過去作を知っている方が読めば、誰が誘拐されたのは一目両唖然ですが………
一頻り、家の中を調べ回った俊輔は、流石にお腹が減ってきてしまったので冷蔵庫の中身を確認するが、残念ながら神様も冷蔵庫の中身までは手を付けておらず、すっからかんであった。
「何も無いし……腹減った~」
俊輔はリビングに戻り、ダイニングテーブルの上で体を任せていた。
『マスター』
そんな俊輔の姿に、フォーカは神様からの伝言がもう一つある事を伝える。
『神様より、マスター宛にもう一つの伝言がありますが、お聞きになりますか?』
「きくぅ~」
俊輔は神様の伝言よりも、お腹が減ってしまっているので、聞きたくても右から左へと聞き流そうと考えていた。
『では、お伝えします。やぁ、俊輔君。申し訳ない。流石に冷蔵庫の中身までは私でも関係のない事だと思って放置してしまっていた。そのお詫びとして、君の部屋にプレゼントを贈ったよ。でも、残念ながら、食べ物じゃないけど、今の君にとって、そして、今後の君にとって必要不可欠なものだから。じゃぁね~。との事です』
「プレゼントって………ヴィータ、見に行ってきてぇ~」
「何でわたしが「もし、アイスだったら?」行って来るっ‼」
俊輔のアイスという単語に逸早く反応したヴィータは走って俊輔の部屋へと向かう。そんな姿を見たシグナムは頭を抱え、シャマルは苦笑い。ザフィーラは無表情で、リインフォースは何とも言えない表情をする。そして、俊輔に至ってはちょろいなと考えていたのである。
「持って来たぞ‼ アイスじゃないけど、これでいっぱいアイスが買えるよな‼」
リビングに戻ってきたヴィータは、興奮した様子で神様から送られてきたプレゼントを俊輔に見せる。
「うん? って、なんじゃこりゃぁぁぁぁっ⁉」
ヴィータが持ってきたのは通帳であった。通帳の中には既に振り込みがされており、金額は俊輔を驚かせた。
その金額、五千万円。アイスどころの問題ではない。余裕で一軒家をもう一つ買える金額であった。
「いやいや、神様⁉ 流石に小学生相手に五千万って………しかもお詫びのつもりかもしれないけど、これ、国税局がきたら、面倒だぞ⁉」
俊輔は別の意味で心配をしていたのである。
「いや、マスター。そう言う話ではないと思うのだが?」
「だって、五千万だぞ‼ 前世の俺でも見たこのない金額だぞ‼」
「なぁ、これでアイスをいっぱい買ってもいいよな‼」
リインフォースは俊輔を諫めるが、興奮が止まない俊輔とアイスを求めるヴィータと、中々、カオスな空間となっていた。
「幸いにも、この手の銀行は通帳でもお金を下ろせる様だし、さっそく買い出しに行くか‼」
「アイス‼ アイス‼ アイス‼」
「よし、お使いを熟したヴィータには、お駄賃として約束のアイスを買ってやろう‼ 好きなもの二個、選んでも良いぞ‼」
「ほんとか⁉ やったぜ‼」
俊輔の言葉を聞いたヴィータはガッツポーズをする。
「はしたないぞ、ヴィータ。マスターも、ヴィータを甘やかさないでください」
ヴィータを諫めるシグナムは、俊輔にも苦言を呈する。だが、俊輔から出た次の言葉に、シグナムも喜びを露にする。
「じゃぁ、シグナムには木刀か竹刀を買うが? 訓練に必要だろ?」
「ほ、本当にいいのですか⁉」
シグナムの言葉に俊輔は頷いて返事をする。
「もう、シグナムもヴィータちゃんも。俊輔君、二人を甘やかさないで頂戴」
「なら、シャマルも欲しいものを選べばいいじゃないか」
「で、でもぉ~」
シャマルさえも俊輔の
「マスター。落ち着いて下さい。確かに多額の金額に驚くのも無理はありませんが、一度の入金だけで、今後の資金はどうするおつもりですか?」
「………確かに。よし、ヴィータ。アイスは一個までだ。シグナムは木刀だけな」
「「ガーン」」
「ほっ」
俊輔はリインフォースの言葉に正気に戻り、流石になしと言う訳にもいかないので、夫々一つずつ買う事にしたのだが、シグナムとヴィータの落ち込み様は凄まじかった。
「あ、あのう………」
「なんだ、シャマル?」
「私には、何か買ってもらえるのですか?」
先程まで俊輔を諫める立場だったシャマルだったが、シグナムとヴィータが羨ましくなったのか、自分も欲しいと願い出たのである。
「当たり前だ。リインフォースもザフィーラも、欲しいものがあるんだったら一つだけ買ってやる。流石に三人だけしか買わないっていうのも、不平等だしな」
『マスター。私には?』
「え、デバイスであるフォーカもいるのか?」
『流石に酷く無いですかね⁉』
「嘘だよ。でも、何が欲しいんだ?」
まさかのフォーカのおねだりに、俊輔も驚くが、流石にデバイスだからって言う理由で、何も買わないっていうのも可愛そうに感じた為、フォーカの希望を聞く。
『私が欲しいのは、武具の本が欲しいです‼』
「………因みにだが、何をするつもりだ?」
フォーカが要求してきたのは、まさかの武具の本であった。流石の俊輔も驚いてしまう。
『何って、そりゃ、マスターの為に色々とスタイルを変える事が出来れば、今後の役に立つでしょう?』
「だが、俺は戦闘スタイルを変えるつもりは毛頭ないぞ?」
『もしもの手段としてですよ』
「そう言う事なら」
俊輔もフォーカの願いを叶える約束をする。
「さて、買い出しに行きますか‼」
俊輔たちは買い出しへと向かうのであった。そして、運命の出会いを果たす。
俊輔たちは一度、銀行により必要最低限のお金を引き出した後、買い出しを終え、帰宅途中であった。
「アッイス‼ アッイス‼」
ヴィータは嬉しそうに小躍りしていた。
「はは、ヴィータはそんなにアイスが好きなんだな」
「ああ‼」
俊輔はそんなヴィータをほほえましそうに見ていた。
もう少し家に到着すると言う所で、俊輔達一行の横を一台の車が猛スピードで横切った。
「あっぶない運転だな………ん?」
俊輔たちの少し先で、先ほどの車が急停車し歩いていた一人の少女を車の中に連れ込むと、車は急発進してその場を後にした。
「………は?」
まさかの展開についていけない俊輔たちは、ただ茫然と見るだけであった。だが、すぐに正気に戻る。
「オイオイ、マジかよ………目の前で誘拐とか……なぁ………うわぁ~」
俊輔はシグナム達の方を見ると、先ほどの車が立ち去った方を睨んでいたシグナム達を見て、俊輔は誘拐犯たちを拝んでしまう。
「さて、このままだと目覚め悪いし、さっさと救出に向かいますか」
「ですが、車はどうやって見つけるのですか?」
「フォーカ」
リインフォースが車の追跡をどうするか、俊輔に尋ねると俊輔はフォーカの名前を呼ぶ。
『既に先ほどの車を追跡するサーチャーを出していますので、すぐに追いつけます』
「流石、神様が作ったデバイス。反応速度が速いな」
『お褒め頂き、恐悦至極』
なんと、フォーカは誘拐が起きた瞬間にサーチャーで車を追跡していたのである。フォーカ自身、データを警察に送るつもりだったが、マスターである俊輔の意向に沿う為に、警察に連絡するのは後回しにしたのである。
『サーチャーが止まりました………これは、なんともまぁ…………』
フォーカは呆れた様子であった。
「どういう事なのか説明してくれ」
『はい。サーチャーが止まったのは、既に使われていない倉庫です。誘拐するには打って付けの場所ですね』
「まぁ、うん。テンプレ過ぎて、驚きを通り越して呆れるわ」
俊輔も呆れていた。
「なら、中の様子も確認してくれないか? それから、音声も出せるんだったら、それを全員に」
『はい、マスター』
フォーカは俊輔の要望通り、サーチャーを廃倉庫の中に忍び込ませ、音声を俊輔たちに送る。
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