血液由来の所長   作:サイトー

57 / 100
啓蒙52:人間のデーモン

 ―――Pray(祈れ)

 人間とは、悲劇だった。

 霧は一つの世界に止まらず、獣の旅立ちとは外界への拡散を意味した。だからこそ悪魔殺しが獣の眷属となった後、巡り回った世界は濃霧に消え去った。彼がその意志で殺意を向け、自分を使役する主の食餌に捧げた。幾つもの世界で広がった獣の霧の中で、兆を超える人々の魂が消化された。獣の暗い口より、魂を貪り喰い尽くされた。

 ―――for Answer(答えの為に)

 人間性を捧げなければ、魂に先は無し。

 霧に沈む世界を決める者があらゆる世界に濃霧を拡散させる尖兵であり、それこそ最も忌むべき悪魔である。悪魔殺しは正しい意味で神に仕える使徒であり、故に悲劇しか運命が許されない獣の眷属であった。悪魔殺しは人類にとって、あるいはその世界に住む“神”や“悪魔”にとってもデーモンでしかなかった。

 滅ぶべき人類こそ、選ぶべき世界―――霧を拡散する餌食(セカイ)を選び、食餌(ソウル)の未来を剪定する。人類を贄に捧げるなど許されない罪科だが、それでも彼がすべき今の責務であり、誰かが古い獣を餌場に導く使命を持たなければならなかった。

 人型戦闘機が戦場を支配する世界。

 上位者が全てを悪夢に招いた世界。

 闇の白竜が神となり君臨する世界。

 微生物が精密機械を破壊した世界。

 異星の塔が文明を暗く沈めた世界。

 英雄が救世主に成れなかった世界。

 彷徨える旅人である悪魔は、彷徨った分だけ数多の世界を滅亡させた。獣の眷属としてするべき悪行ではなく、主を思えば世界の人々を馳走する意味もなかった。世界の外側には食べ切れない程の魂が眠りに就いている故に、悪魔を殺す者(スレイ・オブ・デーモン)は其処へ導けば良いだけの話だった。

 

Unbasa(アンバサ)……」

 

 だから、忘却から逃れる為の祈りは必要。人間性により、忘れていた筈の人間だった頃の人格をソウルを絵具にすることで再現し、擬似感情を手に入れた悪魔は、人の真似事が可能となった事実が喜ばしいのだと人格擬きで錯覚出来た。

 味の分からぬ食事を楽しむジェスチャーができるのもその為。とは言え、人間性を悪魔に啓蒙した灰と違い、亡者でない彼の舌は枯れていないので、人間らしい味覚まで蘇らせることも可能。

 

「え。ア、ア、アンバサ? まあ、似た発音のがあるっちゃありますけど、良くその飲み物を知ってましたね?」

 

 手品のように虚空から、缶ジュースが所長より悪魔の前に置かれた。

 

「白くべたつく、アンバサ……?」

 

「そうよ、アンバサ。カルデアの自販機コーナーに私が職権乱用で入れてるの。とある職員が飲みたいって希望があってね、私もたまに飲んでるのよね」

 

 所長は頭に檻を被ってる交信狂いの要望により、この飲み物と出会えた幸運に感謝した過去を思い浮かべる。きっと類感魔術と似た作用が脳液を啜る音を鳴らし、牢獄の中の、頭蓋の中の、脳髄の中の、輝ける瞳に与える可能性がある……のかもしれない。

 

「ああ、アンバサだな。しかし、アンバサ……成る程。これもまたアンバサか。創造神の残した言葉を表した、白き飲み物」

 

「ちょっと、貴方それが欲しいから言ったんじゃないの?」

 

「いや、これはこれで頂こう。感謝するぞ、貴公」

 

 今度、草の食べ過ぎで喉を詰まらせた時に、祈りの液体を飲み干そうと悪魔は考えた。

 

「どうぞ。ささ、ぐいっと」

 

 所長は微笑んだ。別に毒物など仕込んだ訳ではないが、悪魔の味覚がまともに機能していない事を知りながらも、そんな彼に対して美味いジュースを勧める当たり、性根が鬼畜ではないと出来ないことだ。

 そして飲み物を渡した通り、この場は食卓だった。島に建てられた豪華な一軒家の、その庭の、太陽が当たる食事場だった。島の主人である女神が拘っているのか、無駄に贅を凝らした神秘的な神殿作りの宴会場である。家の中には台所も完備されており、今は本当は犬でも猫でもないメイド狐とカルデア最強の料理人であるエミヤが腕を振っている。調理器具は勿論エミヤが居れば無問題であり、古風な調理場も数分で最新鋭の台所に作り直されている。

 

〝ボーレタリアのデーモンスレイヤー。悪魔殺しの悪魔、魂の成れの果て……ねぇ?

 性根はボンクラ貴族のお坊ちゃんって私の隻狼は言っていたけど。そりゃ確かにそれっぽい人間性だし、人格は阿保っぽいっちゃぽいし、接してみたら随分と人間臭い奴だってのは分かった。

 でも私より―――頭、良くない?

 他人の魂から集めたらしいあの魔術回路を使うだけで、そもそもカルデアのスパコン何機分の思考回路が必要なんだか……いやはや、呆れちゃうわね”

 

 瞳ならば未来予知は無論、人の魂も覗き込めるが……オルガマリーは、彼の魂を理解出来なかった。まるで宇宙を観測する天文学者と同じで、無限の暗闇から星を探すような気分にさせられる。それ程までに悪魔殺しのデモンズソウルは強大であり、ソウルで“在る”とだけしか啓蒙されない。

 つまるところ、解明不能。

 見えるのは表面のラベル程度のみ。

 如何程の魔術師から貪り取ったか分からない魔術回路は霊体の内臓のような物なので見えたが、もはや肉体自体が回路で塗り潰されている。むしろ、魔術回路で霊体が縫い込まれている程。竜の魔力炉心が玩具に見える程に、こつこつと地道に殺し回って奪い集めたとあっさり理解出来た。

 

〝回路の集積なんて、内臓移植よりも危険な筈だけど……ま、悪趣味ね”

 

 魔術師としても遥か格上。悪魔の名の通り、存在そのものが神秘である真性悪魔と同等の生きた“人間”と言う規格外。恐らくは知るだけで魔術基盤も魔術理論も学習し、根源も既知の概念なのだろう。魔術世界において根源接続者よりも尚、凄まじく性質の悪い超越者だと察するも、そのデモンズソウルは人類にとって根源以上の災厄だと悟れてしまった。

 

〝まぁ、どんなに才能がない人間でも何千年も地獄を一心不乱で駆け抜け続ければ、誰でも悪魔殺しのようにはなれる。吸血種の死徒が持つ強さも同様だし、ぶっちゃけ私の業も殺戮で積み重ねた技術。

 尤も魂が抜け殻になってさえ自我を保ち、この世で戦い続ける満足無き意志を抱けるかは人それぞれ。行き着けば結局、個人の精神力次第ってところが人間の素晴しいところよね”

 

「では改めて……―――アンバサ」

 

 そう言って、そのアンバサをアンバサを唱えつつアンバサする悪魔を見るとそうは見えないのだが。恐らく神祖ロムルスにってのローマが、悪魔にとってはアンバサが同じ意味を持つのだろう。

 

「ま、スペルはちょっと違うみたいだけど……うん。意味が通じるなら別に良いか」

 

「良い傾向だぞ、貴公。意志が通じ合えるのならば、言語など魂で雰囲気理解出来れば構わんのさ」

 

「そうね。魔術だって、雰囲気が合ってれば結構上手く運べるからね。ぶっちゃけ、何となくで探る勢いがないと探求者としては三流以下だもの」

 

「―――真理、ついに開眼したか。

 貴公ら魔術師は愚かな馬鹿でなければ、そも学問を探求する価値などない。根源などと実に大雑把な場所に辿り着こうと足掻くのなら、意味に拘っては無能を晒すだけだ」

 

「ふ。そう褒めてくれないで下さる? 少し照れてしまいますわ」

 

「え……? それって褒められてるの、所長?」

 

「何言ってんのよ。藤丸、これは貴方もそうじゃない」

 

「はい?」

 

 ぽかん、と藤丸は間抜け素の面を見せる。マシュの腕を奪った怨敵を前に緊張はしているが、この場には所長が一緒にいる。それだけで彼は安心感を得ており、自分でも気が付かない内に絶対の信頼と信用を向けている事を分かっていなかった。

 

「―――藤丸立香。貴公は魔術の才が無い身であるも、極小の才能を己以外の為に鍛えている。それを魔術師は愚かと称するのだよ。

 だが、私が旅したこの世界において、それは魔術師にとって一番大事な素養。

 嘗て観測した貴公らが魔法使いと呼ぶ魔術師共は、果たして本当に自分自身の為に根源から新たな魔術基盤を啓蒙されたと思うかね」

 

「はぁ……貴方って、本当は凄いまともなのですか?」

 

 よって、悪魔の実に人間臭い返答にも驚いた所為か、藤丸は凄まじく失礼な事を問うていた。

 

「ふむ、失礼だな。贖罪として一言、貴公にUnbasa(アンバサ)と唱えて貰いたい」

 

「そんな事で良かったら、別に」

 

 安請け合いした藤丸は、気軽に悪魔が唱えていた呪文を唱えようと口を開くも―――

 

「ほがぁ!?」

 

 ―――物理的に、藤丸は口を塞がれた。

 咄嗟に所長は片手で彼を鷲掴み、更にそのまま両頬を押し潰した。蛸の様な変顔となった彼は哀れな悲鳴を上げる事しか出来ない状態。

 

「この馬鹿! 自分の口から猛毒を吐き出してどうするのよ?

 毒素に滅茶苦茶頑丈な貴方でも、確実に因果律が全て消化されるじゃない。宙の遥か外側から、良く分からない何かに見つかってしまうわ」

 

「いや、更に失礼な事を言うではないか」

 

「先輩先輩! 本気で何を言おうとしてるんですかUnbasa(アンバサ)なんて!?」

 

「「「「―――あ」」」」

 

「あ……ッ――あぁああ! わたしの馬鹿、凄い馬鹿です!!?」

 

 とは言え、所長の咄嗟の行動も虚しく犠牲者は出てしまったが。

 

「Aチーム主席ともあろう者が、何と情けない。残念だけど……さよなら、マシュ」

 

「所長ッッ!! ちょちょ、ちょっとこれどうすの!?」

 

「マシュ殿、御免……さらばだ」

 

「そんな、マシュさん……嘘偽りない無垢なあなたをわたくし、嫌いではありませんでした」

 

(アタシ)の最後も結構悲惨は方だったけど、こんな終わり方は流石に同情するわ……」

 

「余の仲間がまた――――」

 

「こんな可愛い女の子を地獄に落とすなんて……やっぱり信用は、するべきじゃないのかも」

 

「酒が足りん。おいキャット、全然足りん!!」

 

「ヒヒヒィン、人参まだですか!?」

 

「人間は騒がしいわねぇ……まぁ、それを許してる私が言える事でもないけど」

 

 皆(一人と一匹と一柱を除き)が少女の末路を悼み、一瞬で食卓が混沌となる。それを呆れ顔で悪魔は静かに見ているだけ。

 

「いや、だから貴公らは本気で失礼だな。別に何の効力もない。だたの挨拶だぞ」

 

「本当……ですか?」

 

「本当だとも、マシュ・キリエライト。我が魂に誓ってな」

 

「えぇ~本当ですかぁ?」

 

「私を煽るな、オルガマリー。その堂に入った態度、胸糞悪い凄腕のファントムを思い出して、戦闘欲求が湧き出てしまう」

 

「あ~……その、余からも保証しよう。そやつの言葉に嘘はない。余も過去に言ったが……いや、確かに変な巨大生物の幻覚を見た覚えがあるかもな。

 ……ム。そう思えば、少し記憶があやふやな、そんな様な……――?」

 

「駄目じゃないですか!?」

 

「落ち着きなさい、藤丸。ヤバめの神性で魂が発狂しても、この所長印の鎮静剤が全てを解決するわ」

 

「いや、いや……いやいやいや! じゃそれでマシュが無事で良かったとはならないよ!?」

 

「ふふふ。藤丸は良い感じで敬語が取れて来て、私は嬉しいわね」

 

「なんで今この瞬間にそんな感動を覚えるのさ!?」

 

 誰かが収拾を着けなければ場は治まらない。女神(ステンノ)は重く溜め息を吐きつつ、邪神にしか見えない悪魔と狩人を窘める役目が自分に回って来る現実が気に入らなかった。とは言え、人が玩具にされている光景自体は悪い気分にはならないのだが。

 

「―――ちょっと、そこの人間と悪魔。少し悪戯が過ぎるんじゃない?」

 

「ごめんなさい。騒がしくして謝ります」

 

「すまない。少々羽目を外してしまったな」

 

「全く、これだから。素直に謝る度量があるなら、こう言う遊びは私にも分かるようして混ぜなさい」

 

 救いの女神を見る目でステンノを尊敬し始めたマシュの目を、その女神本人が即座に曇らせた。感情のジェットコースター過ぎて、マシュは今の自分の喜怒哀楽がグチャグチャになってしまい、何が何やら分からない状況に陥っていた。

 

「あれ、女神ステンノさん。それって、わたしで遊ぶのを止めてくれたんじゃ……?」

 

「勿論、そうじゃない。貴女はなにを見ていたのかしら?」

 

「そうですよね。はい、そうでした……あれ、本当にそうですか?」

 

「愚鈍。今は私がそうしたかったと言う事よ。でも、その悪魔とまともに接しようと努力すれば、そうなるのは仕方ないかしら」

 

「はぁ、なるほど?」

 

「―――皆の衆、夕食の時間だ」

 

 静かな弓兵の飯時宣告。もはやエミヤ飯無しで生きられないカルデアの人々は、一瞬で食事を始める準備を終わらせた。

 

「私はもう、エミヤの社食じゃないと満足できない体になってしまったわ……」

 

「……同じく」

 

 輸血液の生きる感覚に酔った狩人の恍惚とした表情と、今の所長は瓜二つ。まるで大金が入った銭袋を拾った時のような笑みを、忍びも薄らと浮かべていた。

 私の料理は薬物か、とエミヤはそんな独白が心から漏れるのを防ぐのに精一杯。とは言え、脳細胞を心地良く刺激する彼の逸品たちは、食道楽な者共にとってシプナスを脳内麻薬様物質でズブズブに浸す食事なので、何ら間違ってはいないのも事実。脳が御幸せな深みまで沈むのは無理からぬこと。

 

「あれ……何か、樹木の塊みたいなのが視えた様な……―――いえ、如何でも良いですね。

 今はエミヤ先輩の御馳走タイム。先輩の国では、腹が減っては戦は出来ないって言いますもの」

 

「そうだけど……その幻覚、ちょっと以上に放っておいて良いものじゃないんじゃ……?」

 

「―――大丈夫です!

 カルデアはもっと変なので溢れてますから。ほら先輩、こうUnbasa(アンバサ)って言っても大丈夫でしょう。

 ……だって宇宙は空にある。

 獣もきっと、宙から来るのですから」

 

「所長、マシュに鎮静剤をお願いします」

 

「後でね。ちょっと正気が削れただけで使うと、あの薬品は悪影響が強過ぎる」

 

「あれで、ちょっとだけ……だと……?」

 

「両腕でL字のポーズを取り出したら何とかするから……ま、安心しなさい」

 

「そんな。カルデアの、あの変態部署と同じになるマシュを、俺は一度だって見たくないんだけど」

 

「やーね。あそこは私の肝煎りなのに。結構苦労して、あの職員たちを雇ったんだから」

 

「やはり、カルデア一の悪党は所長。分かります。ムニエルが言ってました」

 

「ムニエル、特異点から帰ったら減給しなきゃ。私、限界まで頑張っちゃうぞ」

 

 所長はマシュの中で、とある聖騎士が凄く頑張っているのを外側から微笑ましく観測しているが、特に手を貸す気はなかった。

 所詮、性根は狩人。鬼畜外道の邪悪具合は、修羅がチワワに見える狂気度なのだろう。だが、その悪意もとあるカルデア職員の給料が犠牲になることで収まるのならば、人理にとって安い出費だった。人類最後のマスターは、未来に続く答えを手繰り寄せる得難い才能の持ち主である。

 

「美味しいですわね。むぅ……先生にも匹敵します。エミヤが女性でしたら、きっと良い御嫁さんになったことでしょう」

 

「―――清姫。その冒涜的な発想は止め給え」

 

「でも、実際そうですし……はぁ。今の私にエミヤほどの遊び慣れた雰囲気があれば、ま……まま、旦那様(ますたぁ)もイチコロですのに」

 

「恥ずかしいのであれば、無理にそう呼ばなくても良いのでは?」

 

 月明かりの皇帝が残した爪痕は深い。エミヤは清姫の悍ましい女体化妄想を秒で否定したが、少女の恋愛相談を拒むことはない。自分以外の男性に恋する女の相談事にも真剣になれるあたり、彼が物騒な女性たちにモテ続けた人生を送った英霊なのも分かる姿である。なのでカルデアに召喚されたアルトリアも、過去は過去で割り切った態度の様でいて、エミヤに対して内心モヤモヤしているのも分かる伊達男っぷりである。

 

「しかし……その、急に呼び方が変わってしまうと、ま、ままま旦那様(ますたぁ)が私の好意を疑ってしまう可能性が……」

 

「彼が? いや、ほぼ存在しない可能性だと思われるがな」

 

「そうですけど。いや、そうなんですけど。本当に……はぁ、ヘビーな気持ちです」

 

「そうかね」

 

 ―――蛇だけに?

 その駄洒落を内心に止めておけるエミヤの自制心は正に鉄の心。正義の味方を志しつつも執事のアルバイトをしていた身であれば、この程度の空気読みなど実に容易い事だった。

 

「蛇だけ……に……フ」

 

 尤もとあるアサシンは、本職らしく忍び笑いをしてしまう。大金の入った銭袋を拾うと思わずニンマリと笑みを溢してしまう彼は、仏頂面に反して中々に感情豊かであった。

 そこでふと忍びは、今始まった夕飯会を見回す。

 カルデア定番の和食、洋食、中華に、島の主である女神の為かギリシャ料理の揃えられている。大人数での集まりの所為か、騒がしくなれば一気に先程のように五月蠅くなるも、基本的には隣同士の者が話している状態。そんな中、忍びは主である所長の指示を忠実に守り、悪魔の動向を見張っている。

 

「マシュ。大丈夫?」

 

「大丈夫ですよ、ブーディカさん。正直、唐突な即死イベントで慣れてますから」

 

「え。カルデアって、そんな場所なの?」

 

「そうですね。最近ですと、廊下に落ちてた本を拾って試しに読んで見ましたら、唐突に幽体離脱みたいな雰囲気になりまして……あぁ、天高く、地遠く……焼かれた星はまるで太陽の燃え滓のようでして……こうピューって収穫の遊星が空に浮かぶ宇宙を走って逝くんです。

 ふふ……―――Unbasa(アンバサ)です。

 きっとそれも、一つのアンバサでした」

 

「ちょっと。この悪魔、人を壊すなんて外道の極みじゃない。立派な騎士なのに、心が獣臭くなっちゃてる。これ、キミが十割悪いよね」

 

「だが貴公も、復讐に心が壊れている。獣に見合うこの少女のソウルにも、心を壊しても何かを成し遂げたい願望がある……のやもしれん。

 死ぬと分かっていながらも、万物の魂砕く我が剣の前に出た過去を持つ生粋の騎士だからな」

 

 葦名の深みにある古い神殿にて、悪魔の騎士は灰の女と出会うことで自分のソウルに、他人のソウルを絵具にして嘗ての“人間性(ヒューマニティ)”を再現する業を得た。それにより人間味を娯楽にする精神を模倣する今の状態に至ったが、只の人間の悪魔(デーモン)に過ぎなかった冬木での邂逅時より、一人の騎士だった者として悪魔は大いにマシュ・キリエライトを尊敬している。

 ならば、今のこの状態で悪魔が盾の少女と再会してしまえば、何を思い馳せることか。

 仲間となった今だと、ボーレタリアで青い幻影(ファントム)に嵌まり込んでいた時のような、凄腕騎士の変態貴族ムーブをするのも必然。とは言え、それ以前に悪魔は一途な男でもある。好ましい人だと思う事はあれ、恋愛を営む感情など燃え滓となり、ソウルから僅かも残さず忘却された。何よりも、既に一生分の愛を誰かに使う果たしているのだから。

 

「知るか。そんな事より、その物騒な呪文を解きなさい」

 

「さて……」

 

 なので敵対する状態ならまだしも、悪魔はマシュに害を与える気など皆無。ブーディカの怒りは正しいが、実際は悪魔の人間性を満たす娯楽品にしかならない。そんなブーディカを揶揄して愉しむ彼の姿は、悪魔としか言い様がない。

 

「……では、そぉーれ。獣臭くなった人間性を消臭するか」

 

「――いや……うん。やっぱり止めて。キミが魔術を掛けると、もっと獣臭がしそうだ。マシュの中にいる立派な英雄に頑張って貰う方が良い」

 

「辛辣だ。だが、嫌われると言うのも気分が優れる。もっと言い給え」

 

「なにこいつ……」

 

 ドン引きしている女王を悪魔は微笑んだ。まるで変態趣味を満たす貴族男子の屑だった。悪魔であれ、人間であれ、どうあれ、殺人趣味の屑なのは世界を幾度も助ける為に苦しみ続ける救世主だろうと、永遠の果てまで辿り着いても変わらない真実である。

 

「―――あ。そうでした、ブーディカさん。エミヤ先輩の料理は最高なのですよ。特に和食が美味しいです!」

 

 何を味わおうかと食欲に呑まれる寸前のマシュであったが、何かと藤丸とマシュに良くしてくれるブーディカには一人の少女として懐いており、会話をする時間そのものが楽しくあった。そんな相手であれば、カルデア一のお料理マスターのエミヤの逸品を自慢気に紹介するのは当然の流れであり、楽しそうに笑うマシュに微笑み返すブーディカが楽し気なのも当然なのだろう。

 まるで、ローマの手で陵辱死された娘との記憶が甦った気分になる。笑わなければ、憎悪で全てを殺し尽くしたくなる。どの街だろうと蹂躙して、邪悪な快楽を味わう相手なんて、ローマだろうがブリテンだろうが何でも良い気分になる。だから復讐の女王が憎悪を塗り潰す為に、優しい無垢な少女へ微笑み返すのは本当に当然のことであった。

 故、人の悪魔(デーモン)がブーディカに優しく笑うのも―――当然である。

 ローマより溜り堕ちる闇の深淵に沈む女王を、悪魔が笑わずに一体他にどんな存在が優しくするのだろうか。

 

〝今までの人生で出会った中、不死の存在でまともなのは私だけね……”

 

 瞳より精神の動きさえ容易く観測する所長がシミジミとそう思うも、他の者からすれば所長も同類でしかない。だが狩人の業を鍛えた事により、自分を棚上げするのが巧くなるのも仕方がないのだろう。人の意志を持つだけの狩人も所詮は獣の一匹に過ぎないと言うのに、獣を殺す為の獣狩りの技巧を愉し気に極め、狩りの成果を満足気に誇るのだから。

 ―――と、所長が考えていることは悪魔も同じく見通している。

 やはり永劫を耐えられてしまう不死とは、ある程度は似通った精神の容を持つかもしれない。

 

「む……」

 

 そんな風にほのぼのとした不死共の日常風景を、無に至る滅私の心得で忍びは観察中。正直な話、一秒後には世界崩壊が起きても可笑しくない綱渡りな日常に慣れなければ、カルデアで所長のサーヴァントなどやってられないのは事実とは言え、それなりに長い付き合いとなるマシュを心配するのも忍びの良いところ。

 彼は拾った物が何でも入る懐より、和食好きになったマシュの為に最高の逸品を取り出す。少し明後日な方向に人徳がぐるぐると彷徨する忍びであれど、根本的には誰かの為に自分を犠牲に出来てしまう生粋の英雄に違いはなかった。とは言え、それは邪悪を平気で愉しめる灰も悪魔も同様で、英雄で在る事も、救世主で在る事も、道徳観念には全く関係ないことは誰もが察する事だ。

 

「マシュ殿、これは炊かれた白米に良く合いまする」

 

「――え?」

 

 コツン、テーブルに瓶が置かれた。地獄の底で100年煮込んだような、我輩外道麻婆今後共夜露死苦とでも言うような香辛料の化身が置かれていた。

 

「あの……狼さん、これは?」

 

 亡者の焼け殻を更に燃やした血肉の炭の如きソレを、マシュは麻婆豆腐だと直感した上で、その啓蒙的真実を否定して貰いたくて問い返した。

 

「甘い白米に合う一品―――食べる麻婆豆腐だ」

 

 食べるラー油に凝り過ぎ、いっそ麻婆豆腐にしたのは英断だった、と白米愛好家は内心で自分に対してのみ語った。

 炊かずに米をボリボリと美味しく頬張れる忍びの米好き具合はかなり常軌を逸しており、カルデアに召喚された後は白米探求に余念など微塵もなく……それをマシュは知っている為、本当に良い飯の共になる事そのものは理解した。ロマンが何時も隠しているオヤツのおはぎが当然行方不明になった際、忍びの腹の中へと隠されているのも彼女は分かっていた。

 それ程の米好きなら、お米について嘘など吐かない。マシュはその事実を知っていて尚、忍びにその言葉を否定して貰いたかった。

 

「いや、そのですね……え”、これが?」

 

「ああ。米の甘さが、引き立つ。故の辛味だ」

 

「グ……ッ―――!」

 

 やっぱり麻婆豆腐だつた、とマシュは一人絶望。助けを求めて周りを見渡すも、誰もマシュの方を向いていなかった。彼女の大事な先輩(マスター)も、ブーディカらと同じ方向に目を逸らしていた。ただ一匹を除いて。

 

「お米に合うとな。もしやそれ、人参にもベストマッチするのですかな!?」

 

「あぁ、元は明……いや、大陸の品である故……お主には丁度良い」

 

「ヒヒィン、ありがとうございます……ッ―――――」

 

 一口食べた後、馬は安らかに眠った。

 

「死にました! 凄くあっさり死にましたぁーー……!!」

 

 殺人現場―――否、殺馬現場を見て叫んだマシュを誰が責められようか。

 

「凄い。流石、私の隻狼の闇黒麻婆(ダークマーボー)ね。怪生物(UMA)が一撃とは、命が軽過ぎて吃驚する。ヤーナムスピリッツが甦りそう」

 

「さぁさ、マシュ殿」

 

「何故、こんな……狼さん、私はこんな子に育てた覚えはありませんよ!」

 

「……うむ。俺も、育てられた覚えはない」

 

 子供の頃、おやつにおはぎをくれた何気に料理上手な育ての親を思い出しつつも、忍びは冗談に対してさえ余りにも真面目に解答していた。

 

「堅物なまでに真面目な返答だな、狼。しかし、お前の米に対する探求心は本物だ。料理人の一人として尊敬するよ」

 

「だったら、エミヤ先輩もわたしと一緒に食べますよね!?」

 

「すまない。既に私はカルデアで試食済みだ」

 

「そんな……!!」

 

 既にカルデアで犠牲者が、とマシュは驚いた。驚き過ぎて、忍びのマスターである所長を見た。彼女はマシュに対し、凄まじく無責任な愛想笑いを貌へ浮かべているのみ。サーヴァントを制御する立場と責任を持つ筈の所長は、そう言う意味でもマスターとしての素質は特に優れていなかった。

 無論、所長も試食済み。灰血病を発症して獣化寸前になる衝撃だった、と所長はこれを食べた他の犠牲者にも語っていた。旧市街での悲劇がカルデアで起きても可笑しくはないのかもしれない。

 

「本当に人間は騒がしい……ま、良いけど。食べるのに集中出来なくて、ラーメンの麺が伸びちゃうじゃない」

 

 熱い太陽の下で熱いラーメンを啜る快楽に囚われた女神の運命は、果たして何処へ向かっているのだろうか。

 

「ふふ。でも、ずっと昔から……人間って―――面白い」

 

 結局、忍びの善意を拒めないのが御人好しのマシュである。どう足掻いても、絶望。最後まで抗っても、暗い結末は変わらない。

 神は神でも、女神(ステンノ)は死神のような微笑みでマシュを慈しんでいた。

 

「―――――グフゥ……あ”ぁ、ズゴいです。

 確かに、お米の甘さがオアシスになりまずぅぅ……っ―――」

 

「そうか……」

 

 自分の逸品を食したマシュに忍びが満足気に頷いた次の瞬間、この場にいた全員が奇跡を目撃した。死んだ筈の生命が再起動するなど人間では魔法使いにしか許されない奇跡であり、だが不可能を覆してこそのヒトを極めた末の英霊。

 尤も、彼は元人間の英霊ではない。

 赤く燃えがる立派な(タテガミ)(ヒゲ)を生やす馬面の見た目通り、自分を飛将軍だと思い込む精神異常馬の英霊であった。

 

「ブルブルブッル。ヒヒィン、ヒ……ブルァアアアアアア―――!」

 

 霊基再臨を可能とする暗黒麻婆(ダークマーボー)とは、一体?

 全員がその疑問を持つも藤丸とマシュとカルデアのサーヴァントらは、忍びがあの所長が唯一契約するサーヴァントだと考えれば、そこまで非常識な光景ではないなとある意味納得した。何せ、人の形をした悪夢の従僕で在れば、夢のような奇跡を見せられるのも不可思議ではない。

 

「実に愉快な馬だな。嘗て地下に築かれた猫妖精の楽園を思い出す騒がしさだよ、赤兎馬」

 

「スレイヤー殿程の物騒極まる悪魔にそう言われるとなれば、戦場を荒しに荒した呂布の軍馬として誇らしいですぞ。

 いえ、私は飛将軍の愛馬ではなく呂布本人なのですがな!」

 

「そうだな。では今度、目から妖精光線(フェアリービーム)を出す魔力の使い方を伝授しよう」

 

「なんと。溢れ出る雷気を身に纏う呂布の如く、あの超軍師の吃驚兵器の様に、ビームを撃てるようになると、生身で、この私が……ッ―――素晴しい!!

 いえ、そもそも私は呂布本人に間違いはないのですがね、ヒヒィン!!」

 

「あぁー……はぁ……へ、なに。ねぇデーモンスレイヤーその、なに……貴方が言ってる意味分からんない猫妖精……あれ、猫精霊だっけ?

 それ、本当にいるの? ガチで?

 疑ってる訳じゃないんだけど……その、啓蒙されし真実を理性が拒むんだけど」

 

「昔、面白い妖精郷の一種に行ったことがある。何でも猫の精霊の古里であり、何故か街の地下に広がっていたな。

 そこの更に一部を、住まう精霊たちが―――ぽかぽかネコアルク村と呼んでいた」

 

「ネコ……ネコアルク?」

 

 瞬間、よく分からない生物(ナマモノ)の姿を所長は幻視した。

 妖精郷の精霊に興味はあるが、伝説にあるブリテンなどの妖精達が啓蒙された生命系統種と同分類の存在だと思うと、彼女は何処と無くやるせない気分となった。

 

「ふふふ、そうだとも。

 貴公が考えた通り、私こそ終身名誉村長――拡散の猫兵であるぞ。私を殺した暁には、猫村長のデモンズソウルを与えようぞ」

 

「考えてないし、要らんわ。貴方ってちょっと、脳味噌が啓蒙され過ぎてるわよ。そもそも意味を、理解したくない。

 と言うか何なの、その与太話……っ―――う、待って。

 そう思えば、カルデアで生活し始めたばかりの頃、何処ぞの平行世界から時空干渉を受けて、こっち側の因果律観測された事があったような……その時の、違和感に似てる?」

 

「それは知らんぞ。まぁ一夜の幻影とは言え、真祖のアーキタイプ・アースを私が出来心で殺した異空でもあった故、重なり合う神秘が熔け歪む混沌でもあった。あの猫など、侵略外来種だったタイプ・ムーンの因果がスピンアウトし過ぎた極致の産物とも言えよう。

 世界の歪みに対し、未来予測など赦されぬからな。

 よって未来で関わり合いになる無関係な他者の世界に、因果律を辿って何かしらの干渉現象が引き起こる事も有るかもしれん」

 

 世界の揺らぎから介入し、群れていた真祖を戯れに虐殺していた時、出会ったことある月からの来訪者。あの男が地球で悪巧みしていた結果、あのネコの精霊が巡り巡って生まれた。だから悪魔は、因果と言うものが嫌いにはなれなかった。

 それこそスピンアウトなどと、現代の言葉で揶揄してしまう位には。

 

「あー……成る程。冬木以外でもカルデアと貴方には、壮絶に訳の分からない縁があると。何と言うか、それこそ正に悪夢ね」

 

 路地裏の虚より、猫は這い寄る。混沌で在らずとも……いや、実際に混沌(カオス)な猫妖精も楽園にはいるにはいるのだが。

 まるでネコ・カオスです、と所長は夢見る瞳を蕩けさせる。よって旅する悪魔の摩訶不思議な備忘録を、所長は瞳で脳へと啓蒙した。流れ込んで来る知識は狩人だろうと我慢出来ずに叫びながら、誰でも良いから内臓攻撃で臓物を地面に撒き散らしたくなる狂気を与える。

 

「ふぅ、良い酒飲めた……あれ?

 是は一体何だろうか? 地獄絵図?」

 

 月の狂気を癒す為、酒に夢中だった荊軻はやっと騒がしくなった皆の様子に気が付いた。ついでに地獄の釜の底に溜ってそうな麻婆豆腐にも気が付き、また一口酒を呑む。どうやら赤兎馬が赤くなっているのも、あの赤黒い地獄の食べ物が原因だとも何となくだが彼女は察する。

 

「なにそれ、美味(うま)そうだな。(ウマ)だけに」

 

 酒に酔っていようが、血に酔っていようが、酔っ払いは普通の判断が出来ないのが常。死ぬほどつまらないオヤジギャクを思い付いても黙っている理性的判断を下せないのは仕方がなく、食べる暗黒麻婆が美味しく見えるのも仕方がないのかもしれない。

 

「む……荊軻殿。如何か?」

 

「おぉ、良い肴になるな。頂こうか!」

 

「では、さぁさ……」

 

 世界とは、悲劇なのか。犠牲者がまた一人、直ぐ様に絶叫を産声にして生まれてしまう。皆の晩餐会はまだまだ終わらないようだった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 魂とは、何から始まったのか。彼女はそんな真理を知りたくもなかった。同時に、知るべきではない真実は甘く薫る反面、それの姿は形容し難い劇毒である。その病魔に人の魂が感染してしまえば、真っ当な精神など容易く瓦解する。

 それはまるで、錆びた粗い(ヤスリ)だ。触れるだけで理性が削り剥がされ、血塗れの本性が剥き出しになる。皮を剥がれれば、人も獣も見た目は何ら変わらない。

 

「はぁ……」

 

 溜め息を吐くと幸福が逃げると言うが、果たして逃げるだけの幸運が今此処にあれば如何程に幸せなのか。

 完全に狂い果てた生前の自分―――暗帝と邂逅したネロは、その余りの邪悪さと醜悪さに、記憶を思い返すだけで脳味噌が痙攣しそうになる。

 

「……ッ―――グ、ぁ……ぁギ」

 

 暗帝に奪われた右腕が疼く。植え付けられた悪魔の腕が、魂を霧に変異させる。サーヴァントで在りながら、半ばデーモンに侵食汚染され、悶死に至る違和感で心が砕け壊れそう。苦しむネロは冷や汗が滝のように流れ、髄まで霧で冷え込み、脳と一緒に体が震え上がる。

 あぁ、と感嘆した。地獄など生温い。

 脳裏に姿が浮かび上がる。正気を削り取る御神体。

 植生の鉱物のような、生命なき存在で、故に死を解さぬ不変。

 世界を平らげ続け、時空を貪り尽くし、宙よりも深く肥えた剥き出しの魂。

 あらゆる魂の始まりが獣であると啓蒙され、暗い孔が魂を飲み込もうと深淵より覗き込む。

 本物の獣であり、異形の神であり、底の底で眠る樹の塊であり、余りにも理解出来なかった。星よりも、古かった。人類史よりも、更に旧かった。

 

「―――――――――――」

 

 暗闇が瞳に帳を降ろし始める。

 隻腕で勝てないのをネロは理解してたが、この右腕は諸刃の剣ですらない。

 記録と記憶と知識が逆流する。

 世界を霧散させる霧の右腕ならば、そのデーモンの腕がソウルを渇望する。

 最初から魂は狂っているもの。

 人間が認識する正常な世界など真贋以前に、そもそもからして正しくない。

 運命を題材に絵画は描かれた。

 その絵具が黒い人血ならば、世界が悲劇で在るのは必然の選択でしかない。

 

「無事ではなさそうだな、ネロ。晩餐会の後だと言うのに、一人で静かに苦しむとは。辛気臭い努力など、死んだ後でするものではないぞ」

 

「黙れ、スレイヤー……貴様に問われる是非ではない。これが貴様たちの業か」

 

「無論だ。ならば貴公、受け入れ給え。霧が掛る時、ソウルを貪る醜さは誰の目にも映らない」

 

 そして、悪魔は自分のソウルより魂を現した。霧として呼吸するように魂を物質化する悪魔は、性質そのものがこの世における第三法を自在とする神秘の化身であり、喰らい集めたソウルを結晶にすることさえ幼子が粘土を捏ねるように容易である。

 

「苦しいなら……―――死ぬか?」

 

「―――貴様……」

 

「分かっている筈だが。死ねば貴公を蝕む深淵も霧も、魂と共に解除される。そして、私であれば魂の蘇生など容易い魔術。あぁいや、世界(ここ)での慣わしに従うならば、魔法と呼ぶのが正しかったな。

 どうあれ人間の輪廻などな……魂の秘密を暴けば、実に単純な真理だ。

 こうして、私が蒐集した獣の濃霧(ソウル)を喰らうこともないだろうに」

 

「余はサーヴァントとして二度目の生を受けたが……それでも、貴様ら不死の倫理を良しとするつもりは毛頭ない」

 

「使い潰して構わない命の為にだけに、己が魂を苦しませるとは。ならば、私が貴公を助けた価値は充分以上にある。

 使命に殉じると決めたなら、存分に―――苦しみ給え」

 

 不死が、不死を助ける価値はない。救ったところで、どうせ不死ならば命に意味はない。何よりも、悪魔は魂の何もかもを理解した果ての、不死も輪廻も自在とする神秘の探求者でもある。

 死んだ人間の蘇生など、魔法も要らず、根源と繋がる必要さえ皆無。

 消滅したサーヴァントの魂を甦らせ、またこの世に呼び戻す事も僅かな魔力で可能。

 それを理解しているネロなら、そもそも一度悪魔に殺されて、彼の魔術で蘇生された方が万全な状態でローマ帝国と戦えると分かっていた。

 

「当然だ。奴を殺すの余の責任。最期の死から逃避するために、死にたくないと生き足掻く余を討つと決めた。

 ならば、自らの死から目を背けることは赦されぬ。

 況して、その命を使い捨ての道具には出来ぬのだ」

 

 悪魔は命を賭す決意を眼前に、誰もが見蕩れる優しい笑みを浮かべた。

 

「やはり人間は、素晴しくなければ価値がない。どのような些細な事柄であれ、魂から称賛出来る信念と理念がなくては生まれた意味がない。例えば私のような……徹頭徹尾、まこと価値の無い愚者が尊ぶ事が可能な意志。

 貴公には、それが――在る。

 この貪欲な獣のソウルで在ろうとも、そうだと実感する程に」

 

 そして、熟した腐肉よりも柔らかい微笑みであった。芯の芯まで魂を腐らせ、だが凶悪なまで強靭な意志を持つ悪魔らしい笑い方だった。

 

「―――輝ける羅馬の星よ。

 赤く燃える薔薇として散るのであれば、是非ともこの愚かで不出来な魂に、貴公の素晴らしき人間性を見せ給え」

 

「ふん……ならば、良く見ておくが良い。余は諦めぬ。何があろうと、絶対に」

 

 悪魔の手から、ネロの手に固形化した濃霧の塊―――ソウルが手渡される。殺せるも魂は滅ぼせない古い獣を無限に、幾度も、数万数億と殺し続けた悪魔の魂(デモンズソウル)からすれば、渡したソウルの量など微々たるもの。英霊数十騎分のエネルギーなど、大海の一滴以下だろう。

 だがサーヴァントであるネロにとって、聖杯にも等しい劇物だった。本来なら、それこそ聖杯並の容量がなければ破裂は必然。だが、今の彼女には外付けの悪魔の腕(デモンズソウル)が着装されている。

 

「ぐぅ……っ―――」

 

「美味いだろう。魂が味覚を覚えるとな、肉体の五感で味わう実感とはまた別物になる。我ら不死(ヒト)がソウルを嗜むのは、それのみが魂を潤わせる満腹感である故に、な」

 

 右手より、獣の濃霧(ソウル)が流れ込む。ソウルを貪り喰らう悪魔の腕は常に餌に餓え、ネロに力を与える代わりにソウルの飢餓で気が狂うも、それも悪魔の魂の欠片によって癒された。

 誰でも良い、何でも良い……殺して奪えれば。

 食欲と性欲を遥かに上回る快楽と、人生の目的を全うするより満たされる達成感。

 ソウルの餓えが潤う実感は魂を虜にし、理想を抱く王が国家全てを贄と捧げる人でなしの悪魔と化すのに充分以上の魔力を持つ。

 

「―――ハァ、ハァ……はぁはぁ……ぐ、はぁっ……!」

 

 それら全てを、燃え上がる人の意志で抑え込んだ。ソウルに酔うのが人間で在れば、ソウルに抗うのもまた人間で在る。流していた冷や汗に、悦楽と法悦の熱狂的な発汗が混ざり合い、サーヴァントの身でありながらも、脳が愉悦に満たされる所為で生理的な赤い涙も流れ、故にその血涙は人間が人間で在ろうとする抵抗。

 ―――デーモンの右腕。暗き帝国に対する叛逆の証。

 同時にそれは、人間の理に対する古い獣の牙である。

 

「成る程。やはり貴方は私達の……いえ、人理の人間にとって敵のようね」

 

「……………」

 

 その背後―――狩人(オルガマリー)忍び(隻狼)が二人。

 

「………主殿」

 

「良いわよ、別に。私達の敵ではないから」

 

「御意の儘に……」

 

 忍びは殺すべきだと考えている。もはや僅かばかりの慈悲さえ不要だと一目で分かる。仕える主(オルガマリー)にとって害悪でしかない悪鬼(デーモン)だと滅私奉公の精神で悟り、背負う不死斬り(拝涙)があの悪鬼を斬らせろと鞘の中で震えている。忍びがこの刀が獲物を求める事に少なからず驚くも、だがそれも当然のことだろう。真の名の通り、魂から零れる涙を拝む為の大太刀で在れば、あの悪魔殺しは不死斬りが殺めるべき存在。

 無論、所長―――……否、狩人にとっても悪魔は狩るべき存在。獣や神を殺す様に、一切の慈悲無く、血に酔って狩り殺す事が人理と全人類にとっても絶対の正義となる相手。

 

「そう……敵じゃないもの。殺した所で、別に意味なんて何もない。善悪さえ、其処にはない」

 

「物事を見通し、物覚えも良いと愚かで在る事も出来ないようだ。その様では、人間で在り続ける事も息苦しいだろう。

 試しに如何だろうか?

 悪魔狩りと言うのも貴公ら狩人にとって、一興にも二興にも娯楽となると思うが」

 

「拒否します。仲間でしょ……今は、まだ。

 でもね、人理の為に抗う英霊を苦しめると言うならば、貴方を必ず滅ぼさないといけない。サーヴァントとして使役すると決めた我らカルデアは、同輩として助けを求める英霊に手を貸す義務がある。これはね、私なりの英霊に対する意志ですから」

 

「素晴しい決意だ。確かに私を今殺せば、同時にネロも殺さねばならない」

 

 所長は人狩りも厭わない。だが人で在ろうと足掻く人間を、積極的に狩ろうと血に酔えない。何故なら、今のオルガは狩人の理念で動く前に、所長で在ろうと決めている。そして敵を討つ為に悪魔からデモンズソウルで呪われたネロは、生きているだけで人理に怨嗟される悪魔に成り果てる運命にあるが、しかしまだ人間の意志を抱く英霊だ。

 また彼女がこの特異点で戦うには悪魔殺し(デーモンスレイヤー)の業が必要不可欠。暗帝の深淵に魂の一部分と片腕を奪われたなら、その闇を払う為にも同等以上のソウルの業が要るのが必然。

 

「利益も損益もないからと、暗い未来を啓蒙されても人助けを躊躇わない。求められた儘に手を貸し、自らの魂さえも砕いて相手に渡すとはね。

 元はそれでも人間でしょうに。良くもまぁ其処まで、悪魔的な自己献身を行えるわね?」

 

「力を求め、手を伸ばしていた。その渇望を握り取れる人間が、私一人のみだっただけの話だ」

 

「その代償が、悪魔も狂い死ぬ――殺人衝動。

 人のカタチをした怪物もどきにネロを作り変える事が、貴方からすれば救いに見えると言うの?」

 

「理性の皮が剥ぎ取れ、疑念なく自分の性能を発揮するのであれば……あぁ、それは人間ではない化け物だろう。そこに人間性はなく、思考や理念もなく、ただただ人間を喰らうだけの人食い絡繰だ。そう存在する故に、そう在るだけの生命となる。

 だが、それさえも己とし、力とするのも人間である。ならば悪魔になろうとも化け物にはなれず、残念ながら人間は人間に過ぎない。同時に、その奇跡を可能にしてこそ、この世界における英霊と言う人間の究極だと私は見ているのだがな」

 

「―――……ッチ。この悪魔」

 

「悪魔だとも。だが、デーモンさえ狩り殺したいと衝動的欲求を私に向ける貴公の本性は、私から見ても実に悪魔的だと思うが」

 

「あ、そう。マシュから腕を奪った糞野郎が、よくそこまでほざけるものね」

 

「今は仲間だ。腕程度なら無償で蘇生してやろう。無論、傷付けた魂も」

 

「結構。貴方の魂に触れられると、無垢なマシュだと余計に魂が穢れるわ」

 

「酷い言い草だ。しかし、否定は出来ない。この身は汚物に塗れている……だがな、貴公も中々に匂い立つ。その血腥い魂、腐肉と臓物の悪臭も強く染み込んでいるぞ」

 

「ふん。年頃の女性にデリカシーがない男ね……―――で、ネロは?」

 

「その瞳ならば、言葉など不要。見れば分かるだろう?」

 

「勿論、不要よ。けれども必要なのは、人に対する責任。貴方の言霊から、未来を保証して貰いたい」

 

「成る程な。ならば、答えよう……」

 

 悪魔は笑う。デーモンを殺してソウルに霧散する瞬間の、何物にも代え難い至高の達成感とも似たそれをもし言葉にするとなれば―――愉悦。あるいは、娯楽。

 強いて言えば、人間そのものを愉しむ人道から外れた感性。

 片思いをしていたあのデーモンの屍を踏み躙り、古い獣の眷属となった悪魔にとって、そんな程度の邪念しか人間性など残されていなかった。

 

「無事だ。私の保護下にある限り、何ら問題もない」

 

 同時に、悪魔にはまだ人道を歩む意志も残っていた。果たしてボーレタリアの輪廻から解放したかったのは自分だったのか、あるいはあの―――火防女(デーモン)の為でもあるのか。

 言うまでも無く、誰かの為に悪魔を殺し尽くして悪魔と為った。

 故にまだ僅かばかりの慈悲は心の虚の奥底に残り、助けを求めた相手を無償で救う理念も悪魔の人間性には残っているのだろう。

 

「可能な限り、迅速に狩り殺すって。私……本当は、そう決めていた筈なんだけど」

 

 悪魔のその心の動きは所長は垣間見た。単純明快なソウルに酔う悪魔の意志であり、死しても未だ失くしていない人間の遺志でもある。暗い幻影(ファントム)として冬木で邂逅した古い獣の眷属ではなく、今の彼は人間としての残滓も同時に良しとする只の悪魔殺しであった。

 

「だが、人生など捻れ曲がる迷路のようなものだ。そのように、直進して達成する事が出来るのは、己が力量の手が届く範囲が限界だ。

 貴公は優れた狩人で在るようだが、まだまだ未熟。

 悪魔狩りを全うするに……そうだな。結局、人としての道徳を棄てなばならない」

 

 マシュの片腕を奪った敵では在れど、今この特異点で悪魔殺しの悪魔(デーモンスレイヤー)を狩ればローマの一人勝ち。所長が大事にしている少女の腕の仇をこの場で取る為に、人理の世を生贄として捧げる必要が出てしまう。

 直接来たローマを見て未来を啓蒙された所長はこの先の展開が視える故、狩人に徹する為の引き金を引けなかった。

 

「―――………」

 

 カルデアの守るべき人理が、悪魔を狩る―――邪魔となる。

 

「…………私は、けれども……」

 

 自然と彼女は、血族の短銃(エヴェリン)に手が伸びる。抑える気にもなれない独り言に羅列はなく、否定する意志を否定する気の迷いが露出するのみ。

 

「……でも、そうじゃないと――――」

 

 本来ならば、比較するまでもないこと。狩人の業を在り方とするオルガマリーにとって、デーモンスレイヤーと言う至高の獲物を狩れる好機こそ、そもそもカルデアを犠牲にしても惜しくない血の歓び。それも味方の敵討ちと言う状況ならば尚の事、先の未来に瞳を閉じて狩りと血と意志に酔うのが狩人と言う存在。

 それなのに、彼女は迷っている。即ち、所長か狩人かと葛藤をする程に、オルガマリーは所長と言う自分自身を―――愛していた。

 

「――――良い。オルガマリー……余は、平気だ」

 

 土壺に嵌まった思考を覚醒させる声。苦しんでいる筈のネロが、そんな所長の葛藤を断ち切った。

 

「そう……はぁ、ごめんなさい。気を使うべき私が、貴女に気を使わせるなんて」

 

「それも良いのだ。余は皇帝である故に、納得して悪魔に魂を売っただけのこと」

 

 震える右腕を手に抑え、ネロは立ち上がる。大食らいの腕はその腕単体が一種のデーモンと呼べるが、そうだからこそ所詮は只の腕に過ぎない。悪魔殺しの魂(デモンズソウル)の欠片はネロの魂を補うだけ。悪魔も彼女を呪うつもりは毛頭なく、本当に必要最低限の代償なのだろう。人助けにも、人殺しにも、悪魔はある意味で真摯だった。

 

「余は好きで苦しんでいるだけのこと……まぁ、そこの悪魔の立場で言わせればだがな」

 

「貴公、それはないぞ。その言い方は私に非が有る様に聞こえてしまう」

 

「救ってくれた事は感謝している。だが、貴様はそれでも罪が深過ぎる男だ。その所業を知れば尚の事である」

 

 狩りの意志が萎えるのも仕方がない。二人の間で筋は通っているとモヤモヤした鬱積を所長は納得させる。

 

「そうか。確かに、貴公のような麗しい少女には刺激の強い人生を歩んでいるが……」

 

「はぁ……貴様、何を言っている。この特異点の余を見ているなら分かっている筈だが、そもそも余は三十歳まで生きているのだ。

 (なり)は全盛期とは言え、記憶は違う。抑止力としてサーヴァントの匣を使って召喚された故に、傍から見れば薔薇の如き超絶美少女でしないがな」

 

「そうなのか……―――ほう、哀れであるぞ。英霊の座とは、そう言う機構でもあるのか。それでサーヴァントと言う霊体召喚の魔術が運用されていると。

 貴公も元は人間だろうに、死後に見る悪夢で死に切れんとは。英霊も厄介な現象(モノ)に目を付けられたものだ。写し身の中身としてソウルを利用されるとは、デーモンの発生とそう絡繰は変わらんぞ」

 

「否定はせん。匣としてはデーモンもサーヴァントも似た霊体だと、今の余には理解出来るからな」

 

「そうか。だがまぁ、ソウルの利用方法など何処も変わらんのかもな」

 

「違いない」

 

 無意味な雑談により時間が過ぎ、餓えで震えていた悪魔の腕も貪欲が満ちることで収まった。はぁ、と所長は深過ぎる溜め息を漏らす。

 

「悪魔狩りは夕飯後の良い運動だと思ったけど、今は見逃して上げる。マシュも貴方をそこまで恨んでる訳じゃないし」

 

「虚言ではないが、正しくは無いな。あの無垢なる騎士は……腕を斬り落とした私を、一欠片の暗い憎悪も持たずに接していた。

 怒りはあれ、恨まぬとは。良い子過ぎるのも如何かと思うぞ?

 自分を幸福に出来る真っ当な人間の大人に成れず、このまま行けば―――」

 

「―――黙りなさい。

 親の所業は、子の私が償うわ。きっちりと、完璧に」

 

 だが、所長は悪魔の瞳を真っ直ぐ睨み返す事は出来なかった。所長は自分が誰かに人の罪を償うような善行を、血塗れの手で行おうとする浅ましさに笑いも出来ない。

 愛もなく、彼女の命は生産された。

 必要とされたが、命に価値はなかった。

 騎士で在れ、などと誰にも願われなかった。

 人理の敵を殲滅する殺戮兵器で在れば何の問題もなかった。

 正義の味方から程遠く、彼女の生まれの本質は悪の敵でしかなかった。

 人類史を脅かす悪を殺す為、そう在れかしと短い寿命で死ぬまで戦うだけだった。

 

「そうかね。ならば、その儚い使命が全うされる事を人として願うよ―――Unbasa(アンバサ)

 

「はいはい、アンバサ。その言葉、きっちり覚えておきます」

 

 まだ上手く歩けないネロを背負い、悪魔は力強い確かな足で歩く。灰が見れば、薪として血の営みで作られた弟を背負う兄を思い返して仕舞える程に。きっと英霊のネロにとって、生前の自分が死にたくないと生き足掻くこの特異点こそ真に地獄であり、だが地獄を住処とする悪魔だけが苦しむネロを救ってくれた。

 それは依存に近い信頼関係。ネロは悪魔を信用などしていないが、故に信用すると決めた。例えこの先の未来で裏切られたとしても、自分の選択を後悔しないと決め込んだ。それを呑み込んで、悪魔に救われる自分を良しと認めた。

 

「――――――……」

 

 何故、狩人がその二人を背後から撃てようか?

 

「…………」

 

 今此処で撃っておけば良かったなどと、彼女もまた後悔しないと決め込んだ。例えあの悪魔が裏切りによって敵対者として、またカルデアの前に立ち塞がろうとも関係ない。

 だから後悔の感情などマシュ以外の人間に向けないようにしようと、せめて己が業の因果は自分の身で背負おうと、オルガマリーは冷徹な狩りの意志を瞳に宿す。

 

「……でもね、人理の為だろうと、血に酔わないと人狩りなんてやってらんない。そう思わない、隻狼?」

 

「主殿が人を狩る際、僅かな慈悲だけは御意志より……お忘れにならなければ」

 

「厳しいのね。私以外の女にそんな事を言えば、泣かせちゃうわよ?」

 

「御安心を。修羅に落ちれば……我が刀で、介錯を」

 

「ふふふ。私は死ねない不気味な化け物女なのに?」

 

「ならば、夢より覚めるまで……幾度でも」

 

「そうね。だったら、良いわ。その時はお願いね」

 

「御意の儘に……」

 

 オルガマリーは呪いの声が聞こえる。怨嗟も呪詛も、子守唄より安らかな音にしか感じられない女だが、きっと人理を守るカルデアを恨みながら死に絶える誰かの呪いも聞く事になるだろう。

 ―――人を守る為に、人を狩る。

 その矛盾もまたオルガマリー・アニムスフィアにとって、狩人の業として背負う新しいカルデアでの因果であるに違いはなかった。

 








 ガチャ……ガチャ、ガチャガチャと聖晶石がまた霧散する光景を見続けていた作者です。月姫がリメイクされる為の軍資金を寄付する為にFGOへ課金する兵がいる事を知っており、尚且つ型月ファンの無課金勢の一人として、きっとまた殺人貴が見れるのはファンの皆様が持つ愛故なのでしょう。また彼と彼女らの殺し愛を読めるとは、この今の瞬間まで待ち続けた結果なのです。それはそれとして、サーヴァントを引く魅力は京の水に匹敵しますけど。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。