、もはや神を数万数十万柱も貪っても満たされない。悪魔は灰と同じく、貪欲なる無限の虚ろな器。繰り返されるあの霧の世界、繰り返される程に因果は絡まり、あらゆる魂は重く深化し、それらを繰り返される度に貪り喰らい、悪魔は獣を導くデーモンスレイヤーと成り果てる。

 故、もはや何事にも不可能無し。海面を噴火口に、デーモンの火炎が吹き溢れる。

 軍艦の周囲に生え乱れる古樹林を一瞬で焼却し、進路を塞ぐ木々さえも全て焼き尽くした。全く以って埒外の神秘であり、その炎は触れた魂を例外なく焼き滅ぼすのだろう。

 

「道はまた、我が火で啓いてやった。迷わず、先へ進むと良い」

 

 悪魔は獣のタリスマンを振い、そして海上の古樹林を焼いた火炎も即座に収まる。不可能である筈の神の火を完璧に制御し、魔術回路と言う別世界の神秘をソウルから得たことで、より深いソウルの業へ至ったのだろう。

 

「スレイヤー……貴様は、その魔術を良く使う。火を好むのか?」

 

「さて、どうだかな。魔術に好き嫌いはないが……だが人を、焼き殺すのが得意なのは事実だ」

 

 そうネロの質問を悪魔は笑い、同時にタリスマンに魔力が再度集中する。キィイン、と耳触りな圧縮音が響き渡る。英霊が行う真名解放を超えた重圧がこの海域全てに圧し掛かる。だがサーヴァントのソウルより霊基を奪い取っただけの悪魔は英霊ではなく、そもそも真名を解放すべき宝具など持ち得ない。

 謂わば―――真似事。

 呪文として、魔術回路を使う為の霊基応用だった。そして、それは真名でさえない只の呟きでもあった。

 

奔流せよ(ソウル・ストリーム)―――」

 

 旅路の果てに学んだ魔術を悪魔は解き放った。ボソリと粘つくように唱えた魔術の名は、だが世界を汚染する古い獣の御守より神秘を存分に引き上げていた。

 カォオオ、と独特な轟音が響く。

 とある灰より得た神秘を、悪魔は特異点が剥がれ落ちる程に解き放つ。狙いは勿論、暗帝と神祖が騎乗する戦車である。

 

「―――貴様」

 

「睨むでない、ネロ。獣に届かぬ私は、我々の業を学び足りんのだ。使わねば、やはり何一つ神秘は啓蒙されてはくれぬのでな」

 

「知ったことか。あの女だけは、余がこの手で殺さねばならない。

 その事は貴様が一番分かっている筈だ……そうだろう、悪魔を殺す者(スレイ・オブ・デーモン)

 

「理解しているとも。故、見給えよ。ほら、死んでおらんではないか」

 

 沈み落ちる海面古樹―――その虚空、ローマを賛美するポーズをする神祖が浮かんでいた。皇帝特権(千里眼)で神祖は死を悟り、戦車を奔流の弾道から離れる事を可能としていた。

 

「―――アハッハッハハハハハハハハハハハハハハ!!

 何と言う暴虐か。あの奔流、この魔術……魂を世界ごと殺すに十分ではないか!!

 あぁ、我が女神。火の簒奪者。灰の人。アッシュ・ワン……―――全て、全てがそなたの語った通りであった。異界より来たりしこの騎士が相手では、魂を本質とする我ら人類と神々全てが獣の餌に成り下がる!」

 

 そして、暗帝(ネロ)は嗤っていた。眼下のカルデアと反乱軍と、死んで英霊に成り果てた死人の自分(ネロ)を哂っていた。汎人類史を理解し、何もかもが歪み果てたローマの世界を嘲っていた。

 暗い人間性(ヒューマニティ)が、ネロの瞳を逸らすことを許さない。根源の星幽界より生じた自分の魂を無理矢理にも理解した故に、暗帝は悪魔が至った獣の理を恐怖するしかない。そして、味わった恐怖は狂気の燃料となり、暗帝はより魂を暗く燃やす精神的活力を得ていた。

 

「―――これでも、まだ……」

 

 ここまでやり、逃げ切れず、尚も追い込まれる。そして、怨敵(ネロ)は無傷。更に、海上樹林によってフィールドを支配した。怨讐に狂い果てるブーディカは理解しなければならない。

 ―――神祖、ロムルス。完成された人の神にして、神なる人。

 彼が暗帝を庇護する限り、ブーディカでは彼女を殺す好機は決して訪れない。

 

「……クソ、ローマ。ローマ、ローマ―――ローマめッ!!」

 

「諦めよ、ブーディカ。貴様も、貴様の娘も……全てが犬死だったのだ。ローマ人に見世物として犯された過去も、何ら価値もない苦悶に過ぎなかった。所詮、貴様の人生はそれだけの事よ。そして、貴様らの悲劇をローマは忘れず、その下らぬ過ちはより良い明日を作る為の栄養源に成り果てた。

 人類史の、本来の余がそう在るように。

 故に、どうか貴様も哂うが良い。己が人生と、悲劇しか与えぬ世界をな!!」

 

 ―――全ての感情が、塗り潰れた。

 死の恐怖も、過去の絶望も、惨い苦痛も、虐殺の後悔も―――憎悪が、魂を暗く煮え滾らせた。

 

「貴様が、それを哂うか!! ネェロォオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

 味方との連携を忘れ、ブーディカの戦車は駆けた。一秒でも暗帝が生きて呼吸をしているこの世界が許せなかった。自分の人生を……いや、夫を愛し、娘を生み、家族と共に生きたその人生全てを嘲った事を許せなかった。決してブーディカは、ローマに全てを奪われる為に家族を愛した訳ではないのだから。

 怒り狂ったその瞬間―――ドン、とブーディカと呂布は戦車から跳ね堕ちた。

 戦車の軌道を先読みしていた神祖は実に容易く、海面から古樹を生やして女王の戦車へ命中させていた。

 

「……―――」

 

 破壊される宝具。宙に舞うブーディカの視線の先、暗帝の凶笑が見えていた。空中で身動きが取れず、回りの木々は敵のテリトリーで、数瞬後に自分が死ぬ事を彼女は理解出来てしまった。

 そして味方は助けに来れない。竜化した清姫は古樹が邪魔で直ぐには来れず、エミヤも射線が木々に遮られている。軍艦からの距離も遠く、悪魔が焼き払った古樹林も周辺と逃走経路だけ。

 

「……◆◆」

 

 一人、狂戦士の彼は静かにその死を見ていた。自分がすべきことを悟っていた。反骨の将軍としてではなく一人の英雄として、助けるべき女と、殺さねばならない怨敵がいる。それを理解していれば、戦場で迷う事など有り得なかった。

 ―――死に場所を、見出してしまったのだ。

 此処で命を賭さずに生き延び、それで何を得られると言うのか?

 

「ぁ―――っ……!?」

 

 ならば、躊躇いなどない。呂布はブーディカの腕を掴み、そのまま味方の清姫とエミヤの方へ強引に投げ放った。確認をする暇などなかったが、あの二人ならばブーディカを空中で捕まえ、そのまま軍艦の方へ逃げ切る事が可能だろう。

 瞬間、暗帝の刑罰戦車に呂布は空中で轢かれた。

 双頭の騎馬は彼の霊体を砕き、半ば機械化された体が散り弾けた。

 そして、機械に改造されている故に、呂布はまだ生きている。宝具を右手に持ち、左手で騎馬に捕まっている。

 

「生き汚い奴め。このまま――――……待て、貴様!?」

 

 更に宝具へと魔力を込め、暗帝は呂布を木端微塵にしようとし、だが―――全てが手遅れだった。

 

■■■◆◆■■■■(我が武勇、此処に弾けよ)―――!!」

 

 宝具と肉体の全ての魔力を使い潰す過負荷の爆散。

 呂布が持つ―――命の雷気が、空中で光り輝いた。

 余りに膨大な爆炎は暗帝と神祖の視界を雷光で塗り潰し、周囲に爆ぜ散ったエーテルは二人の魔力感知を妨害した。それも一瞬の事であったが、近距離での爆破を少なくない存在を暗帝の戦車に与えていることだろう。

 

「ぬぅ……ッ―――」

 

 直後、その衝撃によって双頭の騎馬は気絶する。陳宮特製の超中華ガジェット(チャリオット)も故障し、浮遊機能を宝具は失い、そのまま海の中へと落下してしまう―――寸前、神祖は皇帝特権(魔力放出)で戦車を擬似的にジェット噴射飛行した。

 だが咄嗟の行動でバランスを失い、乱回転して制御不可能となる。

 そうなれば、戦局は手遅れだ。敵を殺せるとカルデアが欲を出していれば話は違ったが、既に竜化した清姫はエミヤとブーディカを連れて軍艦に戻っていた。

 

「―――……挑発をし過ぎたか。

 ブーディカではなく、その仲間があやつの為に死を厭わぬとは……すみませぬ、神祖殿。我が女神より授かりし余の宝具、万全ではなくなった」

 

「構わぬ。この男の心意気もまた、まことのローマであった……」

 

 火花が散る呂布の躯体―――その胴体を、神祖の槍が串刺しにしていた。そして、そこより人間性が流れ込んでいた。霊核を補われ、消滅することだけは防がれている。

 

「……だが、良い引き際であろう。ネロよ、その戦車を修理せねばなるまい」

 

「―――…………そのようで」

 

 暗い瞳の儘、暗帝は一瞬で退却したカルデアを見送った。その気になれば追い付くが、だがそんな気にはなれなかった。機を逃したことを悟ったのだ。追撃をしようにも、絡繰兵器である古代の中華ガジェットは万全に使えないのなら、今の戦力は確実ではなかった。

 

「はぁ。まこと、ローマの世は儘ならぬなぁ……」

 

 そう呟き、暗帝は呂布の躯体を戦車に収納する。手土産に丁度良く、一人討ち取れた事を良しとしよう。そう考え、ローマへと戦車を彼女は走らせて行った。

 









 読んで頂きありがとうございました。久しぶりの更新でした。
 とのことで、戦神さんの中身は例のあの人と言う雰囲気にしています。最初の火の炉で霊体になって薪の王グウィンを殺す手伝いをしたルートの方であります。

 真実を知り、太陽に絶望する。
 ↓
 しかし、旅を続けた。
 ↓
 最初の火の炉で友人を見送る。
 ↓
 火が継がれたのを見届ける。
 ↓
 友が薪となった世界を生きる。
 ↓
 だが、太陽に対する絶望からソウルが枯れる。
 ↓
 意志無き不死の骸が墓に。
 ↓
 装備品が受け継がれる。
 ↓
 遥か未来にて、ロスリックの儀式により、灰として墓から暴かれる。
 ↓
 記憶喪失の儘、ロスリックの儀式を灰として行う。
 ↓
 残り火の時代を無限ループする。
 ↓
 火の簒奪者となり、火を得て自分自身が本当の太陽となる。
 ↓
 それを更に繰り返し続け、その中で何故か太陽信仰的に執着する戦神を永遠の中で延々に殺し続ける。幾度も簒奪者となって太陽を知り、そして太陽そのものになりたい。
 ↓
 アッシュ・ワンが葦名での召喚儀式を行う。
 ↓
 例のあの人が運良く呼ばれる。
 ↓
 マリスビリーの技術によって、無名の王のソウルを霊基として獲得し、サーヴァントとなることで太陽となった。記憶が亡くしたが、嘗て信仰した太陽を知り得た。
 ↓
 戦神のコスプレをソウルより行い、むしろ転生する。
 ↓
 フランスに霊体で召喚される。

 大雑把な雰囲気ですが、流れとしてはこう言う感じにしています。
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