東方人形誌   作:サイドカー

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えー、今回の話に関して皆様にお詫びを兼ねた注意事項がございます。
日常回なのにやたらに長くなりました。いつもの字数の二話分くらいあります。
いやね、分割するのが面ど……ゲフンゲフン区切りの良い場面がなかった故の強行手段でございます。

何はともあれ、今回もお付き合いいただけると嬉しゅうございます。


第二十七話 「たまにはそんな日常を」

 俺がそいつとエンカウントしたのは、お使いの帰り道での出来事だった。

 ご無沙汰に居候としての責務を果たそうと、アリスから買い物を引き受け人里に向かったのが今朝のこと。手にぶら下げている買い物袋には、化学農薬とは無縁の天然野菜や、人形作りで使うと思われる布が入っている。スーパーやコンビニもなければバスも電車もない土地で普通に生活しているが、俺が向こうに帰ったとき、上京してきた田舎者みたいにならないか気になるところだ。

「といっても、まだ帰るつもりはないけどな。風の吹くまま気の向くまま、さすらう私は渡り鳥~なんつって」

 他人に聞かれていたら恥ずかしいことこの上ない自作ポエムっぽいものを口ずさみ、家に向かって森をブラブラと歩く。誰もいないと油断していたせいか、俺は自分の背後に忍び寄る影があることに気付かなかった。

 その影はじわじわと俺の真後ろにまで近づき、そして――

 

 

「ただいまー」

「あ、優斗。おかえりなさ……い……?」

 アリス邸に戻り家主に帰宅の挨拶をする。アリスはいつもの可憐な笑みで出迎えてくれたのも束の間、その端正な顔が戸惑いプラス呆気にとられたもの変わった。うん、わかっている。そりゃそうなるだろうな。なぜなら頼まれていたもの以外の「お土産」がついてきたのだから。そしてその「お土産」が現在進行形で問題を起こしているのだから。

 目が点になっているアリスに救いを求めて、俺は自分の頭部を指差した。

「アリス、この子どうにかしてくれ」

 

「ほーあおあー」

 

 指し示す先には、金髪の幼い少女が我が頭に噛り付き、自慢の茶髪をよだれでベチョベチョにしている姿があった。

 

 

「いやはやまったく、何事かと思った。いきなり後ろからしがみ付いてこられてさ。地縛霊に憑りつかれたのかとビビったべ」

「私だって驚いたわよ。頭にルーミア乗せて帰ってくるんだもの」

「ルーミアっていうのか、この嬢ちゃんは」

「宵闇の妖怪って呼ばれているわね。『闇を操る程度の能力』からきているんじゃないかしら」

「闇を操るとかカッケーな」

 濡れタオルでヨダレまみれにされた頭を拭きながら、アリスに事情を説明する。唾液の滴るイイ男になる気はさらさらない。幸い血が出るほど強く噛まれたわけでもなく、絆創膏を貼る必要はなさそうだ。使い終わったタオルを片付け、ついでに買ってきた野菜もキッチンにおいてきたところで、ルーミアという名前らしい例の少女を改めて観察した。

 見た目姿の年齢は幼く、あどけない子供っぽさはチルノあたりに近い。短い金色の髪に赤いリボンを飾り、闇と呼ぶにふさわしい黒い服とリボン同様に赤い目はさながら吸血鬼のようだ。知り合いに吸血鬼いるけど。

 話題の少女は現在、食卓の席に座ってアリスお手製のオムライスをパクパクと頬張っている。ご機嫌な笑顔で食事を進める様子から、料理の美味しさが言葉にせずとも伝わってきて微笑ましい。彼女が俺に噛り付いていたところから、アリスが「お腹空いているんじゃない?」と判断し、軽食をささっと作ったものだ。人形遣いの女子力が素晴らしいと思う今日この頃。できる女、アリス。

 ルーミアが食事を終え、アリスが食器を下げに行ったところで、俺は少女に話を聞いてみることにした。

「して、ルーミアとやら。なぜに俺に狙いを定めたのかね?」

 たまたまそこに俺がいたからっていう理由がほとんどなんだろうけど、いきなり襲われた身からしたら本人からキチンと理由を聞きたい。幼い少女に襲われたとか、言葉にすると情けないような若干やらしいような。

 俺が質問すると、ルーミアは俺の顔より少し上を見据えながら答えた。

「栗」

「くり?」

 突然何を言い出すんだ、この子は。もしやデザートをご所望なのか。とはいえ秋の味覚を楽しむには季節はまだまだ先のことだし、せめてリンゴとかイチゴで妥協してほしいのだが、交渉の余地はあるのだろうか。

 食後のメニューについてうんうんと頭を悩ませる。と、どうやら俺達の会話が聞こえていたらしい。食器を洗い終えて、アリスが可笑しさを堪えつつ戻ってきた。

「ふふっ、優斗の頭が栗に見えたのね」

「嬢ちゃんは栗をイガごと食べるワイルドチャレンジャーなのかい?」

 俺のアイデンティティの一つを木の実と同じ扱いっすか。誠に遺憾である。話逸れるけど、幻想郷の皆さん(主に女性)って綺麗な髪しているよな。ルーミアも金髪ショートで、アリスと並ぶとまるで姉妹みたいだ。フランといい勝負しそう。妹対決とか企画してみたい。

 妹も義妹も捨てがたいけど個人的には幼馴染属性の方が好みだとか、思考が飛び始めたところで、アリスが「それはそうと」と話を振ってきた。

「買い出しでお願いしていた布はあったの?」

「オールライト、ちゃんと忘れずに買ってこれたぜ。コレも人形作りで使うやつか? あまり使い道がなさそうな気もするんだが」

「はずれ。これは人形作り用じゃないわよ」

「おろ、そうなん?」

 アリスは俺から布地を受け取ると隅々まで吟味し、「うん、これならいけそうね」と満足げに頷いた。どうやら合格ラインだったようだ。あまり使い道がなさそうと意見したのは、それの色がグレーだったからである。アリスが作る人形は、上海をはじめほとんどが女の子の姿をしているため、正直あまり必要ないのではと思ったが、別の目的があったっぽい。

 しかし、人形用じゃないとするならば、一体何に使うつもりなのだろう。

「覚えてる? 優斗の上着がボロボロになっていたでしょう?」

「ああ、アリスが回収しておいてくれてたやつか。結局、洗濯してもシミが落ちないし派手に破けてたしで、もう着れそうもないが……」

「だからね、よかったら私が新しいの作ってあげたいなって思ったんだけど……いい?」

「わお、マジでか!?」

 もう一つのアイデンティティ復活の予感に思わず声とテンションが上がってしまう。ロボットアニメで例えるならば、前半の機体を壊された後に新しい機体が登場するザ・王道な胸熱展開だ。むしろこっちからお願いしたいくらいだぜ。

 すると、俺たちのやり取りを聞いていたルーミアが、「服?」と興味を示した。そんな彼女の反応を見て、アリスが「あ、そうだ」と何かをひらめく。

「ねぇ、ルーミア。私の部屋まで来ない?」

「うん、いいよー」

「決まりね。それじゃ、私達ちょっと行ってくるから、優斗は待っててくれる?」

「おう、のんびりでいいぞ」

 ひらひらと手を振って人形遣いと宵闇の少女を見送り、俺はソファーにズズッと身を沈めた。言っておくが、覗きなんてしませんよ? 僕は紳士という名の紳士だよ。

 

 

 数分後、アリスとルーミアが戻ってきた。

 先ほどと変わっていたのはルーミアの方だった。彼女の衣服が黒を基調としたものから、白いブラウスと水色のスカートのコーディネートになっていた。全体が明るめの色で構成されているためか、軽やかな印象を受ける。なかなか愛らしいじゃないか。

 ほほう、と感心しているとアリスが自慢げにルーミアを前に出して感想を求めてきた。

「じゃーん。どうかしら? 似合っていると思わない?」

「ああ、いい感じに似合っているな。というか、その服はどしたん?」

「私が子供の頃に着ていた服よ。この間、部屋を整理していた時に見つけたの。よかったわね、ルーミア。優斗もあなたの格好似合うって言ってるわよ」

「おおー」

 ルーミアも満更でもなさそうでクルクルとターンを決めて喜びを表現している。服装も相まって、あたかも妖精が踊っているみたいだ。小さくても女の子。オシャレには敏感なのかもしれない。それにしても、アリスの子供時代か。アルバムとかあったら見せてもらいたい。きっと天使が写っている写真が沢山あることだろう。

「さて、じゃあ次は優斗の番ね」

「ん、よろしく頼む」

「わたしも手伝う!」

「あら、それならルーミアにも手伝ってもらいましょうか。まずは採寸からね」

「わかったのだー」

 というわけで、ルーミアを助手に加えて創作タイムが始まったのだった。幸いなことに、以前着ていたジャケットを捨てていなかったので、それを見ながらデザインする方向で作業が進められる。ハサミで生地を裁断し、河童製だというミシンを使って縫い合わせ、ボタン付けや細かいところは手縫いでこなしていく。二人の金髪少女が共同作業する光景は、絵本の一ページみたいで映えるものがあった。途中で起こったトラブルといえば、ルーミアがメジャーで自分の胸囲を測ろうとした瞬間に、アリスが俺の頭に買い物袋を被せてきたことくらいか。あの時は俺も風間一派になってしまったのかと思った。むしろゲーム制作部(仮)か。

 

 そして、ついに新たなジャケットが完成した。アリスから服を受け取り、さっそく試着してみる。見本を忠実に再現した成果なのだろう、まるで以前着ていたものと同じのを着ているようなフィット感があった。

「着てみた感じはどうかしら? サイズは大丈夫そう?」

「こいつぁグレートだぜ、体によく馴染む。うむうむ、これで俺もようやく本調子って感じよ。ありがとな」

「ふふっ、どういたしまして」

「ルーミアもサンキュな。どうよ、似合ってるか?」

「うん!」

「そうか、そうか。よーしよしよしよしよし」

 ワシャワシャとルーミアの頭を撫でる。動物にやるみたいなノリになってしまったが、彼女も嫌がっている様子はなく、むしろ気持ちよさそうに目を細めていた。ちなみに彼女は現在もアリスの子ども服を着ていたりする。

 瞬間、俺の脳裏に電流が走る……ではなく電球が閃いた。

「なぁ、この服とルーミアの格好を誰かに見せに行かないか? 自慢しようぜ」

「いいわね。ここからだと……一番近いのは魔理沙の家かしら」

「魔理沙か。そういえばまだ家まで遊びに行ったことなかったな。よっしゃ、行き先はそこで決定。ルーミア、出かけるぞ」

「おおー」

 彼女は元気に返事をしたかと思うと、ふわりと宙に浮きなぜか俺の肩の上に太腿を乗せる形で着地した。いわゆる肩車である。まぁ、全然重くないし別に構わないんだが。また頭をかじられたりしないか心配だ。

 どうしようかとアリスにアイコンタクトを送ると、彼女は「大丈夫じゃない?」というメッセージを込めた優しい笑顔で答えた。アリスって子供好きなのかも。面倒見の良い性格だし、人形劇もやっているから小さい子からの人気もありそうだ。

 なにはともあれ、普通の魔法使いのお宅を目指して、いざ出陣でござる。

 

 

「ここが魔理沙の家か。『霧雨魔法店』ねぇ……商売をしていたとは知らなかった。マジックアイテムの販売とか?」

「依頼をこなす何でも屋みたいなものよ。妖怪退治から水道工事まで幅広く受け付けているわ。本人がいつも不在だから臨時休業ばかりだけどね」

「香霖堂もそうだが、幻想郷の商売人はフリーダム過ぎないか?」

 さてさて、三人でアリス邸を出発して移動すること数十分。俺達は目的地である魔理沙の家までやってきた。会話の内容からご察しのことと思うが、魔理沙の自宅は店を兼ね備えていた。その名も『霧雨魔法店』、事業内容はギルドみたいに依頼を受けて動くタイプらしい。建物は普通の洋風民家なのだが、家の周囲にガラクタが散乱している様がバイト先を彷彿とさせる。類は友を呼ぶってことか。あ、でもアリスは綺麗好きだよなぁ……

 俺はルーミアを肩車して両手がふさがっているため、アリスが玄関扉をノックする。木材を叩く乾燥した音が響いた直後、中の方から「今出るぜー」と家主の声が聞こえてきた。今日は営業中だったようだ。まぁ、店兼自宅なのだから毎回不在の方が変か。

 やがて内側からドアノブが捻られ、戸を押し開けながら霧雨魔法店の店主であり普通の魔法使いこと霧雨魔理沙が姿を現した。お茶でも淹れようとしていたのか、片手にはキッチンミトンがはめられており、湯気を噴出しているヤカンを握っていた。

「アリスじゃないか。どうしたんだぜ? 面白いものでも見つけたのか?」

「ええ、とってもいいものよ。ほら」

「ういっす、遊びに来たぞ魔理沙」

「優斗も一緒だったんだな。というか、お前なにを乗せ……て……」

 魔理沙が俺の肩に乗っかっている少女を見るや否や、驚愕に目を見開いた顔でパーフェクト・フリーズした。手にしていたヤカンが落ち、金属が地面にあたる甲高い音と同時に熱湯がぶちまけられる。あぁ~あ、もったいない。というか足に当たったら危ないでしょうが。

 そして直後、「お……お……」魔理沙がわなわなと震えながら手袋をしていない方の手でルーミアを指差し、ド派手な勘違い発言をしたのだった。

 

「お前らいつの間に子供なんて作ったんだぜーーっ!?」

 

『……………はい?』

 久しぶりにアリスと声がハモった。魔理沙がルーミアのことを知らないはずはないだろうし、もしや服装が違うせいで気づいていないのだろうか。っていうか彼女は今何と言った? 子供を、作った……? え、まさか――

 時間が停止したのかと錯覚する数秒が経った後、アリスも魔理沙の発言の意味を理解し、まるで火が出たようにボッと顔を紅潮させた。そのまま慌てふためきながら言葉を捲し立てる。

「あっ!? な、何言っているのよ! 私と優斗はそそっ、そういうのじゃないからっ!! 付き合っているわけでもないし、子供なんて尚更……!」

「魔理沙ぁー、やっほぅー」

「ん? あ、お前ルーミアか! アリスの子供の頃の服なんか着てたから一瞬わからなかったぜ。まったく、驚かせないでほしいぜ」

 アリスがテンパっている一方で、ルーミアが呑気に魔理沙に声をかけた。そのおかげで魔理沙も相手の正体を理解したようだ。あと、アリスが早口過ぎて途中から何と言っているのか聞こえぬ。

「俺はお前の想像力にビックリだよ」

「弾幕はパワーとイメージが大事だからな! おっと。おーいアリス大丈夫かー? とりあえず上がるといいぜ」

「ふぇっ!? あ……そ、そうね。お邪魔するわ」

「はいよ、三名様ご案内~~」

 

 魔理沙に招かれた俺達なのだが、中を見て最初に抱いた感想はというと、「これが一人暮らしの女の子のお宅か……何というか、うーむ」ってな具合だった。大半がとある洋館の図書館から持ち出したものと思われる大量の本が、開きっぱの状態で机の上に重ねられていたり、閉じてある本が床の上でタワーを建設していたり。本以外にも、どこかで拾ってきたのだろうガラクタや小道具の類が散らばっている。

 部屋の混沌具合にアリスが思わず溜息を漏らした。

「たまには片付けしなさいよ」

「たまにはやってるぜ、たまには」

 魔法使い二人が言葉を交わしていると、ルーミアが俺の肩から降りて床に着地した。ルーミア大地に立つ、とか言ってみたりして。少女はそのまま奥の部屋までトコトコと歩いていった。アリスと魔理沙は会話に熱中していて気づいていない。二人の邪魔をするのも悪いし、俺が様子を見てくるか。

「ルーミア、どうした? って何だこりゃ」

 ルーミアの後を追って行った先はキッチンだった。部屋の中心に置かれたテーブルの上に、森で採取したと推測される多種多様なキノコがこんもりと山を築いていた。一つ一つが色も形も個性的で、探せば残機が一つアップする顔つきキノコでも出てきそうな勢いである。

 ルーミアはそのキノコの山をじーっと凝視していた。ちなみに僕はキノコでもタケノコでもどっちでもいい派です。こんなこと言ったら新たな紛争が起こりそうだから黙っていよう。

「じー」

「どした、また腹減ったのか?」

 俺の問いかけに宵闇の少女はコクリと頷くと、おもむろにマッシュルーム・マウンテンに手を突っ込み、そこから一つ抜き取った。それのクンクンと臭いを嗅ぐと、

「ぱくっ」

「おぉい、生で食って大丈夫なのか」

 迷うことなく口に入れちまった。モゴモゴと口を動かし、やがてゴックンと嚥下する。そして、再び食糧に手を伸ばし、さっきとは違う見た目のものを取ると、今度はそれを俺に差し出してきた。

「あい」

「いただこう」

 条件反射でルーミアからブツを受け取ってしまった。とりあえず、先ほどの彼女を真似て臭いをチェックしてみるが、無臭であった、というかキノコって臭いがあるものなのだろうか。見た目も普通というか、松茸っぽいしモノホンなのではないかとすら思えてきた。結論、特に警戒することなく俺は松茸風キノコを口の中に放り込んだ。

「むぐむぐ……んめーなコレ」

「そーなのかー」

 って自分でも分からないもの渡してきたのかこの子は。まぁ、魔理沙が取ってきたものだし全て食用のタイプだろう。多分、きっと、メイビー。

 一つでは足りなかったのかルーミアが「もう一個」とおかわりしようとした時、

 

「お前ら何やっているんだぜ!?」

 

 魔理沙の大声が鼓膜に響いた。彼女は「まったく、油断も隙もないぜ」とボヤキながら腕を組む。

「人のモノを勝手に取るのは――」

 自分のことを棚の上に放り投げた発言をしかけたところで、

 

「あなたたち!! 何やっているのよ二人して!!」

 

 人形遣いの怒声に見事かき消された。さっきの魔理沙の声量を上回るボリュームで、思わず耳がキーンとなった。ついでに頭もキーンとなった。アリスは眉間にしわを寄せてさらに吊り上った目つきという、はたから見ても激おこの様相で俺達に詰め寄ってきた。

「変なもの食べてお腹壊したらどうするの!?」

「変なものとは心外だぜ」

「魔理沙は黙ってて」

「りょーかい」

 アリスの目にジロリと射抜かれて、魔理沙は肩をすくめつつすごすごと引き下がった。もはやこの場はアリスが支配している空間となった。ルーミアがさりげなく俺の後ろに隠れるように移動していることにも、ツッコミを入れる余地はなかった。

 仕方あるまい。子供にきつく当たるのも良くないだろうし、ここは俺が助け船を出すか。

「まぁまぁ落ち着けって、アリス。ルーミアもまだ腹減ってたみたいでさ――」

「言い訳しない! そもそも何で優斗まで一緒になって食べてるのよ!? まさか優斗が先に食べたのをルーミアが真似したわけじゃないでしょうね!?」

「助け舟沈没!? いや、誤解だってぇー!」

 

 

 そんな目の前の光景を、魔理沙は呆れを含んだ顔で眺めていた。怒涛のごとく説教するアリスの様子に、どこぞの閻魔か仙人を思い浮かんだ。それと、アリスの怒りの矛先が完全にそちらに向けられている優斗の哀れな姿に心の中で合掌する。原因となった幼い少女はといえば、自分の被害がなくなったことでどうでもよくなったのか、再びテーブルの上のものに気を取られていた。

 マイホームでアウェイと化した魔理沙は、どこか遠くを見るような目で思わず呟いた。

「何なんだぜ、この家族は」

 

 

つづく

 




執筆途中から使用期限が切れたパブ○ンを服用しつつやったため、変なところがあるかもしれませんです、はい。
皆様も健康管理にはお気を付けくださいませ。
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